Wednesday, June 17, 2009

オバマ大統領の金融規制改革案

オバマ大統領は6月17日、包括的な金融規制改革案を発表しました。案の骨子は前日までリークされていましたので、さほどの驚きは表面的には無く、株式市場の反応もほとんど皆無でした。

しかし、大統領の改革案、考えてみると、原因と結果を取り違えていると思います。

大統領の言では、「大手金融機関の破綻や適切な規制の枠組みの欠如が経済低迷をもたらした」ことになっていますが、現在の経済低迷は2007年12月から始まったものです。大手金融機関の破綻が本格化したのは、2008年の9月。

大統領はさらに続けて、「責任回避のカルチャーがウォール・ストリート(金融機関)から始まり、ワシントン(政府)、メイン・ストリート(一般市民)に広がった。」

果たしてそうでしょうか?私は逆だと思います。責任回避のカルチャーは、ワシントンに始まり、メイン・ストリート、ウォール・ストリートに広がったのだ、と。

詳しくは、英語版のブログ・ポストをご覧ください。

ポストの要点をかい摘んで見ると、
  • 連邦銀行の過去20年近くにわたるルーズな金融政策(低金利、容易なクレジット)が、問題の核。

  • 連邦銀行の政策は、連邦銀行が勝手に作り出したわけではなく、経済低迷から脱出するための政府の政策、特に住宅政策の一環として機能した。つまり、政府の政策あってこその連邦銀行の金融政策

  • 過去2代にわたる大統領の、安易な住宅政策の破綻が金融危機の根本にある

  • ワシントン(政府)の責任を問わないばかりか、金融危機を引き起こした張本人(連邦銀行、政府財務省)を金融規制改革の責任者に据える案は、本末転倒

米国の連邦銀行は政府機関ではありません。日銀と違って公的資本は一切入っておらず、昨年9月来の大規模な金融操作の繰り返しでバランスシートが未曾有の規模になっているにもかかわらず、公的監査が入ったことは一度もありません。現在、米国下院の共和党ロン・ポール議員提案の『連邦銀行監査法案』(H.R. 1207)の共同提案者数が、民主党の共同提案者60名以上を含む下院の過半数を突破しています。

問題を取り違えると、解決案は解決にはならず、逆に新たな問題を作り出す原因となっていくことが往々にしてあります。今回の改革案、その轍を踏むことにならなければよいのですが。

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