Friday, September 30, 2011

安定ヨウ素配布記事でウォールストリートジャーナル紙が日本語版から省いた情報

同じ記事を英語ブログに出すために英語記事を斜め読みした結果発見。日本語に出したら都合が悪い、との日本語版の編集者の判断なのでしょうか。結構重大なことです。(もっとも、単に私が知らなかっただけなのかも知れませんが。)

先にブログでご紹介した日本語記事では、この部分です。

原子力安全委員会はもともとスクリーニング基準の引き上げには慎重だった。同委員会は3月14日、福島県に対し1万3000cpmに据え置くよう助言する声明を発表した。

ところが、ウォールストリートジャーナルの英語記事ではこの後にしっかり続きがあったのです。赤字強調部分です。

The NSC was initially cautious about allowing the higher screening benchmark. On March 14, it issued a statement advising Fukushima to stick to the current level of 13,000 cpm, noting that level is equivalent to a thyroid-gland exposure level at which the International Atomic Energy Agency recommends disbursing KI. The World Health Organization advocates one-tenth of that level for giving the medication to children.

この部分を訳すと、とんでもないことが書いてあります。

この1万3000cpmというレベルは甲状腺の等価線量で国際原子力機関(IAEA)が安定ヨウ素剤の配布を勧めるレベルである。世界保健機構(WHO)は、その10分の1のレベルを、安定ヨウ素剤を子供に投与する目安としている。


世界保健機構の目安を採用したら、子供には1300cpmの放射能で安定ヨウ素剤を服用させるべきだった、ということになります。

この部分の正誤の確認はとっていません。ウォールストリートジャーナルの記者が誤謬を記載するとも思えませんが、その可能性も無いとは言えません。

とはいえ、福島原発事故から6ヶ月以上も経ってなお、日本語では書かない情報が英語では発信されている、という状態が続いているのも、正常ではありません。

Thursday, September 29, 2011

福島原発事故で安定ヨウ素剤が配布されなかった理由

安定ヨウ素剤がなぜ配布されなかったのか、配布されてもその時期が余りに遅かったのはなぜか、配布されてもなぜ服用の指示が無かったのか。

政府および政府の専門家の方々がつい最近になるまでメディアにリークしていたお考えのようなものは、「安定ヨウ素剤の副作用の方が怖い」、「安定ヨウ素剤を配るような放射能レベルではなかった」、という言い訳じみたものでしたが、実際にそれが単なる言い訳であったことが8月の末頃からだんだん明らかになってきました。朝日新聞8月27日付け記事では、「3月17、18日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による甲状腺への影響を計算すると、少なくとも4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがあるという」、とあります。

なぜ福島第1原発周辺自治体に用意してあったはずの安定ヨウ素剤が適切な時期に適切に使用されなかったのか、ウォールストリートジャーナル日本語版の9月29日の記事から抜粋してご紹介します。(強調は私です。)

まず、安定ヨウ素剤は各自治体に十分なだけあった、と記者は言います。

『世界中の原発周辺地域の大半と同様に、福島第1原発周辺地域にも十分な安定ヨウ素剤の備えがあった。これは比較的安全な薬剤で、甲状腺癌の予防に効果がある。甲状腺癌は大きな原発事故の場合、最も一般的かつ深刻な影響と考えられている。

『政府の防災マニュアルでは、原発の周辺地域はこうした薬剤の服用に関し、政府の指示を待つことが規定されている。原発の安全性に関する国内の一部の専門家らは錠剤の即座の服用を勧めたが、政府は3月11日の事故から5日目まで錠剤の配布、服用を命じなかったことが今回の関係文書で明らかになった。』

この重大な不手際に関係者の言い訳は、震災後の混乱。

『複数の政府および地方自治体の当局者らと助言者らは、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、東日本大震災の様々な面の責任を負う異なる政府機関の間でコミュニケーションの行き違いが続いたことを指摘した。』

... 『指示の遅延については、事故直後の政府の突然の動向の変化にも言及されている。その時、地方自治体の当局者らは個人が安定ヨウ素剤や汚染除去による安全措置を受けられる放射線の基準を大幅に引き上げた。

 『福島第1原発から30キロ余りの距離にある川内村の村役場の井出寿一総務課長は、「そんなものを飲まなければいけないなんて、殆んど誰も知らなかった。16日に役場に届いたときには、もうみんな避難した後だった」と語った。』

ちょっと待った。「地方自治体の当局者らは個人が安定ヨウ素剤や汚染除去による安全措置を受けられる放射線の基準を大幅に引き上げた」?十分に安定ヨウ素剤があったのならなぜ放射線の基準を大幅に引き上げたのでしょう?

ここにどうも嘘がある。記事の続きを読むと、原子力安全委員会は1号機の爆発の翌日の3月13日に手書きのファックスで保安院宛に安定ヨウ素剤の配布と摂取を勧めているのです。保安院はそのファックスがどうなったのか分からない、と言い、安全委員会はファックスが保安院でどう処理されたのかは知らない、と言い、「住民は安定ヨウ素剤を飲んだものと思っていた」と言明。 

『国際医療福祉大学クリニック院長で原子力安全委員会の緊急技術助言組織のメンバーである鈴木元氏は、「我々のような専門家にとって、一番防御しなくてはいけないのは、小児甲状腺ガンのリスクだということは明らかだった」と述べた。さらに、「肝心な住民は安定ヨウ素剤を当然飲んでいるはずだと思っていた」と続けた。

 『鈴木氏は、8月にやっと分かった時には、まさか、という感じだったと話す。

 『原子力安全委員会は最近になってウェブサイトで、3月13日付の手書きのメモを、錠剤の配布と摂取を勧めた証拠として掲載した

 『一方、原子力安全・保安院はこうしたメモは送られてこなかったと主張している。

 『原子力安全・保安院の松岡建志・原子力防災課長は、この行方が分からなくなったメモについて、同院は引き続き調査していると言及。同課長は、「ERC(緊急時対応センター)で混乱があり、それが理由で伝わらないことがあったなら、それは申し訳なく思う」とし、「当時は、まずは避難だという考え方でみんなで動いていた」と述べた。 』

...『原子力安全委員会は最近、ウェブサイトに、検査で特定水準の被曝が確認される場合には、40歳以下の福島県の住民に安定ヨウ素剤が与えられるべきだと主張する3月13日付の文書を掲載した。同委員会はこの文書は、事故の最悪の日となったと考えられている同月15日以前の13日午前10時46分に、原子力安全・保安院に送付されたと主張している。3月15日には原子炉2基の爆発で福島県内の多くの町に放射性プルーム(飛散した微細な放射性物質が大気に乗って煙のように流れていく現象)が広がった。

 『震災後の政府当局者間のやり取りの大半と同様、この文書は東京の災害本部に電子メールではなく、ファクスで送付された。原子力安全委員会の都筑英明・管理環境課長によると、災害本部内の原子力安全委員会の担当者がこのコピーを原子力安全・保安院の担当者に手渡した。都筑課長はインタビューで、「その後どのような判断で、どのようになったのかは、我々の知るところではない」と語った。

 『原子力安全・保安院の松岡課長は、同院は同院の職員がこのメモを受け取ったかどうか確認できないとし、これに関して調査が続いていると語った。

一方、福島県は管首相自ら率いる災害対策本部からの指示を待ち続けていた、と弁明。それでいて、福島県が行ったのは、放射能汚染の基準を引き上げること

『状況に詳しい関係者らは、安定ヨウ素剤の配布基準の突然の変更がこの遅延につながった一因であった可能性があると指摘している。今回の災害前に作成された公式の防災マニュアルによると、1万3000cpm(cpm=1分当たりの放射線計測回数:カウント・パー・ミニット)の水準が示された場合には、シャワーや衣服の着替えなどの除染および安定ヨウ素剤の配布が必要とされていた。

 『3月14日には福島県はこの基準値を10万cpmに引き上げた。レベルが引き上げられると、1万3000~10万cpmを示した住民には衣服の表面を拭うためにウェットティッシュが配られた。錠剤は与えられなかった。

 『3月に1万3000cpm以上を記録した住民は約1000人となり、10万cpmを上回ったのは102人だった。

 『先の原子力安全委員会の緊急技術助言組織のメンバー、鈴木氏は、「スクリーニングレベルを上げたいと言ってきたときに、かなりの汚染のレベルだということをすぐに感じた」と言及。「ロジスティクスが間に合わないほど対象者が沢山いるということを暗に言っていた。水も着替えも、人員も間に合わないという状況だった」と語った。

『長崎大学の教授で事故後、福島県でアドバイザーを務めた松田尚樹氏は、3月14日の地域住民のスクリーニングの日以降に行われた浜通りから帰着したスクリーニング部隊との会議を思い出す。同部隊はサーベイメーターの針が振り切れた、と報告した。松田教授は大学のウェブサイトに掲載したエッセイで、「それまでの1万3000cpmではまったく立ち行かないことを示していた」と記した。「避難所の住民の不安を煽らないために、アラーム音は消すこと、タイベックスーツやマスクもなるべく着用しないことなどが申し合わされた」という。

必要な数の安定ヨウ素剤はあった、と記事の前のほうにありました。ではなぜ基準値を引き上げたのか。これを読解すると、「待ち続けていたけれども指示が来ない、指示がないままにヨウ素剤配布などに県が独自で動くと後で問題になる、そこで汚染基準を引き上げれば動かなくて済むし、指示を待っていたのに来なかった、と国のせいに出来、自分たちは安泰」、という可能性。

もう一つは、「必要な数の安定ヨウ素剤があった、というのは嘘で、実はぜんぜん足りず(あるいはまったく無く)、とても全員に配れないので基準を1桁上げてヨウ素剤が無い、足りないのがばれないようにした」、という可能性。1万3000cpmを超えた1000人にも配るヨウ素剤が無かったから、基準を一挙に10万cpmに引き上げた、と。

そして、福島県の行為を追認する形で原子力安全委員会が折れ、結局安定ヨウ素剤は、実際にそこにあったにせよ無かったにせよ、肝心なときにほとんど誰も服用出来なかったのです。

『原子力安全委員会はもともとスクリーニング基準の引き上げには慎重だった。同委員会は3月14日、福島県に対し1万3000cpmに据え置くよう助言する声明を発表した。

 『福島県が新基準を数日間使用した後、原子力安全委員会は3月20日に態度を緩め、同委員会は声明で、10万cpmは、緊急事態の初期における国際原子力機関(IAEA)のスクリーニング基準に照らして容認できるとした。

 『政府による3月16日の安定ヨウ素剤の配布に先立ち、双葉町と富岡町を除く近隣の町々は住民に同錠剤の服用を指示しなかった。その後福島県内で最も汚染がひどいと確認された浪江町もその1つだった。

 『結局、政府による3月16日の指示後、福島県は福島原発から50キロ範囲内に位置する市町村全体の90万人の住民に行きわたる安定ヨウ素剤の錠剤と粉末剤を配布した。その大半は未使用のままだ。

こうして経緯を見ると、やはり肝心なときに安定ヨウ素剤は存在しなかったのではないかと個人的には思います。日本中からかき集めて、あるいはこっそり外国から融通してもらって安定ヨウ素剤が何とか数だけそろったのが3月16日以降で、福島原発から大量の放射能が出てしまった後だった、というお粗末な話を隠すために、「安定ヨウ素剤の副作用」だの「必要なレベルではなかった」、と、そのレベルすらはっきり把握してもいなかった専門家の方々をテレビ、新聞、マスコミに出して大丈夫宣言を出し、深刻な事態だと報道する外国のメディアを「風評を煽る」と攻撃したのは日本政府。

子供が外で遊んでも全く大丈夫、と言ったらしい、某「朝日がん大賞」受賞者の方も、政府の大失態を言いつくろうために3月、4月は福島各地で大活躍でしたね。

3月11日の事故直後に思ったとおりの展開になっているのが非常に残念です。あとは政府・東電の「冷温停止」宣言、そして「除染」とやらの清掃をやって放射能は除去されたことにされ、事故の収束宣言はまあ年内でしょう。放射性がれき、汚泥、一般ごみは燃やし続けられ、各国政府も見て見ないふりをする。そして誰も何も言わなくなる。原発事故?何のこと?

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この記事の英語版には日本語記事に出ていない情報があります。私の次のポストご参照。

Wednesday, September 28, 2011

横浜市太田正孝市議の痛快演説

市内の小学生8万人にセシウム汚染牛肉を食べさせ続けていた横浜市はつい先日、横浜市の南本牧埠頭の処分場への放射性灰の海面投棄を「延期」したばかりですが、相変わらず子供を何とか被曝させようとしているとしか思えない行動が続いているようです。横浜市議太田正孝さんの掲示板をのぞくと、幼稚園、小学校で秋のどんぐり拾い、落ち葉拾いと落ち葉を燃やして焼き芋を作る秋の行事がどうも目白押し。

太田市議はセシウム汚染牛肉問題の最初から、子供たちを放射能汚染から守ろうとする努力をされていました。その太田さんの、9月20日の市議会での発言です。横浜の林市長に対して、時には同僚の議員の方々に対して、巧妙に話を上げ、下げ、表情表現豊かに、横浜の対応はなってない、と痛快に批判。

ぴったり15分、「ちょうど時間となりました」、とまるで噺家のようなきれのよさ。よう江戸っ子、じゃない、浜っ子か。

放射能に関しては6分以降です。



ちなみに、横浜市内では、道路の側溝、マンションの屋上、公園の入り口、噴水にたまった砂、などから非常に高線量の放射性セシウムが検出されています。港北区のマンションの屋上ではキロ当たり10万ベクレルを超す放射性セシウムが検出されました。さすがの市も重い腰を上げざるを得なかった様ですが、私が人ごとながら気になるのは、高放射線量の地点をカタカナ英語で「マイクロスポット」と公文書で呼んでいること。

もともとは「ホットスポット」と英語の表現を訳さずそのままカタカナにしていたのが、それに「より小さな範囲」という意味合いを持たせるために「マイクロホットスポット」となり、いつの間にか「ホット」=高放射能が取れてしまいただの「マイクロスポット」に。これは英語圏の人に言ってもまず分かりません。(ホットスポットは分かります。)

訳の分からない、あるいはなんとなく分かったような分からないようなカタカナ英語に逃げずに、「高放射能汚染地点」、とはっきりと訳してはっきりと認識したほうが、本気で対処するためにも良いのではないかと思います。

Monday, September 26, 2011

福島原発事故前の水田土壌、畑作土壌中のセシウム137の量はキロ当たり10ベクレル以下

福島県の新米で500ベクレル/キロの放射性セシウムを検出したものが出てしまいましたが、そこの水田は3000ベクレル/キロの放射性セシウム汚染だったとニュースで出ました。

