Wednesday, August 24, 2011

フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン 「新データがフェアウィンズの分析を支持/放射能汚染が日本と世界に拡大」

8月21日付けのビデオの全訳をお届けします。

New Data Supports Previous Fairewinds Analysis, as Contamination Spreads in Japan and Worldwide from Fairewinds Associates on Vimeo.

この中で、ガンダーセン氏は、敷地内に亀裂が出来ていてそこから蒸気が出ている、という未確認情報に触れたあと(氏は現在のところ判断するためのデータがない、と言っています)、重要な情報2つについてコメントしています。

その一つが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者が発表した、南カリフォルニアに飛来していた福島由来の放射性硫黄。ガンダーセン氏は、これは氏が4月上旬に言っていたように、3月11日の地震で原子炉に制御棒が挿入されて以降も核反応が続いていた、つまり、臨界状態だったことの証拠である、としています。海水中のクロルに中性子が当たると、放射性硫黄になるのです。(ビデオの中で氏はナトリウム(英語でSodium)、と言っていますが、クロルの間違い。ご当人に確認済み。)

もう一つは、2週間ほど前のアメリカの原子力規制委員会(NRC)の会議で、委員会が福島の使用済み燃料プール内の燃料が損傷していない、と述べたこと。

これが本当だとすると、実に恐ろしいことです。NRCは3月の時点で、原発から1マイル(1.6キロ)のところまで燃料棒の破片が飛び散っている、と言っています。これが、最初にNRCが言っていたように3号機の使用済み燃料プール由来でないとしたら、この破片はどこから出てきたのか。

ガンダーセン氏によると、NRCはこれらの燃料棒破片は原子炉自体から出た、と考えている、というのです。

氏はこのNRCの見解には同意できない、としていますが、もし本当に原子炉の炉心から出たとすると、それはとんでもなく深刻な事態である、とも言っています。原子炉自体が壊れて中の燃料が吹き飛んだことになるからです。

氏がビデオの中で引用しているNRCの7月28日委員会議事録はこちら。(PDFファイル)

最後に氏は放射性がれきの処分問題に触れ、日本政府がやろうとしている処理方法は周辺地域だけでなく世界中に再度放射性物質を拡散することになりかねない、と警告しています。

以下、ビデオ全訳。(H/T 東京茶とら猫)

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フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン
「新データがフェアウィンズの分析を支持/放射能汚染が日本と世界に拡大」

こんにちは。フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。前回のビデオのあとで、いくつか新たな情報がありましたので、それを今日は皆さんにお知らせしたいと思います。

最初は、「ロシア・トゥデイ」で放送され、いくつかのブログでも話題になった話ですが、福島第一原発の敷地に亀裂ができてそこから煙や蒸気が出ている、というものです。その原因として、炉心がメルトスルーして格納容器から出て、地下水に触れたせいではないかといわれています。私は「ロシア・トゥデイ」からコメントを求められましたが断りました。それを肯定するにせよ否定するにせよ、信頼できる工学的なデータが十分にないと思うからです。そういう状況になっている可能性はありますが、確定的な話ができるだけの工学的なデータがまだないと思いました。

ただ、興味深いのは、地面から蒸気が噴き出すという衝撃的な話の陰に、もっと重要な問題が隠れてしまったことです。そして、そちらの問題のほうは裏づけを取ろうと思えばできると思います。

まずひとつは、先週カリフォルニアから届いた報告です。研究者グループが大気中で放射性の硫黄35を検出しました。検出されたのは3月で、福島の事故から2週間ほどたった頃です。メディアは硫黄35が「カリフォルニアで」検出されたことに重点を置いて報じましたが、この報告書には、メディアが報道しなかったはるかに重要なことが書かれています。それは、硫黄35がどうやって生まれたか、という問題です。

太平洋を越えて福島に戻ってみましょう。海水に中性子子がぶつかると硫黄ができることがわかっています。海水中のナトリウム原子[塩素、クロルの間違い。確認済み]の原子核に中性子がぶつかると、硫黄という別の原子に変わります。それが硫黄のつくられるメカニズムです。ですが、報告書によれば、カリフォルニアで検出された量の硫黄をつくるには、1平方メートルあたり4,000億個の中性子が必要です。これは膨大な数の中性子です。誰も聞かなかった質問です。その中性子はどこから来たのでしょうか?

