というのも、放射性セシウムは筋肉に均等に溜まるわけではなかったのです。実際に測ってみて初めて分かった、という間抜けな話のようですが、同じ牛でも部位が違うとセシウムの値が違い、さらに同じ牛で同じ部位でも2つの異なった機関が測ったら結果が倍ほども違った、というケースまで。
牛が肉になってからの担当の厚労省は、「セシウムは筋肉に均質に蓄積するとされている」とまだ言っています。「されている」と逃げるところがさすが。
毎日新聞7月31日付け記事:
統一指針づくり急務
福島第1原発事故の影響で放射性セシウムに汚染された肉牛が見つかった問題で、同じ1頭の牛でも部位などにより検出値の違いが出るケースが指摘されている。専門家も「セシウム濃度は部位により異なる」と説明している。各自治体が今後踏み切る全頭検査の信頼性を高めるため、国は検査の統一指針づくりを迫られそうだ。【吉永康朗、井上英介、石川隆宣】
宮城県は28日、1頭の牛の肉で、部位によって国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超えたり、下回る検査結果が出たことを明らかにした。
この牛は仙台市内で6月21日に解体され、肩肉(二十数キロ)が流通した横浜市が検査した結果、規制値未満の380ベクレルだった。ところが、もも肉(37・7キロ)の流通先の北海道が肉を調べたところ、530ベクレルを示した。
宮城県から6月1日、東京都内に出荷された、別の牛の肉では同じ部位で検査値の食い違いがあった。都内の食肉卸業者が、この牛の肩肉(12・9キロ)を自主検査し、1150ベクレルを検出。しかし川崎市が、この肩肉の残りを調べたところ、618ベクレルだった。
県によると、この4件の検査ともゲルマニウム半導体検出器を使っていた。県は「精密に調べられるもので、機器に問題はない」と話す。ただ、課題は検査手法の統一基準がない点で、県は「検査した肉の部分がどのくらいの脂肪分を含んでいるかや、肉の詰め方で結果に差が出る」と説明する。
自治体が今後、全頭検査に相次いで踏み切るのに先立ち、厚生労働省は29日、検査の基本方針を発表した。ゲルマニウム半導体検出器より短時間で調べられる簡易測定機器の使用を認めるなどの内容だが、調べる部位には言及していない。
厚労省は検出値のばらつきは把握しているが、「これまでの例ではセシウムは筋肉に均質に蓄積するとされている。全頭検査を重ねて適切な対処方法を見つけていくしかない」(監視安全課)と説明。各自治体には、同じ牛で1カ所でも規制値を超える部位が見つかれば、全量を出荷停止するよう求めている。
調べる部位が同じでも検査値がまったく違っていた、東京と川崎のようなケースはどうするんでしょうね。たとえ全部位を検査しても、検査しなかった部分に放射能が偏在している可能性があるわけで、結局、政府がやろうとしている「検査」はもう開始する前から限界。
Buyer beware. Caveat emptor.
結局、消費者レベルの自助努力と、消費者に密着した企業(スーパー、小売店など)の自助努力でしょう。
EX-SKF様
ReplyDelete記事と直接関係ない話になり恐縮ですが、以前に横浜市の小学校給食で福島産の牛肉が大量に使用されていることをコメントし、英語版のブログでとりあげていただきました。ありがとうございました。つい先日横浜市教委がこれらの牛肉がセシウム汚染されていた疑いがある旨の発表を行いました。127校で使用されていた疑いです。http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/kyu-sokutei/inawara.html
今更ながら、「市場に流通しているものは安全だから検査はしない」と強弁していた市の姿勢に怒りを新たにしました。後日談のご報告です。頼るばかりで恐縮ですが、今後とも海外への発信をお願いします。
横浜市の給食汚染牛については、今朝、英文で早速記事にしました。いただいたリンクを付け足し、アップデートしました。ありがとうございました。しかし「現在までのところ、暫定規制値を超える放射性物質が検出されたとする報告はありません。」とはよくも言えたものですね。何も残っていないから検査が出来ない、と言うことを黙っておいて。
ReplyDelete以前の記事でもそうでしたが、今回の記事でも、海外からの反応は、日本の政府、自治体の政府、教育委員会に対する怒りです。それと、市民の皆さんに、立ち上がれ、このままにさせておくな、という励ましです。政府を信用してはいけないのがまだ分からないのか、という苛立ちもあります。
英語のブログ記事には、掲示板を拝見させていただいた限りの最近の情報も出させていただきました。本当に日光に林間学校に行かせるんですか、市は?
