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Thursday, March 22, 2012

日本政府が異議を唱えたIAEA提案の食物汚染地域の定義は、重大事故を起こした原発から300キロ圏内の地域だった

朝日新聞・Asia Japan Watch (AJW)2012年3月17日付け記事(英文)をざっと翻訳してみました。日本語の元記事があるのかもしれませんが、朝日のサイトからは(購読者ではないので)探せませんでした。ということで、私が勝手にやった私訳です。大急ぎでほとんど直訳でやったので、姑息に後で直すかもしれません。

日本語の元記事があったとすると、それを英訳したものを反訳して日本語にしても元の日本語には絶対に戻りませんのであしからず。強調は私です。

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Asia Japan Watch 2012年3月17日

日本政府はIAEAの食物汚染地域の定義に異議を唱えていた

大岩ゆり


2005年、国際原子力機関(IAEA)が原子力非常時に食物の摂取規制を行う地域を定義することを提案した時、日本政府は異議を唱えた。

その結果、ウィーンに拠点を置く国際的な原子力の監視人[である国際原子力機関]はそのような地域を定義することはなく、6年後に福島第1原発事故が起きてから、厚生労働省があわてて規制を導入する、という有様になった。

朝日新聞の請求に応じて公開された公文書によると、原子力災害に備え、農作物の出荷禁止その他の策を講じて放射能汚染された食物の摂取を規制する地域を指定しようとするIAEAの提案に、日本政府は異議を申し立てた。

IAEAは2005年2月、、重大事故の場合、1ギガワット級の原子力発電所の300キロ圏内で食物摂取規制を行うべきである、とする安全基準の草案を作成した。

文書によると、日本政府の原子力安全保安院、原子力安全委員会、文部科学省が2005年5月にIAEAの提案を検討した。

検討会の出席者は、日本政府の名で、IAEA提案の区域の具体的な距離の数字を削除するよう求めることを決定した。

出席者は、「食物規制区域を定義する前に、悪い評判[風評]やその他の要因を考慮する」必要性を理由として挙げた。また、報告書によると、彼らの意見は、「チェルノブイリのような大きな影響がある事故を想定するのは適当かどうかを考慮する」必要がある、というものだった。

ブラジル政府も同様の抗議を行った。結局、[原発からの]距離の明示は削除された。

昨年3月の東日本大震災が福島第1原発を麻痺させるまで、日本政府が設定していた[原子力]災害対策ガイドラインは、政府の災害対策本部が食物摂取の規制を行う方策の「考慮を開始する」、というものだけだった。当時の政府関係者は、事故の発生から食物摂取規制を実施するまで、「十分の時間がある」、としていた。

福島事故後、厚生労働省は慌てて暫定安全基準を設定したが、これは充分ではなかったかもしれない。

「今回の事故の後、暫定安全基準を超える放射性セシウムが福島原発から300キロ以上離れた静岡県のお茶の葉から検出されました」、と言うのは原子力安全委員会管理環境課の都築秀明課長。[だと思いますが、確定ではありません...。] 「今思えば、300キロ圏は大きすぎるということはなかった。チェルノブイリの経験で、人体に害の出るレベル以下の放射性物質が植物や家畜などに濃縮されうる、ということを私たちは知っていました。

原子力安全委員会は現在災害対応ガイドラインの見直しを行っており、食物、飲料の摂取規制を行う放射性物質のレベルの具体的な数字を定義する予定である。

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チェルノブイリ規模の事故を想定することが適当か、と(原子力推進の)IAEAにいちゃもんを付けておいて、「今思えば300キロ圏内は大きすぎることはなかったんですねえ」、などと今更言われても、「ふざけるな」としか言い様がありません。

決して忘れてはならないのは、日本政府がやったのは出荷の規制どころか、福島・東北・関東の野菜、肉、米を食べよう、というキャンペーンでした。福島県の計画的避難区域の牛、豚は、避難の期日までに大量に全国に売られました。野菜の検査は1市町村の1農場の1つの畑から作物1つ選んで行う、という検査でした。厚生労働省が慌てて食物の規制をかけようとする中、規制が何もなかった稲わら、シイタケ栽培用の培地(木屑など)が、汚染地域から自由に流通していました。

