Thursday, July 19, 2012

オリンピックに行く飛行機、日本女子サッカーチームはエコノミークラス、男子チームは悠々ビジネスクラス(同じ飛行機です)


おっと...。英語ブログに出すつもりが日本語ブログに出してしまいました...。まあついでといっては何ですが、出しておきます。日本サッカー協会の、ワールドカップ勝者の日本女子サッカーチームに対する「褒賞」は、ロンドン行きの飛行機をエコノミークラスからエコノミー「プレミアム」に格上げしてやったこと。きっと、それでも大変なことだったのでしょう。何しろ、今までの慣例で、男子はビジネスクラス、女子はエコノミーでずっとやってきた、とのことですから。(皮肉)

日本は雨が降ろうと風が吹こうと原発が爆発しようとワールドカップで女子が優勝しようと、慣習を決して変えない、頑固な国だ、と言うことですね。去年原発事故がおきてからも、特に幼稚園・保育園、小学校、中学校の慣習-ルーチンはほとんど全く変わることがありませんでした。春のタケノコ掘り、田植え、茶摘、林間学校、秋の紅葉狩り、芋ほり、スキー教室。一般の大人の方々も、放射能が降ろうがなんだろうが、統一地方選挙、春の花見、地産地消と食べて復興応援。

女子サッカーチームがワールドカップで優勝しようが、それで年来の慣習を変えるわけにはいかない、例年通り。

ウォールストリートジャーナルの記事によると、さすがに日本女子チームのキャプテンの沢さんは、「ちょっと逆じゃないの?」と言っています。

同じ飛行機の前部キャビンのビジネスクラスには日本男子チームが座っていた、とのこと。男子チームの面々は、どう思っていたんでしょうか。私だったら居心地が大変に悪いでしょうね。

女子チームが金メダルを獲得したら帰りの便をビジネスクラスにアップグレードすることを考えてもいい、と理事長のお言葉(英文記事の最後にその部分を追加しました)。失礼の上塗りですね。メダルの可能性がない男子は、帰りの便ももちろんビジネスクラスです。

From Wall Street Journal (7/19/2012; emphasis is mine):

Sexist Soccer? Japan’s World Cup Women Fly Economy; Men Relax in Business

A whole nation celebrated when the Japanese women’s soccer squad won the World Cup last year. But hopes that the surprise victory would change attitudes toward women playing the beautiful game in Japan appear to have been premature.

World champions they may be, but when it comes to the pecking order against their male counterparts, Japan’s female football players are relegated to backseat status — literally.

The Japanese women, considered strong contenders for Olympic gold in London, had to squeeze into economy seats on a 12-hour flight to Europe this week, while members of the less successful men’s soccer team, enjoyed the plush amenities of business class further up the cabin.

It should have been the other way around,” team captain Homare Sawa, the belle of Japanese soccer, told reporters after arriving in Paris. “Even just in terms of age, we are senior,” joked FIFA’s women’s soccer player of the year.

The Japan Football Association lies behind the class separation. While the Japan Olympic Committee gives all Olympic-bound athletes economy class tickets, it is up to the respective associations of each sport to upgrade athletes’ seats as necessary, a JOC spokesman said.

Economy seats to Europe cost as much as ¥160,000 a pop, or about $2,000, but that is considerably less than the ¥400,000 or so a business class seat on a Japan Airlines flight from Tokyo to Paris cost as of Thursday.

To be fair, the Japanese women did get a bump of sorts. They were upgraded to economy premium, which offers 20% extra leg room.

The JFA was not immediately available for comment. But the association has previously said the ticket class distinction has been this way for a long time. The men have been flying business since the 1996 Summer Games in Atlanta, a couple of years after the men’s league went professional, while the women have remained in coach.

...

The president of the JFA said on Wednesday that for him to consider upgrading the women to business class on the return flight, the women would have to win gold. The men, who are not tipped for a medal, will be there regardless.

(Full article at the link)


Thursday, July 12, 2012

【記録】政府は2011年3月11日の地震・津波・原発事故発生後、何時から福島原発付近の放射線量を計測していたのか?