このカリフォルニアの報告書は、私が4月3日にお話しした内容を裏づけるものだと考えています。当時は、福島の原子炉が完全には停止していないと思わせる証拠が十分にありました。思い出していただきたいのですが、津波が襲ったとき、1時間のあいだ原子炉は停止されていました。制御棒が挿入されて、あらゆる連鎖反応を停止させたのです。ところが、どうやらそのあとで連鎖反応が再び起きたように思えました。今回カリフォルニアで得られた新しいデータは、私が4月にお話ししていたことを裏づけていると思います。つまり、原子炉が停止されたあとも臨界状態が継続していたということです。

もうひとつ重要な出来事が2週間ほど前にありました。米国原子力規制委員会の会議が開かれ、スタッフが委員会の理事たちに福島の状況を説明しました。そのときの議事録へのリンクをこのビデオのページに出してあります。最初の60ページでは、福島第一原発の燃料プールにあまり問題がないと報告されています。その会議には電話で参加した人がいて、その人が重要な疑問を提起しました。それをこれから読み上げたいと思います。

質問者は「ニューイングランド・コアリション」(原発の安全性を研究するアメリカのNPO)のシャディス氏です。こういう内容でした。

「使用済み燃料プール内の燃料が損傷していないという発言を聞いて驚いています。メディアの報告からは、最大1cmを超える燃料のかけらが燃料プールから1マイル(約1.6km)以上離れたところから見つかっていると思われます。それが私の質問の第一点です。この食い違いを説明してもらえますか?」

シャディス氏が言いたいのは、燃料プールが無傷ならどうしてプルトニウムが1、2マイル(約1.6~3.2km)離れたところから見つかったのか、ということです。

これに対する原子力規制委員会の回答は、控えめに言っても気がかりなものでした。

議事録の61ページにグローブ氏の発言としてこうあります。

「今までに発見が報じられているかけらのほとんどは、原子炉(複数)内部から来たものと思われます」

2ページうしろの63ページでは、ホラハン氏が次のように発言しています。

「敷地内にいろいろな形態で散乱している放射性物質がどこから来たかについてですが、使用済み燃料プール(複数)ではなく炉心(複数)由来である可能性のほうが高いと思われます」

プルトニウムが使用済み燃料プールから飛んできたのではなく、炉心由来のものだとすると、はるかに問題が大きいと私は考えます。4月26日のフェアウィンズのビデオを思い出してください。私は3号機の使用済み燃料プールで「即発臨界」が起きたのではないか、とお話ししました。それを裏づけるデータもたくさんありました。建屋の側面に炎が見えたことや、爆発による噴煙が高く上がったことなどです。この爆発によって、原発から1、2マイル離れた敷地外にプルトニウムが飛んだ、と私は仮定しました。原子力規制委員会が考えているのはそれより深刻な状況です。原子炉が壊れ、格納容器も壊れ、そこからプルトニウムが敷地外に放出されたというのですから。

私にはこの解釈が理解できませんし、率直に言って正しいとは思えません。やはり私は、プルトニウムを吹き飛ばしたのは使用済み燃料プールだったと考えています。ですが、もし私が間違っていて、原子力規制委員会の言うように燃料プールからではないとしたら、はるかに恐ろしい事態だったことを意味します。もし原子炉が壊れ、格納容器も壊れてプルトニウムが放出されたのなら、私たちはアメリカの原子炉の設計を真剣に見直す必要があります。