野田首相は外国人記者相手に、「原発事故の責任は個人にはない」と断言していましたが、事故発生後の対応には政府の政治家、官僚、一人一人に重大な責任があると思います。

Friday, September 30, 2011

安定ヨウ素配布記事でウォールストリートジャーナル紙が日本語版から省いた情報

同じ記事を英語ブログに出すために英語記事を斜め読みした結果発見。日本語に出したら都合が悪い、との日本語版の編集者の判断なのでしょうか。結構重大なことです。(もっとも、単に私が知らなかっただけなのかも知れませんが。)

先にブログでご紹介した日本語記事では、この部分です。

原子力安全委員会はもともとスクリーニング基準の引き上げには慎重だった。同委員会は3月14日、福島県に対し1万3000cpmに据え置くよう助言する声明を発表した。

ところが、ウォールストリートジャーナルの英語記事ではこの後にしっかり続きがあったのです。赤字強調部分です。

The NSC was initially cautious about allowing the higher screening benchmark. On March 14, it issued a statement advising Fukushima to stick to the current level of 13,000 cpm, noting that level is equivalent to a thyroid-gland exposure level at which the International Atomic Energy Agency recommends disbursing KI. The World Health Organization advocates one-tenth of that level for giving the medication to children.

この部分を訳すと、とんでもないことが書いてあります。

この1万3000cpmというレベルは甲状腺の等価線量で国際原子力機関(IAEA)が安定ヨウ素剤の配布を勧めるレベルである。世界保健機構(WHO)は、その10分の1のレベルを、安定ヨウ素剤を子供に投与する目安としている。


世界保健機構の目安を採用したら、子供には1300cpmの放射能で安定ヨウ素剤を服用させるべきだった、ということになります。

この部分の正誤の確認はとっていません。ウォールストリートジャーナルの記者が誤謬を記載するとも思えませんが、その可能性も無いとは言えません。

とはいえ、福島原発事故から6ヶ月以上も経ってなお、日本語では書かない情報が英語では発信されている、という状態が続いているのも、正常ではありません。

Thursday, June 2, 2011

IAEA暫定報告書要旨日本語訳(東京茶とら猫)

原文はこちら。外務省です。

まあ、外務省がやった暫定訳もあるんですが、茶とら猫さんの訳のほうがいいので、そっちを出すことにしました。さっとやった荒い訳だ、とのことですが、まあこれを読み流すだけでIAEAが日本政府と東電が主張してきたこと、認めていることから一つも外れたことを言っていないことが良く分かります。

しかし何度読んでも腹が立つのが、IAEAが手放しで褒めちぎっている日本政府の「対応」とやらです。

「避難の実施を含め、住民を守るための日本政府の長期的な対応は素晴らしいものであり、極めて良く組織されている。」

原文は、

"The Japanese government's longer term response to protect the public, including evacuation, has been impressive and extremely well organized."

原子力発電所事故を起こしている日本という国が他にもあるんでしょうかね。

使用済み燃料プールの言及がまったくありませんね、そう言えば。

(以下、報告書要旨訳)

国際原子力機関(IAEA)日本調査団
報告書素案
2011年6月1日

2011年3月11日の東日本大震災では、マグニチュード9の地震によって大津波が発生し、日本の東海岸を繰り返し襲った。津波が最も高い位置まで達したのは宮古市の姉吉地区で、38.9mである。

地震と津波により日本は広域にわたって壊滅状態になり、14,000人以上が死亡、少なくとも10,000人がいまだ行方不明である。さらにはもっと大勢の人々が、故郷の町や村が破壊されたり流されたりしたために避難生活を余儀なくされている。こうした破壊や喪失により、日本のインフラも様々な側面で被害を被った。

ほかの産業と同様、いくつかの原子力発電所も激しい地面の揺れと大津波の影響を受けた。具体的には、東海原発、東通原発、女川原発、そして東京電力の福島第一・第二原発である。いずれの発電所でも、地震を検知すると自動停止するシステムが組み込まれていたため、運転中のユニットは成功裏に自動停止した。しかし、大津波がこれらすべての発電所に程度の差はあれ悪影響を及ぼし、最も深刻な事態が生じたのが東電の福島第一原発である。