答は去年の6月3日、経済産業省・原子力安全保安院の出した資料に出ています。

2011年3月12日午前8時9分、場所は大熊町大字熊字錦台。線量は毎時0.05マイクロシーベルト。測っていたのは、福島県。

福島第1原発1号機建屋で水素爆発が起きたのは、3月12日午後3時36分です

福島県は昨年事故以来、「国からも東電からも、放射性物質の拡散について情報はなかった」と主張し、SPEEDIの情報がメールで届いていたのを消去していたことを認めたのは今年になってからでした。何の情報もないのに地震・津波の翌日の朝から放射能測定を始めていた、というのでしょうか。

この保安院の資料によると、2011日3月12日に1号機の爆発以前に放射能を計っていたのは福島県と自衛隊です。以下、計測場所と時間と線量を一部書き出してみます。何も情報がない割には、原発の北西方向をきちんと測っているような気がするんですが、どうなんでしょうか。

福島県計測分:
午前8時9分、大熊町大字熊字錦台、毎時0.05マイクロシーベルト
午前8時15分、大熊町大字子入野字向畑、毎時0.06マイクロシーベルト
午前8時18分、双葉町大字新山字広町、毎時0.05マイクロシーベルト
午前8時25分、富岡町大字本岡字新夜ノ森、毎時0.18マイクロシーベルト
午前8時39分、浪江町大字高瀬字西原、毎時0.04マイクロシーベルト
午前8時39分、大熊町夫沢長者原、毎時0.3マイクロシーベルト

午前8時50分、浪江町大字高瀬字西原、毎時8マイクロシーベルト
午前8時52分、浪江町大字高瀬字西原、毎時14マイクロシーベルト
午前8時57分、双葉町新山、毎時4.5マイクロシーベルト

午前9時1分、浪江町大字酒井字堂場、毎時15マイクロシーベルト

午前9時19分、大熊町大字熊字熊町、毎時0.18マイクロシーベルト
午前11時44分、大熊町大字熊字熊町、毎時0.05マイクロシーベルト
午前11時57分、双葉体育館、毎時3.92マイクロシーベルト

自衛隊計測分:
午前11時50分、大熊町役場、毎時0.05マイクロシーベルト
午後12時、スポーツセンター、毎時0.03マイクロシーベルト
(略)
午後12時30分、ヘルスケア双葉、毎時0.3マイクロシーベルト
午後12時40分、ヘルスケア双葉、毎時1.65マイクロシーベルト

福島県は3月12日午前8時25分、富岡町で0.18マイクロシーベルトを計測した時点で、既に原子力発電所から放射能が漏出していたことが分かったはずです。富岡町なので福島第1なのか第2なのかは分からなかったとしても、通常の放射線量の4倍の線量が観測された時点で、事故だと分かったはずです。午前8時39分には大熊町夫沢で0.3マイクロシーベルトと通常の10倍近い線量を観測し、8時50分には浪江町高瀬で毎時8マイクロ、通常の200倍の放射線量を観測、更に2分後には同じ場所で毎時14マイクロ。

この計測をしておいて、福島県はこのデータをどうしたのでしょうか。原発立地自治体はともかく、一番の高線量が観測された浪江町に対して、何らかの通知を行おうとは思わなかったのでしょうか。通知をするのは国の責任だ、とでも思っていたのでしょうか。

自衛隊が午後12時40分に高線量を計測していたヘルスケア双葉というのは、双葉厚生病院に付随した老人介護施設のように見受けられますが、自衛隊が計測していた時点では、双葉厚生病院から避難は完了しておらず、患者さん、お医者さん、看護婦さんがまだいらしたはずです。


更に、福島県が計測を始めたのが12日午前8時9分、とこの保安院の資料ではなっていますが、双葉厚生病院の院長先生のインタビューによると(詳しくは院長の独り言ブログをどうぞ)、12日の午前6時半には防護服に身を包んだ警察官が「病院に入ってきて、「逃げろ」と」言われた、とのことです。この警察官は、福島県警だろうと思われますが、そうなると福島県は更に早くから、放射能拡散の情報を持っていたことになります。