この3000ベクレルが高いのか低いのか、判断の一助にと思い、福島第1原発事故以前の水田の放射性セシウムの含有量の統計を探しました。下にお出したグラフは、独立行政法人農業環境技術研究所の「農業環境中に存在する放射性核種の一般公開システム」のページを利用したもので、サイトではストロンチウム90とセシウム137の含有量を、コメ、小麦、土壌について、データの多いものは日本海側と太平洋側に分けて、少ないものは全国の平均として、1959年から2006年までのデータを検索しグラフ化することが出来ます。

(農業環境技術研究所のほかにも、食品、土壌、水などの放射線計測の過去のデータが検索できるサイトがありますが、この研究所は”Motoyuki"さんのツイートで知りました。ありがとうございます。)

これを見ると、原爆実験の影響をより受けたのは日本海側(風向きのせいでしょう)、それでも1967年の65ベクレル/キロ(土壌に含まれる全セシウム137)が最高で、2000年代に入ってからは10ベクレル/キロを切っています。


畑作土壌中のセシウムは更に低く、最高値でも35ベクレル/キロをやや超えたくらい、2000年以降は10ベクレル/キロ以下で移行していました。

3000ベクレルの土壌セシウム汚染、実際は半分を占めるセシウム134の放射能はより強いために、現時点ではそのまま比べられませんが、それでも過去最高値65ベクレルの46倍、2000年以降の10ベクレルと比べると300倍の汚染ということになります。

福島原発事故の結果出た放射能よりも世界の各地で核実験をやっていた時のほうがよほど放射能があった、とおっしゃる専門家、評論家の方がいらっしゃるようですが、ぜひこのグラフを見ていただきたいものです。核実験の時代には確かに全世界にはよほど放射能が散らばったでしょうが、それと日本で起こった原発事故で炉心溶融・貫通した原子炉3基から出て日本に降った放射能を比べてもあまり意味がないような気がします。日本にどれだけ放射能が降って汚染されたか、ということに限ると、核実験時と福島事故後は全く比べ物になりません。

福島事故後の福島県、宮城県、新潟県を初めとした東北関東中部の県の土壌から検出された放射性セシウムを同じ表に入れようと思ったら、Y軸を対数にしないととても収まりません。ためしにお絵かきプログラムでY軸を対数にして、今回の事故での土壌汚染がひどい場所の数字(数千~数十万ベクレル/キロ)の範囲を緑の楕円で示してみました。水田というわけではなく、土壌一般です。(Y軸の目盛りは10の3乗以降は付け足したものですので厳密に正確なわけではありません。また、楕円の形に意味はありません。適当にご覧ください。)

100ベクレル/キロを超える汚染は1967年以来例のない汚染、ということになりますか。

Sunday, September 25, 2011

福島市大波地区の「除染」の効果、ほとんど認められず

それどころか、5地点で「除染」後の線量が上がっています。

昨日のポストで、神戸大学の山内知也教授の福島市渡利地区の「除染」事業に関する報告書をご紹介しましたが、大波地区の結果を見ると渡利地区以上に、現在行われている「除染」に疑問がわいてきます。

福島市公表の資料「大波地区での放射能除染事業の結果(速報)」によると、除染は大波小学校の通学路沿いに8月9日から12日にわたって行われ、除染前の8月4日と除染後の8月19日に放射線レベルの測定が行われています。

「除染」作業として行われたのは、草刈り、歩道の高圧洗浄、ブラッシング等、側溝及び側溝集水枡の土砂上げ、とのこと。8月10日の日テレのニュースクリップを見ると、市委託の清掃業者がたいした防備もせず道路の脇を高圧洗浄機で洗い流しているだけ。あとは、ロードスイーパーで国道沿いの道路脇の土埃をブラッシングしている光景が。これはただの清掃であって、「除染」でもなんでもない気がするんですが、下の地図でご覧になれるように、放射線量はほとんど下がっていません。



いつまで続く「除染ごっこ」。日テレのニュースに出てくる大波地区の住民の方は、「何を今更」とおっしゃっていました。

Saturday, September 24, 2011

神戸大学山内知也:福島市渡利地区、「除染はできていない」

神戸大学大学院海事科学研究科の山内知也教授(放射線物理、放射線計測)による9月20日付けの報告書は、福島県福島市渡利地区の除染の効果を調べたものですが、教授の結論は多分地区の方々、福島市民、福島県民および東日本の方々が聞きたくないことでしょう。

除染が出来てない、というだけでなく、今のやり方ではやってもほとんど無駄、やらないと天然濃縮で放射線が上がり、実際に除染、つまり放射能を除去する、ということがそこに人を住まわせたまま、住まいや景観を破壊することなしに可能なのかどうか、ということにも疑問を投げかけています。

以下に、報告書の概要部分をコピーします(強調は私):

『概要:2011年9月14日、福島市渡利地区において空間線量の計測を実施した。「除染」が行われたということであったが、6月の調査において最も高い線量を記録した側溝内堆積物には手が付けられておらず、地表面における空間線量は当時の2倍に上昇していた。「除染」のモデル地区としてある通学路がその対象になったが(「除染モデル事業実施区域」)、その報告によると平均して7割程度(約68%)にしか下がっておらず、空間線量も1〜2 μSv/hに高止まりしている。今回の調査においてもその通学路の周辺において20 μSv/hを超える非常に高い線量が地表面で計測された。コンクリートやそれに類する屋根の汚染は高圧水洗浄によっても除去できておらず、住宅室内における高い線量の原因になっている。除染の対象にはされなかった地域の水路や空き地、神社、個人宅地内の庭で高い線量が計測され、最も高い線量は地表で20 μSv/hを記録した。本来の意味での除染はできていない。』

除染が出来ていない、というだけでなく、山内教授は放射性物質の天然濃縮が行われ、逆に放射線量が上がっている、と言います。地区内の小倉寺稲荷山での前回測定を踏まえ、今回の調査で分かったことは、

『前回の計測でここは最も高い汚染土壌が採取された場所であり、それはキログラム当たり4万ベクレルを超えていた。またそのような土壌を採取した地表面での線量は7.7μSv/hや11.5 μSv/h を記録したのであったが、それから3ヶ月近くが経過した時点でそれらは20μSv/h を超えていた。ここでは除染は行われておらず、天然の濃縮が進行していた。降雨の度に近隣の山林から放射性セシウムが流入していると見られる。

更に悪いニュース。「学童保育教室」の建物の中のほうが玄関先よりも線量が高く、また床面より天井に行くほど線量が上がっている、とのこと。原因は高圧洗浄したはずの屋根。

『<学童保育教室>
学童保育が行われている建物の内部で、床面よりもはりの高さで、また天井の高さで、高くなればなるほど線量が高くなるという傾向が確認された。人の立つ高さで0.5 μSv/h であり、天然バックグランドの10 倍である。玄関での線量は室内よりも低いことが認められた。敷地外部の土壌汚染による線量増強以外の効果が作用していると考えられた。屋根の直上と庇の下の線量を計測すると屋根の線量がより高くなっており、コンクリート製の瓦の表面に付着した放射性セシウムが室内の線量増強をもたらしていることが確認された。屋根は面積が広く当然のこととして室内を覆っているために汚染の程度が相対的に低くても大きな効果を及ぼす。この屋根は高圧水洗浄をしたということであったが除染は出来ていなかった。』

教授は渡利地区で8月24日に行われた「除染モデル事業」を評価して、「まったく除染になっていない」、と言います:

『図3に「除染モデル事業」の実績を示した。除染とは放射能汚染を取り除くことであるが、実態として除去できていない。「除染」の前後で空間線量は平均して68%に低減したが、半分以下にもなっておらず、除染とは言えない。依然として子供らの通学路は1〜2μSv/hにあり、場所によっては 4 μSv/hに達したままである。除染作業の実態としては堆積した泥を取り除いたということに尽きる模様である。アスファルトやコンクリートが汚染しており、除染するにはこれらも取り除く必要がある。また、道路に面する住宅の庭やコンクリートブロックについても除染/取り除く必要がある(これは街の破壊を意味する)。』

コンクリート、アスファルト、屋根材に付着、吸着した放射性セシウムは高圧洗浄機では取れないようです。もっと早くやっていれば取れたのか、それとも元から強固に密着しているためにいずれにしてもだめだったのか。教授は、泥をすくうだけでは何もならない、コンクリート、アスファルトの汚染はそのままで残り、今後も堆積していくだろう、と言います。また、原理的に除染は広い範囲でやらないと効果は少ない、と言い、結論の最後の部分は深刻です:

『文字通りの「除染」は全く出来ていない。Cs-134 の半減期は2年、Cs-137 のそれは30年である。したがって、この汚染は容易には消えず、人の人生の長さに相当する。そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない。

報告書には、具体的な測定の数字、グラフなどが出ています。是非お読みください。

また、報告書の中で教授は、高線量の通学路を先生に引率された児童数十名が何の防備も無く通り過ぎる様子、他の市で避難勧奨指定になるような線量の中で人々が何も知らず過ごしていることなどを淡々と記述しています。

南相馬市などは独自の除染を児玉教授の東大アイソトープセンターと協力してやっていますが、本当に線量が除染によって恒久的に下がるものなのか、山内教授の報告書を見ると悲観的になります。

福島原発2号機、3号機の格納容器位置から出る蒸気

東京電力が、放射性物質検査のための無人クレーンの先にビデオを付けて撮影した、2号機と3号機の建屋最上階の様子を公開しました。

2号機のビデオは建屋の東側に開いた穴から9月17日に撮影したもの、3号機は上空から、8月24日に撮影したものです。

どちらも、格納容器が位置する場所から蒸気が上がっているのが見えます。東電によると、「湯気の下には原子炉がある。原子炉から漏れた水蒸気が立ち上っているのか、雨が入り込んで原子炉のふたの熱で蒸発しているのではないか」 とのことですが(朝日新聞9月24日)、雨が蒸発するにしては蒸気の出方は間欠的で、特に3号機はがれきの奥のほうからあがっているように見えます。

ビデオを見た英文ブログの常連で原子力関連の知識が豊富な方のコメントでは、1~3号機の原子炉は燃料が溶融した上に大量の海水を入れて冷却しようとしていたので、溶融燃料の上には塩がそれこそ何トンもかさぶたのようになって張り付いていて、冷却を阻んでいるはず、また、このように蒸気と共に放射能が出続けている状態で建屋を(1号機でやっているように)カバーでふさいだら建屋内の放射線量が更に上がり、それこそ作業員が全く入れなくなるのではないか、とあります。

ともあれ、ビデオをご覧ください。毎日新聞の動画コーナーはリンク、埋め込みコードをちゃんと提供してくださるのでよく利用しています。東電は「報道配布 写真・動画ダウンロード」ページでZIPファイルを提供していますので、記録用にコピーしたい方はこちらへ(2号機3号機)。

2号機:



3号機:



これを見てもまだ日本政府は福島原発事故は安定収束中、と主張するのでしょうか?(するんでしょうねえ。)

福島原発1号機格納容器につながる配管内の水素、濃度100%の可能性

9月23日のニュースではこの配管から1万ppm、つまり1%以上の濃度の水素ガスが検出された、とありました。福島作業員(と思われる方)のTweetでは4万ppm以上、つまり4%以上の濃度。水素濃度がが4%を超えると水素爆発する可能性が高くなるのですが、24日になって、もっととんでもない値らしい、ということをほかならぬ東電が認めました。

配管内のガスは100%水素であるかも知れない、というのです。

ちなみに、通常の大気中の水素濃度は2万分の1パーセントです。

時事通信9月24日付け記事

福島第1原発1号機の格納容器につながる配管から1%を超える濃度の水素が検出された問題で、東京電力は24日、配管内部の気体はほとんどが水素である可能性が高いと発表した。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は同日の記者会見で、「着火源がないので、直ちに爆発のリスクが高いとは言えない」と述べた。

 東電によると、23日午後に配管の出口部分の気体を複数回測定したところ、いずれも「水素を含む可燃性ガスが100%以上」との数字が出た。今後、水素だけを計れる測定器を用意し、正確な濃度を測定する方針。

この水素ガスはどのように発生したのか。1号機建屋が3月12日の午後に爆発したときには、原子炉内の燃料の被覆管材料のジルカロイ(ジルコニウム合金)が水蒸気と反応して水素を大量発生し、爆発につながった、とされています。が、既に燃料は溶融し制御棒も被覆管もいっしょくたに混ざって圧力容器の外に落ちていることを東電も認めています。被覆管のジルカロイのほかに水素の発生源はあるのでしょうか?

今回の1号機の配管の水素に関係あるかどうかは私には分かりませんが、沸騰した水に放射線を当てると放射線分解で水素が発生する可能性があることが、9月13日の毎日新聞に出ていました:

東京電力福島第1原発4号機で起きた原子炉建屋の爆発について、沸騰した使用済み核燃料プール内で、水の放射線分解が進んで、水素が大量発生したことが一因との分析を、東京大や日本原子力研究開発機構のチームがまとめた。放射線は、水を水素などに分解する。19日から北九州市で始まる日本原子力学会で発表する。

4号機のプールには、事故を起こした1~4号機の中で最も多い1535本の燃料棒が入っていた。東日本大震災発生当時、定期検査で運転停止していたが、津波で電源を喪失。冷却機能が失われ、地震発生から4日後の3月15日に爆発した。

水素 爆発を起こした1、3号機では原子炉内にあった燃料棒が損傷し水素が発生したとされるが、4号機の燃料棒に目立った損傷はなかった。東電は排気筒を共有する3号機から水素が流入して、4号機の水素爆発にいたったと推定している。

 しかし、チームは3号機と4号機の爆発に約20時間の差があることに注目し、他の要因があると推測。フラスコ内の水を室温、97度、沸騰状態の3段階にして、放射線を照射。発生した水素の濃度を調べたところ、97度で室温の1.5倍、沸騰状態で100倍となることが分かった。

 水素は空気中の濃度が4%を超えると爆発の危険性が出てくる。建物上部にたまった水蒸気は壁で冷やされて水に戻るが、水素は気体のままで空気中に占める割合が高まったとみられる。

 チームの勝村庸介・東大教授(放射線化学)は「3号機からの流入に加え、放射線分解が重なったのではないか。今後、実際の原子炉建屋やプールの規模で起こるのかを検証したい」と話す。

 東電は「理屈上はありうるが、爆発させるほど水素が大量発生するかどうかは不明」としている。

それで思い出したのが、1号機の原子炉建屋地下から一階に噴出していた(今もしているのかは不明)毎時4シーベルトの蒸気。地下水が沸騰していて、しかも溶融燃料が地下室のどこかに落ちているとしたら、そこから出た放射線が沸騰している汚染水を分解して水素を発生させている可能性はあるのでしょうか?

