半減期が約8日のヨウ素131だけでなく、半減期のずっと短い(つまりそれだけ放射線が強い)ヨウ素132に崩壊する物質が多量に、しかも広範囲の大気中に出ていたからなのだそうです。
5ヶ月経って言われても、今更3月時点に戻ってヨウ素剤を服用できるわけでもないんですが、唯一町民に実際にヨウ素剤を配布した上にちゃんと飲ませた福島県三春町は、不安、風評をあおる、と当時非難されていました。
ちなみに、福島県は、放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一教授のお言葉として、3月20日(下の記事を見れば分かりますが既に理化学研究所が多量のヨウ素132とヨウ素132に崩壊する物質を大気中で大量に検出した後です)に、福島市についてこのような発表をしています。(原文では二重線で強調してあります。)
朝日新聞8月27日付け記事:
東京電力福島第一原発の事故で周辺住民が飛散した放射性ヨウ素を空中や食品から体内に取り込むことによる甲状腺の被曝(ひばく)は、健康被害を予防する安定ヨウ素剤を飲むべきレベルだった可能性があることが、27日、埼玉県で開かれた放射線事故医療研究会で指摘された。
今回、政府は原発周辺住民にヨウ素剤の服用を指示しなかった。しかし研究会では、原子力安全委員会の助言組織メンバー、鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長が「当時の周辺住民の外部被曝の検査結果などを振り返ると、安定ヨウ素剤を最低1回は飲むべきだった」と指摘した。
3月17、18日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による甲状腺への影響を計算すると、少なくとも4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがあるという。
放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、甲状腺被曝では放射性ヨウ素の中では比較的、寿命が長い放射性ヨウ素131(半減期約8日)だけが考慮されていたが、広島大原爆放射線医科学研究所の細井義夫教授は「半減期が2時間と短いヨウ素132も考慮が必要」と指摘。理化学研究所などが3月16日に原発30キロ圏外の大気を分析した結果、放射性物質の7割以上が放射性ヨウ素132や、約3日で放射性ヨウ素132に変わる放射性物質だったという。
理化学研究所(文科省管轄)は3月16日に既に知っていたわけですね。いくら政府からの圧力があっただろうとはいえ、学者の良心なんていうものはないものと考えることにします。
それはひとまず措いて、約3日でヨウ素132に崩壊する物質とは何だったのでしょう、と思って調べたところ、
と分かりました。
そこで6月6日に保安院が出した、福島第1原発からの放射性物質の放出推量についての資料を見ると、テルル132は
7.6x10の14乗ベクレル、つまり、760,000,000,000,000ベクレルまたは760テラベクレル
出ています。
ヨウ素132自体、4.7x10の14乗ベクレル出ていることになっていますから、ヨウ素132の量は合計で、1230テラベクレル。
テルル132の検出は6月初旬にニュースになっていました。浪江町、南相馬市、大熊町での高濃度の検出のニュースで、しかも検出したのは福島県、しかも3月12日の爆発前に検出。それを3ヶ月近く経ってから朝日がニュースにしたわけですが、今回の専門家の話だと、原発周辺だけでなく、30キロ以遠の広い範囲でテルル132が検出されていたことになります。
金属で重いので遠くまで飛ぶはずがない、と専門家が言っていたテルル132が30キロ以遠の大気中で検出されていたのです。
(ポストを書いているだけでなんだかのどが痛くなってきた。)
2011年6月20-24日IAEA閣僚会議ウィーン:政府の福島原子力発電所の事故報告
ReplyDeletehttp://www.nisa.meti.go.jp/oshirase/2011/07/230715-5-1.pdf
(P.55)
・福島県は、福島第一原子力発電所から50km圏内に行政区域を持つ市町村に対し、ヨウ素剤を配布した。
・ヨウ素剤を服用するよう指示が出された時点では、既に避難が完了していたため、指示に基づいて安定ヨウ素剤を服用した住民はいなかった。
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ここまで嘘を報告していたのにはビックリです。
ヨウ素剤を配布していたのは極一部、服用指示も極一部の自治体だけだった。
これが事実。
2012年9月30日(日)放送NHK総合
ReplyDelete証言記録 東日本大震災 第9回 福島県三春町 ~ヨウ素剤・決断に至る2日間~(仮)