(Youtubeの説明から)
「平成20年10月22日、平成20度原子力総合防災訓練が行われた。訓練は、福島第一原子力発電所3号機において原子炉へ給水する設備の故障が発生し、その後非常用炉心冷却設備等の故障により原子炉の冷却機能が喪失し、放射性物質が外部に放出される事態を想定して、国、自治体、その他関係事業者などと合同で実施された。」
原子炉の冷却機能が喪失という最悪の事態を設定した、と言うものの、「なぜ、どのように原子炉へ給水する設備の故障が発生したのか」という肝心な想定が今ひとつ不明です。
ビデオでは、福島第1原発での訓練の一部として、火災消火訓練をしています。となると、給水設備が火事になった、という想定なのでしょうか?
どういうわけか給水設備が火災を起こし、その後次々と冷却機能が喪失したものの、冷却機能は回復し、すべてはOKというシナリオですが、福島第1原発の事故の実際を見た今となってはすべて絵に描いた餅。
電気がなければ、おしまいなのです。
今回の福島第1原発事故は、地震によって主電源が喪失、津波によって非常電源も喪失、原子炉の冷却が不可能になり、通信網の切断で関係部署との対策協議のための通信が不可能になり、道路の寸断、交通マヒで対策会議に集まるはずの人々が集まれず、という事態になりました。
訓練での初動対応、防護対策、対策室、会議。すべては明るく照らされた制御室、会議室でパソコンを使い、電話、ファックスを使って通信。ビッグスクリーンでビデオ会議まであります。
この訓練ビデオを見る限り、彼らが想定していたのは単なる機器の不具合で冷却がどういうわけか止まってしまったが、残りのインフラはすべて無事、というもので、原子力災害が単独でしか起こらない、という前提にある訓練だったようです。
ビデオを見る限り、冷却が不可能になってしまった原子炉がメルトダウンを起こすと想定したのかどうか、不明です。おそらくしてないでしょう。スリーマイル島原発事故の場合、スクラム(制御棒挿入)がかかってから4時間弱後、露出した燃料棒の一部がわずか2分でメルトダウンしています。
避難完了後6時間で放射性物質の放出が始まる、と想定した、とありますが、その頃にはすでにメルトダウンを起こしている可能性が高いのではと思います。
さて、福島第1原発が起こってしまった今、このような防災訓練はどのように見直されるのでしょうか。それとも、地震、津波と合いまった福島のような事故はそれこそ100年に1度しか起こらないから福島を想定した訓練は必要が無い、と判断されるのでしょうか。
想定していたのは繰り返し起こしていた『単なる“作業員のオペレートミスに起因する”機器の不具合』なのではないでしょうか? そう考えれば『特定の故障箇所』以外が無事であることを当然としたシミュレーションを行うことが納得できるかと思います。もしそうであるとすると、機械への過信に自らが惑わされたとも思えますが、このようなプラントでは許されることではないでしょう。
ReplyDeleteこの動画の元見ると面白いよ
ReplyDelete東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機 - 実施要領
http://bousai.jnes.go.jp/kunren/2008/details/pdfFile_3/index.htm
の別紙4事故想定
http://bousai.jnes.go.jp/kunren/2008/details/pdfFile_3/files/20100226115703.pdf
別紙4附図事象進展図
http://bousai.jnes.go.jp/kunren/2008/details/pdfFile_3/files/20100226115703.pdf
14時間後冷却機能停止、25時間後最高使用圧力超え放射能漏れ、(冷却停止後11時間)32時間後冷却装置復旧(冷却停止後18時間)を想定している。
実際には1号機はメルトダウンしている。
政府や原子力推進派のHPからを検討してブログで書いています