Tuesday, July 19, 2011

国の作った原発推進指南書「主婦の場合、自分の周りに原発なければ他人事」

そこで「父親層をターゲット」、「子供向けには漫画を使い」「人気キャスターを取り込んで」「事故時を絶好の好機とせよ。」

また、原子力に疑いを持たせるような記載を教科書から抹消すべく、文部省の検定を強化する必要まで上げています。

チェルノブイリの事故を受けて、1991年に科学技術庁が作成させた、政府機関、電力会社向けの広報の「指南書」のポイントが、西日本新聞に出ていました。原子力が国策とはよく言ったものです。

ちなみに、科学技術庁というのは原子力推進のために設立されたようなものです。初代長官は正力松太郎。第5福竜丸事故直後の日本の反核感情を翻すプロパガンダに奔走した、読売新聞・日本テレビのオーナーです。(冷戦下の日本への原発導入推進については、1994年のNHKドキュメンタリーの書き起こしがありますので、是非お読みください。)

西日本新聞7月20日付け記事より:

九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開をめぐる九電の「やらせメール」問題は、意見投稿の例文集を取引先に渡すなど、電力会社による世論操作の実態を白日の下にさらしたが、原発にからむ世論対策は今に始まったことではない。チェルノブイリ原発事故後、旧科学技術庁(現文部科学省)が原発推進のため、政府機関や電力会社向けに“指南書”を作成していた。そこには、国民や報道機関、教育現場に原発の必要性を浸透させるための具体策が列挙されている。

 “指南書”は、文科省と経済産業省所管の日本原子力文化振興財団が科技庁の委託で1991年にまとめた報告書「原子力PA方策の考え方」。PA(パブリック・アクセプタンス)とは「社会的合意形成」の意味で、財団によると、文書の配布先は不明だが、「チェルノブイリ事故を受け、どんな広報が必要かを検討するために作ったのでは」(横手光洋専務理事)という。

 報告書の記述を転載した隔月刊誌「放送レポート146号」(1997年発行)によると、新聞社の論説委員、電気事業連合会や原発プラントメーカーの広報担当者などでつくる委員会の議論を集約した内容で、科技庁の官僚もオブザーバー参加。(1)市民対応(2)マスコミ対応(3)タイミング(4)学校教育-といった論点について、国や電力会社の広報のポイントと手法を提言している。

 原発の必要性をどうアピールするかでは「原子力による電力が『すでに全電力の3分の1も賄っているのなら、もう仕方がない』と大方は思うだろう」と記述。主婦層に対しては「現在の生活レベル維持の可否が切り口となろう」「自分の周りに原発がなければ、他人事(たにんごと)としか受け取っていない」などと説く。

 中学校の教科書での原子力エネルギーの取り上げ方を「原発や放射線は危険で、できることなら存在してもらいたくないといった感じが表れている。書き手が自信がなく腰の引けた状態で書いている」と指摘。「これではだめだ。厳しくチェックし、文部省(当時)の検定に反映させるべきだ」と踏み込んでいる。

 報道機関への対応の助言も具体的だ。「スポークスマン(役人を含む)を養成する。新聞記者が積極的に彼の意見を求め、記事に引用するようになる。一種のマスコミ操作法だが、合法的世論操作だ」と指摘した。

 報告書について、財団の横手専務理事は取材に「一部、不適切な表現がある部分は反省しなければならない」とした上で「広報戦略を立てること自体はどこでもやっていることで問題はない」と話した。九州電力は「報告書は社内に現存せず、受け取ったかどうかも分からない」(広報部)としている。

■情報公開の視点ない 福島第1原発事故「事故調査・検証委員会」の委員を務める吉岡斉(ひとし)・九州大副学長(科学技術史)の話

 原発推進の思想を注入することを重視した放言集のような印象だ。ここに書かれた大衆扇動のテクニックは事実上、最近まで実践されてきた。正確な知識の啓発活動は必要だが、それには原発のリスクを含めた情報公開や市民との対話が不可欠だ。その視点が抜け落ちている。

(記事は続きます。)

西日本新聞の記事には、このような表で「指南書」の趣旨をまとめています。

2 comments:

  1. これは、洗脳ですね。
    今までこれを使って洗脳してきたのでしょうね。
    洗脳って、人が不安になっている時に、繰り返し同じ思想をのべて行います。

    その点で考えると、 今は日本中が、福島の事故により大きな不安の中にいるので、非常に洗脳にかかりやすい心理状態になっています。

    人は、大きな不安に襲われると思考停止になり、「これしかない!」と断言されたものにすがりつくようになります。

    今のままでいくと政府の「安全神話」洗脳がさらに深くかかってしまう恐れがあります。
    すると、放射能による後遺症が出ても、原発事故と結びつけて考えられなくなります。
    恐ろしいことです。

    興味深いは、「事故時を絶好の好機とせよ」と書いてあるので、事故が起こることは当然のように予測された上での推進だったのでしょうね。
    つまり、最初から国民の命は、切り捨てていく方針だったようですね。

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  2. EX-SKF様
    以下のURLをご覧ください。
    これと、
    http://rika.netj.or.jp/report/me06a_100609.html
    これです
    http://rika.netj.or.jp/report/me06b_100609.html
    これは「理科教育ルネッサンス」という団体が、検定教科書の原子力に関する記述がいかに「偏っているか」について調査して意見を述べ合っているものです。原子力の写真がチェルノブイリやJCOであることに不満を述べています。古いことを持ち出すな、ということです。製薬会社メンバー(こういう会社も取り込んでいることが驚きですが)は、サリドマイドや薬害エイズのような古い話が記述されているのと同じ印象と、恐ろしいことを述べています。
    はっきりいって、視ていると気分が悪くなる内容ですが、いかにこの勢力が、正規の業務として、全精力を傾けてこういった「偏向是正」に邁進してきたかの証左です。こちらも相当な気合を入れて望まないと対抗できないという思いを強くします。

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