ただ、100%水素ということになると、水分解で出るもう片方、酸素が出ていない、ということでしょうから、まだ残っていた燃料の被覆管のジルカロイが反応している?(もう真夜中もいい加減過ぎましたので素人考え休むに似たり、休むことにします。)

それにしても、水素ガスが100%というのは何かの計測ミスであることを望みます。万一着火でもしたら、もう野田首相やそのほかの閣僚の方々が世界で言いまわっているらしい、「原発事故は収束の方向に向かっている」「冷温停止を前倒し」などという夢物語は、まあ夢で終わります。悪夢です。

Friday, September 23, 2011

枝野経産相、インドネシアにインフラ事業売り込み、シンガポールで東北産食品の安全性をアピール

農水省が日本食を「世界文化遺産」に登録しようとし、外務省はツイッターやフェースブックのフォロワーの多い外国人を日本に招いて「好意的な」発信をしてもらおうと計画する中、負けてはならじと経済産業省。かの枝野『直ちに影響は無い』幸男氏が経済産業相としてシンガポールを訪問し、東北産の食品の安全性をアピールしたそうです。

シンガポール?シンガポールだけが目的の外遊なんて聞いたことがないなあ、と思い、調べたところ、枝野さんの経済産業相としての初の外遊地はシンガポールの前日のインドネシアでした。大規模インフラ事業の売り込みです。枝野さんに限ったことではありませんが、日本政府は既に福島第1原発事故、東北関東の放射能汚染は過去の終わった話、として行動、発言しているような気がしてなりません。

まずシンガポール訪問から。

9月23日付け共同通信記事

【シンガポール共同】枝野幸男経済産業相は23日、シンガポールで同国のヤーコブ・イブラヒム情報通信・芸術相と会談し、「日本の農産品の安全性は客観的、科学的に検証している」と述べて、東北など日本産の食材が東京電力福島第1原発事故で被っている風評被害の払拭に努めた。

 経産省は東北地方の食文化に加え、ファッションなど3分野で、シンガポールにおける日本企業の事業展開を支援する方針。シンガポールに日本食の店を開設し、両国の食品関係者が協力してメニュー開発することなどで、日本のブランドイメージの向上を図る。

どうもインドネシア訪問の息抜きみたいですね。ほかに理由があるのかもしれませんが、いわゆる「風評被害」なるものの払拭に努めるのにわざわざ大臣が訪問するなら、もっと貿易取引高の高い地域から行くのが普通ではないかとは思います。また、シンガポールで数年仕事をしていた時の話ですが、日本企業はもう十二分にシンガポールで事業展開しています。わざわざ経済産業省の支援が必要だとも思えません。

さて、そのインドネシア訪問の内容。産業空洞化で国内で生産して売るものがなくなってきている日本。国が大手企業と組んで大規模プロジェクトを発展途上国に売り込む、というのが福島原発事故以降も変わらない政府の姿勢のようです。(売り込むのに使っているのは国民の税金なんですが...。)下の記事に唯一書かれていないのが、原発の支援。

NNAアジア9月23日付け記事より:

枝野幸男経済産業相は22日午前、経産相として初の外遊先となったインドネシアで、同国のハッタ経済担当調整相ら閣僚数人と会談し、両国の貿易・投資関係を深化させることを確認した。日本側はインドネシアのインフラ整備に対する支援を惜しまないことを約束した一方で、鉱物資源の日本への安定供給や、現地に進出する日本企業の多くが直面する税制問題などの解決に向けた協力を求めた。【久保英樹】

枝野経産相はインフラ事業に関し、先に中部ジャワ州の石炭火力発電所(容量1,000メガワット2基)を電源開発(Jパワー)と伊藤忠商事を含むコンソーシアムが受注したことに対して謝意を表明。その上で、先月に円借款で設計業務を行うことが決まった西ジャワ州のインドラマユ石炭火力発電所にも日本企業が参画できることに期待を寄せた。都市交通の分野でも協力していけることを強調した。

これを受けてハッタ調整相は、スカルノ・ハッタ国際空港とジャカルタ中心部を接続する鉄道などを含む首都圏の鉄道網の整備、新たな港湾の建設について、日本の協力を求めた。

枝野経産相は2国間関係についての話し合いで、エネルギー関連の懸念事項として、インドネシアで2009年に施行された鉱物石炭法『09年第4号』に関連し、14年1月から未加工の鉱物資源の輸出が禁止される規定を挙げ、日本への鉱石輸出が継続できるよう要請した。ハッタ調整相は「これまで日本企業が手掛けてきた既存鉱物資源の契約は大切にする」と述べるにとどまった。

同経産相はこのほか、工場向けエネルギー管理、自然エネルギーとの連携、蓄電池、燃料電池、配電自動化、系統安定制御などの「スマートコミュニティー」技術の導入を具体的に進めるため、今年11月に日本から官民から成る使節団を派遣して議論を深める考えを示した。

また、三菱航空機が開発する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の国営ガルーダ航空への販売についても支援を仰いだほか、進出企業が移転価格税制の適用を受けて苦しんでいる現状を訴えた。ハッタ調整相は税制問題に関しては、専用のヘルプデスク開設や関連法案の改革で対処する考えを明らかにした。

同調整相からは、▽エネルギー下流部門▽石油化学▽鉱産物の加工▽自動車・自動車部品の投資促進▽食品加工――の5分野での協力を求められ、枝野経産相は「前向きに検討したい」と応えた。このほかにも東アジア経済統合についての意見を交わし、11月にインドネシアのバリ島で開催される東アジア首脳会議(サミット)で議論を深めていくことを確認した。

■副大統領ら他閣僚とも会談

枝野経産相は同日午後、ブディオノ副大統領、ヒダヤット工業相、マリ商業相などの閣僚と相次いで会談した。

ブディオノ副大統領とは、インドネシア首都圏を中心としたインフラを整備する計画「首都圏投資促進特別地域構想(MPA)」で両国が協力していくことや東アジア経済統合に向け作業部会を設置すること、エネルギー分野での協力関係を深めることなどを話し合った。同副大統領は、インドネシアは天然資源が多いのに加え、若年労働者が豊富なこと、各種マクロ経済指標が好調なことから、投資先として魅力的であるとアピールした。

ヒダヤット工業相は、これからも日本からのさまざまな産業投資に期待しているとした上で、特に自動車産業のすそ野を広げる投資を求めた。

マリ商業相とは、2国間の知的財産所有権の枠組みを、来年2月に東京で開催される日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の知財に関する会合で具現化することなどを確認した。

また、各閣僚にも未加工鉱物資源の輸出禁止に対する懸念をあらためて表明。インドネシアが鉄鋼品へのダンピング(不当廉売)調査を行っていることに対しても、同国の利益にはならないとの考えを伝えた。

同経産相は今回、MPAの閣僚級運営委員会に出席するためにジャカルタを訪れた。同委員会にはハッタ調整相との会談後に参加し、同相と共同議長を務めた。

23日にはシンガポールを訪問し、ヤコブ・イブラヒム情報通信芸術相らと会談する予定だ。

Thursday, September 22, 2011

福島県、一件5000円で南相馬市のWBC検査結果を購入したい、と打診

上昌弘さんのツイートから。上昌弘さんは、東京大学先端医療社会コミュニケーションシステム、社会提携研究部門の特任教授、という方ですが、ツイッターのプロファイルには「内科医です」と書かれ、福島、特に事故の初期から飯舘村などで住民の方の健康診断などに奔走なさっていたのをツイッターで記憶しています。

9月21日のツイート
福島県から南相馬市立総合病院に「WBCのデータ、一例5000円出すから、福島県に渡すように」と連絡があった。「患者の個人情報」を何と思っているのだろうか。本当に、浜通にいると俄には信じられない経験をする。

その行き先は言わずと知れた福島医大。朝日がん大賞を受賞された教授のいらっしゃるところです。その福島医大、福島県と組んで、国の第3次補正予算に1000億円の要求を盛り込んでもらって、放射線医療の拠点作りをしたいとか。そのニュースはここでお読みいただけますが、再び上昌弘さんのツイートから。

9月20日ツイート1
知人の医師から 福島県立医大について連絡ありました。「福島県立医大の知人からも連絡がありました。学内では一切議論されていないようです。病院幹部も後のことを考えていないと思います。県の幹部が業者に投げて作った案だと思います。」

9月20日ツイート2
続き 「県庁の役人が支配している大学にまともな研究者が行きたがるはずがありません。現時点で800床ですが、病床はいつも混んでいないとのこと。あらたに病床を作る意味はありません。新たに330床の病院を増設しても患者がきません 病院はまず大赤字になります。赤字垂れ流し病院になります。

9月20日ツイート3
つづき 「こんな火事場泥棒大学が、被災者のことを真剣に考えるとは思えません。被災者をだしにつかっているだけです。地元の医療法人の病院は、病床が開 けず収入が減少したため、医師を含めて、給料を大幅にカットしています。ますます医療従事者が流出します。地元の医療機関を支えるべきです。


また、県と福島医大は、飯舘村で検査結果を大学によこせ、と要求したようです。

9月20日のツイート
また、びっくりしたことがあった。飯舘村の保健師さんが紙をもってきた。昨日、福島医大から依頼書が送られてきたらしい。今回の検査結果を、福島県の調査 につかえるように住民から同意をとるようにとのこと。腹が立った。研究者が自分できてやることだ。住民のケアに忙しい保健師に押しつけるな

ああまったく。福島県知事が原発依存脱却を公言したのは次なる利権の目処がしっかり立ったからだろう、と思い確かブログでもそう書きましたが、その利権はやっぱり放射能をネタにして建設業者とつるむ、といった、原発依存とほとんど変わる事のないパターン。

南相馬市の人口は原発事故前で6万7千人、検査1件で5000円、全員検査だとするとそれだけで3億3千5百万円。それでも、1000億円の国家予算を要求する大学病院ですから、3億はまあはした金なんでしょう。

Tuesday, September 20, 2011

東北文教大松田浩平教授:国の暫定基準値の500Bq/Kgは全面核戦争時の食物の汚染上限

(ひええー)

教授のフェースブックのページに載っているらしいのですが、私はフェースブックをやらないので見ることが出来ないなあ、と思っていたら、ちゃんと全文コピーしていらっしゃる方々が。そのお一人のブログからコピーさせていただきました。以下、コピー。(強調は私です。)

【食料生産者の皆さんへ】国の暫定基準値の500Bq/Kgは全面核戦争に陥った場合に餓死を避けるためにやむを得ず口にする食物の汚染上限です。もしも放射性セシウム137が500Bq /Kgも含まれた食品を3年食べたら致死量に達します。全てが基準値ぎりぎりではないとしても重複内部被曝を考えれば政府の暫定基準値では10年後に半数以上の国民が致死量以上に内部被曝する可能性が95%を超えます。つまり暫定基準500Bq/Kg未満で安全宣言すると言うことは、その食品を食べた人が 10年後に半数は死亡してもかまわないと言っているのと同じだと言うことを忘れないでください。

追記、500Bq/Kgでやむを得ず食べる場合の期間は3ヶ月とされています。全面核戦争で食べ物がない場合の基準が規定の2倍の期間も放置されています。

松田浩平教授のご専門は「実験心理学」。面白そうな学問です。

そういえば、一時この暫定基準が低すぎる、として、もっと高くしたほうが良い、というような意見が政府の原子力安全委員会で出ていました。確かちょうど、某県の某知事が新茶から検出された基準値をはるかに超える放射性セシウムを巡ってたいそう騒いでいらした頃の話だと記憶しています。

教授の発言の根拠は分かりませんが、事故直後の3月に、国際放射線防護委員会(ICRP)が「放射能汚染は続く可能性があると指摘し、汚染地域の住民が移住しなくてもいいよう、日本政府に配慮を求め」、年間被曝限度量は1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの間が妥当だ、と勧告しています。(朝日新聞3月26日付け記事参照。)

汚染されていない食物を生産できる地域があるにもかかわらず汚染地域からの肉、野菜をそういう地域にまで流通させ、それでも足りないと見えて放射性腐葉土、セメント、ごみ焼却灰まで流通させる。

考えてみれば、福島第1原発事故は核爆弾の落ちなかった核戦争といえるのではないでしょうか。セシウム137だけで広島原爆の168個分、47都道府県で各都道府県につき平均約3.6個分ですか。

米国ニューヨーク州で大規模な反原発デモ予定

日時は10月3日午後0時から3時30分まで。ヘレン・カルディコット博士による基調演説、共催者にグリーンピース、環境保護団体のシエラ・クラブ、消費者保護運動を続けてきたラルフ・ネーダー氏など、著名人・団体が名を連ねています。(大規模かどうか、ふたを開けてみなくては分かりませんが、スピーカー、共催者を見ると結構規模が大きいのかと思います。)英語ブログのコメント欄にポストしてきた方がいらしたので、リンク先のサイトに行って見ました。

デモを企画しているのは、”Coalition Against Nukes"、そのものずばり「反核連合」という名の組織です。

デモの目的はどうも2つ、日本への支援と、自国での原発の安全性(特にニューヨーク州ハドソン川岸にあるインディアン・ポイント原発)に疑問を投げかけ抗議すること。以下、この組織の9月12日付け紹介ページからの私訳です。(ほとんど見直してませんので、大筋はあっていると思いますが細かい表現などはご容赦。)

(Long Island, NY, September 12, 2011) The Coalition Against Nukes National Day of Action flagship rally will be Saturday, October 1, 2011 at Pier 95 Hudson River Park, NYC, from Noon to 3:30 pm, with more events happening throughout the United States. Visit www.CoalitionAgainstNukes.org.

(ニューヨーク州ロングアイランド2011年9月12日)「反核連合」初の全国集会が2011年10月1日土曜日の午後0時から3時30分まで、ハドソン川公園の第95桟橋付近で開催されます。同時に全米各地でも集会が行われます。詳細はwww.CoalitionAgainstNukes.orgのサイトでご覧になれます。

The Fukushima Daiichi meltdowns inspired this grassroots action. It was intensified by the August 23 magnitude 5.8 earthquake that caused two reactors at Virginia’s North Anna nuclear plant to shut down. Twelve reactors up and down the eastern US reported "unusual events" to the NRC.

