まあ、外務省がやった暫定訳もあるんですが、茶とら猫さんの訳のほうがいいので、そっちを出すことにしました。さっとやった荒い訳だ、とのことですが、まあこれを読み流すだけでIAEAが日本政府と東電が主張してきたこと、認めていることから一つも外れたことを言っていないことが良く分かります。
しかし何度読んでも腹が立つのが、IAEAが手放しで褒めちぎっている日本政府の「対応」とやらです。
「避難の実施を含め、住民を守るための日本政府の長期的な対応は素晴らしいものであり、極めて良く組織されている。」
原文は、
"The Japanese government's longer term response to protect the public, including evacuation, has been impressive and extremely well organized."
原子力発電所事故を起こしている日本という国が他にもあるんでしょうかね。
使用済み燃料プールの言及がまったくありませんね、そう言えば。
(以下、報告書要旨訳)
国際原子力機関(IAEA)日本調査団
報告書素案
2011年6月1日
2011年3月11日の東日本大震災では、マグニチュード9の地震によって大津波が発生し、日本の東海岸を繰り返し襲った。津波が最も高い位置まで達したのは宮古市の姉吉地区で、38.9mである。
地震と津波により日本は広域にわたって壊滅状態になり、14,000人以上が死亡、少なくとも10,000人がいまだ行方不明である。さらにはもっと大勢の人々が、故郷の町や村が破壊されたり流されたりしたために避難生活を余儀なくされている。こうした破壊や喪失により、日本のインフラも様々な側面で被害を被った。
ほかの産業と同様、いくつかの原子力発電所も激しい地面の揺れと大津波の影響を受けた。具体的には、東海原発、東通原発、女川原発、そして東京電力の福島第一・第二原発である。いずれの発電所でも、地震を検知すると自動停止するシステムが組み込まれていたため、運転中のユニットは成功裏に自動停止した。しかし、大津波がこれらすべての発電所に程度の差はあれ悪影響を及ぼし、最も深刻な事態が生じたのが東電の福島第一原発である。
地震が発生したときに敷地外の電力はすべて失われたが、福島第一原発で運転中だった3基の原子炉には、自動システムにより地震検知後ただちにすべての制御棒が成功裏に挿入され、利用可能な非常用ディーゼル発電機もすべて設計どおりに始動した。大津波の第一波が福島第一原発に到達したのは地震発生の約46分後だった。福島第一原発は最大5.7mの津波に耐える設計にしかなっていなかったため、実際の津波の前に発電所の防御はまったく役に立たなかった。この日、福島第一原発を襲った津波は、大きいもので高さ14mを超えていたと見られている。津波の水はユニットの深部にまで達したため、非常用ディーゼル発電機1台(6B)を残してすべての電源が失われた。ほかには大容量電源が敷地の中にも外にもなく、外部からの支援もほとんど見込めなかった。
全交流電源喪失と津波の衝撃により、1~4号機ではすべての計器類と制御システムが機能を失い、非常用ディーゼル発電機6Bは非常用電力を5号機と6号機に送っていた。津波とそれに伴う大きな瓦礫が、福島第一原発敷地内のいくつもの建物、ドア、道路、タンク、ヒートシンクを含む様々なインフラを広範囲にわたって破壊した。作業員たちは電源も原子炉制御も計器類も失った状態で、未曾有の壊滅的な非常事態に直面することとなったうえ、施設内部および外部との通信システムも深刻なダメージを受けていた。彼らは暗闇の中、計器類や制御システムもほぼ皆無の状態で、6基の原子炉と、それぞれに付随する6個の燃料プールと、1個の共用プールと、ドライキャスク式の保管設備の安全を確保しなければならなかった。
原子炉ユニットを制御する方法も冷却する方法もなかったため、地震直前まで運転されていた3つの原子炉ユニットは、通常の原子炉崩壊熱により急速に温度が上昇した。制御を回復し、原子炉と使用済み核燃料を冷却すべく、作業員たちは果敢に取り組み、ときに斬新なアイデアを試みたにもかかわらず、燃料は大きな損傷を受けて一連の爆発が起きた。これらの爆発により施設はさらに破壊され、作業員はより厳しく危険な状況に直面することとなった。しかも、周囲には放射能汚染が広がっていった。これらの事象は、国際原子力事象評価尺度の最高レベルに該当すると暫定的に決定されている。
この原発事故による放射能被曝の結果、健康被害が生じたという報告は現時点で一件もない。
国際原子力機関は、事実関係を確認し、福島第一原発の事故から現段階で学ぶべき教訓を明らかにし、その情報を世界の原子力界に広めるために、日本政府の合意を得て予備調査団を派遣した。この目的を達成するため、専門家チームが2011年5月24日から6月1日まで事実関係の調査を行なった。調査結果は、2011年6月20~24日にウィーンのIAEA本部で開かれるIAEA閣僚会議において報告される。本文書は、日本政府に迅速なフィードバックを提供するための報告書素案である。
滞在中、調査団はあらゆる関係者から素晴らしい協力を得ることができ、多数の関係省庁、原子力規制当局、および原発運営者から情報を提供してもらった。また、調査団は原発の現状と被害の規模を把握するため、震災の影響を受けた三つの原発(東海、福島第一、福島第二)を訪問した。訪問時には、原発運営側のスタッフと話をするとともに、現在進行中の復旧作業や汚染除去作業を視察した。
