Wednesday, February 24, 2010

公聴会での豊田社長のナイーブさには驚き

ナイーブ(Naive)という単語は、日本語ではどうもいい意味に使われているようですが、英語では、『単純、馬鹿、阿呆、非現実的』といった、悪い意味で使われます。

トヨタの豊田社長の公聴会での発言は、ナイーブを10倍、100倍にしても足りないほどのナイーブさです。

ここは日本ではないのです。

FBIは火曜日の夜、トヨタのサプライヤーに強制捜査をかけました。すでに刑事事件に仕立てあがっているようです。議会公聴会の発言は全て、検察当局によってトヨタの刑事責任の追及に利用されます。このブログでも昨日書いたとおり、合衆国憲法修正条項第5条を盾にすべきでした。

米国トヨタの経営陣はそれくらいのことは理解していたはずですが、なぜそれを日本側に伝えなかったのか?品質の問題よりも、私はそっちの方がよっぽど問題だと思います。

Monday, February 22, 2010

トヨタ、連邦大陪審から召喚状

日経ネット2月23日の記事

米連邦大陪審とSEC、トヨタに書類要求 リコール問題  

『トヨタ自動車は22日、米ニューヨーク州南部連邦地裁の連邦大陪審から同社製車両のアクセルの不具合や「プリウス」のブレーキに関する書類の提出を求める召喚状を受け取ったと発表した。米証券取引委員会(SEC)のロサンゼルス支部からも同様の文書の自主的な提出や召喚状を受けとったことも明らかにした。トヨタは大陪審などの要請に協力、書類を提出する考えだ。

『トヨタによると、検察の要請を受けて連邦大陪審が召喚状を今月8日にトヨタと米子会社に発行した。リコールでメーカーがこうした要請を受けるのは異例という。現地の検察当局が刑事上の責任追及を視野に調査を始めた可能性がある。

『米SECも19日にトヨタに対し、自主的な文書の要請をしたほか、米販売子会社に対して召喚状を送付した。トヨタ車のアクセルの不具合や同社の情報開示指針や慣行についての書類の提出を求めている。 (00:19) 』

トヨタがいったい何の法律に抵触したのか、一切不明。大陪審(Grand Jury)の要請に協力?トヨタはアメリカの司法システムを理解しているんでしょうね?

大陪審の召喚状(Subpoena)が来ている、ということは、トヨタの米国議会公聴会での発言は検察当局がトヨタに不利な証拠として利用できる、ということなのです。

公聴会に出席するトヨタの首脳陣、日米を問わず、これは "Take the Fifth"(合衆国憲法修正第5条:自身に不利な証言をすることを拒否する権利) をせざるを得ないはずで、そうさせること自体が恐らくオバマ政権の狙いだと思われます。"Take the Fifth"ということは胡散臭い、疾しいことがあるからに違いない、というわけで、いわばそれだけで有罪も同然、というイメージを植えつけるわけです。

まったく、これが一国の長のすることか、と思いますが、シカゴのチンピラを首席補佐官にしているくらいですから、程度は推して知るべし。今回のリコール騒動をこれだけあおっているのはほかでもない、オバマ大統領とその取り巻きです。

豊田社長は「誠心誠意」理解を求めるそうですが、そもそもそんな次元の問題ではないのです。誠心誠意、謝りでもしたら、それは検察の訴追の材料になるのです。(詳しくは英語ブログをご参照ください。)何を言っても不利な証言と検察に取られるか、証言を拒否して有罪同然のダメージを受けるかのどちらかです。要するに行くだけ無駄です

さて、日本は12月に中国を抜いて世界一の米国債券保有国(約70兆円)に復帰しましたねえ。ドルが多少上がっているうちに多少なりとも売り払って、その代金でIMFから金を200トンばかり買ったほうがよほど日本の将来のためにいいのではと思いますが、いかがでしょう?

Tuesday, February 16, 2010

トヨタのリコール問題は沖縄基地問題の延長線上?