地震が発生したときに敷地外の電力はすべて失われたが、福島第一原発で運転中だった3基の原子炉には、自動システムにより地震検知後ただちにすべての制御棒が成功裏に挿入され、利用可能な非常用ディーゼル発電機もすべて設計どおりに始動した。大津波の第一波が福島第一原発に到達したのは地震発生の約46分後だった。福島第一原発は最大5.7mの津波に耐える設計にしかなっていなかったため、実際の津波の前に発電所の防御はまったく役に立たなかった。この日、福島第一原発を襲った津波は、大きいもので高さ14mを超えていたと見られている。津波の水はユニットの深部にまで達したため、非常用ディーゼル発電機1台(6B)を残してすべての電源が失われた。ほかには大容量電源が敷地の中にも外にもなく、外部からの支援もほとんど見込めなかった。

全交流電源喪失と津波の衝撃により、1~4号機ではすべての計器類と制御システムが機能を失い、非常用ディーゼル発電機6Bは非常用電力を5号機と6号機に送っていた。津波とそれに伴う大きな瓦礫が、福島第一原発敷地内のいくつもの建物、ドア、道路、タンク、ヒートシンクを含む様々なインフラを広範囲にわたって破壊した。作業員たちは電源も原子炉制御も計器類も失った状態で、未曾有の壊滅的な非常事態に直面することとなったうえ、施設内部および外部との通信システムも深刻なダメージを受けていた。彼らは暗闇の中、計器類や制御システムもほぼ皆無の状態で、6基の原子炉と、それぞれに付随する6個の燃料プールと、1個の共用プールと、ドライキャスク式の保管設備の安全を確保しなければならなかった。

原子炉ユニットを制御する方法も冷却する方法もなかったため、地震直前まで運転されていた3つの原子炉ユニットは、通常の原子炉崩壊熱により急速に温度が上昇した。制御を回復し、原子炉と使用済み核燃料を冷却すべく、作業員たちは果敢に取り組み、ときに斬新なアイデアを試みたにもかかわらず、燃料は大きな損傷を受けて一連の爆発が起きた。これらの爆発により施設はさらに破壊され、作業員はより厳しく危険な状況に直面することとなった。しかも、周囲には放射能汚染が広がっていった。これらの事象は、国際原子力事象評価尺度の最高レベルに該当すると暫定的に決定されている。

この原発事故による放射能被曝の結果、健康被害が生じたという報告は現時点で一件もない。

国際原子力機関は、事実関係を確認し、福島第一原発の事故から現段階で学ぶべき教訓を明らかにし、その情報を世界の原子力界に広めるために、日本政府の合意を得て予備調査団を派遣した。この目的を達成するため、専門家チームが2011年5月24日から6月1日まで事実関係の調査を行なった。調査結果は、2011年6月20~24日にウィーンのIAEA本部で開かれるIAEA閣僚会議において報告される。本文書は、日本政府に迅速なフィードバックを提供するための報告書素案である。

滞在中、調査団はあらゆる関係者から素晴らしい協力を得ることができ、多数の関係省庁、原子力規制当局、および原発運営者から情報を提供してもらった。また、調査団は原発の現状と被害の規模を把握するため、震災の影響を受けた三つの原発(東海、福島第一、福島第二)を訪問した。訪問時には、原発運営側のスタッフと話をするとともに、現在進行中の復旧作業や汚染除去作業を視察した。

調査団は証拠を収集し、現時点での暫定的な評価を実施し、暫定的結論と教訓をまとめた。これらの暫定的な結論と教訓は、日本の専門家や官僚にも伝えて内容を話し合った。彼らの専門分野を大まかに分けると、外的危険、重大事故管理、緊急時準備の3つである。彼らは日本の原子力界とIAEAにとっても、また世界の原子力界が原子力の安全性向上のために教訓を学ぶうえでも、重要な存在である。

