それを報道するニュース、また、出荷していた業者の「おわび」などでよく言及されているのが、
『水戻しして食べる際には数値は7分の1程度に下がり、対象商品を食べても健康への影響はたいへん少ない』 (Exciteニュース)
『水戻しして食す際には逆に7分の一程度に下がります。食された場合でも健康被害はたいへん少ないことをお知らせいたします』 (長野の業者のホームページ)
このような発言をぼーっと読むと(私のように)、2000ベクレルあったセシウムが水に戻すとだいたい300ベクレル以下に(どういうわけか)減ってくれるのだ、と思ってしまいますが、ボケッと流していないで、ちゃんと考えてみることにします。
1.干しシイタケ一袋、100グラムとしましょう。そのシイタケが乾燥状態でキロ当たり2000ベクレルあったとすると、100グラムの袋には200ベクレルのセシウムが入っています。
2.袋の中に干しシイタケが40枚入っているとしましょう。1枚当たり、5ベクレルのセシウムになります。
3.このシイタケを水で戻します。どれくらいのセシウムが水に溶出するのかは不明(誰か測ってますか?)ですが、ボールに乾燥しいたけ1枚いれて水をいれ、戻します。この水と戻したシイタケに含まれているセシウムの絶対量は減ったでしょうか?
当たり前ですが、減りません。戻したシイタケ1枚食べるだけで、5ベクレル近くのセシウムを食べることになります。
この100グラム袋のシイタケを戻して調理して食べれば、水に溶出した分を除いても、おそらく袋のシイタケに入っていた大部分のセシウムを食べることになるのです。
水で戻せばセシウムは7分の一に減る、というのは、水で戻したために放射能が減ったのではなく、水で戻したためにシイタケの重量が7倍になった、というだけの話だと思います。
1キロの干しシイタケを水で戻すと7キロになる、従って、乾燥状態で存在していた2000ベクレルのセシウムは水で戻した後も同じく存在するが、キロ当たり2000ベクレルではなく、「水で戻したあとの7キロ当たり2000ベクレル」、つまり、キロ当たりにすると7分の1、ということになるわけです。
検査して流通させたい側(行政、生産者、加工業者、流通業者、小売)はあくまで「キロ当たり」、「水に戻した状態」にこだわります。それが行政の造ったルールだからです。しかし、食べる側にとっては、入っている絶対量が問題なのです。
放射能汚染の高いがれき、ごみを、汚染の少ないがれき、ごみに混ぜてキロ当たりの放射能が少なくなれば燃やしても埋めてもOKという考え方と非常によく似ています。
乾燥食品は水戻しすれば放射濃度が減る、という記載をお読みになるとき、これは「あくまでキロ単位の話」で、袋に入っている絶対量は変わらない、ということをお忘れなく。
お世話様です。
ReplyDeleteこの件、お茶の新基準もそうですが消費者を何だと思っているのでしょうか。
いずれも絶対に必要な食品でもなく「食べない・飲まない」選択肢があるわけですが。
また、売れなければ加工品に回るでしょう。
個々の原材料が「薄まるから大丈夫」とやれば濃厚な加工品になりそうです。
いずれにしても、これら産業は「自滅の道」を選んだことになりますね。
消費者は理不尽な要求をするわがままな非国民、でしょうかね。
ReplyDelete今回の事故と放射能汚染で一番がっかりしたのは、生産者、流通業者、加工業者、小売業者の行動です。商売の良心、というものがあったような気がしていたんですが、まるで錯覚だったということがよくわかりました。
Caveat emptor、買い手の責任がここまでかぶさると、大変な負担です。
干し椎茸業者の肩を持つ訳ではないが、干し椎茸が戻して食べる食材であるなら、ゴミの場合とは違う。
ReplyDeleteゴミはカサを小さくして捨てるための焼却だけれど、干し椎茸は保管や輸送のための乾燥では?
そもそも乾燥品が同じ基準でいいのか、という問題があるのではないか。
干ししいたけの戻し汁はだし汁として使うのが基本ですから、水に溶け出した分減るってことはまずないのではないでしょうか。
ReplyDeleteこんにちは。
ReplyDelete埼玉県上尾市では、この業者の干し椎茸を小中学校の学校給食に使っておりました。
私を含め母親達が市役所に電話で問い合わせたところ、水で戻すから大丈夫とか、業者から放射能の検査で不検出だったという証明書をもらっているとか。(結局この証明書は干し椎茸の物ではなかった)
では椎茸の戻し汁はだしに使わないんですか?と聞いたら分かりません・・・とか。
あきれる答えばかりでした。
ずっと給食については市と交渉してきましたが、もう給食だめですね・・・
「非国民」・・・彼らから見ればそうですね。
ReplyDeleteこちらから見れば彼らは「国民背任者」と思います。
この流れは「事故米」と全く同じ経緯を辿っています。
今回の「汚染食品利権」でも、農水省・JAの現役・OB、天下り先企業も一枚噛んでいるはず。
原発事故前までは多額な予算を計上し「食の安全」を追求していたはすなのですがね・・・
この国は、何も学ばない。
めぐさん、言葉が足りませんでしたが、乾燥させる・焼却することによってかさを減らすという共通点ではなく、キロ当たりの放射能だけに注目して総量を無視する、という点での共通点です。
ReplyDelete干し椎茸は水で戻して、その水は旨味のでた出汁として使うもの。
ReplyDelete捨てる方はいらっしゃらないと思いたいが、最近の若い方はどうでしょうか。
椎茸を調理する際にその出汁を使うこともあり。
ようするに、水に戻しても干し椎茸全量を食することになる。
売りたいへ理屈をまことしやかに業者は言う。
それを信じる人は干し椎茸を使ったことも買ったことも無い人だろう。
干し椎茸を水洗いして出汁は捨てるとでも。
出汁を使用する昆布も同様である。
生産者や流通業者は外食と加工食品しか知らないのか。
化学調味料と出来合いのだしの素で鍛えた脳みその嘘を信じてはいけない。
この消費者から拒絶された乾物は加工食品に回されるかもしれないのだ。
こんにちは。
ReplyDeleteいつも記事を参照させて頂いていますが、コメントは初めてです。
キノコの除染についても言及している論文からの引用記事を読みましたので簡単にお報せします。参考になさってください。
採取したキノコの除染の可能性について
条件:洗浄水と食塩水だけではなく、漬けた水と煮炊きする水も捨てること
処理方法 放射性セシウムの減り具合(%)
洗浄 → 20%
煮炊き → 50%
塩漬け → 50%
乾燥させてから水に漬ける → 75%
湯がく+塩漬け+水に漬ける → 90%
但し、洗浄による放射性セシウムの20%減少は、放射性セシウムが付着している土壌が洗い流される場合、或いは、洗浄ということが長い時間水に漬けておくということを含む場合にのみ考えられ得る。
論文 ↓
BERESFORDN A, VOIGT G, WRIGHTS M,HOWARBDJ , BARNETTC L, PRISTEBR et al.: Self-help countermeasure strategies for populations living within contaminated areas of Belarus, Russia and Ukraine.
