クリック先はこのページ。思ったとおり、宮城、岩手、福島の被災地に、ボランティアを送り込むためのパッケージツアーを取りまとめて紹介しているページでした。努めて漢字の使用を抑えようとしている努力が窺えるページには、次のような(まさに)宣伝文句が:
ボランティアって大変そう。 経験のない私には不安。 そもそも申し込み方法もよくわからない…
そんなあなたには、現地への交通や宿泊場所などがセットになったボランティアツアーがオススメです。ツアーに参加することは、個人で現地に入るより、現地のボランティアコーディネータの負担軽減や道路渋滞の緩和にもつながります。
「週末だけ」や「観光つき」など、様々なオプションからあなたに合ったボランティアを見つけて、気軽に参加してください。さあ、ボランティアへ。ボラツアーで、東北へ。
サイトのヘッダーには、日本の国旗の日の丸をハート型に意匠したように見えるロゴの右に、「復興庁提携プロジェクト」との記載が。政府関連なのは間違いありません。
更に、ページの一番下にあるリンク、「助けあいジャパンについて」のリンクをクリックしたところ、行き着いたページには、
助けあいジャパンは、もともと阪神大震災の教訓から始まったプロジェクトです。
発案者の佐藤尚之(さとなお)は、阪神大震災(1995年1月17日)の被災者でした。
そのとき強く感じたのは「必要な情報が、必要な人と場所に届いていない」ということ。...
彼は、東日本大震災があった翌日、以前一緒に仕事をしたことがある政府高官にメールを出しそう提案しました。そして、その翌日にサイト構成案も含めて実際に提案しにいき、政府の理解を得て、同じころ設立が決まった内閣官房「震災ボランティア連携室」と連携したこの民間プロジェクトが始まったのです。
いかにも一個人の市民ボランティアのような書き振りですが、一市民が政府高官と仕事をする機会などそのへんに転がっているわけでもないでしょう。
それに、書き方が何というか、「テレビのコマーシャルみたいだなあ、なんだろうこの違和感」、と思い、この方の名前をグーグルしたところ、たどり着いたのはこのページ。そこにあった記載は、
佐藤尚之
広告キャンペーン・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター/ウェブ・ディレクター。
2008年現在、株式会社電通に勤める。
「スラムダンク 1億冊感謝記念」を著者の井上雄彦氏と手がける。
ウェブ上では「さとなお? (http://www.satonao.com/)」というHNで活動している。
電通?
そこで、記載のサイトをクリックしてみると、プロフィールのページに、大学(文系)まで東京にいて、広告会社に就職してすぐ関西へ転勤。14年間、関西でCMプランナー&コピーライター。
2000年に東京へ転勤。ウェブ・プランナーを経て、現在、ネットを中心に、コミュニケーション・デザインを主な領域とするシニア・クリエーティブ・ディレクター/ソリューション・ディレクター。
受賞歴としてはACC賞、JIAAグランプリ、カンヌ銅賞、日刊新聞広告賞グランプリなど。本業についての本「明日の広告」も刊行。10刷のベストセラーに。出版後講演もとても多くなっている。他には、内閣官房「国民と政治を近づけるための民間ワーキンググループ」にも参加。
内閣官房のワーキンググループ? このプロフィールには、電通とは一言も出ていません。
3月11日のエントリーには、
「助けあいジャパン」サイト、今日、リニューアルしています。
「復興状況マップ」はより見やすく、「みんなのアクション」も名前を変えてパワーアップ、新コーナー「雇用を生み出すアイデア実例集」も始まりました。 「現地からのレポート」もYahoo!連携で生まれ変わりました。人気コンテンツ「助けあいの入り口」「きょうの政府・省庁情報」も充実してます。ぜひぜ ひご覧ください。
この方が「助けあいジャパン」のサイトを運営しているのはこれで間違いありません。
「きょうの政府・省庁情報」? なんだか思いっきりいやな気分になりました。こんな風にして、大手広告会社と政府が一体となって、市民がどのように考え、どのようなことを行うのかを誘導する。
更に、震災について英語で世界に発信しよう、という活動も、「助けあいジャパン」は行っているようです。これがまたひどい。何を言うかまで指導しています。(強調はリンク先のページのものです)
世界に向けて情報を発信することは私達自身のためでもあります
今回世界に向けて情報を発信することは私達自身のためでもあります。情報発信を通じてこの1年間に何があったのかを整理しましょう。まだたった1年です。被災地は復興しておらず、福島は日本中・世界中から未だ注目を集めています。
この1年間に私たちが受け取った世界各国からの援助を再確認しましょう。メディアには報じられなかった援助・支援が多くあったはずです。そのまま埋もれさせるのはあまりにもったいなくて心苦しいです。今回のキャンペーンを通じて、昨年私たちを応援してくれた人たちに向けて、今度はぜひ私達が感謝の言葉を発信しましょう。
