原爆被害調査委員会、Atomic Bomb Casualty Commission、略してABCCは、広島、長崎の原爆被害者が受けた放射線の影響を追跡調査するためにトルーマン大統領の命で1946年に設立された委員会です。治療などの目的ではなく、純粋に科学調査のみを目的にしたもので、被害者の間では極めて不評だった、と英語のWikipediaにもありますが、それでも委員会が最終的に解散したのは1975年、30年も続いていたのです。
その委員会が名前を変えて現在も存在しています。それがRadiation Effect Research Foundation、放射線影響研究所。日米に拠点を持ち、日本の拠点は広島市の比治山公園にあります。あくまで研究調査を行うことに変わりはありません。
この放射線影響研究所が福島医大と連携・協力協定を交わしたのは8月12日。
放射線影響研究所の明石理事は、福島県の県民健康管理調査検討委員会のメンバーです。
カレイドスコープブログ9月3日付けポストより抜粋:
福島県は、福島県民全員の被曝線量を検査し、その中でも被曝線量の多い人だけをピックアップして、その人たちに対しては、今後、数十年間に渡って、追跡調査をしていくための機関として、県民健康管理調査検討委員会を設置しました。
この委員会の設置は、福島県の災害対策本部が有識者の検討委員会で決めたものです。
今後、調査と管理に当たっては、福島県立医大や国の関係機関と協力していく、と書かれてあります。(いちばん上の新聞記事の囲み記事)
福島県は、「第一段階で行う全県民検査では、外部被曝しか考慮せず、内部被曝はないことにする」と言っています。
しかし、同時に、セシウムが大量に出たときのみ、過去のヨウ素被曝を考慮するとマコさんの取材に対して回答しているのです。
「県民健康管理調査検討委員会の主要メンバーである放射線医学総合研究所の明石理事は、「今の科学では、ヨウ素を考えるのは、もう無理だ」と回答しています。
まったく言っていることが正反対です。
過去のヨウ素被曝を算出する方法もあると、小左古教授は言っているのですが、放医研の明石理事は、「それは机上の空論だ」と一蹴してしまいます。
...福島県では4月1日時点で18歳以下の子供を対象に、これから2年ごとに、甲状腺の状態をエコー検査によって取っていく予定だといいます。
一次検査でエコーを取って、二次検査で、シコリが出たときのみ、血液検査等、細胞診と尿検査をやる、ということです。
これは健康調査に名を借りた、実質は簡単なガン検診に他なりません。
一次検査の段階では、ガンの早期発見には欠かせない血液検査をやらないのです。
明石によると、その理由は「医療経済」の問題。つまり、検査費用がないからだ、というのです。
そんなこなど気にせず、国民の健康を守るために血液検査の予算を取って欲しい、となぜ訴えないのでしょうか。
明石の専門は経済ではないでしょうに。
どういうことかというと、ガンのほんの初期、あるいは甲状腺機能障害の兆候が出た段階で、それを発見して治療してしまったら、疫学的なデータが取れないからなのです。
つまり、「ガンや、甲状腺機能障害という形がはっきり表れるまで余計な検査や治療をしたくない」と言っているのと同じなのです。
目的が根本的に違うということなのです。予防や治療が目的ではなく、あくまで調査が目的なのです。
...はっきりしたことは、有識者と国が一体となって設置した県民健康管理調査検討委員会の目的は予防・早期発見、治療ではなく放射線疫学調査にある、ということです。
詳しくは、カレイドスコープのポストでお読みください。
このブログでもポストを出しましたが、政府と福島県が計画する「医療特区」、これで研究所、製薬会社、検査機器メーカーを大いに誘致して儲けよう、という趣旨なのですから、研究のネタが減ってしまうようなへまはしたくないでしょう。
山下教授も、「広島・長崎に次ぐ国内3番目のヒバクシャを生み出した福島県」に移られて張り切っておられることでしょう。
ひどすぎる話に憤慨です。
ReplyDelete