地球上の生物は、進化の過程で自然放射線にどのように適応して生き延びるかを学んできた。学べなかった生物は死に絶えた。ところが、原子爆弾、更に原発のようなものが出来、生物は進化の過程で遭遇してこなかった人工放射線、人工放射性核種にさらされる羽目になった。
それでも原発を推進するために、推進派は、「自然放射線も人工放射線も同じです」と言い始めた。しかし、本当に比べるべきは、「自然放射性核種と人工放射性核種」である。
カリウム40という放射性物質は天然に存在する。進化の過程で、生物はこのような危険な自然放射性核種を体内に貯めないで排出する、つまり濃縮しない、ということを学んできた。
天然にはヨウ素というものが存在する。これは非放射性である。そこで、生物はこの安全な物質を取り込んで甲状腺に貯め、利用してきた。
こういう安全だった元素に、人工の放射性核種を作ってはいけない。そういうことをすると、生物はこれを濃縮する。セシウムも、ストロンチウムも、天然のものは非放射性で、入ってきても一向に構わない。ところが放射性のストロンチウムを原子炉で作ってしまうと、これは骨の中に入り、放射線を出し続ける。
進化の過程で遭遇してきたものには我々は適応できる。しかし、原子炉が出来て初めて出来たような人工放射性核種には対応できず、このような核種を濃縮、蓄積する。
原子力推進派はこれを知られたくない。そこで、話を「放射線」にすりかえた。人工放射線も自然放射線も所詮は同じアルファ線、ベータ線、ガンマ線を出すのだから、影響は同じだ、という風に。
しかしそうではなかった。「放射線」が同じか違うかではなく、「放射性核種」が我々の中で蓄積するかしないかなのだ。
自然放射性核種は濃縮、蓄積しない。人工放射性核種は濃縮、蓄積する。
以上、私が取った講義ノートです。講義は下のビデオでご覧になれます。講義をしているのは、多分まだお若い時の市川定夫埼玉大学名誉教授、微量放射線が遺伝に及ぼす影響の研究で知られる方です。私が市川教授の名前を知ったのは、英語ブログのポストに付いたコメント。何でも、教授は、ムラサキツユクサの花の色が放射能を浴びると変色する、ということを発見したそうで、以来、原発の周りにムラサキツユクサを植えて放射能の検知の一助となっているとか。
このほかの市川教授のビデオはこちらです。いずれも15分ほどの長さです。チェルノブイリ事故から1年?後に作られたビデオのようです。
http://youtu.be/-CeLnWq8rjs 放射能はいらない 1/4
http://youtu.be/iBc0fDgScnI 放射能はいらない 2/4
http://youtu.be/FSQMLt-E6T4 放射能はいらない 3/4
http://youtu.be/KxeS4i02sv4 放射能はいらない 4/4
遅ればせでも何でも、ビデオをアップした人たちに「今更!」と言われようとなんだろうと、見て、学びましょう。
チェルノブイリが1986/4/26、映像内容から推察して(年月表記が出てきたりするので)、1989年(S64/H1)辺りの録画でしょうか。
ReplyDelete去年からアップされてたそうですが、3.11以前はほとんど興味もたれず、わたしも恐縮なことに今年6月頃に発見。
最近「孫x堀トコトン議論」で、また思いだしました。
YouTube内で、市川定夫さんが、原発推進派が正しい理論をいつもどうやってごまかすか、についても解説してくださってますが、「自然界にも放射線があるじゃないか」とか、そのまんまなんですよ。
以下ご参考に。
↓六ヶ所村関連ですが、記者会見映像内で市川定夫さんが話しておられます。
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=456
↓鎌仲ひとみさんの『ヒバクシャ ~世界の終わりに~』に肥田医師が相談する相手として市川定夫さんも少し登場されてるそうです。チェルノブイリ事故の10年後、東日本を中心に乳がんが劇的に増加したそうです。
8000km以上離れたチェルノブイリでの事故でこれですから、フクシマの事故はこれからどうなるんでしょう?
市川定夫さんが YouTube内でもおっしゃってますが、政府は因果関係は分からない、で逃げると思いますが…。
http://www.g-gendai.co.jp/hibakusha/
↓鎌仲ひとみ映画上映情報はこちら
http://888earth.net/staffblog/
↓日本に絶望したときにぜひ。生きる希望がわいてきます。
肥田舜太郎さん講演「内部被ばくがもたらすもの」
http://www.ustream.tv/recorded/16024835
低線量被曝の恐ろしさを伝えてらっしゃいます。1:27:08〜こんな絶望的な日本で、生きる力が少しわいてきます。
最近見た映画『あしたが消える-どうして原発?-』で、原子炉の安全に関して「3重」「3重」と何度も出てくるのですが、22年前は原発の安全は5重じゃなくて「3重の安全」と表現していたようです。映画に出てくる原子炉は22年よりもっと前の製造時から構造は変わりようがないので、より安全に見せかけるために2段増やしてみたんでしょうか?
どこの勘定が増えたのかご存じの方はいらっしゃいますか?
http://www.genpatsu22.com/
わたしの暮らす南半球のこの国と同様に、海外では放射能や核のことを、学校できちんと学んでいるように思います。
ReplyDeleteこのすばらしい教材を生かせなかったことを、ひとりの日本人の大人として悔いてやみません。
説明の文章がとても解り易く、参考になりました。
ReplyDelete事後承諾なのですが、私のブログにこの記事リンクさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?
福島で原発事故が起こり、8ヶ月。まだこの違いを理解せず、大丈夫だマンが沢山いる日本を嘆いてしまいます。
放射能汚染に負けないブログの管理人 さん、どうぞどうぞ。ぜひ広めてください。
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