特に響いたのが、独占契約を結んでいた中部電力の浜岡原発の停止。顧客が日本、というよりも、日本に買ってもらうことを想定して作ったMOX燃料工場のようですから、日本の原発、とくに「プルサーマル」の原子炉が止まれば商売あがったりになる、ということです。
セラフィールドの核燃料再処理工場群は、周辺地域の放射能汚染被害、海洋汚染被害で、半世紀にわたって論争を引き起こしてきたいわくつきの施設。日本で近年、「地球温暖化を防ぐクリーンエネルギー」として推進されてきた原子力発電、特に「プルサーマル」発電は、こういう施設が製造する燃料に頼っていたのです。
もとの英語記事はこちら。
BBCニュース8月3日付けニュース 私訳:
カンブリアのセラフィールド核燃料製造工場閉鎖へ、600人が仕事を失う可能性
プルトニウムを再処理して混合酸化物燃料、いわゆるMOX燃料を製造する工場は、工場の唯一の顧客である日本の原子力業界が先行き不透明のため将来がない、と経営陣は判断した。
工場従業員を代表するプロスペクト・ユニオン(労働組合)幹部は、組合との話し合い無しに決定した「まずい判断だ」、と経営陣を非難。
工場を運営する『原子力廃止措置機関』(Nuclear Decommissioning Authority、略してNDA)は、工場従業員はセラフィールドの施設の別の場所で新しい仕事をオファーされる、としているが、仕事の保証はできない、と認める。工場の閉鎖には数ヶ月かかる見通し。
福島危機
セラフィールドのMOX燃料工場が完成したのは1996年、イギリスの核施設の標準では非常に新しい部類に入る。原子力発電所から出る廃棄物のプルトニウムを工場で燃料に変え、それを外国、最近では日本のバイヤーに買ってもらう、という仕組みだ。
しかし、福島原発事故以降、日本からの需要は不確かだとNDAは言う。福島[第1]原発は閉鎖されたままであり、将来日本がどれだけの発電量を原子力に頼るかもはっきりしていない。
そんな状況の中で、英国民の将来のコスト負担を減らすためにも、MOX燃料工場は閉鎖する必要がある、とNDAは言う。
新しい原発
英国政府は現在、新しい原子力発電所の開発を検討している。そこでは、セラフィールドのMOX工場で製造されている燃料に類似した燃料が必要になる。
しかし、NDAによると、現在の工場は前世代の外国の原子炉用に建設されたもので、新しい原発用の核燃料が製造できるとは考えにくい、という。
「現在の工場は、英国の新世代原子炉に必要なMOX燃料を製造できるようにはなっていない」、とNDAのステークホールダー・リレーション担当のビル・ハミルトン氏は言う。
しかし、プロスペクト・ユニオンは、工場閉鎖によって将来の原子力開発に必要な専門スキルが失われる、と警告する。「新しいMOX燃料工場の建設発表が待ち望まれている時に、MOX燃料の専門スキルを投げ出すなんてきちがい沙汰だ」、と労働組合のマイク・グラハム氏は言う。
セラフィールドは英国の古い原子力発電所の廃炉および使用済み燃料の再処理を引き続き行う予定。
NDAによると、セラフィールド全体の従業員は約1万2000人、新しい工場が建設される場合は恐らく同じ敷地内に建設されるだろう、とのことである。
(H/T Robbie001 from EX-SKF blog for the original BBC article)
いやあ、結構な話ですね♪
ReplyDelete燃料がなければ、事が始まらないのですから誠に結構!
流石に英国人、先見の明がありますね。
どうせ開業していても注文なんか先ず期待なんか出来ませんけどね。
搦手から諦めてもらうことができて、なによりでした。
ニュース翻訳、ありがとうございます!