Thursday, September 20, 2012

尖閣諸島騒動:中国政府関係者、中国が保有する日本国債を使って日本に圧力をかける可能性を示唆


東シナ海のちっぽけな不動産、尖閣諸島を巡る日中の対立がじわりじわりと悪化する中、英テレグラフ紙のアンブローズ・エバンズ=プリチャード氏によると、中国は2千3百億ドル相当(日本円で約18兆2千億円)保有する日本国債を使って、日本に経済的な圧力をかけるべき、と、中国政府関係者が公に提言したそうです。

この記事を引用した米国の金融情報サイト、ゼロヘッジの記事も読み合わせると、この「圧力」はつまり、日本国債をオープン市場で投げ売りして国債価格を下落(=利回り上昇、将来の金利もおそらく上昇)させ、投資家の更なる売りを誘発し、日本の国家財政、企業、大手金融機関の資産価値の悪化、バランスシートの悪化を引き起こし、日本政府に尖閣諸島についての譲歩を迫る、というシナリオかと思われます。

エバンズ=プリチャード氏の記事によると、そうすることによって中国自体が蒙る被害は容認できる範囲で、日本への輸出がなくなっても痛くも痒くもない、逆に日本は、中国市場へのアクセスがないと経済が立ち行かない、と、この政府関係者は考えているとのこと。

さて、寄付金まで募って尖閣諸島の購入に走った東京都の石原知事、国有化に走った野田首相、それと、日銀の白川総裁、覚悟はできてるんでしょうね?

まずは、2012年9月18日英テレグラフ紙のアンブローズ・エバンズ=プリチャードによる記事から、部分 (リンクは元の英語記事へ行きます):

中国、国債を使った日本への攻撃を示唆

中国政府の上級アドバイザーが日本の債券市場への攻撃を要求、日本政府の資金繰りの危機を引き起こして日本を屈服させ、日本政府の東シナ海尖閣/釣魚諸島の国有化の決定を翻させるのが狙い。

中国の商務部国際貿易研究院のJin Baisong氏は、中国は日本国債2千3百億ドルを保有する日本の最大の債権者である立場を十分に利用して、「最も有効な方法で日本に制裁措置を加え」、日本の膿み病んでいる財務危機を露にすべきだ、と述べた。

共産党機関紙である中国日報に掲載の記事で、Jin氏は、中国が世界貿易機関下の「国家安全例外条項」を発動して日本を罰するよう要求し、極東の2大国間の貿易戦争は双方にとって不利益である、という議論を退けた。

それとは別に、香港のエコノミック・ジャーナル誌の記事によると、中国政府はハイテク産業に必要なレア・アースメタルの日本への供給を停止する計画を練っている。

これらの警告は反日デモが中国全土85都市に広がり、日本企業が工場の操業を停止することを余儀なくされている最中に発せられた。

Jin氏は、中国は日本への「低付加価値」の輸出を犠牲にしてもさほどのダメージはないが、それと対照的に日本は自国経済を支え、「再興不可能な」衰退を食い止めるために中国市場に頼っている、と述べた。

「中国が、自分自身はあまり影響を蒙ることなく日本経済に重大な打撃を与えることが出来るのは明らかだ」、とJin氏は述べた。氏の発言が政治局の全面的な支持の元でなされたものなのか、また、保有する日本国債を売ることでダメージが出るものなのかどうかははっきりしない。日銀はこのような中国の動きに対して、国債を購入することで対処できるだろう。円安になることなら何でも歓迎だろうから。

(英語記事の全文はリンク先でどうぞ)


エバンズ=プリチャード氏はケインズ派の経済理論(政府主導の経済)を奉じていたかと思うとまた反対、を繰り返していますが(今は奉じている真っ最中)、中国が国債を投売りしても日銀が喜んで買う、と考えているようです。しかし、ケインズ派の絵に描いた餅をあざ笑う米国金融ブログ、ゼロヘッジは、異なった見方をしています。(以下、意訳。リンクは元の英語ポストへ。)

もしこの驚くべき提言が実行されると、巨額の債権を報復の武器に使った世界歴史上初の事例になるだけでなく、近代戦の進化過程における明確な相転移を示すものとなるだろう。つまり、あからさまな軍事対決から為替戦争、貿易戦争、そして遂に、利息の払えない、返済できない借金でも永久に繰り延べできる、という神話で成り立っている日本のあやうい財政を、それこそ数分のうちに完膚なきまでに破壊する「国債戦争」へ。