調査団は証拠を収集し、現時点での暫定的な評価を実施し、暫定的結論と教訓をまとめた。これらの暫定的な結論と教訓は、日本の専門家や官僚にも伝えて内容を話し合った。彼らの専門分野を大まかに分けると、外的危険、重大事故管理、緊急時準備の3つである。彼らは日本の原子力界とIAEAにとっても、また世界の原子力界が原子力の安全性向上のために教訓を学ぶうえでも、重要な存在である。
主な暫定的結論と教訓は以下の通り。
・日本政府、原子力規制当局、および原発運営者は、原子力の安全性向上のために世界が教訓を学べるようにと、情報の共有と調査団からの質問の回答にきわめて協力的だった。
・献身的で強い意志を持った熟練スタッフが、きわめて困難な状況のもとで取った対応は、模範とすべきものであり、特殊な状況下にあったことを思えば安全性を確保するうえで結果的に最善の対処法であった。彼らの活動を力強く支えているのが専門的なバックアップ体制であり、とくにJビレッジの支援体制は現場で働く作業員の安全確保に役立っている。
・避難の実施を含め、住民を守るための日本政府の長期的な対応は素晴らしいものであり、極めて良く組織されている。今後は、住民や作業員の被曝量と健康状態を監視するために、適切な時期に適切なフォローアップのプログラムを実施することが望ましい。
・事故収束に向けて策定されたロードマップは重要なものであり、一定の評価ができる。新たな事態が明らかになればロードマップを修正する必要があるだろうし、場合によっては国際社会の協力も必要になるかもしれない。ロードマップはあくまで、より大きな計画の一部とみなすべきであり、最終的な目標は放射性物質放出の影響を受けた周辺地域の汚染を除去して、避難生活者が通常の暮らしにれるようにすることである。それによって、このような甚大な原子力事故にどう対処すればどんな成果が得られるかを世界に示すことが重要だ。
・いくつかの原発では津波の危険性を過小評価していた。原発の設計者と運転者は、あらゆる天災の危険性を適切に評価し、防護策を講じるべきである。また、新たな情報、新たな経験、新たな知見が得られたら、それに照らして評価結果や評価方法を定期的に見直す必要もある。
・極端な外的事象、とくに施設が大幅に水に浸かるといった事態が想定されるケースに対しては、徹底した防護策や物理的な隔離、また多様性と重複性を必要要件とすることを実施する必要がある。
・原子力規制当局は極端な外的事象に対し、定期的な見直しを含む適切な取り組みを実施するとともに、規制当局の独立性と役割の明確さがIAEAの安全基準に則ってあらゆる状況下において確実に保たれるようにすべきである。
・原発の設計、運営、資源調達、および緊急時の手順は、複数の甚大な外的事象が組み合わさって長期間継続する可能性があることを考慮に入れるべきである。
・今回の日本の原発事故からは、敷地内に頑丈な緊急対応センターを設置することの重要性が浮き彫りになった。このセンターには、発電所に不可欠な諸要素や、制御、資源、通信などの設備を適切に備えている必要がある。重大な事故が起きる可能性のある主要な原子力施設には、そうしたセンターをすべて設置すべきである。また、重大な事故が起きたときに、絶対必要な安全機能をタイムリーに回復するため、単純だが有効に機能する頑丈な装置類が利用できるようにすべきである。
・水素の危険性を詳細に評価し、必要なリスク軽減システムが提供されるべきである。
・緊急時の手順、とくに初期段階における手順は、重大な事故に対応できるようなしっかりしたものにすべきである。
IAEA調査団は国際的な原子力界に対し、福島の事故によって生まれた比類のない機会を利用して、世界的な原子力の安全性について学び、それを向上させるべく努力することを求める。
(以上)
Fukushima :AIEA admitted There’s no safe radiation level
ReplyDeleteFukushima I Nuke Accident: Japan's Nuclear Safety Commission Ready to Loosen Already-Loose Radiation Safety Limit for Food
http://enenews.com/iaea-today-admitted-there-is-no-such-thing-as-safe-levels-of-radiation-allowable-radiation-standard-based-on-benefit-not-safety
‘There’s no safe radiation level’, Free Malaysia Today by Tashny Sukumaran, June 2, 2011:
http://www.freemalaysiatoday.com/2011/06/02/theres-no-safe-radiation-level/
Fukushima I Nuke Accident: Japan's Nuclear Safety Commission Ready to
Loosen Already-Loose Radiation Safety Limit for Foods
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110603k0000m040104000c.html