英語ブログの記事:
http://ex-skf.blogspot.com/2011/08/yokohama-city-finally-admits-it-may.html
EX-SKF様
ReplyDelete早速英文ブログに詳細なる記事をあげていただき感謝いたします。海外の方の反応、まったくありがたく、また一方でわれわれの不甲斐なさを痛感いたします。
今回の給食の問題では、行政の放射線問題に対する感度の低さはもちろんですが、ここまでひどいと意図的に子どもの命を縮めようとしているのではないかとさえ思われます。横浜市教育委員会に抗議の行動が起こされると思います。その際はまたご報告します。
これからもよろしくお願いします。
P.S 横浜市議の井上さくら氏もこの問題に取り組まれています。Twitter: @sakuraline
EX-SKF様
ReplyDelete度々失礼します。日光への旅行ですが、これは横浜市の場合は小学校の「修学旅行」で定番の行先となっています。例年5月に行われることが多いのですが、既に実施されてしまっています。
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es/hiranuma/txt/nikko23.htm(市立平沼小)
こういう懸念ももちろん出ています→
http://infosecurity.jp/archives/13295
楽しい修学旅行にもこういった心配をしなければなりません。本当に今回の原発事故は私たちの生活を一変させてしまいました。
日々のニュースを書留める備忘録のようなサイトを立ち上げました。よろしければご笑覧ください。
http://fukushima1-npp.tumblr.com/
EX-SKF様
ReplyDeleteいつも大変参考になる記事をありがとうございます。
横浜市給食のセシウム牛肉使用問題ですが、使用された学校数は更に増えて158校となり、総児童数は、84,061人となりました。
横浜市HP:
http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/kyu-sokutei/inawara.html
※このページ追加の学校を斜体で表示などと記載しておきながら私のFireFoxでは通常表示のままです。IEしか見てないのかもしれません。
市会議員古谷氏のページ:
http://furuyayasuhiko.blog15.fc2.com/blog-entry-591.html
横浜以外の地でも出てくるのではないかと不安を感じています。
事後の報告でした。
EX-SKF様
ReplyDeleteいつも参考になる記事をありがとうございます。
やや古い記事へのコメントで恐縮です。
横浜市給食の問題の後日談です。横浜市教委はやっと汚染牛の使用を認め文書を学校に配布しました(ただしお詫びの言葉は一切ありませんでしたが)。
ところが、この文書の一部を学校側が改変して家庭に配布していた所が出てきたのです。それは「弁当・水筒の持参については学校に問合せてください」という一文です。ある学校は面倒なことを問合せされるのを嫌って、この1文を削除して配布したようです。
こちらの画像をご覧ください(2ページ目が改変)
http://8245.teacup.com/genpatu/bbs/image/detail/comm_id/126/id/1/
子どもたちの健康に配慮しない、市教委や学校の姿勢は当然許せませんが、こういったことを学校関係者が平気で行うことに恐ろしいことを感じます。3.11以降に顕になったモラルの破綻です。こちらにもやりきれない思いを感じます。
太田先生の掲示板を拝見してそのことも知りました。公文書改ざんまでして責任逃れですか。たいした教育者ですね。英文ブログのほうに記事を出させていただきました。
ReplyDeleteところで、ドイツのフランクフルト市と横浜市は何か提携があるんですか?というのも、フランクフルトの市議(野党)の人が英文ブログの読者で、横浜市の対応に非常に怒りを感じる、フランクフルト市として、横浜の対応を非難し、横浜の子供たちと両親にフランクフルト市がなにかできることはないか、と市議会で提案する、と言っていました。
EX-SKF様
ReplyDeleteいつもありがとうございます。
フランクフルト市と横浜市は今年の秋に日独交流150周年の節目に「パートナー都市」提携する、とのことです。横浜フランクフルト事務所というようなものもあるようです。
フランクフルト市議の方が言ってくださるのは大変ありがたいことで、ぜひ横浜の子どもたちのために声をあげていただきたくお伝え下さい。このような非道な市と国際提携することはフランクフルト市の見識が疑われると。しかし、こうやって国際的な信用を台無しにしていることを、横浜市も国も気付いていないのでしょうか?有りがたい思いと共にとても恥ずかしい気がします。
いまも東電福島原発から放射能が撒きき散らかされています。放射能は全土に蓄積されています。いまや日本で放射能に汚染されていない食材を探すのは不可能です。このままいけば10年後に健康な日本人は誰もいなくなるだろう。がんの多発と奇形児の多発。それなのに国民のこの危機感の無さ、マスコミの静けさは何だろうか。国民が静かに滅亡に向かう。
ReplyDeleteEX-SKF様
ReplyDeleteいつも参考になる記事をありがとうございます。また何度か横浜の事をとりあげていただきありがとうございます。
横浜市の続報です。既にご存知かも知れませんが、横浜市は9/5に講演会を開催しました。唐木英明氏、井上登美夫氏などによる100mSvまで安全という内容です。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/hokenjo/kouenkai/
その後この講演を元にした広報誌を作成し、9/10(本日)横浜市全世帯に配布しました。内容は以下のブログから見られます(横浜ママパパの放射線だより)
http://yokohama-konan.info/koho_yokohama.html
内容は推して知るべしですが、100mSvまで安全、食品の基準値の10倍まででも安全、横浜市の空間線量は元に戻ったから安全など「安全」のオンパレードです。一部の保護者はTwitter等で問題にしていますが、多くの保護者はこれを見て安心してしまうのでは、と大変危惧しています。
「市場に流通しているものは安全」と強弁しどんなに請願しても検査せず、基準値超えのセシウム汚染牛が発覚すると、「基準値の10倍超えたものを食べても安全」と講演会・広報誌で撒き散らす、こんなことが許されていいはずがありません。
これからも異議を唱える活動をしていきたいと思います。横浜の子どもたちを支援ください。
長文失礼しました。
※海外ブログの方にも意を決して上記を英文でコメント欄に書いてみたのですが、私の不手際かどこかへ行ってしまいました(笑)。
#Radiation in Japan: Something's Rotten in Yokohama City