オバマ政権のトヨタ自動車に対する執拗な「攻撃」は沖縄基地移転問題に端を発している、という記事を Lewrockwell.com がリンクしていました。リンク先の記事はこれです。

Obama waging economic warfare on several fronts, including Japan (Wayne Madsen, 2/12/2010 Online Journal)

The Obama administration has expanded its economic warfare against other countries, first reported on January 18 by WMR in the case of an authorized financial campaign against Venezuela. The Obama administration, according to WMR’s Asian sources, is waging an economic warfare campaign, coupled with industrial sabotage, against Japan through a pre-planned operation directed against the Japanese automobile manufacturer, Toyota.

WMR has learned that the Obama administration authorized the anti-Toyota campaign as a warning shot to Japan over its reformist government’s insistence that the U.S. pull its military troops out of Okinawa. WMR has learned that Obama and his chief of staff, Rahm Emanuel, have decided to turn the screws on Japan, not only for auto market leverage, but also to punish Japan over the insistence by Prime Minister Yukio Hatoyama and the newly-elected anti-U.S. military mayor of Nago on Okinawa to move the U.S. military off of Okinawa.

要するに、オバマ大統領とラーム・エマニュエル主席補佐官の間で決定されたことで、沖縄からの米軍撤退を求める日本の民主党政権にプレッシャーを掛けるために、トヨタのアクセルの問題をことさらに取り上げることにした、というのです。

記事の後半では、トヨタ、ホンダ、GM、フォードに電子制御のアクセルのアセンブリーを供給している会社、CTSには、以前からこのアセンブリーの誤動作問題があったこと、また、CTSの社長はインド人で、オバマ政権内の重要な地位についているインド人およびインド系アメリカ人に遠慮があるのか、CTSについては何の咎めもない、といぶかしがっています。

また、どのような情報をMadsen氏がつかんでいるのかはわかりませんが、このCTSのアクセル・アセンブリーは、「非民間用」、つまり「軍事用」の周波数に影響されやすい、つまり、アクセル・ペダルの事故は、米軍が通信に使用している周波数に影響されて誤動作している可能性がある、としています。

それが表向きになってしまう前にとにかくトヨタに責任を押し付けてしまおう、という訳です。

それにしても、品質のトヨタがなぜそんなアクセル・アセンブリーを調達していたのか、私には理解しかねます。全世界でCTSだけが供給しているというわけでもないでしょうが。(ひょっとして?)

オバマ政府はトヨタに対して、アメリカ国内だけでなくヨーロッパのリコールのデータまで提出するよう要求しています。同じペダル問題のある競合他社、また問題のペダルを作った当のCTSからも同様のデータを要求しているという話は一切聞きません。安全性を問題にしているのではないことが、このことからも窺えます。

Madsen氏の記事では、日本政府もトヨタも、オバマ政府の狙いが政治的なところにあることは承知している、となっていますが、どうでしょうか?

Tuesday, February 9, 2010

米国トヨタのリコール広告

日本の本社の訳の分からない記者会見に業を煮やしたか、米国トヨタが多分独自に広告を出し始めました。私が先のポストで書いたようなことを、ナレーションで言っています。



『安全で、信頼の置ける高品質の車を皆様に提供するのが、この50年間、トヨタの最も大切な使命でした。最近になって、皆様のトヨタの品質に寄せる期待にそぐわない問題が起こりました。私たちの自身に対する期待にすらそぐわないものです。そこで、私たちトヨタおよびトヨタのディーラーの全従業員17万2千人を挙げて、問題を解決すべく立ち上がりました。私たちは、工場の製造ラインを止めました。お客様の車を第一に、最優先で修理するためです。』云々とあって、最後に

『皆様の信頼をトヨタに取り戻すために。』

1分足らずのコマーシャルですが、大変に効果的だと思います。その上でそれこそご飯が食べられるんじゃないかと思えるほどきれいな工場の床が、私には印象的でした。日本のトヨタの工場を見学しましたが、アメリカでも同じなんですねえ。

