AIG Breakup Is Fee Bonanza [AIGの解体の手数料で大儲け]
(8月7日 ウォールストリート・ジャーナル)
AIG、日本ではアリコとしてよく知られていますが、昨年の9月、CDS (Credit Default Swap)のブローアップで米国政府の救済を仰がざるを得なくなり、結局政府が株式の79.99パーセントを保有する事実上の国営化となったのはまだ記憶に新しい、かな?
(ちなみにこの79.99パーセントと言うのは曲者の数字なのです。政府の株式保有率が80パーセントを超えるとこれは事実上ではなく正式な国営化で、AIGの決算、損益貸借をそっくり国のそれと合算しなければならなくなるため、正式の半歩、4分の1歩手前の保有率にしたわけ。)
政府の計画では、この先数年かけてAIGを解体、売却し、救済に使った金(現在までで総額約1800億ドル、日本円で17兆円強)を回収する、というものです。ウォールストリート・ジャーナル紙の分析によると、この計画を実行するためにはゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーを始めとするウォール・ストリートの金融機関に頼るしかなく、そのためにニューヨーク連邦銀行(AIGの子会社の株式保有者)とAIGがこれらの金融機関に払う手数料はおそらく10億ドル(日本円にして約950億円)、1996年にAT&Tを解体したときの手数料の4倍、2008年のビザIPOの手数料(アメリカで史上最大規模のIPO)の2倍近くになるだろう、というもの。
一番利益をこうむるのは現在ニューヨーク連銀のアドバイザーになっているモルガン・スタンレー。現在までにすでに1000万ドルの手数料を受け取っていますが、AIGの解体で更に2億4000万ドルの収入が見込めるとのこと。ほかにも、ゴールドマン・サックス、バンカメ、JPモルガン・チェースが、AIG解体にかかわるプロジェクトを受けたようです。
AIGを事実上国有化した後、AIGの負債(CDS)を政府がカウンター・パーティに100パーセント支払ったのですが、そのカウンター・パーティがゴールドマン・サックスを含むウォール・ストリートの金融機関だったことが今年の3月に明るみに出、AIGの救済は結局、ウォール・ストリートの金融機関を救済するためだったのでは(まさにその通り)、と非難ごうごうでした。もっとも、ものの1ヶ月もしないうちにマスコミのニュースから消えましたが。
ちなみに、負債の一部を相殺する代わりにアリコの株式をニューヨーク連銀が保有していること、ご存知ですか?ちなみにこれは違法ですが、昨年の9月以来、米国連邦銀行は違法に違法を重ねて金融市場を「守って」きたので、今更だれも何も言いません。(でも違法は違法です。連銀は、国家の債券以外を保有してはいけないことになっているのです。)
AIGの解体でまたもウォール・ストリートが儲ける、となると、政治家がまた騒ぎ出すんでしょうねえ。私は最近とみに、誰からも悪者扱いされている大手金融機関に肩入れしています。(と言っても、株を持っているだけですが。)ここまで誰もが悪者扱いするとその逆を行きたくなる、つむじ曲がり、へそ曲がりなのですが、過去20年間のアメリカの金融市場と住宅市場、政府の政策を知るにつれ、これまでこれらの金融機関が生き延びてきたのが不思議なくらいで、ついつい世間とは逆に応援したくなったのです。(もっとも、根本的な理由は、株価のチャートを見て上昇の可能性がある、と思ったからなんですが。)
AIGは昨日の水曜日の米国株式市場で、株価が何と63パーセント上昇、13ドルから22ドルに跳ね上がりました。水曜日はほかにも「屑同然」の株が急上昇しました。(私もいくつか持っていましたが、もう屑同然で捨てたも同然だったので、びっくりしました。)
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