福島第1原発のメルトダウンは、ここアメリカでの草の根運動を呼び起こしました。バージニアのノース・アンナ原発の2基の原子炉をシャットダウンさせた、8月23日のマグニチュード5.8の地震によって、この運動は更に強まりました。アメリカ東部の12基の原子炉で、何らかの「異常事象」が発生した、と原子力規制委員会は発表しています。

Then, on August 28, Hurricane Irene demonstrated powerfully that electrical power and transportation routes can be disrupted over a very large area-for days and weeks.

更に8月28日、ハリケーン・アイリーンの襲来によって、電力、交通網が広い範囲にわたって何日も何週間も途絶しうることがはっきりしました。

In New York, Entergy’s aging, leaky, 40-year old Indian Point nuclear reactors, with uncorrected safety concerns yet under consideration for additional 20-year relicensing by the Obama Administration, are located near 2 fault lines, just north of NYC in a very densely-populated area. Twenty million people live within 50 miles of Indian Point in NY, New Jersey and Connecticut.

ニューヨーク州では、Entergyの老朽化したインディアン・ポイント原発が、操業開始から40年経ち安全性の問題が改善されていないまま、現在オバマ政権の下で20年の運転延長の審査中です。インディアン・ポイント原発の50マイル圏内(80キロ圏内)には、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州の2千万の人が住んでいます。

We stand with the people of Japan who are suffering this ongoing nuclear disaster. We cannot let that happen here!

私たちはいまも継続している核災害に苦しむ日本の人々と共に立ち上がります。ここで[アメリカで]そのようなことを起こしてはなりません!

WHEN:
日時
Saturday, October 1, 2011 from 12:00pm - 3:30pm
2011年10月1日土曜日、午後0時から3時30分

WHERE:
場所
Hudson River Park, Pier 95, 12th Ave @ West 55th Street, NYC
ニューヨーク市ハドソン川公園95番桟橋(西55番街と12番街付近)

And in: California, Connecticut, Florida, Illinois, Massachusetts, Michigan, New Jersey, North Carolina, Ohio, Virginia and Washington.
同時に、カリフォルニア州、コネチカット州、フロリダ州、イリノイ州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ニュージャージー州、ノースカロライナ州、オハイオ州、バージニア州、ワシントン州でも開催

WHY:
開催理由

The health impacts of Fukushima are far from over. We are forced to watch Japan succumb to a growing medical and environmental catastrophe that will unfold for generations, and may equal or surpass the damage of Chernobyl. Fukushima made it very clear what happens when back-up systems fail, government withholds information, and Industry is in charge of safety.

福島事故の健康への影響は始まったばかりです。私たちは、日本が今後何世代にもわたって、チェルノブイリ事故の被害をも上回るような健康上の、そして環境への大災害を蒙っていくのを見守ることを余儀なくされています。福島事故ではっきり分かったのは、バックアップシステムが作動しないとどうなるのか、政府が情報の開示をしないとどうなるのか、原子力業界が安全性の責任を持つとどうなるのか、ということでした。

The American public must be roused to the danger of the nuclear power industry and the cozy regulatory milieu, including hasty relicensing of old plants, lack of security and permanent storage for radioactive waste, insufficient evacuation plans, billions in taxpayer subsidies, and more.

アメリカの一般大衆は、原子力業界の危険性について、また、古い原発の運転免許が簡単に行われること、安全性の欠落、放射性廃棄物の最終保管場所の欠落、不十分な避難プラン、何十億ドルもの納税者からの助成金、といった、業界と政府規制側の癒着関係の危険性について認識する必要があります。

"Consider the economic consequences of a meltdown at Indian Point from an earthquake. New York, the world’s financial capital, could be rendered virtually uninhabitable," said Dr. Helen Caldicott, co-founder of Physicians for Social Responsibility and keynote speaker for the NYC Rally.

「地震によってインディアンポイント原発がメルトダウンを起こした場合の経済的な影響を考えてみてください。世界の金融の首都であるニューヨーク市はほとんど人の住めない場所になりかねないのです」、と、「社会的責任を果たすための医師団」の共同創始者であり、ニューヨーク市の集会での基調演説を行う予定のヘレン・カルディコット博士は言います。

"Fukushima fallout is traversing the Northern Hemisphere, turning up in milk, food, and water; on tourists in airports, and products in shipping bays around the world," Caldicott said.

「福島原発からの放射性降下物は北半球全体に広がっています。牛乳、食物、水の中からも検出されています。空港の観光客の上にも、世界各地の港湾に届いている製品にも」。

Coalition Against Nukes executive director Priscilla Star lives downwind across the Long Island Sound from Millstone Power Station’s nuclear reactors in Waterford, CT.

「反核同盟」の会長であるプリシラ・スターは、コネチカット州ウォーターフォードのミルストーン発電所原子炉の風下、ロングアイランドの南部に住んでいます。

"We hear from Japanese people affected by Fukushima every day at the Coalition Against Nukes Facebook page," said Priscilla Star, executive director. "They’re afraid to abandon their homes and businesses, but afraid to stay while they get increasingly sick with symptoms of radiation sickness," she said. "They’re frightened for their children and it just breaks your heart."

「福島事故によって影響を受けている日本の人々から毎日のように、私たちの反核同盟のフェースブックにメッセージが寄せられます」、とプリシラ・スター会長は言います。「家や仕事を投げ出すことは出来ない、でも、放射線被曝症状で健康を害されながら留まることもおそろしい。自分たちの子供のことを思って恐ろしいのです。本当に心が痛みます。」

"We have 104 nuclear reactors here in the US, as well as earthquakes, tornadoes and hurricanes. We’re just as vulnerable," Star said.

「アメリカには104基の原子炉があります。地震、竜巻、ハリケーンもあります。私たちも日本同様、弱点だらけ、無防備なのです。」

日本国民への同情、それとフクシマをアメリカで起こさせるな、という趣旨ですね。ちなみに、インディアンポイント原発の原子炉はウェスチングハウス(現在は東芝の100%子会社)の加圧水型原子炉です。福島第1原発の沸騰水型のマーク1型原子炉よりは安全性の面ではましのようですが、老朽化原発であることには変わりはありません。

で、この後にスピーカー、協賛者のリストが続きます。(そこは英文のコピーで失礼。)

  • Dr. Helen Caldicott – Keynote
  • Dr. Caldicott is a pediatrician who has devoted the last 38 years to education about the health hazards of the nuclear age. She is the co-founder of Physicians for Social Responsibility.
  • Brent Blackwelder, President Emeritus, Friends of the Earth, and the most senior environmental lobbyist in Washington D.C.
  • Former US Congressman John Hall represented NY’s 19th District, including Indian Point. Co-founder of Musicians United for Safe Energy—MUSE
  • Harvey Wasserman anti-nuclear activist, author of SOLARTOPIA!: Our Green-Powered Earth, A.D. 2030
  • Kevin Kamps, Radioactive Waste Watchdog at Beyond Nuclear.
  • Karl Grossman, investigative journalist, author, and professor at SUNY Old Westbury, recipient of the George Polk, James Aronson and John Peter Zenger Awards
  • Alice Slater, Founder of Abolition 2000, NY Director of Nuclear Age Peace Foundation and its UN representative.

  • Rally co-sponsors: Friends of the Earth, NYC Sierra Club, Greenpeace, Ralph Nader, New York Physicians for Social Responsibility, NYPIRG, Hudson River Sloop Clearwater, Helen Caldicott Foundation, IPSEC, Beyond Nuclear, Westchester Citizens Awareness Network, Shut Down Indian Point Now, Time’s Up, ECOFEST, Rock the Reactors.

    単に日本に同情する、というだけでなく、フクシマをきっかけに自分達の国にある原発はどうなのか、今何とかしないと将来とんでもない事故になるのではないか、と一部のアメリカ人が気づき出して行動を起こそうしているとしたら、日本の皆様の3月の事故以来のご苦労も無駄ではなかった、無駄どころか大いにインスピレーションになったのだ、と思います。

    「パレード」と茶化したいマスコミには茶化させておけばよいのです。児玉教授の「得手に帆掛けて」ではありませんが、一人一人が出来ること、得意なことをやればよいのです。私はこうしてブログを書いて皆様に情報をお届けすることに努めるのが得手と心得ております。

    Sunday, September 18, 2011

    外務省、フェースブック、ツイッターの海外の発信者を福島、宮城などに招いて「風評被害」の解消狙う

    日本の政府にお願いです。これ以上全世界に恥をさらすのはやめてください。福島第1原発の事故後の対応のまずさ、情報の隠蔽、放射能汚染を「風評」と片付ける、放射能に対する認識の欠如などは、もうとっくに世界にばれています。はっきり言って、笑い者です。福島原発で働く作業員の方々に支給されていた昼食が廃止になっても、政府は知らんふりをしていることも知っています。

    ジェット気流に乗って福島の放射能は広く北半球に拡散しました。汚染された海水は、海流に乗って太平洋の東側に到達します。外国の専門家の中には、放射性汚泥、がれきの焼却で再度放射能が拡散されることを心配する人々もいます。

    いったい何を考えてこんなことを企画するんですか?こんなことに15億円も費やすより、その金で(どうせ借りた金しか日本政府は持ってませんが)正確なサーベイメーターでも市民団体に買って渡したらどうですか。

    外国から人を招いてわざわざ高線量、高汚染の地域に行かせて地元の産物を食べさせ、それで好意的な記事を書いてもらえれば「風評」が無くなる?「風評」すなわち「放射能」と認識されていることを、知らないんでしょうか。

    毎日新聞9月19日付け記事

    東日本大震災:「日本安全」つぶやいて 風評対策、海外からツイッター発信者ら招待

     外務省は、東京電力福島第1原発事故による日本の農産物や観光などへの風評被害対策として、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアの発信者を海外から招く準備に入った。世界で5億人以上が利用するとされるソーシャルメディアが、中東政変などで大きな影響力を見せていることに着目した試験事業。被災地を回った発信者に、安全性や感動を伝えてもらうことで、風評被害の緩和を狙う。

     東日本大震災からの復旧に向けた11年度第2次補正予算で、外務省は風評対策のため、15億円を計上した。外務省として初めての発信者招待は、この対策の一環。

     11月ごろから、欧米や中国、中東などから、読者の多い発信者約15人を数回に分けて、福島、宮城、岩手県などに招く方向で、在外公館を通じて参加者を選ぶ。

     ソーシャルメディア関係者が、日本に好意的な書き込みをする保証はないが、外務省の担当課は「現地に足を運び、特産物を食べてもらった上での発信だけに、風評ではない信頼性の高い内容になる可能性が高い。迅速、大量、広範囲に情報を届けることもできるはず」と期待。さらに、海外の新聞やテレビ関係者を数十人ずつ被災地に招き、より広範囲に日本の農産物、観光情報を発信したい考えだ。

     風評対策事業ではこのほか、日本産品の安全性を伝える著名人のテレビコマーシャルを海外で流し、各国の在外公館で被災地産品の物産展や試食会の開催も計画している。【犬飼直幸】

    おまけに海外での物産展や試食会??(ため息。)暫定基準値を超えているのにうちの新茶は安全です、とニューヨークに乗り込んでいたどこぞのオクスフォード大卒の知事と同じレベルか。

    さて、政府の尻馬に乗っかる「著名人」は誰でしょうね。海外で知られている人、となると、まあ限られてきますが。東電のコマーシャルや原発推進コマーシャルに出演した「著名人」の方々の中には公開されている方もいるとか。

    外務省官僚の認識が徹底的に間違っているのは、「中東政変などで大きな影響力を見せていることに着目した」ことです。確かにフェースブック、ツイッターは大きな影響を与えました。私も、福島の事故があるまではエジプト、リビアの革命をフォローしていましたから、よく知っています。しかし、フェースブック、ツイッターで情報を拡散していたのは*革命側*です。政府のプロパガンダを信用しないことが身についている人々が、自分たちの情報を流し始めたのです。

    それを誤解して、政府のプロパガンダに使える、と思ったわけだ。ムバラク大統領やカダフィ大佐の支持者がツイッターで情報発信していた、なんて話は聞きませんでしたが。日本政府が考えているのは、アメリカのオバマ大統領が選挙戦でやったような、まあ「やらせ」のソーシャルメディアのことなんでしょうか、と思っています。

    日本の皆さん、こんなことに皆さんの税金、使われていいんですか?

    多分この15億円の予算の一部なんでしょうが、外務省はソーシャルメディアを使って日本政府のプロパガンダを海外に英語で流すアルバイト職員2名を募集しています。海外から招く予定のソーシャルメディア発信者の受け入れ、日程等の調整業務も仕事のうち。契約期間は10月3日から6ヶ月。週5日で29時間以内の勤務。

    やっているのは外務省外務省大臣官房広報文化交流部総合計画課 経理庶務班
    電話番号:03-5501-8127
    ファックス:03-5501-8126

    Saturday, September 17, 2011

    子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク:「朝日がん大賞に山下俊一氏を選んだ朝日新聞社に抗議します」

    子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
    代表世話人 中手聖一
    世話人一同

     貴社の9月1日付けの新聞を見て、わたし達「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の一同、また、一緒になって、福島の子どもたちを守る市民運動に参加している関係者は愕然とし、同時に怒りを抑えることができませんでした。

     なぜ、山下俊一氏の行っている行為がこのような形で評価されるのか、理解に苦しみます。氏の発言が、子どもたちを守ろうとしている福島の親たちをどれだけ苦しめてきたのか、またこれからも福島医大の副学長として福島県民を苦しめるつもりなのか、貴社の選考の基準には入っていなかったのでしょうか。

    山下俊一氏は、3月の下旬から福島県に入り、「年間100ミリシーベルトでも問題ない。妊婦でも子どもでも危険はない」という発言をくりかえしてきました。当時の同氏のこの発言は、福島市政だよりにも掲載され(別添1)、福島県内で「安全神話」を築き上げてきました。

    同氏は医学系の雑誌には、低線量被ばくのリスクを指摘する記事を書きながらも、福島では逆に低線量被ばくのリスクをまったく否定する言動をとったのです。ご存知のように、低線量放射線の影響は「閾値なしの線形モデル」を採用し、線量に応じた影響が生じるというのが、国際的な常識となっており、保守的な ICRPもそれを認めています。

    実際には、福島では、多くの地域では、本来であれば、一般人の出入りが禁じられる放射線管理区域以上の高い汚染が広がり、チェルノブイリ事故と比較しても安心・安全とはいえないレベルの状況が続いています。同氏の発言は、多くの方の避難を躊躇させ、また、福島に住み続けることについて安心感を得させ、家族不和まで生んでいるのです。さらに、「危険かもしれない」という市民が憂慮の声をあげられない空気をつくりだしました。

