Saturday, August 4, 2012

今年の福島のモモの安全確認はどのように行われているのか?


事故からもうすぐ17ヶ月。ここ3ヶ月ほど、特にこの1ヶ月は、関西電力の大飯原発の再稼動反対、再稼動してしまってからも、再稼動反対の「シングル・イシュー」とかいうことで(英語で表記すると”Single issue”)、東京の首相官邸近辺、関電の本社で毎金曜日に行われているデモに焦点、関心が集まっているように見受けられます。ここ数日のツイッターを駆け巡る「はやり(流行)」はこれに加えて「カリフォルニアの漁業禁止」(デマです)、「ロンドン五輪開会式で日本選手団が退場させられた」という「ニュース」。

そんな中でも、フォローさせていただいている方々から流れてくるツイートを見るたび、「シングル・イシュー」デモよりも、遠いカリフォルニアのマグロよりも、こっちに関心を持ち続けることの方が肝心なのではないか、と思うことの多いトピックが二つあります。一つは下火になったとはいえ、広域がれき処理、もう一つは、食品の放射能汚染。このポストでは、後者について今日目に留まったニュースをご紹介したいと思います。

なぜ目に留まったかといえば、ちょうど去年の8月、モモのシーズンに、福島県の中学生が修学旅行先の横浜で、モモを配って風評被害に抗議していたニュースを思い出したからです。

遠く(カリフォルニア)のマグロより近く(福島)のモモ、と言ってはなんですが、英語で言えば”First things first”、何はさておき日本の食品が第一、ということで、まずは2012年8月4日のNHKニュースから:

福島の桃 安全を確認して出荷

福島特産の桃の出荷が3日から本格的に始まり、ことしはすべての農家を対象に放射性物質の検査を行い、安全を確認したうえで出荷しています。

桃の生産量が全国の市町村で2番目に多い福島市にある選果場には、収穫されたばかりの桃が次々と運び込まれています。

担当者は桃を1つずつ手に取って、傷がないか確認したあと、専用の機械で糖度や熟し具合などを測って、丁寧に箱詰めしていきました。福島市の農協によりますと、主力品種の「あかつき」は、春先の天候不順で小ぶりになったものの味は濃く、甘みが強いということです。

また、ことしは放射性物質の測定器を46台用意して、すべての農家を対象に、桃を測定器にかけて放射性物質の有無を検査しています。

2日までに2000を超える検体を調べた結果、いずれも安全性に問題がないことが確認されたということです。

JA新ふくしまの斎藤隆営農部長は、「すべての農家のすべての品目を検査して、安全性が確認された桃だけが出荷されているので、安心して召し上がってください」と話していました。


すべての農家対象とは言っても全量検査であるはずもなく、検体が2000ということはサンプル調査なのでしょう。NHKニュースには「安全性に問題がない」とありますが、それは単に「セシウムがキロ100ベクレルを超えていない」という以外の意味はなく、実際にどのような数字が出ていたのか、全く分かりません。

そこで、直接の情報を探して福島県のサイトを検索したら、出ていました。ここです: 「ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報」

サイトの情報によると、

検査期間 2012年06月20日~2012年08月02日
現在までの検体数  5,354点
NaIシンチレーションサーベイメータによる、協議会による簡易検査で、検査の結果放射性セシウムが50ベクレル/kgを上回った場合は、福島県がゲルマニウム半導体検出器による検査を実施

福島県全域、全期間の検査結果:
セシウムキロ当たり25ベクレル以下: 5297点(99%)
25ベクレル~50ベクレル: 57点(1パーセント)
50ベクレル以上: なし



個別の市を見てみると、伊達市と桑折町で、25~50ベクレルが検出された割合が1パーセントを超えています。伊達市は3パーセント(1532点中39点)、桑折町は2パーセント(730点中12点)です。

シンチの計測で50ベクレルを超える検体がなかったため、ゲルマニウム半導体検出器の検査は行われていないものと思われます。

シンチでの測定時間がどれくらいだったのかについて、「検査方法」のリンクをクリックしてPDFファイルを見てみましたが、一切情報はありません。結構ちいさな容器に詰めての検査のようです。


私は結構この測定時間が気になります。というのも、つくば市による測定で、NaIシンチを使った市の測定の時間が短かったために基準超えを検出しきれていなかった、という情報があったからです。(茨城市民放射能測定プロジェクト; 自家用大麦)

とまれ、この自主検査のお墨付きですべて「安全」、出荷OKになって、全国に出荷されています。「福島の生産者が心を込めて育てた桃です」とのアピールは、去年と同じですね。

心を込めれば放射能が消えるのならどれほど良いことでしょう。

ちなみに、キロ当たり25ベクレルというのは、去年南カリフォルニア沖で捕獲されたクロマグロのキロ当たりセシウム量(10ベクレル)の2倍以上です。

”First things first”。

6 comments:

  1. 放射線測定所でボランティアをしていますが、私達の測定所では、検査時間は1時間です。検体は1リットルの専用容器にきっちりと詰めます。あのような小さな容器での計測では、数値にばらつきが出てしまい、たぶん正しく計測は、されません。検出限界値も、かなり高いでしょう。これは、経験的にわかります。
    今年も、汚染地の果物、野菜、穀物は買い控えするしかありません。

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  2. 情報、ありがとうございます。やはりそうですか。検出限界は25ベクレル、とかいう感じでしょうか、と思いました。放射線測定をなさる方々で、本当に少量の検査をシンチで行って、とんでもない数字を公表なさる方々がいらっしゃるのには驚きます。10グラムにも満たない程度の土壌をシンチで測って東京は高度汚染だ、とおっしゃった専門家の方もおられました。

    ボランティア、ご苦労様です。ありがとうございます。

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  3. Hahasamaさんボランティア先なんでしょうか。
    また、何の機器が利用されているでしょうか。
    写真に写っているのはBerthold社のLB2045に見えていますが、そうだったら容器は標準のです。20分をかけたら10Bq以下の限界が可能という。
    むしろ、写真を見る限り、きちんと容器を詰めてないようですが。。。
    Beppe

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  4. http://www.new-fukushima.jp/
    ふくしま新発売を見ると、今年のモモの測定結果が出ています。7月末には、30Bq/Kgちかい結果がでましたが、その後は、5Bq/Kgの検出限界値以下の測定結果ばかりですね。
    島津製作所などの段ボールごと米の測定ができる機械のモモ用はまだ出来ていないんでしょうか?

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  5. 追加のコメント:写真の左下の半透明容器がLB2045の標準容器ではなく、それに小さい。標準の容器は写真の右下の白い容器です。
    ところが、標準の容器は中にデコボコなので、小さい容器が入らないよう気がします。そうだったら、刻んだ桃の身を右下の写真に見えているポリ袋に移されたと思える。
    まさかあの小さい容器は定量の桃の身を測るためのじゃないですよね。。。平等で測定するために定量が気になるのであれば、標準容器ちゃんと詰めて欲しいです。それに、やはり測定時間も公開すべきですね。
    Beppe

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  6. http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=26498

    福島県トップページ(Home) > 組織別 > 生活環境部 > 消費生活課(消費生活センター) > 自家消費野菜(家庭菜園等)などの放射能簡易検査

    をみるとモモ、ラズベリー、ふきのとう、たらのめ、ウドなどで出ているようです。
    去年に比べると格段に検出限界値が低下しています。

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