というビデオはChristopher Busby氏のビデオ(日本語訳はこちら)とともにすでにお出ししましたが、日本語訳ができましたので、お届けします。ビデオも再度リンク。
Gundersen Postulates Unit 3 Explosion May Have Been Prompt Criticality in Fuel Pool from Fairewinds Associates on Vimeo.
こんばんは。フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。フェアウィンズにはいろいろなテーマについてたくさんの電子メールが寄せられます。今とりわけ多くの質問と懸念、いくつかの良く考えられた発言が寄せられたのが、「福島第一原発の3号機に何が起きたのか」という問題です。3号機の爆発のしかたは1号機ともほかの原子炉とも違います。なぜでしょうか。そこで今日は、確実にわかっている事実に基づきながら、3号機で何が起きた可能性があるかを考えてみたいと思います。
まず最初にいえるのは、3号機の爆発は1号機よりはるかに大規模だということです。工学の専門用語に「デトネーション(爆轟)」と「デフラグレーション(爆燃)」というのがあります。どちらも平たく言えば「爆発」ということですが、「デフラグレーション」で生じる衝撃波は音速を超えません。一方、「デトネーション」のほうは衝撃波が超音速で伝わります。したがって、デフラグレーションよりデトネーションのほうが被害は大きくなります。専門的なニュアンスの問題と思われるかもしれませんが、この2つの違いこそが1号機と3号機の爆発の違いを生んだのです。
1号機が爆発したときの噴煙を見てください。3号機のときと比べるとゆっくりした速度で建屋から広がり出ています。では、3号機で起きた客観的事実をいくつか踏まえた上で、私の考えを述べてみましょう。
まず、3号機の爆発はご覧の通り1号機と比べてはるかに大規模です。また、大量のエネルギーがまっすぐ上に向かって放出されたのがわかります。専門用語でいえばベクトルです。3号機の爆発では、1号機の時にはなかった上向きのベクトルが見られます。これは重要な手がかりですので、のちほどまた詳しく説明します。次に、3号機の場合は明らかに爆発が起きたことがわかります。建屋の南側、つまり右側を見れば、黒煙が上がる前に黄色い閃光が確認できるからです。これも重要な手がかりですのでのちほど説明します。
もうひとつの事実は、核燃料棒の破片が原発から2マイル(3.22キロメートル)以上はなれた地点で見つかっていることです。前にもお話した通り、4号機では燃料棒が乾燥[水に浸かっていない状態?]していましたが、燃料ラックは壊れていませんでした。したがって、数キロ飛んだ燃料棒の破片が4号機の燃料プールからのものとは考えられません。だとすれば3号機から飛んできたことになります。
そしてもうひとつ、アメリカのハワイと西海岸でウランの微粉末が、また原発の敷地内ではプルトニウムの微粉末が検出されています。アメリカ北東部のニューイングランド地方でもアメリシウムが確認されています。これらの元素はすべて「超ウラン元素」と呼ばれ、ウランより重いのが特徴です。超ウラン元素が発見されたとすれば、福島原発で核燃料が損傷して揮発化した可能性があるということです。
3号機の写真を見ると、爆発後に建屋のかなりの部分が失われています。とくに南側が顕著です。ところが、同じ3号機建屋の赤外線写真を見てみると、爆発後も南側に熱源が残っているのがわかります。データを見るかぎり、3号機の格納容器自体、原子炉自体が損傷していないことは確かです。じつに不思議です。原子炉も格納容器も壊れていないのに、建屋は粉々に吹き飛んだ。なぜでしょうか。私の考えはこうです。縦15m×横15m×深さ15mの燃料プールが空になっていたのです。そこに気体が充満し、上方に吹き飛んだ。プールの上には蓋がなく、側面には壁があるために、エネルギーは上に向かうしかなくなって物質を噴き上げた。そう考えればほかのいくつかのことにも説明がつきます。たとえるならば燃料プールは銃の銃口のようなものです。銃口が上を向いていたので、上に向かって発射されたわけです。
映像からわかる点はもうひとつあります。爆発のあとで大量の瓦礫が降ってきているということです。これらは燃料ラックや燃料棒であり、ウランやプルトニウムのかけらです。原発から何キロも離れたところでウランやプルトニウムが発見されたのはそのためです。それから、煙が黒いことにも注目してください。これはウランやプルトニウムが揮発したしるしです。言い換えれば、エアロゾルと呼ばれる非常に細かい微粒子になったということです。だから風に乗って太平洋を越え、ハワイや西海岸に、そして今やこのニューイングランドにまで達することができたのです。
では、上向きのエネルギーを生じさせたものは何でしょうか。ただの水素爆発だとしたら、水素と酸素が反応して水ができます。そうすると、爆発が起きてもその衝撃波は音速を超えません。つまり「デフラグレーション」です。1号機で起きたのはこれです。見た目は派手ですが、激しい爆発ではありません。では、3号機が爆発した原因は何でしょうか。実際に爆発があったことは間違いありません。理由はふたつあります。ひとつは噴煙がかなりの高さまで噴き上がっていること。もうひとつは建屋の側面に閃光が見えたことです。「デフラグレーション」であれば閃光が起きることはありません。閃光を生じさせるのは「デトネーション」です。
では、デトネーションを起こした原因は何なのか。水素と酸素が反応するだけでは不十分です。ほかにも何かあったに違いありません。まだ確たる結論は出ていませんが、水素爆発が起きたためにその衝撃波でプール内の燃料棒が動いて歪んだ。そのせいで即時に核反応が起き、プール内のものを粉々にして上向きの噴煙として噴き上げたと考えれば辻褄が合うのではないでしょうか。それによって生まれたエネルギーが、私たちが3号機で目にした凄まじい光景を作り出したのです。
この仮説を確かめる方法がひとつあります。噴煙に含まれる同位体の種類を調べるのです。アメリカ軍の飛行機が上空を飛んでサンプルを採取していることは分かっています。すでに研究所で調べていることでしょう。キセノンには2種類の同位体があり、それらの比率を調べれば、燃料プールで即発臨界が生じたかどうかがわかります。つまり証拠はあるのですが、まだ私たちには開示されていない。ですが、おそらくアメリカ政府は証拠をつかんでいるものと私は想像しています。
ご清聴ありがとうございました。新たな情報が入り次第またお知らせします。
(h/t あ)
ありがとうございました!
ReplyDeleteやはりただの水素爆発ではなかったですね。
それに、疑問だった点のつじつまがあいました。
それよりも、使用済み燃料棒はどのくらいの量なのでしょうか?
それらが、飛散してしまったということですね。
当日の風の流れは調べていませんが、当然海の中にも落ちたということでしょうか?
黒潮に乗って、三陸沖に流れていっているということでしょうか?
そうなると、東北の原発被害が更に大きくなりますね。