    この世に家族ほど大切な単位があるでしょうか。子どもほど大切な存在があるでしょうか。それなのに、同氏がつくりだした「安全神話」により、家族を守れずに、私たちがどれほど苦しんだか、言葉には言い尽くせないほどです。わたし達福島県民は、それでもなんとか明るく前向きに生きようと日々戦っているのです。

    私たちは、このように山下俊一氏が、県の放射線リスク・アドバイザー、県民健康管理調査委員会の座長にあることに強い危機感を覚え、同氏の罷免を求める署名運動を行い、6607筆の署名を得ました(別添2)。また、全国の署名運動では、1ミリシーベルト順守と避難・疎開と併せて同氏の罷免を求める要請項目を加えましたが、4万筆以上の署名が集まりました。

    このような市民運動は一切報道せず、山下俊一氏のようない人を「がん大賞」を授与するとは、御社の新聞社としての良識が疑われます。

    わたし達は山下氏への「がん大賞」授与の撤回を求めるとともに、貴社紙面において謝罪を掲載することを求めます。

    あわせて、このような批判があったことを、きちんと報道していただくことを求めます。

    以上
    ===========================

    (上の文の強調は私です。)

    確か、山下俊一氏を選んだ理由の一つとして、福島県での活動を評価、というのがあったはずです。

    日本対がん協会(垣添忠生会長)は、今年度の朝日がん大賞と対がん協会賞の受賞者を1日付で発表した。大賞には長崎大学大学院教授で、7月に福島県立医科大学副学長に就任した山下俊一さん(59)が選ばれた。チェルノブイリ原発事故後の子どもの甲状腺がんの診断、治療や福島第一原発事故による福島県民の健康調査や被曝(ひばく)医療への取り組みが評価された。朝日新聞9月1日

    ということは、朝日新聞、日本対がん学会共に、山下氏が福島県でこれからも推進する活動を大いに期待し、支援する、ということでしょう。

    Friday, September 16, 2011

    民主党前原誠司政調会長:「住宅エコポイント制度」を被災地材木の販売に活用を検討

    国、県、村を挙げて2000億円かけて除染を行う予定らしい飯舘村。そこからから福島市に避難した村人を訪ねた前原氏が村人との対話で語った、と産経新聞の9月17日付け記事。

    飯舘村の産業の大きな割合を占めるのは、林業です。飯舘村には、ヨウ素セシウムだけでなく、プルトニウムに崩壊するネプツニウムが大量に降っていた、という未発表の研究がある、とのこと。そこの木を伐採して製材し、エコポイントをつけて住宅建築に...使わせるんですか?

    (エコポイントとかいう制度は「省エネ」のために金を使うともらえるポイントじゃなかったですか?被災地の木材がなんでこれにあてはまるんでしょう?)

    産経新聞9月17日付け記事

    民主党の前原誠司政調会長は17日午前、福島市を訪れ、東京電力福島第1原発事故で避難した福島県飯舘村の住民が暮らす仮設住宅を視察した。住民との対話で前原氏は、原発事故に絡む不適切な発言で辞任した鉢呂吉雄前経済産業相について「皆さんの気持ちを踏みにじった。与党の一員として心からおわび申し上げたい」と謝罪した。

     視察は、東日本大震災の本格的な復興予算となる平成23年度第3次補正予算案に被災地の要望を盛り込むのが目的で、前原氏は住民から要望が相次いだ放射性物質の除染作業の迅速化に関して「3次補正で思い切った予算を計上したい」と応じた。

     また、被災地の木材などを使って住宅を建設した場合、「住宅エコポイント制度」を活用できるよう検討していることも明らかにした。前原氏は対話後、県庁で佐藤雄平知事と会談。佐藤氏は「政府の復興基本方針がまだ形になっていない」と国の対応の遅れを指摘し、復興基金の創設を求めた。

     前原氏は午後、宮城県へ移動し、村井嘉浩知事らと会談。がれき処理状況も視察する。

    飯舘村の山林を特に指して言った言葉ではないかもしれませんが、飯舘村の村民との対話で他の村の話をするとも思えず、まあ気になります。木そのものについている放射能だけでなく、木を伐採して山から下ろす作業で山の土壌、積もった落ち葉、枝などがかき乱され、放射能が空中に舞い、また農地や住宅施設などに降る、などということになったら、除染しても元の木阿弥。

    (ああそうか、元の木阿弥なら、除染ビジネスは半永久的に儲かる、というわけか。)

    南相馬市大町病院医師の告発:自衛隊のパニック?

    上昌広さんのTweetを辿った先のお医者様のブログに引用されていました。9月13日付けのポストです。

    引用されているのは南相馬市大町病院麻酔科の佐藤先生のメッセージ。政府からの支援が何もない南相馬市の病院の厳しい現状が書かれていますが、私が気になったのはこの部分:

    『そんな中、本日自衛隊による南相馬市の緊急時の避難訓練が行われました。動ける市民をマイクロバスで移動させたり、動けない介護老人をヘリコプターで搬送するというものでした。元々我々医療関係者には連絡はなく、一部の市民や救急隊との合同訓練だったようです。確かに爆発が数時間後と分かる場合は避難がベストですが、多くは突然の爆発です。そんな時は多くの学者は3日間コンクリート製の建物の中に避難する屋内退避の方が被爆が少ないと唱えていますが、1号機の爆発の時に双葉厚生病院の患者が校庭でバスやヘリを待っていて被爆したことは自衛隊の方は知らないのでしょうか。何よりも自衛隊がパニックとなったために多くの南相馬住民が放射線濃度の高いときに避難する羽目になりました。また、医療スタッフをつけずに双葉病院の患者を川内村の高校の体育館に置き去りにした搬送には自衛隊は関与していなかったでしょうか。頼りにされるべき自衛隊がマニュアル無き避難訓練を行ってはいけないのです。政府が安定してきたと言っているこの時期に、なぜ避難訓練を行わなければいけないのかも疑問です。』

    2点目の、「自衛隊がパニックとなったために多くの南相馬住民が放射線濃度の高いときに避難する羽目に」というのが、どういう事態だったのか、ご存知の方がいらっしゃったらお知らせください。

    ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場、日本公演に放射線専門家を同行

    ドイツ・ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場(Bayerische Staatsoper)の日本公演に来る予定だった団員のうち4分の1の100人が福島原発事故の放射能汚染を理由に日本に来日を拒否した話はご存知かと思いますが、私の英語ブログのドイツ在住読者の方によると、

    • 歌劇場は来日に当たって放射線専門家を同行し、歌劇場の滞日期間中放射能レベルをモニターする

    • 飲み水を全てドイツから持ってゆく

    とミュンヘンの新聞が報道している、とのことです。(私は確認を取っていませんので、「風評」と聞いてくださって結構です。)

    ドイツ、特に南のバイエルン地方は、チェルノブイリ事故でかなりの汚染を受けました。25年経った今でも、きのこ、いのししからは高い濃度の放射性セシウムが検出されています。

    それでも、ドイツ人は気にしすぎだ、ヒステリーだ、と思う人、言う人はいるのでしょう。(歌劇団の団員の多くはドイツ人ではありませんが。)

    個人的には、水より食べ物の心配をしたほうがよいと思います。日本の主催者に、責任を持って確実に安全と分かっている食材を提供させて滞在するホテルの調理に回すとか。(ホテルがそれを流用しないとは保証できないでしょうが。)

    日本公演は東京と、放射能汚染牛を幼稚園児にまで出していた横浜市です。

    しかし、日本のオペラファンには申し訳ありませんが、いくら招聘は福島事故以前だったろうとはいえ、そこまでして来日させてワグナーを鑑賞する必要はあるのでしょうか。さすがドイツは律儀だとは思いますが。

    Wednesday, September 14, 2011

    (ブラックユーモア)東京電力はステージ4のインターネット企業

    英語ブログのコメントに書き込まれたものですが、ブログ記事は、東電が福島第1原発の作業員にただで配っていたお昼ご飯をやめ、敷地内で弁当を売ることにした、というニュース。これにひたすら呆れた読者の一人が、こう書いています。

    THE FOUR STAGES OF AN INTERNET COMPANY
    インターネット企業の進化4段階

    1) Free Food and Drinks in the canteen
    社員食堂で無料の食べ物と飲み物

    2) Discounted Food and Drinks sold at cost
    食べ物と飲み物、割引で実費販売

    3) Food and drinks at market rate
    食べ物と飲み物、市場価格で販売

    4) Food Sales as core of business model.
    食べ物の販売をビジネスモデルの根本に据える

    Tepco is at Stage 4.
    東電は進化の第4ステージ

    英語ブログ記事にも書きましたが、すべて東電に丸投げしている政府、福島県(作業員には福島県民も少なからずいらっしゃるようです)も東電以上に無責任だと私は思います。あくまで一企業の問題として頬かむりをしたいのでしょうが、汚染が全世界に広がっていることを都合よく忘れようとしているとしか思えません。

    ブラックユーモアと言えば、この「地図」はご覧になりましたか?世界から見ると日本全土が汚染されているように思えるのは確かでしょう。まだ足りない、南半球から見ると北半球が全部真っ赤な汚染地域、火星人からみたら地球全部が汚染地域だ、とおっしゃる方もいましたが。

    笑うに笑えませんが。

    NHK: 石巻市雄勝町のグループ、がれきの中から集めた特産「雄勝石」をペンダントとして加工

    NHKかぶんさんのTweetより。

    住宅の屋根などに使われていた石巻市雄勝町の特産、「雄勝石」を地元の女性グループががれきの中から集めて加工し、ペンダントなどを作る取り組みを始めました。

    被災がれき、被災松、お気持ちは分かりますが、やめておいて欲しいと個人的には思います。

    石巻市雄勝町は、群馬大早川教授の地図の黒丸地点です。(丸をつけたのは私です)。

    Tuesday, September 13, 2011

    放射性汚泥、汚泥焼却灰、東京都はとっくに海面投棄を始めていた

    東京都環境局からの6月3日付けのお知らせは、中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場で、大気中の放射線量を測定した結果の報告です。

    東京都は、「セメント混練りや湿潤化した」下水汚泥焼却灰、上水スラッジを、少なくとも5月の後半からこの処分場に埋め立てていたのです。東京都の下水汚泥焼却灰からは、9月9日時点のデータでキロ当たり最高2万6千ベクレルの放射性セシウムが出ています。浄水発生土からも放射性セシウムが検出されていますが、こちらのほうは5月13日の発表以降、水道局からの発表は見当たりません。

    4月27日時点の検査で、江戸川の水を取水する金町浄水場の浄水土からはヨウ素131がキロ当たり2440ベクレル、放射性セシウムが6570ベクレル出ています。

    中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場は、こんなところです。(写真は東京都環境局のサイトより)

    放射能測定結果によると、上水スラッジの埋め立て地点からは6月1日の測定で0.19~0.65マイクロシーベルト時、面白いことに、表面から10センチの地点の測定値より1メートルの地点の測定値の方が高い値を示しています。下水焼却灰埋め立て地点からは、やはり6月1日の測定で0.20~0.55マイクロシーベルト時。上水スラッジの方が空間放射線量が高くなっています。

    東京市民の皆様、ご存知でしたか?

    都の環境局サイトに出ている、中央防波堤外側埋立処分場及び新海面処分場での埋め立ての図です。写真と照らし合わせてご覧ください。

    ◎ No.1~No.7 7地点(処分場内6地点、環境局中防合同庁舎1地点)
    測定高さ 地上0.5メートル、1.0メートル
    画像 A、B 2箇所(下水汚泥焼却灰埋立エリア(A):8地点、上水スラッジ埋立エリア(B):7地点)
    測定高さ 地上0.01メートル、0.5メートル、1.0メートル

    横浜市の場合8000ベクレル以下だからという言い訳は立つかも知れませんが、東京都の場合焼却灰の放射能は軽く8000ベクレルを超え、埋め立て地で測った空間放射線量は放射線管理区域よりも高い地点があるほど。

    一体どういう思考をすればこういうことが出来るのか、とこちらが考え込んでしまいましたが、高度汚染埋立地に築地の魚市場を移そうという東京都ですから、放射性埋立地ぐらい何のことはないんでしょうか。

    3月11日以前と何も変わっていない、放射能汚染は少しも深刻ではない、と示したいがための行為なのか、とも思います。それなら、堂々と市民に発表して投棄を開始すればよいと思いますが、投棄する、という報道発表は東京都環境局サイトにはありません。東京都のサイトにもありません。6月3日付けで埋め立て場所の放射線測定の発表があったきりです。

    柏市の中古車、放射能汚染で輸出保留、ガソリンスタンドで「除染」(洗車)

    なんでも、柏市にずっとあった車だそうですが、柏市内の業者が輸出のため港へ持って行き、放射能測定を受けたところ、ワイパー付近から毎時3.3マイクロシーベルトの放射能が検出され、輸出保留に。

    この業者さんのブログを読んでちょっと恐ろしくなったのは、「除染」が近くのガソリンスタンドで洗車することなのです。経費と時間の兼ね合いのようですが、放射能汚染を知っていて除染としてガソリンスタンドで洗車をなさっているようです。

    新潟県のガソリンスタンドの洗車後の汚泥から非常に高い放射性セシウム(最大キロ当たり9万ベクレル)が発見されていますが、これはおそらく福島から持ってきた、あるいは出入りしていた車を洗車したためだろう、とされています。

    柏市を含む東葛地域は関東の中でも高い線量ですが、そこの車が輸出基準(0.3マイクロシーベルト時らしいです)の10倍の線量、しかもその「除染」はガソリンスタンドでの洗車。洗車しても0.3マイクロシーベルト時はクリアできなかった、とのこと。

    カーポートスタッフブログ9月6日付けポスト

    私は、自動車の輸出をしているのですが、8月初めに放射線で輸出保留になってしましまいた。倉庫作業者の安全のために、倉庫に受け入れる際に、検査をするとのこと。

     事前に手持ちの放射線測定器で、室内や車の近辺を測定して、0.2μSv程度でしたので、大丈夫と思い港に搬入したのだが、なんとワイパーの根本で3.3μSvが検出されたので、受け入れできないとのこと。港搬入前に洗車したため、汚れがワイパー根本のカウル付近に溜まったのだろうか。すぐ除染の依頼をした。が、全然除染が終わったと連絡がない。多くの車が放射線検査で落ちたため、作業が追い付かないという。 やむなく、いちかばちかで、ガソリンスタンドでの洗車に回したが、0.3μSvという基準はクリアーできなかった。柏市から出たことのない車なのになんで???