Monday, February 8, 2010

トヨタの豊田社長が記者会見で言うべきだったこと

トヨタの社長の記者会見でのコメントを読んで、思わずため息。(英語版も読みましたが、あれでは英語圏の人々はいったい社長が何を言っているのか、よくわからなかったでしょう。一瞬機械翻訳かと思いました。)何と日本的な発言。

トヨタが日本の自動車メーカーに留まっているのならあれでもいいでしょうが、全世界に製造、販売拠点をもつグローバル企業の長がただ謝るだけとは。まして、アメリカ政府の政治的打算が見え見えで、しかもアメリカのマスコミ(特にABCニュース)が鬼の首でも取ったかのような報道をし続けている中、特にアメリカに言及することも無く。

トヨタの広報は何をしているんでしょう。(記者会見がすぐに全世界に流れることは承知だったでしょうに。)

トヨタの社長が記者会見で伝えるべきだったことは、自社の品質に対する自信、そして、リコール問題を完全に、短期に解決できるという自信です。

私が広報だったら最低でも以下のようなことを社長に言わせます。

『今回のリコール問題では多方面に迷惑をかけることになってしまい、遺憾である。しかし、リコール問題はトヨタとトヨタの車のオーナーの方々との間のことである。[本音:米国連邦政府が口を挟むような事態ではない]

『また、今回の対応の遅れはあくまで日本の本社サイドの問題である。米国トヨタは、アメリカの消費者が求める、他社の追従を許さない高品質と高機能を常に提供してきた。そのような車を生産してきた米国トヨタ工場の従業員、また、顧客第一のサービスを提供してきた全米のトヨタのディーラーには、全幅の信頼を置いている。

『リコールの対象車を増やしたために、トヨタの品質の低下を疑う向きもあろう。この上は、トヨタの歴史上最大規模のリコールを、史上最短時間で解決して見せることで、トヨタの品質の高さ、顧客重視の姿勢を示したいと思う。全世界のトヨタの従業員、トヨタのディーラーをあげて取り組む所存である。』

といったところでしょうか。

しかし、社外の専門家に品質管理のアドバイスを求める、というのにはちょっと驚きました。トヨタに品質管理のアドバイスが出来る専門家が居ようとは思わなかったので。

南部の諸州(トヨタの工場所在地)のトヨタ・ディーラーの組織は、リコール問題で偏った報道を続けるABCニュースに怒り、ABCネットワークからトヨタのコマーシャルを取り下げました。(記事はこちら。)トヨタはアメリカでもしっかり愛社(愛車かな)精神を植えつけたようですねえ。豊田社長ももう少し自信を持ってもいいのでは?

Friday, February 5, 2010

トヨタを非難する日本政府、マスコミは解ってない!!

今回のリコール騒動は『政治的』なのです!

日本政府がトヨタの対応の遅れを非難し、マスコミが輪を掛ける、というのは、まあ日本では当たり前でいわば建前、慣習のようなものですが、日本の政府、マスコミの反応、トヨタのいかにも日本企業らしい日本向けの謝罪・対応が『まったく額面どおりに』アメリカのマスコミで報道されていることをご存じない?トヨタもトヨタで、ひたすら謝り挙句の果てにLaHood長官に感謝するなど、日本では褒められたことかもしれませんが、アメリカでそのまま報道されるとこれは単に支離滅裂です。

ホワイト・ハウスのプロパガンダ機関と化しているABCニュースなどは、あることないこと取り混ぜてトヨタの災難を文字通りあざ笑っています。

私の憤慨の詳細は週末に書きたいと思いますが(何しろ真夜中近いので…)、政府も、マスコミも、トヨタを攻撃するのなら攻撃の矛先をアメリカ政府、オバマ大統領にも向けるべきです。

不慮の加速、電子制御の誤動作、ペダルの問題などはトヨタに限ったものではありません。トヨタが一方的に攻撃される中、フォードなどはこっそりと制御ソフトの交換をしています。オバマ政府が特にトヨタを標的にした、真の意図は何か、と疑いをかける記事がこちらでは出始めています。このWashington Examinerの記事などは、オバマ政府をマフィアのギャングに例えています。

前のポストのHedgecock氏も言ってましたが、大げさに言えばトヨタの北米市場での存亡と、消費者が自由に車を選べるFree Market Systemの存亡がかかっているかもしれないのです。

Tuesday, February 2, 2010

トヨタはオバマのターゲット?