これ以上説明するまでもないが、中国が日本国債の投売りを始めるとすれば、長いこと予期されてきた日本の債券市場の崩壊につながるかもしれない。債権者が次々と市場に売りに出し、最良のケースで日銀が最後且つ唯一の買い手、最悪のケースでは、債権者は買い手のつかない市場に国債を売りに出すはめになる。

これは直ちに急激なインフレにつながる。日銀は何としてでも債券を購入して貨幣化せざるを得ず、最初は数千億ドル、そのうち二次市場を数兆ドルの規模で買い支える必要に迫られる。その結果、まったくの真空から作り出されたリザーブ(貨幣)は数兆ドル分に上るだろうが、日本のデフレがこれを止められるとは思えない。このリザーブが経済に流れ出し、最も危険な敵に経済戦争を仕掛けられて日本経済が今にも破壊されるのだ、と日本国民が気づいたらもうおしまいだ。

更に事態を複雑にしているのは、日本には報復のための有効な手段がないことだ。日本は中国の国債を保有していない。せいぜい日本に出来ることは、日本が貿易の相手として役に立たなくなったら中国経済にもダメージが出る、と脅すくらいだろう。


ゼロヘッジの結論は、

確実に言えることは、2週間前に尖閣諸島を「購入」した時、日本は喧嘩を売るのに悪い国を選んでしまった、ということだ。もし日本が、中国は内々で了解してくれる、と思っていたとしたら、大きな間違いだった、としか言いようがない。

日本のオプションは2つ。この2週間で起こったことをすべてないことにして、外交上の大恥をかいて尖閣諸島を元の状態に戻すか、このまま押し通してその結果を甘受するか。ただし、下のグラフのクエスチョンマークの付いている国(日本)にとっての結果は、悲劇的なまでに厳しいものとなるかもしれない。日本だけでなく、一蓮托生で同様に破産している「先進国」すべてにとって。


実際、日経などの記事を読むと、日本政府は「中国は内々で了解してくれるだろう」と正に思っていたようで、なんとも素人集団としか言いようがありません。

ゼロヘッジの言うグラフは、借金の総額と歳入の割合を国別に表示したものです。日本はダントツで一番左。


日銀、政府、国民待望のインフレが遂に起こるかどうか。起こるとしたら、3、4パーセントのかわいいインフレなどではなく、喫茶店で注文したコーヒーが来るまでに値段が倍になった、というような超インフレでしょうか。

英語ブログに同じ記事を出しましたが、英語読者の反応は

「やれるもんならやってみろ」
「日本と日本経済は違う。日本経済は滅んでも日本は滅びない」
「もう中国にはうんざりだ」

それぞれ、いろいろな不満が、特にリーマン危機の2008年以降、世界中に静かに積もり積もっているような気がします。思いがけない「事故」を起こさないよう、極力注意を払うのが責任ある政府というものでしょうが、そんな政府は「先進国」にはもう残っていないような、悪い気がします。

13 comments:

  1. こういった重要な記事を掲載しているにも関わらず、未だに日本語で誰もコメントが書き込まれていないことに、私は絶望感を感じる。「日本人よ目を覚ませ」という筆者の願いが届くのは、何時になるのだろうかと。

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  2. Ikusanga-koesariyukabaSeptember 27, 2012 at 7:20 PM

    原発関係の記事を追っていて、ここに来ました。初めてコメントします。

    まず、尖閣諸島には5つの島があります。その内の1島はすでに国が所有しており、今回、新たに3島を国有化したわけです。しかし、残り1島については、政府、東京都、大手メディア、さらに中国さえ何も言及しません。その島は民間人所有の島で【久場島(くばしま)】と言い、現在米軍管理下にあります。中国は強行一辺倒な態度をとっていますが、米国とは出来るだけ摩擦を起こしたくないのが本音のようです。(日本側がこの島について語らないのは、別の理由からですがここでは割愛します。)

    私は中国は『自己の利益が最大になるよう行動する経済学的人間』を地でいく集団だと思っています。自身の損も覚悟で、主張を通そうとするほどの主義・思想は無いと考えてます。私は彼らがあくまでも【欲深い集団】であり続けることを祈ります。

    このような重大なニュースを大手メディアは全く取り上げず、どうでもいい反日デモのニュースばかり意図的に繰り返し取り上げています。残念なことに日本の大手メディア(記者クラブ)は政府(官僚組織)の外部広報部局と成り下がっています。政府に不都合な記事を望むのは無理のようです。それに引き換え、貴方の記事はとても貴重で参考になります。本当に感謝致します。

