「どれだけ人々が被曝しているか、土地が、水が、食物が汚染されているか、分からないしとんでもなく多いかもしれない、ここは100ミリシーベルトという一応大きな数字を出して、これを「生涯の積算」ということにしておけば、当分は大丈夫だろう(つまり、だませるだろう)、そのうち放射能も収まるか、みんなが忘れてくれるか、どっちかだろう」、というのが、政府の考えのわたしなりの汲み受け。(まず後者でしょう。)
また、「発がん影響」だけ言及しているのも、妙ですね。放射線の影響はがんだけではないのですが。
原発作業員の年間最大許容被曝量50ミリシーベルトを撤廃しておいて、5年間で100ミリシーベルトの積算被曝量は守る、としたのと似た考えですね。今年さえ何とか乗り切れば(だませれば)あとは適当に何とかなるか、忘れるか。
今や福島医大の副学長でいらっしゃる山下俊一教授は、3月の福島市の講演では年間100ミリシーベルトまでは大丈夫、とおっしゃっていました。あとで訂正されたそうですが、実は本音だった?
現状もよく把握できていないのに生涯被曝許容量などと前例のないことを言い出した、ということは、「100ミリシーベルト」という数字自体が大切なのだろう、と推測します。「100ミリシーベルトまでは安全なんだ」という、刷り込みです。一時期影を潜めていたようですが、最近また、100ミリシーベルトまで安全、といって憚らない専門家の方々のインタビューがいろいろなところで目に付くようになりました。
5歳の子供が文科省許容限度の20ミリシーベルトの被曝を今年して、来年以降はほとんど被曝なし、それでも数年後に放射線の影響と見られる疾病にかかったとして、100ミリシーベルトまでは安全と決まったのだからそれは放射線の影響ではない、したがって、政府も東電も関与しない、補償などはあるわけがない。これが狙いかな。
朝日新聞7月22日付け記事:
放射性物質が人体に与える影響を検討していた食品安全委員会の作業部会で21日、「発がん影響が明らかになるのは、生涯の累積線量で100ミリシーベルト以上」とする事務局案が示された。食品だけでなく、外部環境からの被曝(ひばく)を含む。平時から浴びている自然由来の放射線量は除いた。この案を軸に来週にも最終結論を出し、厚生労働省に答申する。ただ厚労省からは「基準づくりは難航しそうだ」と、戸惑いの声があがっている。
東京電力福島第一原発事故を受け、厚労省は3月17日に食品衛生法に基づき、放射性物質に汚染された食品の流通を規制する暫定基準を設定。この基準の科学的根拠を得るため、食品からの被曝による健康影響評価を同委に諮問していた。
同委は当初、食品だけからの被曝レベルを検討。国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の元になった論文を含め、様々な国際的な研究を精査した。だが食品とその他の被曝を分けて論じた論文は少なく、「健康影響を内部と外部の被曝に分けては示せない」と判断。外部被曝も含め、生涯受ける放射線の総量を示す方向を打ち出した。宇宙からの放射線など平時から浴びている自然放射線量(日本で平均、年間約1.5ミリシーベルト)は除く。
生涯の累積線量を目安に考えるということは、例えば、緊急時に一時的に20ミリシーベルトを浴びたら、残りの生涯で被曝を80ミリシーベルト以下に抑えるのが望ましいとするものだ。
また、子どもや胎児については成人より影響を受けやすいという研究があり、事務局案では「留意が必要」としている。
ICRPの考え方では「100ミリシーベルトを浴びると、発がんリスクが0.5%上がる」とされる。
外部被曝も含めた形で結論を出すことに委員の一人は「本来は原子力安全委員会など他の政府機関でやるべきだが、他がやっていないので仕方ない」と話す。
緊急時を想定した現行の暫定基準は、食品からの年間被曝量をヨウ素やセシウムなど核種ごとに割り当て、全体で年17ミリシーベルトを超えないように設定されている。
食品安全委の答申が出れば、厚労省は食品ごとの基準を改めて検討することになる。担当者は「年間被曝量で答申されると想定していた。生涯累積線量だと、若者から高齢者まで年代ごとに摂取量を考えなければならず、作業に時間がかかりそうだ」と話した。
食品安全委員会は来週の7月26日、午前10時から12時まで、ワーキンググループ会合を開きます。一般公開ですが、傍聴人40人まで。詳細は食品安全委員会のサイトでどうぞ。連絡先の電話番号も出ています。
私はこの答申を画期的と評価します。
ReplyDelete理由は「健康影響を内部と外部の被曝に分けては示せない」「生涯受ける放射線の総量を示す」とある点です。今までは牛肉・場所など単品の値を出していましたが、これら全てを生涯合わせるとどうなるの?という不安がありました。
次は、年齢による考慮です。例えば、人が100年生きるとして、1歳までに許容できるのは1ミリシーベルトでなく10分の1の0.1ミリシーベルトにするなどです。科学的なデータがない場合は暫定値でも無いよりましだと思います。
作業に時間がかかるのは理解できますので優先度を考えて、厚労省の方々には先ず乳幼児向けの場所・水・母乳・粉ミルクと離乳食の値を設定して公表・監視していただきたいと思います。乳幼児向けの食品の値は「未検出」が望ましいのは当然ですが・・・・。既に広い土地が汚染されてしまったので妥協しないといけないのが悲しいです。