去る6月6日、原子力安全保安院は「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」と言う題の文書を発表し、今まで福島第1原発から大気中に放出された放射性物質の量を4月に発表したときの2倍、77万から85万テラベクレルに引き上げましたが、その文書の中に、大気中に放出された物質の種類の一覧表が出ています。文書の13ページ目です。
これを見ると、放射性ストロンチウム、プルトニウムが大量に放出された、と保安院はモデル化しており、特に放射性ストロンチウムは2号機、3号機で、1号機とは1桁違う量が、プルトニウムはMOX燃料の3号機ではなく2号機で、他機とは2桁違う量が出た、とされています。
保安院が放射性物質の放出量を2倍にしたのは、2号機と3号機からの放出を少なく見積もっていたからだ、との説明でしたが、その低く見積もっていた中にはしっかりストロンチウムもプルトニウムも入っていたわけです。
ストロンチウム89
1号機:8.2x10の13乗(82,000,000,000,000)ベクレルまたは82テラベクレル
2号機:6.8x10の14乗(680,000,000,000,000)ベクレルまたは680テラベクレル
3号機:1.2x10の15乗(1,200,000,000,000,000)ベクレルまたは1200テラベクレル
合計:2.0x10の15乗(2,000,000,000,000,000)ベクレルまたは2000テラベクレル
ストロンチウム90
1号機:6.1x10の12乗(6,100,000,000,000)ベクレルまたは6.1テラベクレル
2号機:4.8x10の13乗(48,000,000,000,000)ベクレルまたは48テラベクレル
3号機:8.5x10の13乗(85,000,000,000,000)ベクレルまたは85テラベクレル
合計:1.4x10の14乗(140,000,000,000,000)ベクレルまたは140テラベクレル
プルトニウム241
1号機:3.5x10の10乗(35,000,000,000)ベクレルまたは350億ベクレル
2号機:1.2x10の12乗(1,200,000,000,000)ベクレルまたは1.2テラベクレル
3号機:1.6x10の10乗(16,000,000,000)ベクレルまたは160億ベクレル
合計:1.2x10の12乗(1,200,000,000,000)ベクレルまたは1.2テラベクレル
(合計は、2号機のプルトニウム241の放出が突出しているので、残りは切り捨てられていますね。)
プルトニウムは他にも238、239、240が出ており、いずれも2号機が突出して2桁違います。
保安院の計算は、溶けた燃料(と言っても他にも制御棒や炉内の計器などが溶けたものが混じっていますが)が原子炉圧力容器の下部で冷やされている、という前提でなされています。溶けた燃料がとっくに圧力容器からも、格納容器からも出てしまっている、ということになったら、どれだけこの計算が変わるのか、私には分かりません。
13ページ目のコピーです。赤線で囲ってあるのが、ストロンチウムとプルトニウムです。
週刊誌アエラには載ったそうですが、何の注目も引かなかったのは何故なのでしょう?
それと、忘れてならないのは、これは空中に飛散した分だけ。福島第1原発内に溜まっている高濃度汚染水11万トンの中には、72万テラベクレルの放射性物質(ヨウ素とセシウム)が入っています。大気に出たのとほぼ同量の放射性物質が水の中にあるのです。2号機の海側ピットの「亀裂」(というより、普通の放出パイプに見えましたが)からでた汚染水の放射性物質は確か4000テラベクレルちょっと。単純に全部合計すると、150万から160万テラベクレルとなり、チェルノブイリの10分の1から一挙に4分の1以下になります。
(H/T 九州東部のおじさん、東京茶とら猫)
取り上げていただいてありがとうございます。
ReplyDelete汚染水の分は含まれませんし、「炉心の状態」ということで、気になる3号使用済プールの分は含まれていないと見ています。
なかったことにしようとしてますので、即発臨界。
ウランが出てこないのがこれまた不思議なのですが。燃え尽きて全部プルトニウムに変わったとかいうことではないですね。