7月9日のポストにも出しましたが、農林水産省のマニュアルによると、計画避難区域、緊急避難準備区域から出荷、移動する家畜は全て検査することになっています。ほらこの通り。
A8.計画的避難区域からの家畜の移送に当たっては、全ての家畜について、ブラッシングまたは水洗した上で放射線測定器でスクリーニングを行い、放射線量 が100,000 cpm以下であることを確認の上、移送してください。放射線量が100,000 cpmを超える場合は適宜除染をしてください。除染の方法については、Q9及びQ10を参照してください。
緊急時避難区域からの家畜の移送の場合も、当面の間は、当該地域から移出される家畜の受入先への配慮と畜産物の安心感の醸成のため、放射線測定器でスクリーニングを行い、放射線量が100,000 cpm以下であることを確認の上、移送してください。
それが、今更のように「地域を限定して全頭調査」???農水省に任せてはおけない、厚生省にやらせろ、ということなのでしょうか?
今まで農水省はどんな調査をしていたんでしょうか?市町村一箇所の畑一箇所から1つ取ったサンプルを検査しているだけの農作物と同じで、農家1軒で1頭放射線測定して、あと何頭出荷しようが移動しようが検査した1頭がOKなら全部OK、というのが私の推測。
緊急時避難区域の記載部分では「全ての家畜について」という言及がないのがミソでしょうね。多分、農水省の役人はそれを楯にとって、「全頭検査とは言っていない」と言うのでしょうが、役人(と政治家)以外の普通の人がこれを読んだら、10人に9人は「緊急時避難区域でも計画避難区域と同じように、安全のために全部検査しておくのだな」と理解すると思います。
時事通信(7月12日):
細川律夫厚生労働相は12日の閣議後記者会見で、福島県南相馬市の農家が出荷した肉牛から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された問題に関連し「地域を区切って全頭的な検査も考えなければならない」と述べた。関係省庁などと協議し、福島県内で地域を絞った上で牛の放射性物質の全頭検査を検討する考えを示したものだ。
厚生省の言い草を見る限り、農水省は計画避難区域でも全頭検査していなかったような様子ですが、農水省は自分たちで作ったマニュアルに平気で違反していたわけでしょうか。
ああ忘れていた。日本というところは、表のマニュアルと裏のマニュアルがある国なのでした。しかも裏のマニュアルにもレベルがいくつかあって、真のマニュアルに到達するには組織の奥義に精通する必要がある、と。農水省の場合も、このマニュアルは表向き。実際に運用したのは裏マニュアルなんでしょう。
さて厚生省の裏マニュアルは?表マニュアルを考案する段階で既に「地域を絞った上で」といっているのですから、裏はざるのように漏れるでしょう。
再再度、農水省に電話してみました。確認できた点は以下の通り。
ReplyDelete・厚労省が発表した「全頭検査」とは、と場に運ばれてきて肉になった牛の全頭検査ということ[昨日も確認したとおり「肉になったら厚労省」なので]。これまでは、数頭に一頭を無作為に選ぶというサンプリング検査をしてきたが、それを全頭についてやるということ。
・農水省はこれまでも計画的避難地域と緊急避難準備区域については、出荷・移動される全頭について、体表面の放射線測定と、内部被曝の有無確認のための聞き取り調査を行なってきている。
・これまで、内部被曝確認の聞き取りで問題が生じたケースは一例もなかった。
・ただ、今回、内部被曝が明らかになったので、内部被曝の有無をどう確認していくかについて、聞き取り調査の徹底や、科学的検査方法の導入なども含め、厚労省と協議して行く予定とのこと。
以上