先日20日、東電が汚染水の核種分析を「やり直した」結果を発表し、クロル38は実は出ていなかった、ということになりました。それを受けて、読売新聞が京大の小出さんを名指しにこそしなかったものの、「燃料の再臨界が起こった根拠と指摘する専門家もいたが、再臨界を示す他の放射性物質は見つかっていなかった」ということで落ち着いたようです。
クロル38が出ていない、とした主たる根拠は、もしクロル38が出ていたら一緒に出ているはずのナトリウム24が検出されていないようなので、クロル38が「生成されたとは考えにくく、他の核種の散乱線などの影響でわずかに検出限界を超えたものと推測している」という、東電の結論です。
その結論はさておくとして、クロル38さえなければ再臨界はしていないのでしょうか?
臨界(再臨界)という状態は、ウランの核分裂が起きている、という状態で、ウランが核分裂するときに発生している核分裂生成物が出ていれば再臨界の可能性を疑って見るのは当然です。
それはどんな核分裂生成物かって?ほかならぬヨウ素131です。半減期が8日と短いヨウ素131は、スクラムで原子炉が停止してそのあと核分裂がちゃんと停止したのなら、スクラムが掛かった3月11日以降、空気からも、水からも、どんどん減少していってしかるべき物質ですが、相変わらず高いレベルで検出されています。
京大の小出さんが再臨界を疑ったのも、ひとつはクロル38の「検出」(間違いということになりましたが)、もうひとつはヨウ素131(半減期が8日、とおっしゃっているので、ヨウ素134ではなくヨウ素131のことと思われます)が減っていない、ということにありました。(4月5日ラジオ出演の書き起こしご参照)
また、小出さんだけでなく、アメリカの専門家も、部分的な再臨界が起こってはまた止み、ということを繰り返している可能性を言っています。
ついでに、東電の結論ですが、逆にもいえるんですね、これは。そういうへそ曲がりは私だけかと思ったら、ちゃんと他にもへそ曲がりの方がいらして、同じことを言っています。つまり、
クロル38が検出されているのに「Na-24が生成されなかったとは考えにくく、他の核種の散乱線などの影響でわずかに検出限界を下回ったものと推測している」
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