もともと政府のローンが出た理由は確か破産を防ぐためだったのですが、まずCEOが突然3月に解雇され、GMヨーロッパのビジネスはカナダの自動車部品メーカー(マグナ)とロシアのトラック製造会社、ロシアの銀行が主体のコンソーシアムに売られ、あれよあれよという間に破産。
この一連の流れをを画策したのはオバマ大統領直属の「自動車産業タスク・フォース」。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事が指摘するように、米国議会はほとんどまったく関与していません。破産後のリストラでさらに300億ドル、国が融資することになるようですが、どうも議会はつんぼ桟敷に置かれている感が否めません。
この議会を超える権限を執行している「自動車産業タスク・フォース」のメンバーは、いったい誰なのでしょうか。
2月20日のホワイト・ハウスの発表によると、正規メンバーとして政府閣僚10人、実行の補佐として閣僚の補佐官クラスが10人、アドバイザーが一人となっていますが、肝心なのはこのリストに載っていない、いわゆるスタッフ、実際にゼネラル・モーターズのCEOを首にし、クライスラーと交渉し、クライスラーの債権保有者を脅し、GMのオペルをカナダの会社に売り渡す、といったことを行っている人たちです。このスタッフの情報はほとんど明らかにされておらず、ごく稀にニュースの中でたまたま言及されているのを記録したのが、次の5人です。
- Brian Deese: 31歳、元オバマ選挙キャンペーン補佐
- Alan Krueger: プリンストン大学経済学者
- Matthew Feldman: Willkie Farr & Gallagher LLP パートナー(企業破産とリストラ専門)
- Harry J. Wilson: 37歳、元ヘッジ・ファンドのスター・プレーヤー。ヘッジ・ファンド以前はブラックストーン、ゴールドマン・サックスに所属。
- Clay Calhoon: ウォルト・ディズニー社のアナリストとして、2年間のインターンを終えたばかり。
このような人々を統括するのが、
- Steven Rattner: インベストメント・バンカー。タスク・フォースの名目上のボスである財務長官 Tim Geithner と Lawrence Summers に報告義務がある。彼の運営するファンド(Quadrangle) は、現在もニューヨーク州の公的年金にまつわる贈賄疑惑の真っ只中。また、彼は、クライスラーの現オーナーであるCerberus Capital Management からの借金を踏み倒したことでも知られる。クライスラーの債権保有者を脅したのも、ゼネラル・モーターズのCEOを首にしたのも、彼。
なんだかがっかりしますね。クライスラー、ゼネラル・モーターズの、長年車を(良かれ悪しかれ)造ってきた人々が、ウォール・ストリートから来たこのような人たちにあれこれ言われて挙句の果て倒産の羽目になるとは。
再建後のゼネラル・モーターズは、さらに米国内の工場を閉鎖し、ディーラーを削減し、中国で生産した車の逆輸入を大いに増やす予定だそうです。ゼネラル・モーターズに公的資金を入れる理由の一つは、アメリカ国内の雇用を確保し、アメリカの製造業を守ることだったと記憶しているのですが。。。
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