Sunday, November 20, 2011

福島県選挙二題: 大熊町、双葉町で「賠償の仲立ち」東電社員の現職町議再選、「町への帰還」大熊町現職町長再選

どちらも読売新聞記事(11月21日付け)。

まず東電社員議員の再選

東京電力福島第一原発がある大熊、双葉両町議選には東電社員の現職が1人ずつ立候補しており、いずれも再選された。

 大熊町議選(定数14)で当選した加藤良一氏(54)は3番目の得票数だった。

 双葉町議選(同8)では高萩文孝氏(45)が4番目で当選。読売新聞の取材に対し「いただいた票を重く受け止め、頑張りたい。原発事故の収束にも全力を尽くしたいし、賠償問題についても、仲立ちするような形で住民の支援ができれば」と話した。

なるほど。「賠償問題についても、仲立ちするような形で住民の支援」、これは住民の方々のまことに現実的で理にかなった選択でしょう。

引き換え、現実的とは部外者にはあまり思えないのが、再選を果たした大熊町町長さんの言葉

東京電力福島第一原発があり、全域が警戒区域の大熊町の町長選は、「町への帰還」を訴える現職の渡辺利綱氏(64)(無所属)と、「町外移住」を掲げた前町議で新人の木幡仁氏(60)(同)の一騎打ちで、渡辺氏が、木幡氏を1108票上回る3451票を獲得し再選を果たした。

 渡辺氏は、町内の放射線量が比較的低い地域に、医療、福祉、商業圏を備えた復興拠点となるニュータウンを造成する構想を示している。当選後、支援者らに「除染をして戻れる環境を作ることが最優先だ」と語った。放射性物質が付着した廃棄物の中間貯蔵施設建設については「避けられない問題。(町に施設建設の)話があったときは誤りのない判断をしたい」と話した。

 一方、木幡氏は「いつまで避難生活を続けるのかと疑問を投げかけたが、力不足だった。そうした住民の声があると伝わればいい」と敗戦の弁を述べた。

大熊町の放射線は、町が9月13,14日に測定した時点で、地上1メートルの空間線量は最高が毎時103.66マイクロシーベルトとの発表ですが、低い場所(主に町の西側)では毎時3マイクロシーベルトを下回る箇所もあるとのこと(PDFファイル参照)。大熊町のブログからの情報(文部科学省のデータをまとめたもの)として、次のような表もあります。

空間線量率の測定結果単位:マイクロシーベルト/時

住所測定位置空間線量率
10/1110/1810/2511/111/811/15
23夫沢西北西約2.5km 19.0 18.7 18.6 18.3 18.4 18.3
25野上西約14km 2.9 2.0 3.5 3.5 3.4 3.3
26野上西約11km 3.2 2.7 3.0 3.2 3.1 3.2
29夫沢西約2.5km 56.0 55.0 55.0 54.2 54.6 49.6
30夫沢西約2.5km 23.3 22.0 23.2 23.5 23.5 23.6
34大川原西南西約8km 2.8 3.0 3.0 3.0 3.1 3.2
35野上西南西約7km 13.6 13.3 12.3 12.6 12.7 12.5
36下野上西南西約5km 31.0 25.2 25.5 26.2 29.4 26.4
37小入野西南西約3km 64.8 65.0 65.0 64.8 64.8 60.6
38小入野西南西約3.5km 8.8 9.5 9.4 7.7 9.3 8.9
47熊川南南西約4km 26.6 30.6 30.4 40.4 31.0 30.6
50熊川南約4km 16.3 16.6 14.1 16.0 16.1 16.6
(測定実施者:電力会社)
※ 比較対象として、当月以前のデータも掲載しています。

更に、土壌汚染のまとめとして、大熊町公式サイトに、

地点 測定地点 Cs134濃度
(Bq/㎡)
Cs137濃度
(Bq/㎡)
Cs134+Cs137
濃度(Bq/㎡)
空間線量率
(μSv/h)
(1) 夫沢国道6号
長者原信号付近東側水田
2,791,296 3,111,809 5,903,095 24.10
(2) 夫沢国道6号
西側長者原信号南西付近
14,009,576 15,450,928 29,4601,504 54.80
(3) 夫沢東台
喰津沢橋南西付近
2,013.765 2,319,553 4,333,318 27.70
(4) 夫沢南台
ふれあいパーク北側
5,139,931 5,753,039 10,892.970 27.00
(5) 小入野字東大和久
アトム給油所南側付近
820,370 868,379 1,688,749 13.00
(6) 野上字秋葉台
野上簡易郵便局南付近
358,030 387,007 745,037 16.70
(7) 野上字湯の神
野上1区公民館付近
1,106,902 1,213,571 2,320,473 8.69
(8) 国道288号
玉の湯1km西付近
169,547 192,622 362,169 3.40
(9) 国道288号
望洋平トンネル東側入口手前
306,002 335,952 561,954 4.00
(10) 国道288号
旭ヶ丘入口手前付近
170,337 189,347 359,684 1.40
(11) 熊川字久麻川
熊川漁協鮭販売所東側水田付近
4,469,137 5,070,937 9,540,074 19.00
(12) 緑ヶ丘グラウンド西北付近 1,469,137 1,682,964 3,173,372 33,40
(13) 熊字新町
三角屋住宅付近
1,713,223 1,907,927 3,621,150 13.00
(14) 大川原字西平
大川原2区集会所付近
310,929 343,745 654,674 3.82
  • 測定値は6月13日に揃えて補正した値である。

(この大熊町が掲載している表の第2地点目は、どう見てもセシウムの合計が1桁間違ってますね。単なる書き写しミスでしょう。大熊町のホームページの連絡先に一応お知らせしておきました。)

このとてつもない汚染を「除染」する準備として、大熊町には早速作業員(日本原子力研究開発機構と、作業下請け受注した大林組)が入り、線量の測定を開始したそうです。(日経新聞11月18日付け記事

どれだけ予算がかかるのか、一切不明。金のことを言うのは「非国民」扱いでしょうか。金の問題じゃない、人々の暮らしがかかっているんだ、という議論でしょうか。まあ、同じ議論が福島市、伊達市、郡山市など、中通りの高線量地域の住民の方々の避難と除染についても同じことが言えるんですが、こちらのほうは「国が金ださないといっているんだから」という正直な福島市長の言葉の通り、Going nowhere.

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