Thursday, January 19, 2012

ニューヨークタイムズ: 国会の福島事故調査委員会、原発事故に関する日本政府の説明に『異議あり』

国会の福島第1原発事故調査委員会が1月16日に本会合を開きました。それに関して、ニューヨークタイムズが記事を出しています。

12月19日に野田首相が「冷温停止状態」宣言なるものを出して世界に安全をアピールして以来、日本では原発関連の報道がめっきり減った気がしますが、ニューヨークタイムズ紙など海外の新聞は逆にこれをきっかけに、去年の4月半ばには興味を失っていた福島第1原発と日本の放射能汚染についての記事を出してきているような感があります。

国会の事故調査委員会は、先日中間報告をまとめた東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会とは別物です。後者は内閣官房に置かれている委員会です。

ニューヨークタイムズ紙記事原文、”Panel Challenges Japan’s Account of Nuclear Disaster” はこちら

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事故調査委員会が原発事故に関する日本政府の説明に『異議あり』」

記事:田淵広子
2012年1月15日

東京発――日本の国会が任命した有識者からなり、強い権限をもつ独立の調査委員会が、福島第一原発の事故原因に関する政府説明に異議を唱え、独自の原因究明に乗り出す。調査の対象には、3月の津波の前に地震によって原子炉がどの程度破壊された可能性があるかも含まれる。

この事故調査委員会は、今回の原子力災害の原因を調査するために超党派の議員によって設置されたもので、証人を召喚する権限をもつ。福島の原発事故は、10万人以上もの人々に避難を余儀なくし、広大な土地を数十年にわたって利用できなくした。また、政府の関心が原子力産業界の既得権益を守るほうに主に向かい、3基の原子炉のメルトダウンと大量の放射性物質の放出という事態をなぜ止められなかったかの解明がおろそかになっていると国民の批判を招いた。

事故原因をめぐっては、福島原発の運転者である東京電力や政府自身による調査も含めてこれまでに何度か調査が実施されているが、いずれも3月に東北地方の海岸を襲った津波の規模があまりに大きかったために原発の命綱である冷却装置が破壊されたことを原因としている。

しかし国の内外からは、東電が過去の津波の記録を十分に考慮していなかったのではないか、津波に襲われたにしてもそのあとで破壊を最小限に留めるために打つ手があったのではないかと、さらなる詳しい説明を求める批判の声があがっている。

解消しない疑問はもうひとつある。津波が来る前に地震によって原発にどの程度の損傷が生じていたかだ。地震で深刻な損傷が起きていた証拠が少しでも見つかれば、日本のほかの原子炉の安全性についても新たな疑問が投げかけられることになる。日本は地震大国であり、津波が起きる頻度はそれよりはるかに少ないからだ。

この新しい「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」が先月に発足してから初となるインタビューの中で、委員長の黒川清は聖域なき調査を実施すると明言した。

かつて東京大学医学部を牽引した一人であり、現在は政策研究大学院大学教授を務める黒川氏は、ノーベル賞受賞者の田中耕一をはじめとする著名人を委員として集めた。委員会は来週月曜日[1月16日]に初の本格的会合をもつ。

「日本が世界からの信頼を取り戻すには、完全に独立した調査が行なわれなければならない」と黒川氏は語った。地震による損傷を疑う声があることは認識しており、委員会は「この問題を精力的に調査する」、と黒川氏は言う。

「日本がどんな教訓を学ぶかは世界にとっても無関係ではない。こうした災害は再び起きてもおかしくないからだ」

黒川の委員会は、日本の原子力政策を公然と批判してきたメンバーが含まれていることで注目を集めている。たとえば地震学者の石橋克彦は、地殻変動の激しい日本で54基の原子炉をもつことの危険性を長年警告してきた。

また、委員の一人である田中三彦は、かつてバブコック日立社で原子力エンジニアとして働いた経験をもち、福島原発の原子炉は津波がなくても地震だけでメルトダウンを起こすほどの損傷を受けたと主張してきた。東京電力はその見方に異議を唱えている。田中氏は福島第一原発の原子炉の設計にかかわった人物でもある。

日本の国会が外部有識者を集めてこの種の委員会をつくるのも今回が初めてである。委員会は、与党である民主党と最大野党の自由民主党の双方の議員の後押しで生まれた。

「委員会が政治的圧力から本当に距離を置くことができれば、強力な存在になりうる」と指摘するのは、福島で住民とともに除染活動を進めてきた工学院大学客員教授の田尾陽一。「超党派の支援を受けているからといって、すべての意見を聞かなければならないわけではないことを、委員会ははっきりさせておく必要がある」

(写真キャプション)調査を率いる黒川清は、調査に聖域はないと誓った。

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(H/T 東京茶とら猫

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