Wednesday, August 26, 2009

ビル・フレッケンスタインのインフレ・トレード

このビデオは、CNBCの人気番組(と言っても今も人気があるのかどうか)Fast Moneyの8月26日のセグメントです。司会代行のRick Santelliが話を聞いている相手は、Bill Fleckenstein。彼はいわばショート・スペシャリストで、彼のファンドは確か2007暮れ以来の株式市場の下落で大もうけしたはずです。今年の3月に市場が底を打つ直前にショートをカバーしてファンドを閉め、ロングのポジションがあるのか無いのか、この番組を見なくなった私はよく知りません。以前に司会をしていたDylan Ratiganがプロデューサーとの確執で番組を突然降りてから、視聴率がかなり下がったと聞きました。司会代行のSantelliはシカゴの商品先物取引市場の出で、歯に絹を着せない物言いで人気と物議を両方醸していました。CNBCの親会社のGEが政府から資金および資金調達の援助を受けるようになってから特に、番組はぐっと政府寄りのコメントが増えました。

まあそれはともかく。ビル・フレッケンスタインによると、アメリカの財務省が際限なく発行する債券の影響で、ドルは下がる、他の通貨も下がる、ここでのトレードは、金、銀、および金・銀を地中から取り出す採鉱会社への投資だ、ということです。Fast Moneyに出演しているトレーダーは主に株式市場のトレーダーなので、彼らの質問は「でもS&Pは、まだ上があると思うか?」これに対するビルの答えは、株式市場の上昇がどれだけ実質経済を反映しているのか、分からない(彼は疑問視してますね)。確実なのは、政府が大量のドルを投入していること、今後も経済がどうであれこれは続くだろうこと。GDP(国民生産高)をベースにした(つまり株式市場)投資は、失業率が改善する見込みが当分の間ないだろうからまず意味がない。それよりも、政府のドル印刷をベースにした投資をする。ということです。

ハイテク株に対する質問には、ターゲットが低く設定されているので、多分今四半期はOK、但しこれは価値に基づいたものではなく、単なるトレードの手段としてのみ、との答え。Fast Moneyのトレーダーは以前からフレッケンスタイン(とピーター・シフ)のような、米国株式市場をあまり重視しない、あるいはロングのポジションを取らない投資家に対して、あまりいい対応をしません。だいたい、インタビューが終わるとすぐに、「彼はああ言っているけれど、実際はそんなもんじゃない」とすぐこき下ろしにかかります。

まあ、この番組に出演しているトレーダーは、昨年の8月Washington Mutualが政府に差し押さえられる直前に株を勧めたトレーダーもいれば、同じく8月、National Cityが買収候補で株が上がる、と勧めたトレーダーもいる(National CityはいわゆるTake-under、買収こそされましたが、前日に取引されていた株価よりもずっと低い買収価格で、投資家は大損をしたはずです)、9月、10月に市場が急落していた時も、毎日毎日この株は買いだ、あの株も買いだ、と言いくさっていたものです。程度は推して知るべしですね。












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