もちろん日本の皆さんもすでにご存知だとは思いますが、念のため。
福島第1原発第3号機は、和製英語で言う「プルサーマル Pluthermal」(ちなみに、日本在住でない外国人にこれを言っても何のことか分からないと思います)、普通の日本語で言うと、軽水炉でプルトニウム混合の燃料(プル)で熱蒸気を発して(サーマル)タービンを回して発電する方式の原子炉です。
プルトニウム混合燃料(MOXと言います)で運転して事故になった高速増殖炉「もんじゅ」のことがあるので、多分お役所の誰かがどこかで新しい単語を作ったんでしょうか。プルトニウム、という単語全部を出さないように。ま、考えすぎかも知れませんが。
ちなみに、グリーンピースによると、4月の上旬にフランスから日本向けのMOX燃料を積んだ船が出港するそうです。フランスの大統領が3月末に来日しますねえ。誰か、日本でも大統領に抗議しないんですか?こんなときにプルトニウム燃料輸出なんて。(まあ買うほうも買うほうですが。)
さて、ついでに言っておきますが、プルトニウムは何も3号機だけに存在するわけでもなんでもなく、核燃料のウランが核分裂するときにその一部がプルトニウムになるのです。つまり、どの原子炉にもプルトニウムは存在しているわけです。それより気になるのは、使用済み核燃料の方。1号機から6号機まで、まあ5号機と6号機は安全にしても(東電を信用すればですが)、1号機から4号機まで、建屋が半壊しているようなところに使用済み核燃料がもの凄い数で保存されているはずですが、使用済み核燃料には大体1%、プルトニウムが残っています。
プルトニウム混合燃料のプルトニウムの濃度は4~9パーセント。使用済み核燃料内のプルトニウムは混合燃料に比べたら割合は少ないものの、何しろ数が多いので、結構な量になるでしょう。ちなみに高速増殖炉用の混合燃料は、プルトニウムの含有量が20パーセントだそうです。
プルトニウムの一番の問題は、ウラニウムに比べても放射能が格段に高いことです。また、プルトニウムをウランに混ぜると、燃料棒の融点が下がります。つまり、溶け易くなるのです。熱伝導度も下がります。つまり温度が下がりにくくなるのです。
もうひとつ、危ないのは、今回覆水ポンプが稼動しなくなったため外付けのポンプでずっと海水を入れていました。配管や圧力容器に海水の塩による害が出るでない、ということだけでなく、塩が燃料棒をコーティングしてしまい、そのあといくら真水をかけても効率よく冷やせない、という可能性があります。(実際、原子力安全保安院の西山審議官はそういっています。)
日本政府もアメリカ軍の真水を大量に運べるバージをやっと思いついたようですが、ちょっと遅いのでは。まあ思いついたのか、やっと2週間以上経ってから必要な役人のはんこが取れたか、どっちかな。
濃縮ウラン溶液をバケツで運ばせた日本ですから、へんな度胸はいいのかもしれません。
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