それはともかく、USTREAMに小出さんの2012年3月24日の飯能市での講演会のビデオが上がっています。全部で2時間近いビデオですが、1時間過ぎに群馬大早川さんの放射線マップが出てきます。小出さんはそれを使って、集まった飯能の人々に、浜岡が事故っても、柏崎・刈羽が事故っても、飯能はやられる、もうどこにも逃げるところがないんです、と非常にシニカルな口調でおっしゃっています。(1時間9分後)
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早川さんの地図を使っていながらまるでご自分の地図のような説明をされたのも驚きましたが、あの地図は去年の3月の天気と風向きに拠ったもので非常に個別的なものです。それを適当に回転させて、ほらそれでも飯能市は放射線管理区域ですよ、は違うんではないでしょうか。
更に、「どこにも逃げようがない。日本というこんな狭い国で、危ないからと言って過疎地に押し付けてきたわけですが、事故がおきてしまえばもう後は運だのみ、風がどっちから吹いてくるか、どこももう逃げるところがない、という状態に、既にこの日本と言う国はなってしまったのです」
「どこにも逃げるところがない」というおっしゃりようは、「どうせ汚染されていない食物はどこにもないのだから、みんなで食べて農家を応援しよう」と大差ない言い様です。実際には、福島の浜通り、中通りより東京、神奈川の方が汚染は少なく、関西以西は格段に少ないかほとんど汚染がない。関西以西の原発でも事故が起きる可能性があるのだから逃げるところがない、原発を許してきた一人一人が責任を取れ、というご趣旨だとは思いますが、この内容と伝達方法からは、では具体的にどうするのがいいのか、という個人の行動指針は生まれて来難いのではないでしょうか。
「暗きより 暗き道にぞ入りぬべき」 とでも言うような、ドツボの暗い心境に陥らせてくれる講演でした。このような情報伝達で得られるものは一体なんでしょうか?どこにも逃げるところがない、どこも汚染されている、だから原発を止めろ?
「遥かに照らせ山の端の月」 の部分はないかなあと探して見つけたのが、小出さんに放射線マップを無断使用された群馬大学の早川由紀夫さんの「明るく楽しい放射能リスク学習会」。ビデオは、2012年1月29日に逗子市で行われた学習会のビデオパート2です。
「明るく楽しい」と銘打ってあるものの、話自体はシビアなものです。それでも私が思わず爆笑してしまったのは、早川さんが学習会に保護者と参加している小さな子供たちの注意をひきつけるべく、ご機嫌を取っている様子でした。
注意散漫になってきた幼児に、「ああ、お名前はー?ああそう2歳?」 青プリンマークを指して、「これが変わるから、見ててねー」 「おそうじ、手伝ってねー」 「きれいにすれば住めます。食べ物には気をつけてください」 (子供が、「ばななー」) 「ああバナナは南の国から来たから大丈夫ね」
早川さんも、「どこも汚染されてしまった、食べ物も汚染されてしまった」と小出さんと同じことを言っています。それでも笑えるのは、小さな子供が好き勝手を言っても大丈夫なリラックスした雰囲気であることもさることながら、それではどうしたらいいのか、が個人のレベルで具体的に見えてくるからではないか、と思います。
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(追記3月25日: それにしても、事が放射能に汚染された災害がれきの話になると、早川さんが「広げろ、燃やせ」になるのには閉口。がれきの拒否は東北の人への差別だ、とどこぞで聞いたせりふ(がれきを米、農作物に置き換えて見ましょう)が飛び出すのには更に閉口。)
>では具体的にどうするのがいいのか、という個人の行動指針は生まれて来難いのではないでしょうか。
ReplyDelete「情報は提供する、情報の確かさは他の情報と比較して、自分で判断しろ、どう行動するかは”自分で”考えろ」ということかな。人に指図されて行動しても誰も責任とってくれない。原発問題だけに限らず、すべてがそうだろうと思う。
その通りだと思います。自分の判断で行動を決めて、納得して生きるなり死ぬなり、というのはそういえば早川さんの言ですね。
ReplyDelete私は、学者に学者の肩書きのまま政策提言させることが間違ってると思います。
ReplyDelete小出助教の汚染食物への向かい方について言えば、原子力や放射線に関する科学的知見でもなんでもない。だから小出助教の考えを受け入れるか否かの前に、わざわざ聞く必要ないんです。
