Friday, October 28, 2011

コープふくしまの除染ボランティア募集要綱: 普通の作業服、昼食、水持参、ボランティア保険加入、交通費交通手段自己負担

福島市大波地区、ボランティア110人と住民による除染、という記事が読売に載っています。他の新聞、メディアにも載っています。

福島市大波地区は、8月に市が除染モデル地区としていわゆる「除染」(またはお掃除)を行った場所です。除染後の線量はほとんど下がらず、5箇所で除染前より線量が上がった、というポストは9月25日付けでお出ししました。

そのときの除染は市が委託した業者が行いましたが、今回の除染は業者が高圧洗浄機で屋根と壁に水をかけてから、全国から集まったボランティアと住民が土を入れ替えたり草をむしったり落ち葉を拾ったりするそうです。

要するにお金でしょう。全部業者に任せると費用が莫大なものになるので、ボランティアと住民にやらせよう、という。

読売新聞に出ている写真を見る限り、この「除染」風景は伊達市で7月に行われた市民ボランティアによるモデル除染と、作業といい装備といい、まったく変わらないように思えます。まるで被曝するためのような作業風景。

7月の伊達市の除染をまとめたのは福島県の生協コープふくしま。コープふくしまは放射能除染ボランティアを急募しています。どうもここで福島での除染ボランティアのとりまとめを行っているようで、ボランティアをここでまとめて各自治体のニーズに合わせて派遣する、と言う形をとっているようです。

ボランティアの登録画面をみてみると、そこには
住所、電話番号、氏名、性別、放射線測定経験の有無

以外に記載事項はありません。年齢、病歴なども記載する欄はなし。

また、ボランティアの皆さんにお願いすること、として、

◆服装など
  • 普通の作業服や運動着で結構です(防護服は不要です)。
  • 長靴を用意できる方は持参してください。
  • 日差しが強いので日除けの帽子、汗ふきタオル、飲料水など、熱中症対策をして下さい。
◆各自に持参していただきたい道具等
  • 軍手やゴム手袋(家庭用のもので十分です)
  • 防塵マスクは軽作業用のものがよいが、普通の花粉対策マスクでも十分である。使い捨てできるようにそれぞれ数組用意してください。
  • 作業後の汚れ物を収納するビニール袋などを持参してください。
  • 絆創膏、塗り薬、消毒液、虫除けの予防薬など。
◆昼食等
  • 近くにはコンビニがありませんので、昼食や飲料水等は各自で用意してください。
◆放射線測定器等
  • 直読式の個人線量計などをもっている方は、持参して測定してみてください。
  • 放射線主任者等の専門家は、可能であればNaI線量計やGM計数管を持参して作業の支援や指導にご協力下さい。
<ボランティア保険へ加入のお願い>
ボランティア活動中の様々な事故によるケガや損害賠償責任を保障する保険があります。活動場所と自宅の往復途上の事故も補償の対象となります。ボランティア自身の食中毒や特定感染症、熱中症も補償されます。
居住地等の社会福祉協議会で「ボランティア保険(天災付)」に加入いただきますようお願いいたします(自己負担が原則です)。災害復旧作業に尽力している被災地の負担を少しでも軽減させるため、ご理解とご協力をお願いいたします。

つまり、一切合財負担は昼食から保険の果てまでボランティア側の負担。また、放射線被曝の危険性について注意を喚起するような記載はどこにもありません。ただ一言、

「なお、具体的作業の安全確保に関しては、NPO放射線安全フォーラムが全体管理を行いますので安心してご参加いただけます。」

何が全体管理で、どこが安心なのか、さっぱり分かりません。フォーラムの田中俊一氏(元原子力委員会委員長代理)の要請文を見ても、さっぱり分かりません。要請文の最後の2段落:

ボランテイアの皆様には、地域の皆様と協力して除染作業を行なっていただくことにしており、ボランテイア作業を通して高い放射線環境の中で生活を余儀なくされている住民の実態を体感し、様々な風評被害に苦しんでいる状況を理解することで、大きな支援になっていただけることも期待しております。

  放射能除染作業の安全管理には当NPOが責任をもつこととしますので、安心して放射能除染ボランテイアにご参加いただくことを心からお願いいたします。

なんだか、住民と一緒になって高い放射線下で被曝してみろ、と言っているような気がするんですが、気のせいですね。安全管理にどのように責任を負われるのかわかりませんが、ボランティアが作業中に急性放射線被曝で倒れない限り責任はないのでしょう。

ボランティアの方々は福島の人たちの手助けが出来た、と喜び、地域の人々もいかにも「除染」した気になり、市と県は余計なお金を使わなくてすむ。すべてハッピーで丸く収まる、というわけ。

むなしい気分です。

6 comments:

  1. コープふくしまの募集のページ見ました。
    登録フォームに「放射線測定の経験がありますか。経験ありの場合、専門家という位置づけとさせていただきます」とあります。

    で、「放射能除染専門ボランティア」になると除染専門ボランティアの役割で
    ①除染開始前に作業される住民に除染作業に当たっての注意事項の説明
    ②実際の除染作業現場に於いての線量率測定および除染作業の指導
    ③放射能測定機器の使い方についての指導
    ④その他、放射線に係る質問への対応等とあります。

    これはひど過ぎる。
    現在測定器で測っている人も少なくないだろうが、それだけで「専門家」としてこれほどの役割を期待するとは。
    「安全管理には当NPOが責任をもつ」というが、それなら測定の経験があるだけの人を「専門家」扱いする必要はない。

    これまでの活動報告にある動画を見ると田中俊一氏は「除染はできると実証したくて」と述べている。
    他方結果については「どの民家も生活するには問題がない線量にまで下がるという成果がでたようです」として具体的な数値には触れていない。

    また児玉龍彦教授が提唱されている除染における「まてないみせ」からしても、マスクさえしてない人もおり適切な除染作業の指示があったとは言えない。

    ま 土ほこりは マ スクで
    て 手につかないように て 袋で
    な 側溝など汚泥につくときは洗える 長 靴で
    い 作業中は 飲 食禁止
    み 代わりに途中で手を洗って 水 分補給
    せ 線 量計が必須 高い汚染物は専門家呼ぶ

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  2. すみません。活動報告のPDFファイルに一応数値が出ていたので先程のコメント中その部分を訂正します。申し訳ありません。

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  3. ボランティアを募るのは、地域住民の駆りだしの意味もあるのですよ。
    危険な除染を拒否していても、外部のボランティアが来ればやらざるを得ない状況に追い込まれる。

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  4. Fukuさん、なるほど。ますます卑怯な手ですね。

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  5. こんにちは。この記事もリンクさせて下さい。
    よろしくお願い致します。

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  6. 細野環境相がコープふくしまの除染ボランティアとして除染活動を行ったというニュースに接し、驚いています。
    http://www.asahi.com/national/update/1113/TKY201111130157.html?ref=rss

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