Friday, September 23, 2011

枝野経産相、インドネシアにインフラ事業売り込み、シンガポールで東北産食品の安全性をアピール

農水省が日本食を「世界文化遺産」に登録しようとし、外務省はツイッターやフェースブックのフォロワーの多い外国人を日本に招いて「好意的な」発信をしてもらおうと計画する中、負けてはならじと経済産業省。かの枝野『直ちに影響は無い』幸男氏が経済産業相としてシンガポールを訪問し、東北産の食品の安全性をアピールしたそうです。

シンガポール?シンガポールだけが目的の外遊なんて聞いたことがないなあ、と思い、調べたところ、枝野さんの経済産業相としての初の外遊地はシンガポールの前日のインドネシアでした。大規模インフラ事業の売り込みです。枝野さんに限ったことではありませんが、日本政府は既に福島第1原発事故、東北関東の放射能汚染は過去の終わった話、として行動、発言しているような気がしてなりません。

まずシンガポール訪問から。

9月23日付け共同通信記事

【シンガポール共同】枝野幸男経済産業相は23日、シンガポールで同国のヤーコブ・イブラヒム情報通信・芸術相と会談し、「日本の農産品の安全性は客観的、科学的に検証している」と述べて、東北など日本産の食材が東京電力福島第1原発事故で被っている風評被害の払拭に努めた。

 経産省は東北地方の食文化に加え、ファッションなど3分野で、シンガポールにおける日本企業の事業展開を支援する方針。シンガポールに日本食の店を開設し、両国の食品関係者が協力してメニュー開発することなどで、日本のブランドイメージの向上を図る。

どうもインドネシア訪問の息抜きみたいですね。ほかに理由があるのかもしれませんが、いわゆる「風評被害」なるものの払拭に努めるのにわざわざ大臣が訪問するなら、もっと貿易取引高の高い地域から行くのが普通ではないかとは思います。また、シンガポールで数年仕事をしていた時の話ですが、日本企業はもう十二分にシンガポールで事業展開しています。わざわざ経済産業省の支援が必要だとも思えません。

さて、そのインドネシア訪問の内容。産業空洞化で国内で生産して売るものがなくなってきている日本。国が大手企業と組んで大規模プロジェクトを発展途上国に売り込む、というのが福島原発事故以降も変わらない政府の姿勢のようです。(売り込むのに使っているのは国民の税金なんですが...。)下の記事に唯一書かれていないのが、原発の支援。

NNAアジア9月23日付け記事より:

枝野幸男経済産業相は22日午前、経産相として初の外遊先となったインドネシアで、同国のハッタ経済担当調整相ら閣僚数人と会談し、両国の貿易・投資関係を深化させることを確認した。日本側はインドネシアのインフラ整備に対する支援を惜しまないことを約束した一方で、鉱物資源の日本への安定供給や、現地に進出する日本企業の多くが直面する税制問題などの解決に向けた協力を求めた。【久保英樹】

枝野経産相はインフラ事業に関し、先に中部ジャワ州の石炭火力発電所(容量1,000メガワット2基)を電源開発(Jパワー)と伊藤忠商事を含むコンソーシアムが受注したことに対して謝意を表明。その上で、先月に円借款で設計業務を行うことが決まった西ジャワ州のインドラマユ石炭火力発電所にも日本企業が参画できることに期待を寄せた。都市交通の分野でも協力していけることを強調した。

これを受けてハッタ調整相は、スカルノ・ハッタ国際空港とジャカルタ中心部を接続する鉄道などを含む首都圏の鉄道網の整備、新たな港湾の建設について、日本の協力を求めた。

枝野経産相は2国間関係についての話し合いで、エネルギー関連の懸念事項として、インドネシアで2009年に施行された鉱物石炭法『09年第4号』に関連し、14年1月から未加工の鉱物資源の輸出が禁止される規定を挙げ、日本への鉱石輸出が継続できるよう要請した。ハッタ調整相は「これまで日本企業が手掛けてきた既存鉱物資源の契約は大切にする」と述べるにとどまった。

同経産相はこのほか、工場向けエネルギー管理、自然エネルギーとの連携、蓄電池、燃料電池、配電自動化、系統安定制御などの「スマートコミュニティー」技術の導入を具体的に進めるため、今年11月に日本から官民から成る使節団を派遣して議論を深める考えを示した。

また、三菱航空機が開発する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の国営ガルーダ航空への販売についても支援を仰いだほか、進出企業が移転価格税制の適用を受けて苦しんでいる現状を訴えた。ハッタ調整相は税制問題に関しては、専用のヘルプデスク開設や関連法案の改革で対処する考えを明らかにした。

同調整相からは、▽エネルギー下流部門▽石油化学▽鉱産物の加工▽自動車・自動車部品の投資促進▽食品加工――の5分野での協力を求められ、枝野経産相は「前向きに検討したい」と応えた。このほかにも東アジア経済統合についての意見を交わし、11月にインドネシアのバリ島で開催される東アジア首脳会議(サミット)で議論を深めていくことを確認した。

■副大統領ら他閣僚とも会談

枝野経産相は同日午後、ブディオノ副大統領、ヒダヤット工業相、マリ商業相などの閣僚と相次いで会談した。

ブディオノ副大統領とは、インドネシア首都圏を中心としたインフラを整備する計画「首都圏投資促進特別地域構想(MPA)」で両国が協力していくことや東アジア経済統合に向け作業部会を設置すること、エネルギー分野での協力関係を深めることなどを話し合った。同副大統領は、インドネシアは天然資源が多いのに加え、若年労働者が豊富なこと、各種マクロ経済指標が好調なことから、投資先として魅力的であるとアピールした。

ヒダヤット工業相は、これからも日本からのさまざまな産業投資に期待しているとした上で、特に自動車産業のすそ野を広げる投資を求めた。

マリ商業相とは、2国間の知的財産所有権の枠組みを、来年2月に東京で開催される日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の知財に関する会合で具現化することなどを確認した。

また、各閣僚にも未加工鉱物資源の輸出禁止に対する懸念をあらためて表明。インドネシアが鉄鋼品へのダンピング(不当廉売)調査を行っていることに対しても、同国の利益にはならないとの考えを伝えた。

同経産相は今回、MPAの閣僚級運営委員会に出席するためにジャカルタを訪れた。同委員会にはハッタ調整相との会談後に参加し、同相と共同議長を務めた。

23日にはシンガポールを訪問し、ヤコブ・イブラヒム情報通信芸術相らと会談する予定だ。

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