私たちが復興に向けて何をしていくのか、日本の現状を確認しその意志を世界に向けて発信しましょう。
さらにツイッターの投稿を勧める箇所には、
2 特定の単語を利用して投稿しましょう
Thank you, help, still devastated, change, hopeといった単語を使って英語で震災で思ったこと、感謝や助けあったことなどをつぶやいて世界に発信しましょう。
Change, hopeはオバマ大統領のおかげですっかりけちが付いた単語。ああいかにも広告会社。
さて、「助けあいジャパン」のボラツアーとかいうページに戻ってみますと、そこに出ているツアーにはちょっと怖いものが。
宮城県山元町への日帰りツアーで、側溝の泥掻き、いちご農園の復興支援。ここは宮城県では高汚染の場所です。
福島県でのボランティアツアーをやっている「絆ジャパン」、申込書を見ると、現地のお弁当500円の購入をお願いします、との記載も。
福島県南相馬市で花を植えようボランティアは5月。南相馬市の各所で、非常に高濃度(最高はキロ当たり300万ベクレルを超えます)の吹き溜まりのような黒い物質が発見されています。
NPO、NGOなどの団体が日本でもこの10年ほどで俄然増加し、震災・原発事故を機に更に倍増した感がありますが、政府、あるいは企業が自分たちの権限、最良で行うのではなく、民間、ということにしてしかも企業の根を隠してボランティアとして行う。
先日外国人記者クラブに対して行った会見で、野田首相は「福島事故の責任はどの個人にもない」と断言していましたが、除染、復興、なんにしてもNPO、NGOボランティア扱いでことを進めれば、国にも企業にも責任はなくなるんでしょう。
誰も責任を負わない、ふわふわとなんとなく、というのは大多数の日本人には心地が良いのかもしれません。原発事故と放射能汚染さえなければ、なんとなく何も知らなくても困らなかったのでしょうが。
なんとも気持ちの悪い広告ですね。
ReplyDeleteボランティアして被曝しませんかというところですね。
さとなおさん、今こんなことしてるんですね。
ReplyDelete去年3月くらいまで、食べ歩き関連で、サイトの「さなメモ」へ時々伺ってました。ボランティアに専念するから電通辞めたって聞いてましたけど、まだ影響下にあるのかな。
もともと、
京都の松井旅館の坊ぼん松井孝治民主党議員
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%BA%95%E5%AD%9D%E6%B2%BB
の友人。
その縁から「鳩カフェ」の中心メンバーになり
鳩山よいしょ記事多し。
以前から、禁輸肉をこっそり食べたというウワサなどもバックレたり軽い人ですけど、上記↑の誘導tweetや汚染についての不勉強など不気味ですね。
電通勤務時は、社内起業したり講演会で稼いでおられましたけど、今はどこから?
事故後のかなり早い段階からこちらのブログと
ReplyDelete英語のブログ拝見していました。
英語サイトの記事をよんでコメントいたします。
1年間ありがとうございました。
記事にあったように、みんながネットの情報で気が付いて
世の中が少しずつでも変わっていくことを祈ります。
「海外メディアではあまり報道されない日本の良いニュースを発信しましょう」にわろたwww。
ReplyDeleteどうもこのサイトは、自分のアタマで考えない高校生程度の人をターゲットにした広告ですね。
サイトの構成、表現、文字・・・あらゆることが計算されてる印象で、胡散臭さ、バリバリだぜっ! さすが電通、「いい仕事」してますねぇ。
こういういいアタマを、国民の啓蒙に使ってくれれば、「資源の有効活用」になるのだが・・・。
復興庁は本来、省庁の縦割り弊害を乗り越えて迅速な復興を期するために出来たもの。
ボランティア募集や復興イメージの世界発信の是非はいわずもがなとして、人数も少なくこんなことに関わってるヒマはないはずなんですがねぇ。
500円の弁当は福島の農産物を食べて応援ですか。
ReplyDeleteもはや正常な思考ではありませんね
いつも貴重な情報発信、有難うございます。東京からこんにちは。
ReplyDelete「ふわふわとなんとなく・・」、思わず膝を叩きました、全く同感です!
恥ずかしながら3.11以前の私も、そうだったと思います。
でも、知ってしまった・見てしまったものを、知らなかった事には出来ませんね。子供達の命や健康がかかってますから。
桜丘のお母様をはじめ、皆さん、ここでしっかり目を覚まして大いにがんばらなくてはがんばる時がありません。海を隔てていますが、私も応援しています。
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