J Environ Radioact 56 (2001) 215-239.
ウルトラマンさんが「商売の良心」(エントリー本文でなく、コメント中の)と指摘している以上業者の倫理的な側面を意識していらっしゃるもの、と理解しました。
ReplyDelete他の食品が水分込みの重量で測定されて流通しています。それを指摘せずにゴミ問題を比較に出して倫理的な批判をするのは、一方的であると思います。
「入っている絶対量」はもちろん重要ですが、実際どういう状況で調理し食するかも重要です。
業者が「戻して食べる食材だから戻した状態で考えてみて下さい」と発想しただけのことでしょう。
ベラルーシの部屋ブログ2011年12月23日付エントリーで、ベラルーシでは乾燥きのこは2500Bq/kgだがこれは戻すと重量が10倍に増えることを前提としている、とあります。
また輸入食品に関するCODEX基準ですが、これは1000Bq/kgとされているところ、輸入食品は10分の1食べるという前提のものです。
このように実際に食べる状態を想定するのは、倫理的な問題とは別であると思います。
いつも有難うございます!
ReplyDelete干し椎茸、かんぴょう、切り干し大根などやはり出てますね。
神戸市の学校給食には、岩手県産の干し椎茸も使われていますが、2000Bq/kgのセシウムが検出された後も、給食で岩手産を使い続ける予定だそうです。
なぜ、料理に干し椎茸を使うかと言うと、①旨味の出た出し汁を使う。②乾燥させた後、戻して使うと調味液を吸収し易い からです。戻し汁を捨てるなら生椎茸でも良いわけです。
昨夏、178Bq/kgの静岡茶を堂々と売っていたコープこうべも、今回の業者や行政と同じく、「荒茶」と「生茶」の違い、茶の入れ方まで指導していました。こう入れると減るとか、こう入れるから何分の一になるとか。「へ理屈」、「詭弁」ですよね。
蒸し寿司は、真冬の京都の名物で、新京極や寺町通りの寿司屋は、表に蒸し屋台を出して客寄せしていました。かんぴょうや椎茸のいっぱい入ったホカホカの蒸し寿司が食べたいです。
瓦礫受け入れもほぼ決まりとのこと、もう京都もおしまいどすなぁ。
めぐさん、私は良く知らないのですが、ベラルーシの乾燥きのこは水をだし汁に使うんでしょうか?
ReplyDelete乾燥させてから水に漬ける → 75%(減)
ReplyDelete↑
ここも一見トリックですよね。
「そしたら乾物はセシウムが減ってて良いのね」と思っている人が、驚くことに居るのですが、乾燥させた後に計った値はなんも変わらないはず。
乾燥前の値からの75%減なはずで、乾物を水で戻して汁を捨てたとしても洗浄の20%減にさえ及ばないのではないでしょうか。
干しシイタケの話は、かさをいじくり回して計って混乱させ、数字をごまかしているだけですよね・・
1枚あたり5ベクレルなら、どうやったって5ベクレル食べる事になると考えた方が真実に近い気がします。
それから、いつも貴重な情報ありがとうございます!
放射能安全安心派がここにいるようなので言わせて下さい。
ReplyDelete消費者が商品を買ってどう料理して喰おうが、最初に入っているセシウムは変わらんじゃないか。
腹に入るかどうかじゃない、そんな危険なへんてこりんなものを、売るなと言っているんだ。
業者や保健所や政府が開き直って、「食べても安全」とかいうから腹が立つんだ。
徹底して検査して、国民のために安全を守ります、と言ってれば、多少出ても、あんなに一生懸命やっているんだから、許してやろうとこうなる。
屁理屈や言い訳が多すぎる。
出し汁を使うかはどうかは、当該エントリーには書かれていませんでした。
ReplyDelete想像ですが、捨てるか使うかは消費者に任されているのではないかと思います。
出し汁を使うかどうかは「どういう状態で使用されるか」という観点ですが、それなら、戻すということも同じ観点からのものです。