Friday, July 8, 2011

内部被曝を外から測れるものなのか?福島の子供と牛

先日、3月末の時点で福島の子供1000人を検査したら45%が内部被曝をしていたが、原子力安全委員会は「問題なし」と判断、が、7月4日にNHKの記者が質問して東京新聞が記事にするまで黙っていた、というニュースをシリーズでお届けしましたが(ここここここ)、今日は南相馬市から出荷された牛の肉から放射性セシウムがすでに緩い国の暫定基準値をはるかに超えて検出された、というニュース。牛は内部被曝していたのです。

まず、

産経新聞7月8日記事

東京都は8日、福島県南相馬市産の牛肉から食品衛生法の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)の約5倍に当たる2300ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。牛肉から基準値を超えたセシウムが検出されたのは初めて。

 福島県は、南相馬市に対し出荷自粛を要請。また、厚生労働省は、福島県や隣接県に対して牛肉検査態勢の強化を求めた。

 検出されたのは、南相馬市の緊急時避難準備区域内の農家から、都立芝浦と場に搬入された牛11頭のうちの1頭。

 福島県内では食品などについての検査が追いつかないため、厚労省の依頼で都が検査。残りの10頭についての検査結果は、9日午後にも判明する。

 この牛肉については、都の施設内で管理されており、一般に流通する可能性はないという。これまで、ほかの自治体などでも同じような検査はされていることから、放射性物質が検出された牛肉については、市場には流通していないとみられる。

ただ、都などによると、これらの牛は、体表面が放射性物質に汚染されていないかや育成過程がどうだったかについては、農林水産省の指針に基づいて、出荷段階でチェックされていたという。チェック体制が適切だったかどうか、今後、課題になりそうだ。

 ある自治体関係者は「出荷前のチェックでは問題ないということで、モニタリング検査していた。今後、農水省などが事前の検査態勢などを見直す必要があるのではないか」と話した。

さて、他もさることながら、最後から2つ目の段落にご注目。農水省の検査とは、「体表面が放射性物質に汚染されていないか」を測るだけ、つまり、牛に放射線測定器をかざして外部を測った、ということです。

さらに、7月9日付けの朝日新聞で、11頭全てからセシウムが検出され、最高はなんとキロ当たり3200ベクレル、最低でも1530ベクレル、更に同じ農家から5月と6月に出荷された牛の肉は一切検査されず市場に流通した、とのこと。

一方、福島の子供の記事の2つ目で引用した3月25日付け朝日新聞の記事のこの部分:

『調査は24日に行われ、のどの付近から数ミリの距離で検出器を使って放射線量を測定した。』

原子力安全委員会によると、検査は

『「緊急被ばく医療ポケットブック」(平成17年3月 財団法人原子力安全研究協会)の「頸部甲状腺に沈着した放射線ヨウ素の測定」に基づき、NaIシンチレーション式サーベイメータを用いて実施した』

ということを丸山安全調査管理官が丁寧な口調で説明されています。(2つ目のポスト)

このNaIシンチレーション式サーベイメータは、ガンマ線のみ測ります。このようなものです。(日本原子力研究開発機構サイトより)

牛と子供を一緒には出来ないでしょうし、セシウムとヨウ素では測り方が違うのかもしれないし、一概に言えませんが、どちらも内部被曝を外から測っただけ。それで、「心配ない」宣言をしてしまっていいんでしょうか?

牛の場合は、福島の牛集団避難の記事(朝日4月19日付け)に、

「基準値を上回った場合は、牛の体に付着した放射性物質を洗い落とすなどしてから再検査し、基準値を下回れば、移送対象に含める」

とありました。

子供の甲状腺はまあのどを洗ったぐらいでは放射能は落ちないでしょうし、そのような外からの測定で十分なのかもしれません。が、他の核種、セシウム、ストロンチウム、更に毒性の強い核種などはどうするのでしょうか?

牛は幸か不幸かすでに牛肉になった時点で東京都がたまたま依頼されて検査し、放射性セシウムの存在が分かりましたが、子供はそうは行きません。

7 comments:

  1.  まさにご指摘の通り、子どももほぼ同じ内部被ばく状況に陥っていると思われます。

     セシウムはガンマ崩壊しますので、外部からの検査である程度分かるはずで、これだけのセシウムが検出されたとなると、測定値は出ているはずです。

    だとすれば、答えは一つ。

    福島で問題ないという測定値(ものすごく切り上げられています)では、スクリーニングにならない。

    あるいは、

    このレベルでも、環境中のバックグラウンドレベルの方が高い。

    ということでしょう。

    この記事を参考にして、別の観点からブログにまとめてみます。

    のどちらかでしょう。

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  2. http://onodekita.sblo.jp/?1310240538

    先ほどまとめてみました。

    vqnh5yZR

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  3. EX-SKF様
    いつも参考になる記事をありがとうございます。この記事に関連して、横浜市の学校給食で市民が知らされることなく福島産の牛肉が大量に使用されているという事があります。
    以下のURLをご覧ください。
    http://8005.teacup.com/ota/bbs/11580
    ぜひ記事でとりあげていただければと思います。
    必死の思いと、悔しい思いで毎日生活しております。
    よろしくお願いします。

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  4. Anonymousさま、記事にします。英語ブログの読者にも是非知らせたいと思います。不幸中の幸いは市民の方々がついに自分たちで行動を起されていることだと思います。私は遠方からで情報拡散しか出来ませんが、がんばってください。

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  5. 遅まきながら、斜め読みですがメッセージボードの5月からのメッセージを読ませていただき、わたくしなりにまとめて英語ブログのポストに出させていただきました。

    http://ex-skf.blogspot.com/2011/07/beef-from-fukushima-to-be-tested.html

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  6. EX-SKF様
    横浜市の学校給食での福島牛使用の問題、早速英語版ブログにてとりあげていただきありがとうございます。こうやって英語にしていただき、一人でも多くの世界の人に知っていただくことで、日々の生き難さが和らぐ思いがいたします。これからもぜひよろしくお願いします。
    あと一点・・・私自身は横浜市在住ですが議員本人ではありません(そのように読めましたので)。EX-SKF様から議員の掲示板にご連絡いただいたようで、こちらも大変ありがたいことです。

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  7. ああ失礼いたしました。早速英文のポストを訂正しました。掲示板の方にも太田様からのメッセージとか書いてしまいましたが、早とちりでしたね。申し訳ない。太田様も「何だこれは」と思われたことでしょう。早とちりは得意なもので。

    これからもこちらこそよろしくお願いいたします。あの記事を日本語に反訳してこちらにも出そうと思います。

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