Saturday, May 26, 2012

福島4号機の使用済み燃料プールはどこにあるのか


5月26日、東電は第3回目の報道陣ツアーを福島第1原発で行いました。その目的らしきもの、明言されたわけではありませんが、わざわざ細野大臣を呼んで、内閣記者4名と共に4号機のオペフロ(5階)まで上がらせた、ということは、世界のインターネットでこの数ヶ月盛んに拡散されている、「4号機建屋は傾いている」「使用済み燃料プールは傾いていて、ひびが入って水が漏れている」「燃料プールが倒壊すれば世界的な大惨事になる」、などの情報を否定することが一つにはあったように思います。

そのためでしょう、前日の5月25付けで、東電は「福島第一原子力発電所4号機原子炉建屋の健全性確認のための点検結果について」(PDF)というまとめを出しました。

英語ブログに資料を出しましたが、予想通り、反応は、「東電は嘘つきだから信用できない。」

そればかりか、英語圏のブログの一つには、東電の出した資料を曲解し、資料に改ざんを加えてそれが「東電が4号機が傾いていることを認め、燃料プールが危ないことを認めた証拠だ」、というようなことが書かれているのを発見しました(読者情報)。このブログが大手のサイトにリンクされ、拡散された模様。

そのブログが使ったのは、東電資料のこのページです:


まず、左側のポンチ絵。見れば分かるように、傾きがない場合には定点が垂直線上に乗り、傾いている場合には水平差がでる、という説明をするための絵です。これが、このブログにかかると、”Tepco Finds Reactor 4 Building Leaning”、「東電は4号機建屋が傾いているのを発見した」という但し書き付きで(赤色の楕円で囲った部分)、4号機が傾いている証拠として挙げられています。


更に、このブログに「東電の出した報道資料の4号機写真」という但し書きつきで出ているこの写真:


大きな赤い矢印で、使用済み燃料プールの位置を指摘しています。いかにも使用済み燃料プールは、海側から南面の壁にあいている穴の方向、壁のパネルが落ちている(落とされている)西側方向に、南面の壁に沿って存在しているかのような矢印の描き方です。

写真の詳細を見ると東電が今回出した資料の写真と同一ではなく(上下左右の端が東電資料より表示部分が大きい)、以前に4号機の写真として出ていたものに矢印を書き足した、という感じです。定点と線は以前の写真にもついていたのかどうか、調べ切れていませんが、垂直方向の傾きを測定するため以外にこのような点と線を描くとは思えず、また垂直方向を実際に測定したのが今回が初めてだったことを考えると、恐らくついていなかったのではないかと思います。

しかし、東電の資料を見れば分かるとおり、赤い矢印をつけたのはこのブログであって、東電ではありません。使用済み燃料プールはそんな位置にはないのです。

東電資料の16ページ目のこの図をご覧ください。


プールは、南面の穴の向かって右側なのです。

朝日新聞が出したヘリからの航空写真(5月26日撮影)。使用済み燃料プールは、白いカバーが四角く掛かっている場所です:


もっとも、使用済み燃料プールの位置を実際の位置ではない場所に置いたのはテレビ朝日も同じ。4号機は危ない、という今年の3月の初めの番組からのスクリーンショット:


前述のブログと同様に、使用済み燃料プールが南面の壁に沿って、建屋の幅に存在しているようなグラフィックスになっています。位置の確認をしたのかしなかったのかは存じませんが、この番組が全世界に広まって、大変だ、南面の外壁が落ちたら燃料プールの水が干上がるんだ!ということになりました。プールの壁が外壁ではないことは、東電の平面図からも明らかです。

『東電は嘘をつく』、だから嘘には嘘で対抗する、とでも言うのでしょうか。そのように対抗した結果真実が出てくるとはこのような事例を見る限り私にはとても思えませんが、福島原発事故以来世の中はどうも劇的に変化したようですので、結局、何でもありだ、ということなのでしょうか。

3 comments:

  1. いつもブログを読ませて頂いております。

    そちらの英語版ブログに北九州の瓦礫の件、記事を書いて頂いてありがとうございました。
    その瓦礫に関してなのですが、米国NY在住の日本人の方が国際署名運動を始めてくださいました。
    もし差し支えなければ、そちらの英語版ブログに載せて頂くことは可能でしょうか。
    https://www.change.org/petitions/to-stop-burning-of-radioactive-disaster-debris-in-kitakyushu

    ブログに載せて頂けなくても、個人的に拡散して頂ければ幸いです。
    そちらへのメールはどこにすればいいのか分からなかったため、コメント欄への投稿になったことをお詫びいたします。
    これからも頑張ってください。
    ありがとうございました。

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  2. こんにちは
    いつもブログの方、読ませて頂いております。
    こちらの英語版ブログの方に「北九州での瓦礫処理」に関する記事を載せて頂きましてありがとうございます。
    さて、米国NY在住の日本人の方が、この件に関しての国際署名運動を始めて下さいました。
    もしよろしければ署名、拡散の方、お願いできたらと思いまして、こうしてメールさせて頂いております。
    ex-skfさんあてのメールをどちらに送ればいいのか分からなかったため、こうしてコメント欄に書かせて頂きましたことをお詫び申し上げます。
    英語、日本語両方でブログをやるのは大変かもしれませんが、頑張ってください。

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  3. すみません、署名運動アドレスを書くのを忘れておりました。
    https://www.change.org/petitions/to-stop-burning-of-radioactive-disaster-debris-in-kitakyushu

    こちらになります。
    度々すみません。

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