で、小出助教の肩を持つ気は全くないのですが、安全な場所はないという説明は、多くの人が「安全ですか?」と繰り返し聞くからだと思ってます。低線量被ばくの直線しきい値なしモデルを採用すれば「安全です、健康被害は生じない、と言える数値は放射線の場合ありません」と答えるのが誠実な回答ですから。
転載のルール:非商用目的には自由にご利用ください。
ReplyDelete無料です。
放射能汚染地図(六訂版)
肥田舜太郎さんはチェルノブイリ事故後、厚生労働省の全国の死亡率データを拾い集めて、特に東北各県でのがん死亡率の上昇を指摘していました。この時のセシウムの上昇度は数百ベクレルパー平方キロでした。今回の東北関東一帯での上昇度は数万から数十万数百万ベクレルパー平方キロになります。
ReplyDelete小出さんの話を聞いても、早川さんの話を聞いても、関西に住んでいる私は今だに放射能の怖さを「実感」できないでいます。データを積んで、証明するという、いわゆる「科学的手法」の通用しないのです。今回の場合。証明できたときには当事者たちにとってはもう手遅れなのです。唯一か唯二か、参考にできるのが、チェルノブイリであり、ヒロシマナガサキの被爆者調査のデータです。それによれば、、明らかに、低線量長期被曝によりがん患者は増えてくる、というものです。但し、そんな影響はほとんどない、という者も沢山います。
ここから先は個々の人間が自分の判断で、どっちを信じるか、でしかないと思う。日本のこれから起こることは実際は小出さんも、早川さんもわからない。神様でもない限り知りようが、ないのだから。小出さんは小出さんのやり方で、早川さんは早川さんの語り口で危険側に立って警告を発してくれている。
僕は危険側にたち警告する人を信じて行動する。何としても子供たちの人生を守りたいから。勿論自分の責任でであります。
危険側に立って、食事含めて、私のできるあらゆることを実行しています。小出さんの主張も、早川さんの意見も、どちらも最大限参考鬼にさせていただいている。最後は私が考え、私が判断し、私が、子供と共に行動してる。それ以上でもそれ以下でもない。過剰に小出さんを信じ込みすぎてとらわれすぎていたのは、むしろ、このブログ主自身だったのではないかと、読んでいて思いました。
過剰に小出さんを信じ込み?なんのことかちょっと理解不能ですが、小出さんに対する反論を書き出すときりがないのでポストの程度にとどめておいたのです。信じ込みと言われると、苦笑するしかありませんね。
Delete小出さんについては、福島原発の状況を発言なさっていた頃に大いに参考にさせていただきました。小出さんも、早川さんも、少しも信用していません。彼らが出してくる情報をを精査しているだけです。
早川氏は落としどころを考えている気がします。一言それだけ言いたくて書き込みました。
Delete二つを見比べられて参考になりました。早川さんの講演は初めてみました。ありがとうございます。さて、小出さん、早川さん、ともに良心的で誠実に話されている印象をもちました。
ReplyDeleteどちらも聴いている人達には大変役に立っていると思います。早川図は自由に使えますが、他人の労作をぐるぐる回すのは、ちょっと引っかかりますね。小出さんは、どうすれば聴衆にリアリティを覚えさせられるのかということをいつも考えてきているそうで、飯能も原発の惨禍から逃れられないということを示したかっただけでしょうが、たしかにぞんざいにみえてしまいます。
ただ、彼らが発信してくれているお陰で、みんな随分賢くなったはず。政府のさまざまな釣りに日本人がぜんぜん引っかからなかったのはこのような人達の努力のお陰でしょう。
小出さんはあまりに引っ張りだこで、中国地方などの講演でつかった「皆さんにも他人事ではない」という論法をちょっと変形しただけなのでしょうね。そうしたら変なものになっちゃった。
実は飯能は結構酷い汚染があって、浜岡や柏崎からの距離を考えなくても、すでに危機の中にあります。早川図では飯能は色つきの区域からはずれていますが、ホットスポットがあるかも知れませんよ。昨年5月3日に飯能の駅では0.09μSv/hしかありませんでしたが、市内の名栗川渓谷に入ると、車載0.8mで0.25μSv/hでした。飯能の平地の茶葉(他産地とのブレンドをしていないこの地だけの製茶1500Bq/kg超)もゆず(70Bq/kg超)も相当の汚染がありました。福島産だって普通これを下回っています。だから私の頭の中の地図では、飯能は完全に管理区域となっています。飯能の人達はそんな汚染状況を怖れて話を聞きたかったのでしょうね。命に関わる緊急のことなのだから、だれもが、とにかく情報と意見を聞きたいのです。
