Sunday, May 1, 2011

日本原子力技術協会最高顧問・石川迪夫:「福島第1原発の炉心は溶融している」

これは、結構見ものです。

4月29日テレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演した日本原子力技術協会最高顧問、石川迪夫さんの発言がTwitterなどに出ています。私がこれを見たのはこのサイトですが、そこに出ている石川氏の発言を見て、これは元のビデオを見たいものだと探したところ、Youtubeに出ていました。

私が特に興味を持ったのは、福島第1原発の現状の認識の部分。石川氏は、いわゆる原発推進派ということで、長いキャリアをお持ちの方、ということだそうですが、ホストの田原総一朗さんが途中で「石川先生、先生は原発推進派ということなんで、福島原発はうまく行っている、というお話をされるのかと思ったんですが...」と言い出すほど、厳しい状況判断で、政府、東電、保安院に対しても何をやっているんだか、といった口吻。田原さんの問いかけには、「うそを言ってもいいんだったら...」

下のビデオは全11本あるうちの第2番目、福島原発の炉心溶融などについて述べている部分です。あえて要点を書き出すと(英語ブログに出したときのメモからのまとめですので、石川氏の言葉どおりではありません。私のまとめではなくてちゃんと全部見たい、という方は、ポストの最後にEmbedしたビデオに直行してください。):

東電の工程表について:

「9ヶ月目までに炉心を冷やして固化し、放射能を出ないようにする、というのが目的なんだろうと思うが、水棺だの窒素だの、横っちょのことをやっている。窒素、あれは危ない。

「炉心を冷やさなければどう仕様も無い。何とかして冷やさなければならない」

炉心の状態について:

「炉心はほとんど溶融していると思う。すでに圧力容器から出ているかもしれない。30パーセントだの50パーセントだの行っているが、私はみんなメルトダウンしたと思う。燃料が溶融するときは真ん中から下が溶ける。

「溶融した炉心の中の温度は2千度から2千数百度だと思う。水が当たる表面が鋳物のようなかさができている。崩壊熱は2千から3千キロワット。かさの表面の割れ目から放射性物質(主に希ガスとヨウ素)が出ている。

「現在はもうほとんどの揮発性のガスは原子炉から出ていると思う。

「ただ、中の水はウラニウム、プルトニウム、セシウム、コバルトなどが溶け出していて、非常に高濃度になっている。今まで見たこともないくらい高濃度。

「昔の同僚が連絡してきて、計算をしたか、という。してない、といったら、計算をしてくれた。崩壊熱が2千キロワットだとして、コバルト60という物質がある。放射性の高い、1メートルから1メートル50の遮蔽が必要。1000キューリーで人が死ぬ。同僚の計算では、コバルト60等価で1000万キューリー原子炉内にある。(ええっ、という田原さんの声。)もし炉心から10%のコバルト60が水に溶け出したら、100万キューリー。」

(ええと、これをベクレル換算すると、とんでもない数字になるのですが。1キューリーは37ギガベクレル、1000万キューリーは37万テラベクレル、100万キューリーは3万7千テラベクレル。コバルト60だけでレベル7になってしまう!)

「東電は何とかこれを強制循環で廻したい。だが、循環システムができても、配管とか機器とか、放射線をシールドするのは大変なこと。困難な作業になるだろうが、やらざるを得ない。

「なんとしてでも、炉心の状態を把握する必要がある。(炉心が溶融しているというのは)私の想像ですが、一日待てばそれだけまた汚染水が高濃度になる。これは戦争。原子炉に橋頭堡を築く必要がある。タービン建屋だの、汚染水の移送だの、横っちょの問題をやっている場合じゃない。

(石川氏の説明に、原発反対派の環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏が大きく肯いているのが見えます。)

福島第1原発は「戦争」:

「たとえばがれきの取り除き作業。がれきを集めてドラム缶に入れたりしている。まるで通常時のように。これは戦争。非常時なのである。どこかに穴を掘って瓦礫を埋めて土をかぶせる、あとできれいにすればいい。とにかく、非常時のやり方でサイトを整備する。原子炉の床まで橋頭堡を築く。

「政府、東電、保安院の指揮系統がはっきりしていない」

(ここで、厚生省の副大臣が口を挟む。石川氏、何をほざいているんだかこのガキ、といいそうな表情で副大臣をじっと見ている。視線が合ってしまうとにっこり笑い、副大臣のいうことはまったく無視して、最後の一言。)

「タービン建屋からの対策など、ポンチ絵。まずは正体を見てみろ。原子炉が本当に溶融しているのか」

このあと、「石川さん、原発推進派として、福島はうまく行っているという話じゃないんですか」「いや今うそ言っていいなら」というやり取りの後、飯田哲也さんに話が振られます。飯田さんは、日露戦争の日本海海戦の例を挙げて、石川さんの原子炉の評価、福島原発の状況の評価に賛成します。東郷平八郎がいま必要なんだ、とも。

そのあと話を振られたのは中日新聞の長谷川さん。

「いままで30パーセントだの50パーセントだのという前提でわれわれはやってきた。ところが石川さんがおっしゃるには全部溶融」

ここであわてた先の副大臣が急いで矛先を収めようと、「どうなっているかは私もわからない、石川先生もわからない、誰もわからないのだから、全国放送であまり確定的にものを言わないようにしてくれ」と言いかけます。なんで政治家がここに挟まっているのか、理解しがたいですが、これに対して中日新聞の長谷川さんの言は痛快。

「わからないことをあたかもわかっているように、そういう表が毎日毎日報道されている、ということが問題なんです」

その辺でビデオは終わっています。全部見るには、Youtubeのこのチャンネルに行ってください。

3 comments:

  1. 転載感謝します。それにしても、唖然。

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  2. http://www.nicovideo.jp/watch/sm15993997?mypage_nicorepo

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  3. http://vimeo.com/31321275

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