     大手の輸出業者は、東電や国に賠償請求をするという話もある。天災より人災となれば、間違いなく裁判で勝てるのではないだろうか。天災でももしかしたら。 でも私のような中小では、裁判費用のほうがもったいないので、泣き寝入り予定。

     船会社もキャンセルが出ているのだし、港湾業者も仕事が進んでいないので、かなり損害を受けているのではないかな。

     放射線検査機関が合格するレベルまで除染してくれるという話もあったのだが、検査機関が除染もするというのはおかしいとなり、除染を打ち切ったということになった。

     確実に除染するには、運送業者が最近始めた除染屋があるようだが、2万円~の作業になるという。あわてて、除染しても次の船に間に合わないため、ガソリンスタンドの洗車を再度することにした。前回ガススタで、3.3から0.6まで下がっていたので、もしかしたらという思いだ。

     ただ、この倉庫受け入れの検査が終わったあとも、船に乗船するときにも検査があり、仕向地についたときにも検査がある。特に、仕向地で放射線検査でNGとなったとき損害はかなり大きい。しかし、クライアントが待っているため手続きを止める訳にもいかない。

     この値がどの程度人体に影響あるかは定かでないが、関東圏の自動車は基本的に汚染を受けており、ホットスポットと呼ばれるところでは、多くの車が基準値を超えているのだろう。そのうち、中古車販売時に放射線測定値を示す必要もでてくるかもしれない。

    (ああ怖い。高い線量も怖いけど、ガソリンスタンドの洗車を除染代わりに使っている、と言うのはもっと怖い。)

    Monday, September 12, 2011

    鉢呂大臣辞任会見でヤクザ言葉を浴びせる記者

    日本のマスコミのレベルを知る一助。Sievert311さんアップのビデオです。

    やくざな記者をたしなめたのはフリーの田中龍作さんだそうです。枝野さんの就任会見後に件の記者と名刺交換しようとして袖にされています。この記者、どこの誰?



    それにつけても、平気な顔で経済産業大臣に納まる枝野さん。かえるのつらになんとやら。

    厚生労働省「食品中の放射性物質の検査結果」9月12日分

    流通品の福島産の牛肉からキロ当たり1400ベクレル、宮城県産の牛乳からキロ当たり9.2ベクレルのセシウム検出

    他にも、千葉県銚子のマアジから53ベクレル、柏市のカボスから243ベクレル。詳しくは、厚生労働省発表のファイルでどうぞ。(PDF)

    神奈川県

    流通品の福島県産牛肉: セシウム134 610ベクレル/キロ、セシウム137 790ベクレル/キロ、合計1400ベクレル/キロ
    (流通品は安全、とおっしゃる某市長さんのいらっしゃる神奈川県。)

    相模原市の農場露地栽培のゆず: セシウム合計10.2ベクレル/キロ

    東京都
    流通品の宮城県産牛肉: セシウム合計130ベクレル/キロ
    (500ベクレル以下は全部安全、と言い切った知事のいる県からのお肉です。)

    千葉県

    銚子港水揚げのマアジ: セシウム合計53ベクレル

    柏市の農場露地栽培カボス: セシウム134 109ベクレル/キロ、セシウム137 134ベクレル/キロ、合計243ベクレル/キロ

    新潟県

    流通品の宮城県産牛乳: セシウム134 4.1ベクレル/キロ、セシウム137 5.1ベクレル/キロ、合計9.2ベクレル/キロ
    流通品新潟産のナメコ: セシウム合計15ベクレル

    厚生労働省は主に流通品の検査、自治体から検査結果が上がってきた分を毎日発表しています。農水省、地方自治体の生産者よりの資料よりはややましか。資料を見るにはこのページへ:

    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ohfj.html

    Sunday, September 11, 2011

    横浜市が汚染灰を埋め立てる最終処分場は海だった

    横浜の地理に不案内なので、このような新聞の記事を読んだときに、これはどこか陸上の処分場内に埋めるのだ、とばかり思っていました。

    横浜市は9日、市内の下水処理場で5月から保管していた放射性物質を含む汚泥・焼却灰約2700トンについて、安全性が確保されたとして、南本牧廃棄物最終処分場(中区)で埋め立て処分にすると発表した。今月中旬にも運搬を始める。

     市下水道施設管理課によると、市内2カ所の下水処理場(南部汚泥資源化センター、北部汚泥資源化センター)は月内にもほぼ満杯になる状況だったという。

     国が6月に出した基準は1キロ当たり8000ベクレル以下であれば埋め立てを認めており、2カ所の汚泥・焼却灰は最大で6468ベクレルだった。市は安全性評価を実施し、埋め立て後の跡地利用基準もクリアしたため、埋め立てに踏み切った。(毎日新聞9月10日付け地方版より)

    とんでもない。処分場は南本牧埠頭にある、海の埋め立て場でした。



    ここへ文字通りダンプトラックで、水で適当に湿らせた灰を持ってきて、投棄するのです。

    この横浜市の計画に、「科学的」に見て安全だ、とお墨付きを出した専門家が3人。

    東京大学大学院工学系研究科教授および原子力安全委員会部会長および原子力学会学会長、田中知氏

    国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長および環境省「災害廃棄物安全評価検討委員会」委員、大迫政浩氏

    日本原子力研究開発機構安全研究センター廃棄物安全研究グループ主幹および文科省、国土省放射線対策検討会等委員、木村英雄氏

    このご3方のだされたレポートを見ると、微量のセシウム(他の核種は考慮されていません)が環境に漏れ出すことを前提にしています。海だけでなく、海洋生物、砂、漁網、更に、人体の内部被曝も考慮し、微量なのでほとんど影響はない、と結論。(今度経済産業省の大臣になる某前官房長官の口癖とおなじですね。)埋め立て跡地は事業所などにする予定とか。

    海への埋め立ては早速9月15日に開始予定だそうです。

    幼稚園児、小学生にセシウム汚染牛肉を食べさせただけでは足りないようですね、横浜市長さんは。「影響はない」の枝野さんが経済産業大臣ですから、まあなんでもありなんでしょう。ただ、市長さんが望むような外国人観光客は、これでは横浜にはまず来ないでしょう。風評とでも何とでも呼べばよいのです。外国人は屁とも思いません。

    (風評で観光客が減った、と申し立てれば東電・国から(つまり国民から)補償金がもらえましたね。まさか横浜市ともあろう大都市がそんなけちな金を狙っているわけもありませんが。)

    OT:東電のビデオの楽しみ方(Youtubeのみ)

    もうやっていらっしゃる方が折られるかもしれませんが。Youtubeにアップされている東電のビデオ、”CC (Closed Caption)”のボタンをクリックして、”Transcribe Audio”を選びます。次に出てくる画面(これはグーグルの実験的なもので云々)で、OKボタンをクリックします。

    東電の松本さんの説明が、日本語字幕で見られます。同音異義、あるいはグーグルソフトの聞き間違いが、そこはかとなくユーモラス。

    Saturday, September 10, 2011

    高線量の千葉県流山市、落ち葉、草、剪定枝は「危険ごみ」として収集

    Twitterより。
     流山市に住む者です。早川先生のツイッター、4月からずっとフォローさせて頂いております。高濃度汚染地域情報に大変助けられました。ところで落ち葉と草と枝、流山市では資源ごみでなく「危険ごみ」の日指定になりました。乾電池やスプレーなどを出す日の収集です。

    そうして集めた落ち葉、草木をどうするのかという問題はありますが、可燃ごみで出していたこれまでに比べたら進歩。他の自治体も追従してもらいたいものです。

    流山市の9月2日のお知らせ

    家庭から出る剪定枝・落葉及び草の別回収について

     9月1日の広報ながれやま等で、9月1日から当分の間、家庭から排出される「剪定枝・落葉及び草」の収集について、資源・有害・危険ごみ(月2回)の収集日に排出していただくことをお願いしていますが、収集日は行政回収の日であり、自治会等が実施している資源物回収(集団回収)の日ではありませんので、ご注意願います。
     ご協力の程、よろしくお願い致します。

     【問い合わせ】
     流山市役所 環境部 クリーン推進課 ℡04-7157-7411

    「放射線と健康リスク-世界の英知を結集して福島を考える」シンポジウム、9月11,12日

    福島市福島医科大学で開催中。

    主催: 公益財団法人 日本財団


    共催: 国際放射線防護委員会

        笹川記念保健協力財団


    これだけでなんだか胡散臭いと思うのは私の偏見でしょう。後援として、国の有力省庁が上がっているのは言うまでもありません。笹川関連財団と国際放射線防護委員会と日本政府、という不思議なコンビネーションを山下教授がおまとめになったようですね。


    会議の目的として、

    「福島県民の健康リス ク問題を正しく評価し、今後予定される県民健康管理調査事業を支援する」

    ことが第一義に挙がっています。やはり評価、管理、調査なのです。


    会議概要書は次の通り:



    国際専門家会議

    「放射線と健康リスク―世界の英知を結集して福島を考える」

    International Expert Symposium in Fukushima-—Radiation and Health Risks


    会議の目的

    日 本財団は、笹川記念保健協力財団と協力し、1991年より10年間チェルノブイリ事故に汚染された地域に住む約20万人の児童の検診を実施し、 WHO,IAEAなど世界にこの検診の科学的データに基づく情報を提供し、高く評価されています。この経験をもとに、福島原発事故による放射線被ばくの健 康への影響について、世界の英知を集め、科学的な検討を行うためにこのたび下記の要領で国際専門家会議を開催いたします。この会議は、福島県民の健康リス ク問題を正しく評価し、今後予定される県民健康管理調査事業を支援すると同時に、新たな国際放射線安全防護に資する方策を考え、福島の復興に資することを 目的としています。


    セッションテーマ


    放射線被ばくによる健康影響:低線量被ばくと健康、緊急被ばく医療の課題

    (3) 汚染地域における放射線量及び線量測定 

    (4) 放射線生物学と放射線安全防護学:基礎と疫学、分子疫学

    (5) チェルノブイリ原発事故の教訓から学ぶ

    (6) 放射線安全と健康リスクに関するガイドライン

    (7) 今後の放射線健康リスク対応に関する提言


    期日: 2011年9月11日(日)、12日(月)

    会場: 福島県立医科大学 会議場 (福島市光が丘1番地)


    主催: 公益財団法人 日本財団


    共催: 国際放射線防護委員会

        笹川記念保健協力財団

    福福島県医師会(予定)

    福福島県立医科大学

    放放射線医学総合研究所(予定)


    後援(予定): 内閣府、外務省、文科省、厚労省、経産省、国交省、環境省、福島県


    組織委員会:笹川 陽平(委員長・日本財団会長)

    紀伊國 献三(笹川記念保健協力財団理事長)

    菊地 臣一(福島県立医科大学理事長兼学長)

          丹羽 太貫(京都大学名誉教授)

    山下 俊一(福島県立医科大学副学長、長崎大学教授)

    David Heymann (英国グローバル・ヘルス・セキュリティー・センター長)



    プログラムはこちら。

    参加者リストはこちら。

    東京新聞:楢葉町町長の関連会社、隣接の同県広野町に所有する採石場跡を7億円で売却、汚染がれき中間処理施設建設か


    草野町長によると、「広野町との交渉は業者がやることで、私は関係ない」とのことです。

    こういう町長さんでも、やっぱり原発事故の「被害者」として気の毒がらなくてはいけないんでしょうね。原発周辺の人っ子一人いない町を「死の町」、ゴーストタウンと的確な表現をした大臣は「被害者」の心情を逆なでする悪者だそうです。

    東京新聞9月10日付け記事

    福島汚染がれき 広野町に搬入計画

    福島県楢葉町の草野孝町長が関連する建設会社が、隣接の同県広野町に所有する採石場跡を、東京の不動産会社などに売却する契約を結んでいたことがわかった。不動産会社は「放射性物質に汚染されたがれきなどを搬入する計画がある」としており、汚染がれきなどの中間貯蔵施設の候補地となる可能性がある。 

     楢葉町は福島第一原発から二十キロ圏内の警戒区域に町域の大部分があり、ほぼ全町民が町外に避難している。中間貯蔵施設の福島県内設置については、佐藤雄平知事らが強い難色を示しており、波紋を広げそうだ。

     売買契約が結ばれたのは広野町の山林にある砂利採石場跡約十二万平方メートル。福島第一原発から二十六キロの緊急時避難準備区域にある。最も近い民家は約二百メートルの距離。草野町長の長男が経営する建設会社が所有していたが、ことし五月、七億円で不動産会社に売却する契約を結んだ。約百三十万立方メートルの埋め立て容量があるという。

     不動産会社は「三十キロ圏内で出たコンクリートくずなどを受け入れ、放射能を帯びたものは洗浄して埋め立て処分することを考えている」と説明。大手ゼネコンなどからは、大規模な分別施設などの計画が持ち込まれているという。

     環境省の方針では、放射性セシウム濃度が一キロ当たり八〇〇〇ベクレル以下については管理型処分場に埋め立て処分が可能。八〇〇〇ベクレルを超え一〇万ベクレル以下は水と接触しないようセメントで固めるなどしてから埋め立て、一〇万ベクレル超はコンクリート壁で囲むなどして一時保管するとしている。処分場の設置には県知事の認可などが必要。

     草野町長は「汚染されたがれきは、洗浄し安全に処理するという約束を業者としている。住民に害を及ぼすことはないはずだ。広野町との交渉は業者がやることで、私は関係ない」と話している。

     広野町の山田基星町長は「とても受け入れ難い話だ。町内のがれきですら除染処理ができていない状況で周辺市町の廃棄物を持ち込まれては大変なことになる」と反発している。

    ちなみにこの町長さんは、楢葉町所在の福島第2原発の早期再稼動を訴えており、また2009年には町に核廃棄物の最終処分場を誘致する検討をなさっていた方です。

    原子力と言うのは、阿片のようなものなんでしょう。

    第1原発の所在地の双葉町も、7号機、8号機の誘致を積極的に進めていました。福井の敦賀市長はつい最近、民主党の小沢元代表に敦賀原発の増設を訴えたそうです。

    Friday, September 9, 2011

    OT:このブログの独自翻訳記事を引用、コピーされる方々へ

    このブログは日本からの情報だけでなく、海外、特に英語圏からの福島原発事故、放射能汚染関連の記事などを日本語に独自翻訳してお届けしています。

    引用、コピー、リンク、いずれも自由に行ってくださって結構ですが、その際は、元のブログ、ブログポストへのリンクを明示してくださることだけをお願いいたします。

    3月11日(こちらの時間では3月10日の夜でした)の地震・津波・原発事故の3重災害の日以来、毎日休日も祭日も夏休みもなく、寝るわずかな時間を除いてほとんど全ての時間を使って(まあ、手際が悪いといえばそれで終わりなんですが...笑)、原発事故、放射能被害などの内外の記事、論文などを走査して、英語と日本語でブログを書いてきました。特に、フェアウィンズのアーニー・ガンダーセン氏のビデオ、ラジオ番組の翻訳には細心の注意を払って時間を掛けており、氏の言い間違えの箇所などもきちんとご本人に確認して出来るだけ正確な記載に努めています。