保安院の資料は3月13日から15日までのモニタリング計測の結果も、計測していた組織別に記載しています。それを見ると、13日には日本原子力開発機構が走行サーベイで浪江、南相馬まで線量を測定しており、数箇所でサーベイメーターが振り切れたと思われる値を記録しています(「30マイクロシーベルト」以上の表示)。13日にも福島県は線量を測定しており、やはり数箇所でサーベイメーターが振り切れています。15日には理化学研究所の走行サーベイが行われ、常磐道沿いの地点を広く計測しています。

この情報を公表しなかった県も、国も、政府機関もひどいものだとは思いますが、おそらく彼らは大層恐ろしかったのではないかと思います。通常の4倍、10倍、100倍、200倍といった放射線量を各地で計測し、しかもサーベイメーターが振り切れるような場所まで出てくる。歯の根が合わない恐ろしさだったような気がします。だから隠したか。ふくいちマスコットのダチョウのように、砂に頭をつっこんだのでしょう。

資料には、地図も出ています。手書きで測定場所を書き込んであります。それを見ると、3月12日の第一回目のモニタリングの時点で、既に北西の方向をきちんと測定しています。

1回目モニタリング地図(8時9分~9時19分)


2回目モニタリング地図(11時28分~12時41分)


ここで私が大いに疑問であり不満なのは、米国エネルギー省から無人航空機を使った放射線の実測資料を3月20日までに受け取っていてそれを公開しなかった、と言ってマスコミが政府を「攻撃」(するふり)をし、政府がこれに対して「謝罪」する、というお芝居です。保安院の資料を見る限り、米国の資料がなくとも日本政府は12日の朝から実際に地上で放射能を計測して、詳細な情報ではなかったにせよ、原発の北西方向が高線量になっていく様を把握していたのです。

この保安院の資料が公表されたのは去年の6月3日。同時に保安院は、3月12日の朝から午後にかけて大熊町、浪江町、南相馬市でテルル132を検出していたことを公表しました。私は英語ブログにそのニュースを出したのですが、日本でほとんど何の反響もないのに驚いた記憶があります。

もう事故はおきてしまったんだから、後になってこのようなことが分かろうが関係ない、と思われる方々もいらっしゃるかもしれませんが、事実をしっかり把握することは常に解決の第1歩だと思います。

Tuesday, July 3, 2012

英ガーディアン紙掲載の、日本のメディアによる6月29日~7月1日反大飯原発再稼動デモの写真


ツイッターで@quinoppieさんがガーディアン紙のデモ写真ページをリンクし、「なぜ海外メディアの写真はこんなに面白いのか。なぜ日本のメディアにのる写真は、そろいもそろってあんなに平板なのか」とツイートなさっていました。

そうだよなあ、と思い、リンクを辿ってガーディアンのサイトに行って写真を見はじめ、画面右下に出ている写真のクレジットを見たら、海外の通信社などに混じって朝日新聞、時事通信などの写真が入っていました。日本の新聞(紙、オンラインとも)には出ていたような覚えはありません。さもありなん、という写真ばかりだったような気がします。沢山の人が群れているところを写す、あるいは「警官の暴力」にカメラマンが群がる。

ところが、ガーディアン紙に出ている朝日、時事の写真は、個人を結構よく映し出しています。

なぜこれが日本の朝日、時事に載らないのでしょうか。

7月2日付けガーディアン紙オンラインより(クリックで大きくなります):

朝日:



時事:


私がガーディアンに出ている12枚のうちで気に入った(というか恐れをなした)のはこれ。AP通信の写真です。大飯原発の位置、再稼動デモの位置にご注目。万が一が起きたら、福島の時のように世界最大級のコンクリートクレーン(ドイツのPutzmeister)を陸路輸送する、なんてことは、そのトンネルがある限りちょっと無理でしょう。海路でしょうが、桟橋など、万が一の後無事だといいですね...。