    また、機会があれば訪れます。ただ、ブログ表示がとても重いのがチョット・・・(笑)。

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  3. ケンカ云々申し上げているようですが、そもそも人権もまともに保障されていないばかりか、歴史を改ざんして隣国を卑しめるならず者の共産党独裁国家の言い分など1mgも認める筋合いはないのです。冷戦構造が無くなった今、中国に常任理事国としての資格ももってないでしょう。
    時代遅れの覇権主義を駆使して世界平和を脅かす者に世界は鉄槌を下す用意が必要です。

    国債の件ですが、中国当局が国債の投売りをしても日銀が買い支えをすれば何の問題もないと言われています。その最前提として、安倍新政権の元、日銀法改正により政府と日銀のアコードを強制させなければ確実ではありません。
    いずれにしても日本国債は全て円建てなので、中国が投売りをすると、為替取引の影響で一時的に市場に円が増えるので円安になりますよね。信用度の高い日本国債をわざわざ売って円安誘導してまで日本との縁を切ろうとしてくれているのですから、諸手を挙げて喜んでしまいそうです。
    ちなみに、国債の件は藤井聡教授の受け売りです。

    問題は「中国民事訴訟法 231条」です。
    中国における日本人の債務者が実質的に人質になっているということです。政府はいち早く救済措置を取って中国本土から日本人を本国に引き上げる義務と責任があると私は思っております。
    by p

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  4. 中国も一枚岩ではないという事です。 やれ中国は恐ろしい国だと騒いでいると本当の敵に後ろから切りつけられますよ? 最近、自民の安部ちゃんをヨイショしている団体の書き込みが随所で見られますねぇ? どこの人達なんでしょうね?

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    1. 英語ブログ(カツカレーの早食いの記事)にも結構来ました。コメントの書きぶりがなぜか、オバマ大統領の批判記事を書くと沸いて出るオバマ支持者の米国左翼の人たちとなぜかそっくりでしたが。

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  5. 中国の電気機器・半導体・パソコン・携帯電話関連の輸出は日本からの部品輸入なしには一切成り立たないことをに触れずにいるのは片手落ちではありませんか? 日本の一地方に過ぎない東北の震災で世界中の車の製造が止まり、工場がひとつ操業停止すれば、世界中のICの生産が止まり、また別の工場が操業停止になれば、世界中のスーパーから紙おむつや生理用ナプキンが消えるのが現実であることにも触れるべきではありませんか?

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    1. 記事は金融の話です。片手落ち、とおっしゃる根拠が良く分かりませんが。

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  6. お返事ありがとうございます。
    そうですね。 私の書き方が悪かったと思います。
    国債戦争を仕掛けられれば困るのは日本で有るのに、
    それをなぜきちんと報道しないのか、と言う趣旨も文意に含まれているように感じましたので、それが私の誤解かも知れません。
    お詫び申し上げます。
    私が申し上げたかったのは、国債戦争を仕掛けて困るのはむしろ中国であり、この国債戦争という手段はいわば特攻であり、世界中を巻き込む、勿論一番影響を受けるのは中国である、と言う話です。
    元々中国と異なり、日本経済の輸出依存比率はとても低いので、この国債紛争が勃発した場合、影響はむしろ中国や米国、欧州に大きく、日本はそれほどでも無いと思っております。
    中国がこの国債紛争を仕掛けてきた場合、中国は大した影響を受けない、というのは、大中華思想に染まった阿呆な中国人のいうことであり、それだけを取り上げて記事とするのはいかがなものでしょうか、と申し上げたかったのです。
    経済活動と金融活動は全く別の次元のものであり、一切無関係であるとお考えでしたらば申し訳ありません。
    私はそうは思っておりませんので、私が来る場所を間違えた、と言うことであると理解します。

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    1. ブログポストはあまり長く出来ないので、すべての事象をカバーするとポストのまとまりがなくなるため、元記事のフォーカスの金融に止めておいたものです。経済活動と金融活動が無関係と考えるのは日本国内の日本人ぐらいでしょう。また、中国保有の日本国債の額は米国債保有額の4分の1以下。全部投売りしてもかまわないぐらいに考えているのでしょう。

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  7. 尖閣諸島の国有化から既に2か月経過しましたが、日本政府を翻意させるには至っておりません。もはや中国には、軍事力を背景とした恫喝しか選択肢として存在し得ないというのが現実なところだと思います。