一方、早川さんも完全だとは思えません。君達、逗子はきれいだからお掃除手伝ってねと言っていますね。隣の葉山でしたか、学校の屋上で、最近、文科省の「放射能・原発安全」教育の学習で生徒に測らせたら高線量率の箇所が見つかって、即座に除染しました。文科省の厚顔な原発推進教育の失敗例で、失笑ものです。子ども達にはどんどん危険性を実地教育してもらいたい。逗子もすぐそこなので、早川さん、子どもにお掃除させて大丈夫なの? 関東で見ている限り、汚染はかなりまだらにあります。どこが高線量かは簡単には分からないので、見えない汚染面を子どもに触らせるのは危険です。もうちょっと安全を考えて。真に受けたお母さんが、「太郎も窓の桟をぞうきんで拭いてね」なんていったらどうするの。公園でボールけりをしていたり、土いじりをしている子ども達をみると、止めたくなります。土の表面にホットパーティクルがついていて、α線もβ線も、本当にでているのですよ。
危ないと思わないと。関東では、警戒心を維持するためにも、まともな人の話をときどき聴いて気持ちを奮い立たせることが必要です。今そんな状態だと思います。
このブログも、だから大勢の人が読んでいるのですね。
私も「お掃除手伝ってねー」は危ないだろうなと思いました。早川さんは外部被曝より内部被曝のほうが重大な問題らしく(まあじっさいそうなんでしょうが)、福島の農作物を拒まない人を悪者扱いしますが東北のがれきを拒む人は差別主義者扱い。
Delete小出さんからも、早川さんからも、非常に有用な情報があります。取捨選択して判断するのは個人個人ですね。
飯能のお茶、そんなに出てたんですか。知りませんでした。
補足しておきます。この話の高い値のお茶は市販されている製品ではありませんので、その点はお間違えないようにお願いします。
Deleteどの学者の意見を参考にするかとなれば御用学者は論外。
ReplyDelete小出氏のお話は信じるに値すると思うが汚染されているとわかっている食品を食べるか食べないかは個人の選択。
早川先生は「放射能に汚染された災害がれき」の話はしてないよ。放射能汚染されてない地域の津波がれきを受け入れよという話はしてるけど。地震、津波、原発事故を混同していて、全てのがれきが汚染されているという思い込みから来る誤解だね。
ReplyDeleteなさってますよ。津波は災害ですが。
Delete>全てのがれきが汚染されているという思い込みから来る誤解だね。
いまどきそんな人いませんよ。
早川氏のツイッターで今日このブログへのコメントがありましたね。
Delete事故以前とは桁違いに汚染された都内の在住者として、がれきの分散処理は断固反対です。
ただでさえ一方的にひどく汚染されたのに、これ以上少しでも汚染されるのはまっぴら。また、今後のためにも汚染されていない貴重な土地を守りたい。・・・簡単な話ですよ。
正直なところ汚染されていない土地に引っ越したいくらいだが、それもかなわないのでせめて体内に取り込む量を減らすようにしたり、身の回りの汚染をちょっとでも少なくするよう様々な努力している。そういう幅広く且つ半永久的な努力を理不尽に強いられる状況であるのに、これ以上不要な汚染源となりかねないがれきなど受け入れるのが心底嫌なだけ。
多くの国民にとって政府の計測値やら基準なんてものは、もはや信用以前の問題でしょう。今回の悲惨な事故から1年も経つというのに、未だ誰一人責任を取らないばかりか、原因の追究すらろくになされず、諸悪の根源はケロリとしている。今後もしがれきで何か問題が生じたとしても誰一人責任も取らず、被害者が一方的に泣き寝入りさせられるのは目に見えている。
早川氏は何故がれきとなると政府の言い分(というより持論の安全性?)をコロリと信じてしまうのか、自分もずっと理解不能でした。
未だ放射性物質が人体に与える影響がはっきりわかっていない状況でありながら、食品と同程度の汚染なら安全と何故言えるのか(放射性物質の人体への危険性には閾値がないと言われるのに・・・であれば内部被曝だろうが外部被曝だろうが”出来るだけ少なく”がセオリーではないのか?)。
全てのがれきにおいて細かく正確に(正直に?)計測されていると考える根拠は何か(福島県内の農地の計測っぷりは余りにもお粗末だったという話はネット上でも出ていますね)。
この辺りの検証が全くなされてないのにどうして安全と言い切れるのか。
今日のコメントには自分が納得できる説明は、残念ながらありませんでした。
誰かが言っていたが、被災地に直接ゴミ処理施設を建設してしまった方がずっと早いのでは?