主な暫定的結論と教訓は以下の通り。

・日本政府、原子力規制当局、および原発運営者は、原子力の安全性向上のために世界が教訓を学べるようにと、情報の共有と調査団からの質問の回答にきわめて協力的だった。

・献身的で強い意志を持った熟練スタッフが、きわめて困難な状況のもとで取った対応は、模範とすべきものであり、特殊な状況下にあったことを思えば安全性を確保するうえで結果的に最善の対処法であった。彼らの活動を力強く支えているのが専門的なバックアップ体制であり、とくにJビレッジの支援体制は現場で働く作業員の安全確保に役立っている。

・避難の実施を含め、住民を守るための日本政府の長期的な対応は素晴らしいものであり、極めて良く組織されている。今後は、住民や作業員の被曝量と健康状態を監視するために、適切な時期に適切なフォローアップのプログラムを実施することが望ましい。

・事故収束に向けて策定されたロードマップは重要なものであり、一定の評価ができる。新たな事態が明らかになればロードマップを修正する必要があるだろうし、場合によっては国際社会の協力も必要になるかもしれない。ロードマップはあくまで、より大きな計画の一部とみなすべきであり、最終的な目標は放射性物質放出の影響を受けた周辺地域の汚染を除去して、避難生活者が通常の暮らしにれるようにすることである。それによって、このような甚大な原子力事故にどう対処すればどんな成果が得られるかを世界に示すことが重要だ。

・いくつかの原発では津波の危険性を過小評価していた。原発の設計者と運転者は、あらゆる天災の危険性を適切に評価し、防護策を講じるべきである。また、新たな情報、新たな経験、新たな知見が得られたら、それに照らして評価結果や評価方法を定期的に見直す必要もある。

・極端な外的事象、とくに施設が大幅に水に浸かるといった事態が想定されるケースに対しては、徹底した防護策や物理的な隔離、また多様性と重複性を必要要件とすることを実施する必要がある。

・原子力規制当局は極端な外的事象に対し、定期的な見直しを含む適切な取り組みを実施するとともに、規制当局の独立性と役割の明確さがIAEAの安全基準に則ってあらゆる状況下において確実に保たれるようにすべきである。

・原発の設計、運営、資源調達、および緊急時の手順は、複数の甚大な外的事象が組み合わさって長期間継続する可能性があることを考慮に入れるべきである。

・今回の日本の原発事故からは、敷地内に頑丈な緊急対応センターを設置することの重要性が浮き彫りになった。このセンターには、発電所に不可欠な諸要素や、制御、資源、通信などの設備を適切に備えている必要がある。重大な事故が起きる可能性のある主要な原子力施設には、そうしたセンターをすべて設置すべきである。また、重大な事故が起きたときに、絶対必要な安全機能をタイムリーに回復するため、単純だが有効に機能する頑丈な装置類が利用できるようにすべきである。

・水素の危険性を詳細に評価し、必要なリスク軽減システムが提供されるべきである。

・緊急時の手順、とくに初期段階における手順は、重大な事故に対応できるようなしっかりしたものにすべきである。

IAEA調査団は国際的な原子力界に対し、福島の事故によって生まれた比類のない機会を利用して、世界的な原子力の安全性について学び、それを向上させるべく努力することを求める。

(以上)

Tuesday, May 31, 2011

IAEAの報告書骨子:東電と政府の言い訳そのもの

IAEAの調査団とその報告内容に期待していた方々、どうも残念でした、ということになりそうです。毎日新聞に出た骨子によると、何一つ新しい情報はありません。

  • 津波を過小評価していた(津波のせいで発電所が止まった)
  • 保安院の独立性を確立すべき
  • 初期対策を確立すべき
  • 水素爆発は危険
  • 原発作業員の献身的作業
  • 事態の進展に応じた東電の工程表の見直し必要

新しい情報がないどころか、IAEAの報告書は日本政府の対応を次のように褒めちぎるようです(毎日新聞より):

「素晴らしく、よく組織化されている」

何の冗談ですかね。

毎日新聞の記事全文はこちらでどうぞ