トヨタのリコール問題について、リコール、米国での販売および生産の停止はオバマ政府によって指示されたものである、との報道があったのが1月28日、同じ日に米国議会下院のエネルギー・通商委員会が公聴会を2月25日に行うことを決定、さらに今日に至って米国運輸省がトヨタに民事制裁金(Civic fine)を課すことを検討している、との報道。
スタイルは他のメーカーに劣るかもしれないけれど、品質と信頼性は何といってもトヨタ、というのが今の今まで全世界的に信じられてきた神話のようなものです。これまで放置してきたトヨタが何より悪いのでしょうが、トヨタにだけ販売、生産を停止させ(同じような問題を起こすアクセル・ペダルは、GM、フォード、クライスラー、ホンダの車にも入っています)、しかも議会公聴会、制裁金まで課せられる、というのは、どうも行き過ぎのような気がしていたところ、こんな記事を見つけました。
著者のRoger Hedgecock氏はサンディエゴのラジオ・トークショーのホストで、氏の番組は全米にシンジケートされています。
Obama attacks Toyota (Roger Hedgecock, 2/1/2010 World Net Daily)
この記事の中で、Hedgecock氏は、
『トヨタはSUA(Sudden Unintended Acceleration)問題でパーフェクト・ストーム(要するに悪いことが全部重なる事態)に直面している。が、ここにアメリカ政府の「欲」が絡んでいないだろうか?トヨタのライバルのゼネラル・モーターズ、クライスラーの大株主であるオバマ政府がトヨタに対して聖戦を挑んでいるのは「消費者保護」のためなのか、それとも労働組合組織化されていない、Red State(保守的な州、あるいは共和党支持の州)に生産拠点を置くトヨタへの報復なのか。危機は政策を進める絶好の機会だ、とする(大統領首席補佐官の)ラーム・エマニュエルの発言を考え合わせると、この疑問はよく考えてみたほうが良い。』
記事にもあるように、ゼネラル・モーターズ、フォード、韓国の現代自動車はここぞとばかりトヨタのオーナー向けのディスカウント、金利ゼロファイナンスなどを提供し始めました。
記事の最後の方には、こんな箇所もあります。トヨタの株主には考えたくもないことでしょう。
『今回の騒動から起こる訴訟の結果次第では、トヨタの米国撤退も考えられる。GMにとってはまったく好都合だ。(GM、ゼネラル・モーターズは、アメリカではGovernment Motorsとあだ名されています。)』
そして、『アメリカに自由で競争的な自動車市場の存在が(これからも)許されるかどうかが、トヨタのリコールの対応に掛かっているのだ。』としています。
トヨタの対応の遅さ、まずさはさておいて、私がこのポストで言いたいのは、
いったい日本政府は何をしているのか?
ということです。これは単に一私企業(トヨタ)の問題で、政府には関係ない、という態度なのだと推測しますが、どうもこれはオバマ政府の強い関与があると思われます。オバマ大統領は中国製各種製品に高関税を掛け、中国との関係はこれまでになく冷えていますが、今回のトヨタのリコール騒動もオバマ大統領がうまく利用してトヨタの居心地を悪くさせようとしているのでは。
GMを抜いて世界一の生産台数を達成したのが多分トヨタにとっての失敗だったのでしょう。
また、労働組合はオバマ大統領の最大支持基盤でもあります。
アメリカから見ていると、これはかなり政治的な動きで、政治的な対応を必要とする場合だと思われます。それこそ、日本政府からアメリカ政府に抗議し、トヨタだけを悪者扱いにするのはどういうつもりか、ぐらい言うべきでしょう。まあ、政府のどの部署を押せばいいのかは私には分かりませんが、日本政府が保有する巨額の米国債券を市場で投売りする、とでも脅かせば、公聴会だの制裁金だのはすぐに取りやめになるでしょう。
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3 years ago
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