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Saturday, March 17, 2012

文部科学省がヨウ素129を調査する理由の可能性その2

昨日のポストでお話した私の妄想の続きですが、文部科学省が半減期が1500万年以上もあるヨウ素129を土壌サンプルから検出を行っている理由がもう一つ、思い当たりました。

読者の方がコメント欄でチェルノブイリに触れていらっしゃったので、チェルノブイリ事故ではこの核種は検出されていたのか、されていたとしたらどのように解釈され、使われていたのだろうか、と思ったわけです。そこで早速検索を掛けてみると、このような論文が見つかりました。

2002年12月に"Science of the Total Environment"誌に発表された、デンマークとチェコの研究者による論文で、概要に次のような記載が:

Soil samples from areas in Belarus, Russia and Sweden contaminated by the Chernobyl accident were analysed for 129I by radiochemical neutron activation analysis, as well as for 137Cs by gamma-spectrometry. The atomic ratio of 129I/137Cs in the upper layer of the examined soil cores ranged from 0.10 to 0.30, with an average of 0.18, and no correlation between 129I/137Cs ratio and the distance from Chernobyl reactor to sampling location was observed. It seems feasible to use the 129I/137Cs ratio to reconstruct the deposition pattern of 131I in these areas.

チェルノブイリ事故によって汚染されたベラルーシ、ロシア、スウェーデンの地域の土壌サンプル中のヨウ素129を放射化学中性子放射化分析、セシウム137をガンマ分光法によって分析し、比率を調べた。土壌表層部のヨウ素129・セシウム137の原子比率は0.10から0.30、平均が0.18で、この比率はチェルノブイリ原発からの距離に関係なくほぼ一定しており、当初のヨウ素131の拡散、沈降状況を再現するのにこの比率が使用できると思われる。

つまり、文部科学省が今になってヨウ素129の土壌中の濃度を検査させているのは、セシウム137との比率を出して事故初期のヨウ素131の拡散・沈降状況を再現しようとしているのではないか。

事故初期、日本政府がしたことは皆様もご存知の通り、「安全」を連呼することでした。事故初期の土壌サンプルでヨウ素131を測ったのは、3月下旬にIAEAが飯舘村の土壌を測ってキロ当たり2千万ベクレルあった、と発表した以外に記憶がありません。文部科学省がヨウ素131の実測を行ったのは6月になってからで、結果を発表したのは9月になってからでした。

そこで、半減期が非常に長いヨウ素129を測ることによって遅ればせながらヨウ素131の初期の拡散の実態をより正確にしよう、という文部科学省の目論みなのか。相変わらず素人の妄想の域を出ませんが、こっちのほうが可能性は高いかも知れません。

但し、上述の研究概要でも察することが出来るように、万一セシウム137との比率が「一定」でない場合、ヨウ素131の飛散分布状況の推定に使うことが出来ない可能性もあるのではないでしょうか。その場合、今度は比率が一定でないのはなぜか、という疑問が出てきます。偏在するヨウ素129がどこから出てきたのか-どの原子炉あるいは使用済み燃料プールか-を知る手がかりとなるのかもしれません。

ともあれ、文部科学省がヨウ素129の情報を発表するのはいつになるのでしょう。

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なお、飯舘村でヨウ素131が土壌からキロ当たり2000万ベクレル検出されていた件、お見逃しになっていた方のために再掲しておきます。2011年4月1日付け共同通信です。

IAEA、検出はヨウ素 測定値を2千万ベクレルと修正

 【ウィーン共同】国際原子力機関(IAEA)は3月31日、福島第1原発の北西約40キロにある避難区域外の福島県飯館村の土壌からIAEAの避難基準を上回る値が検出されたとした放射性物質は、半減期の短いヨウ素131で、測定値は1平方メートル当たり約2千万ベクレルだったと修正した。

 IAEA当局者は30日の記者会見で、約200万ベクレルとしていた。数字を取り違えたとみられるが、IAEAは独自の避難基準の2倍に相当する事実は変わらないとしている。

 測定日は3月後半で、ヨウ素131の半減期は約8日。当局者は「検出された値は限られた試料に基づいた初期評価で、追加調査が必要」と話している。

 一方、日本の原子力安全委員会は31日、国内では土壌でなく空間放射線量を指標にしていると説明。原発から半径20キロを「避難」、20~30キロを「屋内退避」とした設定は妥当で、避難区域の設定の見直しは必要ないとの考えをあらためて示していた。

原子力安全委員会だけでなく、当時の枝野官房長官も同様の発言をしていました。日本では土壌ではなく、他にも総合的に判断する、避難域を見直すことは考えていない、と。

この共同ニュースが出た4月1日、飯舘村では山下俊一教授が村の幹部に非公式のセミナーを開き、まったく心配は無い、飯舘村は風評被害と戦う福島のシンボルだ、とぶち上げていた、と田中隆作さんのブログにありました。

日本政府が飯舘村の住民に避難命令を出したのはその10日後でした。

Sunday, January 29, 2012

【苦笑】環境省ががれき広域処理推進のために作成した空間放射線量マップは汚染を過小評価

文部科学省の航空機モニタリング調査結果を元に、環境省で独自に作成したという空間放射線量地図が、環境省が放射能に汚染されている災害がれきの広域処理をますます推進するために立ち上げたサイトの中に出ています。

そこで、元の文部科学省の空間放射線量地図と比べてみることにしました。文部科学省の地図は、空間線量が毎時0.1マイクロシーベルト以下の場所は濃い青、環境省の地図は、0.23マイクロシーベルト以下の場所が白色。あれ、ちょっと単位が恣意的ではありませんか?

凡例を比べると、0.5~1.0マイクロ以上は両省とも単位が一致していますが、その下は文部科学省が「0.1マイクロ以下、0.1~0.2マイクロ、0.2~0.5マイクロ」の三段階に分けているところを、環境省では「0.23マイクロ未満、0.23~0.5マイクロ」の二段階。0.23マイクロは決して低い値ではありません。この線量の場所に1年間居ると、外部被曝量が単純計算で2ミリシーベルトになります。

環境省は、0.1マイクロも0.23マイクロも一からげにして、「安全」を示すのであろう白色で地図を描いています。

環境省の地図をざっと見た人は、なんだ、福島第1原発事故は原発のせいぜい30、40キロ圏内が問題で、あとは大したことなかったじゃないか、と思うのではないでしょうか。宮城、千葉、茨城もほとんど汚染されておらず、東京、埼玉、神奈川に至ってはまっさら。

東京都が既にがれきを焼却を開始している宮城県女川町のあたりの線量も、文部科学省の地図では分かりますが環境省の地図にはまったく出てきません。宮城県北部、岩手県南部(陸前高田市など)の海岸沿いの線量も、環境省の地図では0.23マイクロ未満としか分かりません。

さすが環境省、国民をここまでなめるかなあ、と感心しました。