いつの間にか文科省のサイトにこそっと出ていたWSPEEDIの資料の1つは、クリプトン85という希ガス放射性物質の3月15日の飛散予測です。
前日の3月14日の午前11時過ぎ、MOX燃料を使っていた福島第1原発3号機で爆発、建屋が大破しました。クリストファー・バスビー、アーニー・ガンダーセンなどの専門家は、これが核爆発であった可能性を言っていますが、ともあれ、日本政府は3月15日の午前1時現在で、クリプトン85の広域地上濃度予測を行っていました。
飛散予測の地図を見ると、放射性クリプトンが3月15日の午前10時までには東京に到達する、という予測を、日本政府は持っていたことが分かります。更に同日午後1時までには、放射能の帯が東京、神奈川を通り越して静岡まで広く伸びています。午後7時までには風向きの変化で内陸に向き、翌日16日の午前7時には再度風向きの変化で内陸から海岸沿いに再びもどり、16日午後1時にはほぼ全量海側に流れる、という予測だったようです。
クリプトン85は核分裂の際発生する放射性希ガスの1つで、現在空気中にあるクリプトン85の大半は地上核実験が行われていた1970年代までに発生。また、常に原子力発電所から出ている放射性物質で、原子力発電所の運転状況や核実験の有無をを示唆する指標として、キセノン133と共に1995年以来つくばの気象庁気象研究所でモニターされているのだそうです(h/t Robbie @英語ブログ)。私の英語ブログのコメントによると、クリプトン85は使用済み核燃料に多く存在する、とのこと。
そういえば、3月15日前後、東京や関東地域で、口の中で金属の味がした、とか鼻血がでたとかいう「風評」がありました。放射能は政府にかかると「風評」に変化するようですので、これはやはり放射能だったのでしょう。京大の小出裕章さんが5月23日参院の委員会で証言をした時、「圧力がかかって発表できなかった」データは3月15日の東京の放射能レベル、ということでした。
国民のパニックを恐れて云々という、例によって例のごとく今や聞き飽きた言い訳なのでしょうが、政府がせめて、「3号機が爆発しました。風向きが悪いので、念のため関東の方々は3月15日と16日の昼ごろまで、出来れば室内に留まって、窓や戸を閉め、外気を出来るだけ入れないようにして下さい。16日の午後には風向きが変わり、太平洋側に流れますので...」とでもアナウンスしてくれていたら、パニックになどならず、住民はああそうか、じゃ会社と学校は休んどくか、という具合で、住民の被曝が大幅に減らせたのではないか、と思ってしまいます。
3月15日WSPEEDI放射能拡散予測(クリプトン85)はこちら。下に出した地図の他にあと6枚、地図があります。
3月15日午前4時:
3月15日午前7時:
3月15日午前10時:
3月15日午後1時:
3月15日午後7時:
EX-SKFさん こんにちは。
ReplyDelete九州に住んでいる者です。いつもブログを読ませていただいてます。
あれこれ検索していましたら、バスビー教授の3号機の核爆発説の論文(レポート?)に行き着きました。
http://www.llrc.org/fukushima/subtopic/fukushimacriticality.pdf
日本では、インタビュー動画は有名になっているのですが、PDFファイルは初めて見ました。
キセノン同位体比率も数字で出てますので貴重な資料だと思いました。
ありがとうございます。よくお見つけになりましたね。早速読んでみます。
ReplyDelete昨日の九州在住のものです。
ReplyDeleteキセノンに関する部分はこれからの引用のようで、チェルノブイリの時のものでした。
http://www.springerlink.com/content/d71710g0012116x4/fulltext.pdf
英語力のなさがばれてしまいました。