    日本国債の投げ売りも効果は期待できないでしょう。それどころか他国保有の国債減少という事象に好感をもつ日本人も少なくはないと思います。

    2年ほど前になされたレアアースなどの輸出制限も、結果的には自国関連企業の倒産の連鎖と日本企業の技術開発の推進、対中依存度の大幅な低下、そして中国政府の本質を日本に、いや世界中に認識させただけでしょう。本当に滑稽な国です。

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  8. 経済戦争! 戦争の意味はご存じでしょうか?殺し合いです。
    もっと危機感持とうよ。 中国にも不利益になる?携帯電話が使用できない?テレビが見れなくなる?そんなことは構わない!
    とにかく日本をつぶせ!脳天気な日本人、政治家!それで国が守れるか? 中国は日本からのODAの金でミサイルをつくり、日本国債を購入しそれらを種に仕掛けてくる。中国人は日清戦争を忘れていない。ちゃんと語り継がれている。それは明らかに日本人が悪い。恨まれても仕方がない事だと思う。でもその見返りはちゃんと返したと思うのだけど...。まだだめか...! やはり
    ソ連人、朝鮮人、中国人は信じてはだめか。

    とにかく中国は必ず何らかの形で日本に仕掛けてくる。そういう国です。
    確か毛沢東が松下幸之助に「中国人は井戸を掘ってくれた人の恩は決して忘れない。」と言って松下に経済発展をお願いしたと聞いております。 それがきっかけでここまで発展したにもかかわらず 恩を仇で返すとは.....。 ああ情けなや日本人

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  9. とてもわかりやすく、また興味深い内容の数々をありがとうございます。
    日本のマスコミは、私たちが知っておくべきことは、何も伝えてくれませんから。

    さて、この記事が公にされてから半年たちますが、日本債の投げ売りはまだなされていないのでしょうか。
    もし、日本債が売られたことで日本が潰れたら、味をしめて、中国は次はアメリカに同じことを仕掛けるのではないでしょうか。

    「国債による世界支配」を、アメリカは絶対に許さないと思うのですが。

    ただ、そのアメリカにも、中国系移民(中国の富裕層)が大量に入ってきているという話も聞いたことがありますので、アメリカの対中政策も変化していくのでしょうか?

    今回のテーマからは逸れますが…

    経済も金融も、全くの素人です。どちらも何度聞いても理解できません。
    経済も金融も、「騙しの手段」に思えて仕方がありません。

    日本人に向かないルールの元、日本人の苦手な方法で戦わされ、
    それでも、努力して努力して勝てるようになったら、
    ルールを変更して、日本人が勝てないようにする事が
    国際経済下で行われていますよね。アメリカ然り、中国然り。

    オリンピックは正にその象徴というか体現というか、
    オリンピックを見るたびに、世界の中の日本の立ち位置を思い知らされて、
    情けなくなってきます。

    新しい経済・金融のルールを、日本人の手で築くべき時ではないかと思います。
    つまり、「金がすべて」ではない仕組み。
    全力で潰されるでしょうけど。




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    1. 外堀が埋まってきている、という感じですね。日本国債の投売りも、米国債の投売りもまだやっていませんが、中国の米国債保有額は増えていません。若干マイナス。満期になったものをそのままにしている、という様子です。その一方で、二国間貿易で世界の基軸通貨である米ドルを使わず、お互いの通貨を直接スワップ(いわば、交換)する条約を世界の国々と次々に提携しています。最新は、オーストラリア。米ドルで貿易しなければ、米国債を保有する理由もなくなります。

      日本人はもともと、金融にも投資にも非常に強い民族だと思っています。江戸時代の大阪の商品市場、先物市場の活気、個人の裁量に任せて何千万、何億相当の荷をやり取りしていた廻船問屋。金融は経済をまわす血液です。大変に面白いものです。全くわからない、とおあきらめにならないで。このブログでも、もっと金融のことを書きたいのですが、ついつい英語ブログが忙しく、出来ていません。

      日本人が勝てない、というより、政府につるんでいない企業、人々が勝てない。アメリカでも、中国でも、そうです。日本でも、政府にくっついている企業(除染のゼネコンなど)はうまくいってますよね。こういうのは資本主義とは言いません。ファシズムと言います。逆に、金がすべて、つまり、政府の介入がない状態だったら、つぶれる企業はつぶれ、システムから無駄がとれます。

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