    全て無償、どこから給料をもらってやっていることではありません。(寄付を下さった日本および世界の方々、本当にありがとうございます。)引用、コピーなさる方々、せめて元のポストのリンクをお出しくださるのが最低限の礼儀ではないでしょうか。多少表現などをお換えになるのも結構です。その際も元のポストのリンクをお出しくださり、基本の元の訳はわたくしのブログから取ったことを明記していただきたいと思います。

    ほとんどの方は、わたくしに連絡なしで引用、コピーする場合でもちゃんとリンクを明示して下さっています。ブログのコメント、Twitterのメッセージなどで、引用、コピーをしたいがよいか、とわざわざ聞いてくださる丁寧な方もいらっしゃいます。また、引用されて多少表現を変えた方も、ブログを拝見すると、表現を多少変えてまとめた旨をちゃんと明記され、リンクを明示して下さっています。皆様どうもありがとうございます。

    全ての引用、コピーをフォローすることはわたくしには不可能ですが、たまたまTwitterでRetweetされていたリンクを辿ってみたら、どこかで見たような文章があるな、何だろう?と思いましたが、何のことはない、わたくしの翻訳でした。何のリンクもなしに、その方の翻訳として出ていました。心底がっかりしました。

    もし読者の皆様が、このブログで出した独自翻訳のポストなどが「無断」(リンク、ブログ明記無し)で使用されているのを万一ご覧になりましたら、そのブログ、サイトの管理者の方に、元のポストにリンクするよう、ご注意くだされば幸いです。

    せめてクレジットぐらいないと、やっていられない、と今日は思ってしまいました。失礼いたしました。気を取り直して情報走査を再開します。

    Thursday, September 8, 2011

    カレイドスコープブログ:「福島でヒロシマ、ナガサキと同じことが行われる」

    ABCC、という機関をご存知ですか?

    原爆被害調査委員会、Atomic Bomb Casualty Commission、略してABCCは、広島、長崎の原爆被害者が受けた放射線の影響を追跡調査するためにトルーマン大統領の命で1946年に設立された委員会です。治療などの目的ではなく、純粋に科学調査のみを目的にしたもので、被害者の間では極めて不評だった、と英語のWikipediaにもありますが、それでも委員会が最終的に解散したのは1975年、30年も続いていたのです。

    その委員会が名前を変えて現在も存在しています。それがRadiation Effect Research Foundation、放射線影響研究所。日米に拠点を持ち、日本の拠点は広島市の比治山公園にあります。あくまで研究調査を行うことに変わりはありません。

    この放射線影響研究所が福島医大と連携・協力協定を交わしたのは8月12日。

    放射線影響研究所の明石理事は、福島県の県民健康管理調査検討委員会のメンバーです。

    カレイドスコープブログ9月3日付けポストより抜粋:

    福島県は、福島県民全員の被曝線量を検査し、その中でも被曝線量の多い人だけをピックアップして、その人たちに対しては、今後、数十年間に渡って、追跡調査をしていくための機関として、県民健康管理調査検討委員会を設置しました。

    この委員会の設置は、福島県の災害対策本部が有識者の検討委員会で決めたものです。
    今後、調査と管理に当たっては、福島県立医大や国の関係機関と協力していく、と書かれてあります。(いちばん上の新聞記事の囲み記事)

    福島県は、「第一段階で行う全県民検査では、外部被曝しか考慮せず、内部被曝はないことにする」と言っています。

    しかし、同時に、セシウムが大量に出たときのみ、過去のヨウ素被曝を考慮するとマコさんの取材に対して回答しているのです。

    「県民健康管理調査検討委員会の主要メンバーである放射線医学総合研究所明石理事は、「今の科学では、ヨウ素を考えるのは、もう無理だ」と回答しています。
    まったく言っていることが正反対です。

    過去のヨウ素被曝を算出する方法もあると、小左古教授は言っているのですが、放医研の明石理事は、「それは机上の空論だ」と一蹴してしまいます。

    ...福島県では4月1日時点で18歳以下の子供を対象に、これから2年ごとに、甲状腺の状態をエコー検査によって取っていく予定だといいます。
    一次検査でエコーを取って、二次検査で、シコリが出たときのみ、血液検査等、細胞診と尿検査をやる、ということです。

    これは健康調査に名を借りた、実質は簡単なガン検診に他なりません。

    一次検査の段階では、ガンの早期発見には欠かせない血液検査をやらないのです。

    明石によると、その理由は「医療経済」の問題。つまり、検査費用がないからだ、というのです。
    そんなこなど気にせず、国民の健康を守るために血液検査の予算を取って欲しい、となぜ訴えないのでしょうか。
    明石の専門は経済ではないでしょうに。

    どういうことかというと、ガンのほんの初期、あるいは甲状腺機能障害の兆候が出た段階で、それを発見して治療してしまったら、疫学的なデータが取れないからなのです。

    つまり、「ガンや、甲状腺機能障害という形がはっきり表れるまで余計な検査や治療をしたくない」と言っているのと同じなのです。

    目的が根本的に違うということなのです。予防や治療が目的ではなく、あくまで調査が目的なのです。

    ...はっきりしたことは、有識者と国が一体となって設置した県民健康管理調査検討委員会の目的は予防・早期発見、治療ではなく放射線疫学調査にある、ということです。

    詳しくは、カレイドスコープのポストでお読みください。

    このブログでもポストを出しましたが、政府と福島県が計画する「医療特区」、これで研究所、製薬会社、検査機器メーカーを大いに誘致して儲けよう、という趣旨なのですから、研究のネタが減ってしまうようなへまはしたくないでしょう。

    山下教授も、「広島・長崎に次ぐ国内3番目のヒバクシャを生み出した福島県」に移られて張り切っておられることでしょう。

    Wednesday, September 7, 2011

    フランス・アクロ:福島の子供の汚染は100パーセント

    福島老朽原発を考える会が、福島の子供の尿の二度目の検査で福島に留まった子供から検出されたセシウムの量が最初の検査の時よりも微増した、と発表したニュースがありました。

    英文ブログ読者が、この検査を行ったフランスのアクロ研究所のサイトに出ている情報をリンクしてくれましたので、お届けします。(強調はオリジナルです。)

    福島の子 どもの尿分析(2回目)(2011年07月)

    日本の市民からの要求によりACRO18人の日本人の子どもの尿を分析した。子どもたちは福島県および東京都その周辺の出身である。

    福島県の15人の子どもたちは全て、約60キロメートル離れた場所での核事故による放射性降下物で尿が汚染され続けている。このことは子どもたち自身がずっと汚染され続けていることを示している。一方で、東京とその周辺の3人の子どもたちの尿からは汚染は検出されなかった。

    日本政府により実施された検査では福島の子どもたちの約半数が汚染されているとしているが、我々の結果では100%である。このことは日本政府の測定精度が不十分であり全ての汚染を検出していないことによる。

    最初の10人の子どもたちは我々が前回測定(結果は630日に発表)した子どもたちと同一である。子どもたちのうち9人はその後、福島を離れた。一人だけが留まっている(U2)。U6の子どもは3月末に避難した。U3U45月末に避難した。3人は6月から7月始めに福島を去り、残りの3人も722日からの夏休みの始めに避難した。

    後の5人の新しい子どもたちは福島市周辺に住んでいる。そのうちの一人は5月中旬に避難した(U14)。

    U11U12は同じ高校の生徒であり同じグラウンドで頻繁に運動の練習を行っている。2人の汚染の違いは食物からのものであろう。

    子どもたちの親は汚染を減らそうと精一杯の努力をしているにもかかわらず、環境中への大量の放射性物質の放出から4カ月以上もたった後、採尿の時期に未だ福島にいる子どもたちは全て汚染されていた。避難は汚染を減らすための一つの方法である。子どもたちの間での内部被ばくのバラつきは食物によるものであろう。

    福島の子どもたちの内部被ばくを正確に、系統的にかつ定期的に監視することが重要である。家族はこの汚染を減らすことができるように放射能の測定結果について知ることができなければならない。

    詳しい数値はアクロのサイトに出ています。

    山下俊一教授:「広島・長崎に次ぐ国内3番目のヒバクシャを生み出した福島県」

    教授がまだ長崎大学にいらした今年4月の、『2011年4月 原研医療への新たな挑戦』と題するお言葉です。

    平成23年度4月から原研組織は新たに社会医学部門、放射線生命科学部門、そして原爆・ヒバクシャ医療部門の3つに改組されました。20年間『原研細胞』の呼称で親しまれてきた小教室は、大学院組織としては放射線医療科学専攻の社会医学部門に所属し、そして附属原爆後障害医療研究施設としても社会医学部門となり、その中で放射線災害医療研究分野を専攻することになります。略称が『原研災害』ではとんだ災難、災害と誤解され、原研のお荷物のようだと揶揄されますので、ここははっきりと基礎と臨床に足場を置き、被ばく医療支援活動にも従事する教育研究講座とすることから『原研医療』と名称変更することとしました。21世紀COEプログラム「放射線医療科学国際コンソーシアム」とその継承プログラムであるグローバルCOEプログラム「放射線健康リスク制御国際戦略拠点」の成果が結実したものが、今回の原研改組再編に伴う『放射線災害医療研究分野』や『健康リスク管理学研究分野』です。

     奇しくも3月11日東日本大震災が突如として勃発し、未曾有の地震と津波に加えて、原子力災害を引き起こしました。メディアを通じての惨劇を目の当たりにし、チェルノブイリの経験を元に最大限の努力を払う覚悟で、被災直後の緊急被ばく医療支援ならびに原子力災害医療への取組みを長崎大学から本格化しました。未だ福島原発事故の終息が見えず、長引く現状ではすべてが不確定不確実です。しかし、その渦中にあればこそ原発作業員、そして避難住民から一般被災者に至るまで幅広い支援が不可欠です。『原研医療』では大学病院国際ヒバクシャ医療センターと準備してきた緊急被ばく医療対応に加え、グローバルCOEプログラムの根幹である放射線リスク健康管理を、福島県ならびに福島県立医科大学の要請を受けて、いち早く現場で実践しています。本領域における20年間の海外での活動実績は、広島・長崎に次ぐ国内3番目のヒバクシャを生み出した福島県にこそ生かされるべきだと考えると、新生『原研医療』も直ぐに正念場を迎えることになりました。

     東日本大震災で亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈り申し上げ、心から被災者へのお見舞いを申し上げます。今後とも被ばく医療への道を目指す医療人の育成に努め、世界のヒバクシャに真摯に立ち向い、原子力災害ならびに放射線災害における現場医療の実践を基礎医学と臨床医療の両面から推進する所存です。『原研細胞』改め『原研医療』という玉石混合の小講座へのご支援、ご協力宜しくお願い申し上げます。

    山下 俊一

    東電、経済産業省の「要請」を受け「事故時運転操作手順書」を真っ黒に塗りつぶして国会委員会に提出

    東京新聞(共同記事)9月7日付け記事

    東京電力が福島第1原発の「事故時運転操作手順書」のほとんどを真っ黒に塗りつぶし、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)に提出していたことが7日、分かった。

     同委員会が「事故原因の徹底的検証に必要」と提出を要求していた。東電は、知的財産や核物質防護上の問題があるとして第三者に公開しないように求めていたが、川内委員長は「中身がないので隠す意味がない。(東電は)求めたものを誠実に出してこなかった」として公開した。

     手順書は12ページ。9ページ分は全て塗りつぶされ、読み取れるのは全部足しても十数行。

    東電はなんとけしからんやつだ、と非難する前に、こちらもお読みください。経済産業省から東電への、9月6日付け「要請」です。東電は規制省庁である経済産業省・保安院の指示を極めて忠実に守ったまでのことでしょう。

    深野経済産業省・保安院長から東電の西沢代表取締役社長あての「要請」の本文は以下の通り:

    平成23年9月2日、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員長 川内 博史から経済産業大臣 海江田 万里に対し、「書類提出要求について」(平成23年9月2日付け衆科委177閉第1号)をもって、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故原因の検証に必要な資料を、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会理事会へ提出するよう要求がありました。

    つきましては、貴社に対し、同要求に基づき、当該資料を原子力安全・保安院に対して本日中に提出することを要請します。

    なお、当該資料の提出に当たっては、核物質防護上の観点について十分に考慮されたい。

    「核物質防護」とは一体なんのこと?といぶかしく思われる方のために、日本原子力研究開発機構からの説明もご紹介:

    核物質防護(Physical Protection;PP)

    核物質防護とは、核物質を盗もうとする者や、原子力施設を破壊しようとする者から核物質や施設を守ることです。核物質防護は盗んだ核物質を原料にして核兵器が作られるのではないかというシナリオを想定しているため核不拡散を確保するための手段の一つと言われています。

    施設内の核物質あるいは輸送中の核物質が盗まれるケースは日本では一度も発生していませんが、世界的に見た場合、いくつかの事件が発生しています。最近の例では、ドイツやチェコで発覚した密輸核物質の例が有ります。

    核物質を盗み出す行為は、2つ想定され、外部から侵入して盗む場合と、内部の者が外に持ち出す場合とが考えられますが、いずれの場合も内部状況の詳細を把握していないと成功しないと考えられています。

    わが国の場合、十分な防護措置がなされているため、欧米で発覚したと同様の事件がわが国において発生する可能性は極めて低いと考えられています。

    Tuesday, September 6, 2011

    西谷源展:「放射線に対する意識と学校教育の影響」

    放射線は恐ろしいものだ、という日本人の過剰反応は不適切な学校教育、特に初等教育のせいである、という、日本放射線技術学会雑誌2004年11月第60巻第11号掲載の論文です。

    西谷源展氏は当時、京都医療技術短期大学診療放射線技術学科に所属されており、論文は、日本人の放射能、放射線に対する過剰な反応がどこから来るのか、その原因を学生のアンケート調査を行って、知識形成過程での教育に原因がある、としています。そして、「正しい」教育と放射線関連学会の啓蒙活動が必要である、と結論付けています。

    全文はこのリンクでお読みになれます(PDFファイル全9ページ)。以下、論点の抜粋。(強調は私です。)

    まず緒言から: 

    ...日本人にとって「放射線」「放射能」(以下放射線等と省略する)を強烈に印象づけたのは,第二次大戦を終わらせることになった原爆である.その後には,米国の水爆実験の犠牲となったマグロ漁船の第五福竜丸の被曝であった.さらに近年では,チェルノブイリ原発事故や1999年に発生し 2 人の犠牲者を出したJCO事故である.