トヨタのリコール問題について、リコール、米国での販売および生産の停止はオバマ政府によって指示されたものである、との報道があったのが1月28日、同じ日に米国議会下院のエネルギー・通商委員会が公聴会を2月25日に行うことを決定、さらに今日に至って米国運輸省がトヨタに民事制裁金(Civic fine)を課すことを検討している、との報道。

スタイルは他のメーカーに劣るかもしれないけれど、品質と信頼性は何といってもトヨタ、というのが今の今まで全世界的に信じられてきた神話のようなものです。これまで放置してきたトヨタが何より悪いのでしょうが、トヨタにだけ販売、生産を停止させ(同じような問題を起こすアクセル・ペダルは、GM、フォード、クライスラー、ホンダの車にも入っています)、しかも議会公聴会、制裁金まで課せられる、というのは、どうも行き過ぎのような気がしていたところ、こんな記事を見つけました。

著者のRoger Hedgecock氏はサンディエゴのラジオ・トークショーのホストで、氏の番組は全米にシンジケートされています。

Obama attacks Toyota (Roger Hedgecock, 2/1/2010 World Net Daily)

この記事の中で、Hedgecock氏は、

『トヨタはSUA(Sudden Unintended Acceleration)問題でパーフェクト・ストーム(要するに悪いことが全部重なる事態)に直面している。が、ここにアメリカ政府の「欲」が絡んでいないだろうか?トヨタのライバルのゼネラル・モーターズ、クライスラーの大株主であるオバマ政府がトヨタに対して聖戦を挑んでいるのは「消費者保護」のためなのか、それとも労働組合組織化されていない、Red State(保守的な州、あるいは共和党支持の州)に生産拠点を置くトヨタへの報復なのか。危機は政策を進める絶好の機会だ、とする(大統領首席補佐官の)ラーム・エマニュエルの発言を考え合わせると、この疑問はよく考えてみたほうが良い。』

記事にもあるように、ゼネラル・モーターズ、フォード、韓国の現代自動車はここぞとばかりトヨタのオーナー向けのディスカウント、金利ゼロファイナンスなどを提供し始めました。

記事の最後の方には、こんな箇所もあります。トヨタの株主には考えたくもないことでしょう。

『今回の騒動から起こる訴訟の結果次第では、トヨタの米国撤退も考えられる。GMにとってはまったく好都合だ。(GM、ゼネラル・モーターズは、アメリカではGovernment Motorsとあだ名されています。)』

そして、『アメリカに自由で競争的な自動車市場の存在が(これからも)許されるかどうかが、トヨタのリコールの対応に掛かっているのだ。』としています。

トヨタの対応の遅さ、まずさはさておいて、私がこのポストで言いたいのは、

いったい日本政府は何をしているのか?

ということです。これは単に一私企業(トヨタ)の問題で、政府には関係ない、という態度なのだと推測しますが、どうもこれはオバマ政府の強い関与があると思われます。オバマ大統領は中国製各種製品に高関税を掛け、中国との関係はこれまでになく冷えていますが、今回のトヨタのリコール騒動もオバマ大統領がうまく利用してトヨタの居心地を悪くさせようとしているのでは。

GMを抜いて世界一の生産台数を達成したのが多分トヨタにとっての失敗だったのでしょう。

また、労働組合はオバマ大統領の最大支持基盤でもあります。

アメリカから見ていると、これはかなり政治的な動きで、政治的な対応を必要とする場合だと思われます。それこそ、日本政府からアメリカ政府に抗議し、トヨタだけを悪者扱いにするのはどういうつもりか、ぐらい言うべきでしょう。まあ、政府のどの部署を押せばいいのかは私には分かりませんが、日本政府が保有する巨額の米国債券を市場で投売りする、とでも脅かせば、公聴会だの制裁金だのはすぐに取りやめになるでしょう。