     しかし,放射線等は現代の医学利用においては,さまざまな疾患の診断や治療には欠くことのできない技術となっている.1997年度における日本での放射線利用による経済規模の総額は,約 8 兆 6 千億円(GDPの1.7%)となっている.この内訳は工業利用が 7 兆 3 千億円,医療分野が 1 兆円で大半を占めている.工業利用の73%は半導体加工で群を抜いている1).IT時代を支えている半導体の加工は放射線が利用されている.しかし,これらは一般の人々は認識していない
     
    一般の人々は,原爆の恐怖から放射線等は恐ろしい→危険→癌の発生や遺伝的な影響,という構図を根強く持っている.
     
    こうした過剰な反応はどうして起こるのかを検証するするために,大学に在学する青年達(以下青年達と省略する)の放射線等に対する意識と知識を調査し,その原因を学校教育における授業および教科書等の記述などから明らかにするために本研究を行った.

    その手法はアンケート調査。1998~2002年に大学に入学した学生284名を対象に、

    • 放射線を知った年代
    • 何によって知ったか
    • 知識が形成されたときのイメージ
    • 放射線と言う言葉から連想されるもの
    • 放射線に関する知識

    について回答を求めた、とのこと。

    その結果、西谷氏は、小学校高学年の社会、歴史の教科書に注目します。PDFファイル5ページ目の右欄下の方の記載では:

    6 年生になると歴史的分野となり,第二次世界大戦の歴史的記述として原爆をほとんどが取り上げており,36点中28点に記載がされている.また,「平和」と関連しての原爆も取り上げている.核兵器としての関連から1954年 3 月に起こった水爆実験による第五福竜丸の被曝によるものを取り上げている. 小学校での教科書では 6 年生社会における「原爆」が大きなインパクトを与えている.Fig.は,核兵器について 6 年生社会(下)に記述されたもので,放射線量を単位とともに記述している.小学校における放射線等の記述は,「原爆」「核兵器」から怖いものとして取り扱われている

    さらに中学校、高校の教科書を検証した上で、次のように「問題点」をまとめられています。

    3-2 放射線等の教科書記述の問題点

     放射線等の知識が形成される初期は,2-1で述べたうに小学校が最も多い.この時期における教科書の記述は 6 年生社会が最も多くなっている.そこでの記述は,広島・長崎の原爆被爆がほとんどであり,悲惨な状況とともに「恐ろしいもの」として教えられている.また,中学校では利用についての記述は増加するものの原子力発電は否定的な記述もされている.社会(公民)は小学校同様に原爆,核兵器,第五福竜丸の被曝,チェルノブイリ原発事故などを取り上げている.放射線等の利用に否定的な記述が多く,多方面に有効に利用されていることは記述されていない.高等学校物理1Bに詳しく述べているが,それまでの教育による既成概念は強く生きており,正しい理解を阻害している.また,高等学校において物理1Bを選択履修しない生徒にとっては,正しく理解されず,小学校時代「恐ろしいもの」しか残っていない.また,それぞれの教科書における記述も必ずしも正確な記述となっていない教科書を多く見受けることは問題である

    更に、世界平均の自然放射線被曝量は2400マイクロシーベルトである、とした後(日本平均が1400マイクロシーベルトだという記述は無し)、新しい学習指導要綱に基づいた検定に合格した社会科の教科書では「より正確な」記述が見られる、と評価:

    社会科の原爆について「放射線」の影響を記述しているのは少なくなり,3 社の教科書は「放射線」という記述が全くされていない.さらに「アメリカ軍は,8 月 6 日に広島…中略…地上1 万mまできのこ雲が立ち熱線と爆風で,またたくまに建物はくずれ…」(教育出版 伊東光晴他著 平成13年1 月検定合格)と記述しており,従来の放射線の影響を強調した記述はなくなっており,より正確な記述に改められている.

    ということは「不正確」だった部分と言うのが原爆由来の放射線の人体への影響を記載した部分、ということなのでしょうか。

    そして結論部分:

     わが国の青年達の放射線等への知識形成は初等教育で大部分がなされている.知識形成に大きく影響しているのは原爆によるものであった.そのために原爆の悲惨な状況を強調することになり,そのことから「危険」なものや「恐ろしい」ものとして認識されている.また,教科書の記述も社会科に偏っており,利用面での正当な評価がされていない.放射線等への科学的な知識形成は高等学校でなされるが,危険なもの,恐ろしいものとしての既成概念により正しい知識形成がなされていない.また,高等学校での理科分野の選択制において物理を選択する生徒が30%程度であり,これがさらに正しい知識形成を阻んでいる.平成14年度に改正された学習指導要領においても内容の大幅な改善はされておらず,こうした状況の改善は現状の学校教育では困難な状況にある.そのため本学会や放射線関連学会等による啓蒙活動が重要である.

    さて、教科書を調べてどこまで青少年への影響がわかるのか。小学校から高校まで、社会、歴史の時間には、どういうわけか第2次世界大戦に話が行く直前でいつも学期がなぜか終わっていたのを覚えています。教科書には確かにそれ以降現代まで記載がありますが、運用として、そこまで学ばせない、というような暗黙の了解があったような気がします。チェルノブイリの事故の時も、どこか遠くの関係ない国で何かあったらしい、という程度で、ほとんど当時ニュースなどでも聞いた覚えがありません。

    西谷氏は論文で、放射線が危険なもの、恐ろしいものという既成概念がある、とおっしゃっていますが、先日のポストでも出しましたとおり、日本は世界に冠たる人工放射線被爆国

    逆に、そのような既成概念がしっかりあったら、原発もなかったかもしれない(従って福島事故もない)し、子供が規定の40倍のテクネチウムを投与されることもなかったかも知れない、と個人的には思います。

    この論文を斜め読みして思い出したのが、例の、科学技術庁が1991年に作成させた原発推進指南書。文部科学省に総理府の外局だった科学技術庁が編入されたのは2001年。それを考えると、この論文もこの指南書の流れなのかもしれません。

    (H/T anonymous reader of my English blog)

    Monday, September 5, 2011

    日弁連、福島第1原発作業員の急性白血病による死亡に関する情報公開を要求

    さて、東電はどう出るか。(まあ、「出ない」なんでしょうが...。)記事のリンクは群馬大の早川先生のTweetからです。

    日本弁護士連合会9月2日付け、日弁連会長の宇都宮健児氏の声明です。(強調は私。)

    東京電力福島第一原子力発電所作業員の急性白血病による死亡に関する会長談話

    東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、本年8月30日、福島第一原子力発電所で復旧作業(以下「本件作業」という。)を行っていた下請企業の40代の男性が急性白血病で死亡したと発表した。東京電力の発表によると、本年8月上旬の7日間、休憩所で作業員の放射線被ばくの管理に従事し、その後数日間のうちに体調不良を訴え、死亡したとのことである。また、男性の7日間の外部被ばく線量は0.5ミリシーベルト、内部被ばく線量は0ミリシーベルトとのことであり、厚生労働省の労働災害認定基準に該当せず、医師の診断によっても本件作業と急性白血病との因果関係がないとされている。

    しかし、急性白血病は遺伝などを原因とする例も見られるが、放射線被ばくや一部の化学物質への曝露等に起因する例が多く、その原因の特定は疾患の種類や遺伝性などの他の原因の有無なども含め慎重に検討する必要がある

    しかし、東京電力による記者発表においては、この男性の3月11日以降の居住歴も含めた全行動履歴が明らかでなく、また、福島第一原子力発電所事故以前も含めた原子力発電所の作業歴の有無は明らかでない。この男性が、福島第一原子力発電所周辺で生活していた期間があれば、その生活そのものに起因した被ばくをしている可能性があり、また、以前から原子力発電所での作業に従事していたとすれば、そこでの作業で放射線被ばくしていた可能性も十分にある。さらに、事故収束作業現場の混乱状況からすれば、作業に起因した外部被ばく及び内部被ばくの測定値そのものの正確性にも疑問が残る。しかも、東京電力は、因果関係を否定する根拠について、このような不十分な調査による事実関係を厚生労働省の労災認定基準に当てはめるだけで、診察をした医師に因果関係を否定する具体的根拠を聴き取ってもいない。

    このような十分な調査を経ているとはいい難い中で、本件作業と男性の急性白血病との因果関係を断定的に否定することは性急に過ぎ、相当ではない。

    そもそも東京電力は作業を元請企業に発注しておきながら、その作業員の急性白血病の発症について、元請企業からの報告を受けるだけで、当該男性が何次下請の作業員かすら把握していない。事故が発生した原子力発電所での作業員の管理体制としては無責任というほかない。

    福島第一原子力発電所では、このような体制の下で250ミリシーベルトを超えて被ばくしたとされる作業員が続出していることから、今後、健康影響を訴える作業員が続出することも予想される。

    福島第一原子力発電所事故は一日も早い収束が強く望まれているところであり、そのためには、作業員の労働環境の適正さを確保することが極めて重要である。

    したがって、当連合会としては、東京電力に対し、男性の職歴、生活歴、それから予想される被ばく線量を徹底的に調査し、男性の原子力発電所での作業と事故後の生活に基づく被ばくを併せて考慮し、急性白血病との関係を慎重に検討した上で、プライバシーに配慮しつつその検討結果を公開することによって、原子力発電所労働者の休憩時を含む労働環境の適正さを確保することを求める。

    そして、国に対しては、今後一層、東京電力に対する労働安全衛生指導を強化し、原子力発電所労働による健康被害が起こることを防ぐとともに、放射線による健康被害の危険性が確率的に高いと考えられる労働者が安心して暮らすことができるよう、長期にわたって健康影響を調査し、健康被害が発生したときには困難な立証を経ることなく手厚い保護を受けることができる施策を実現することを求める。また、事故発生時に福島第一原子力発電所付近に居住していた労働者については、労災認定の判断に当たって、作業に起因する被ばくだけでなく、環境汚染地域における生活に起因する被ばくも総合的に考慮してその判断を行うこととすべきである。

    2011年(平成23年)9月2日

    日本弁護士連合会
    会長 宇都宮 健児

    Sunday, September 4, 2011

    日本の人工放射線被曝、世界平均の5倍以上

    今回の福島事故以来、放射能汚染食物を摂取することでの人体への内部被曝を論じる際に、「胸部レントゲン(X線)何回分と同じ」だから心配は要らない、というコメントを現在でも見かけますが、実際、日本の人工放射線被曝は世界にずば抜けて高いのです。

    せっかく世界平均を大幅に下回る自然放射線量の日本は、医療による人工放射線の被曝が非常に多く、日本の平均人工放射線被曝量は世界平均の5倍以上、他の先進国と比べても倍近くになります。

    放射能に汚染された食品の安全を議論するときによく引き合いに出されるカリウム40からの内部被曝は、平均0.41ミリシーベルト(410マイクロシーベルト)。これは世界平均0.3ミリシーベルトを上回っていますが、大地放射線、宇宙線、ラドンの吸入、全て世界平均をかなり下回っています。日本に住む日本人は、このレベルの放射線に適応して生活してきたのです。

    それでは足りない、と言わんばかりの人工放射線被曝量です。

    以下の表をご覧ください。文部科学省 の委託事業として、公益財団法人原子力安全研究協会が運営する、「緊急被ばく医療研修のホームページ」掲載の資料です。

    表4-2:自然放射線および医療被ばくによる1人当たりの受ける年間実効線量(mSv/年)


    被ばくの種類 世界平均
    (国連科学委員会)
    日本の参考データ
    自然放射線 大地放射線
    宇宙線
    40K等の経口摂取
    ラドン等の吸入
    0.5
    0.4
    0.3
    1.2
    0.32
    0.27
    0.41
    0.45
    人工放射線 医療被ばく 世界平均 工業国 日本
    医科X線診断・CT
    歯科X線検査
    核医学診断
    0.4
    0.002
    0.03
    1.2
    0.01
    0.08
    2.3
    0.02
    0.03

    表4-3:主なX線診断における実効線量(mSv/検査)

    診断部位 実効線量(mSv/検査)


    男性 女性
    一般X線診断 頭部 0.1 0.1
    胸部 0.06 0.06
    上部消化器 8.00 7.00
    注腸 6.00 8.00
    X線CT検査 頭部 0.48 0.49
    胸部 8.63 8.58
    上腹部 9.00 9.00
    下腹部 3.60 7.10
    集団検診 胃部 0.6
    胸部(間接撮影) 0.05

    そして、

    表4-5:核医学検査時の胎児・卵巣の被ばく線量
    検査 放射性医薬品 実効線量(mSv/検査)


    胎児 母親の卵巣
    テクネチウム-99m 4.5 2.6
    甲状腺 テクネチウム-99m 0.3 0.4
    甲状腺 ヨウ素-123 0.1 0.1
    心筋 タリウム-201 3.7 8.9
    腫瘍 ガリウム-67 5.8 17.0

    出典:放射能と人体(渡利一夫、稲葉次郎編、研成社、1999)

    前のポストに関連しますが、人工放射線被曝と感染症、アレルギーの関連の研究などはあるのでしょうか。興味があります。)

    そういえば、山梨の病院で、きれいな映像を取るために子供たちに最高で規定値の40倍ものテクネチウムを投与していましたが、どれくらいの実効線量だったんでしょう。

    アレクセイ・V・ヤブロコフ博士の論文「Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment (チェルノブイリ:大災害が人と環境へもたらした影響)」 によると、チェルノブイリの汚染地域で、あたらしい放射線レベルに人体が適応する(放射線への過敏な反応が少なくなる)のに20世代、400年かかる、としています。(PDFファイルの59ページ目、右側の欄中ほど。)

    日本での過剰なまでの人工放射線被曝はせいぜい戦後になってからではないか(もっと最近のことかもしれませんが)と思いますが、戦後からでもまだ66年ですね。3世代ちょっとです。まして福島第1原発事故以降の東北、東日本の放射線レベルに人体が適応できるとしたら、あと400年。