次に手短にお話ししたいのは、1号機にかぶせるテントがほぼ完成したことです。このテントによって事態が大きく改善するわけではありませんが、2つの問題は解決します。テントの目的は、敷地内の線量を下げることです。テント内の放射性物質はどこかに逃がさないと行けません。さもないとどんどん濃度が高まって、致命的なレベルになります。ですから、排気塔を使って放射性物質を排気しなければなりません。これは作業員にとってはありがたいことです。放射性物質をもっと高い高度で空中に放出できるからです。周辺地域にとっても良いことです。しかし、原発から放射性物質が放出されること自体を改善するわけではありません。

1号機にテントがかぶせられることになっても、問題が解決すると思ってはいけません。セシウムの降下を敷地から遠ざける効果しかないのです。作業員にとってはセシウムを浴びる量が減るので重要なことではありますが、地球全体で見たときに私たちが浴びるセシウムの量が減るわけではありません。

そこが今日の最後のポイントにつながります。北日本では地域全体にセシウムが大量に降下しました。日本政府は、放射能に汚染された瓦礫を焼却することを認めようとしています。キロ当たりの線量が8,000ベクレル以下であれば燃やしてもいいというのです。これは1kg当たりの崩壊数が毎秒8,000個ということです。それを焼却することを日本政府は許可しようとしています。アメリカであれば、放射性廃棄物として処分して何千年も地中に埋めなければならないレベルです。にもかかわらず、8,000ベクレルを超えなければ燃やしていいというのです。

それだけではありません。もっと心配なことがあります。放射能に汚染した瓦礫をほかの瓦礫と混ぜることを認めようとしている点です。たとえば1つのサンプルが24,000ベクレルだとしても、ほかの2つがまったく汚染されていなければ、全部足して3で割ると平均8,000ベクレルになり、燃やしてもいいことになります。

これを行なえば、深刻な問題が派生してきます。まずひとつは、原発から放出されてすでに地面に落ちた放射性物質を再び空中に拡散させることになります。しかも意図的に。周辺地域の学校や校庭ですでに除染が済んでいたとしても、瓦礫を焼却すれば再びセシウムが降ってきます。汚染された瓦礫を燃やす地域は、今現在は汚染がない状態、または汚染が少ない状態であっても、燃やすことで再び汚染され、線量が高くなるでしょう。

瓦礫の焼却によって生じる放射能の雲は、日本だけに留まっているわけではありません。もちろん太平洋を越えてアメリカの北西部にも届きます。汚染された瓦礫の焼却を認めたら、福島の事故をあらためて再現するようなものです。地面に落ちたばかりの汚染物質をもう一度空中に舞い上げるわけですから。

また、福島から比較的離れた地域でも、地面に落ちた放射性物質が川に入り、海に流れているというデータがあります。これまでは福島の原発そのものに注目が集まっていましたが、今や遠くはなれた川が汚染されて、それが海の汚染につながっています。

日本は問題に直面しています。厳しい問題に直面しています。ですが、厳しい問題に直面していることをまず認識しなければ、その問題を解決することはできません。日本政府が事の大きさをこれからも無視し続けるなら、かえって問題は長引き、最初からきちんと対処するより費用が多くかかる結果につながります。

まず、問題に直面していることを認識し、その問題が深刻なものであること、また問題解決には多額の費用がかかることを認識しなくてはいけません。しかし、問題の解決は可能です――解決すべき深刻な問題があるという認識を出発点にして対処するならば。

ありがとうございました。

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7 comments:

  1. いつもありがとうございます。

    一番最初に、このブログを知ったのは、今回のビデオでグンダーソン氏が指摘している4/26のビデオでした。(よく分からないため、和訳を探していました)あれから、約4ヶ月、自体は良くなるどころかどんどん進展しています。

     なぜ、正直に被害を認められないのか。NRCもその一員だと知り、呆然としてしまいました。

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  2. 瓦礫処理の問題について、こうした分析が報道されることで
    米国や他国が日本に処理方法を再検討するよう要請してくれるといいのですが。

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  3. はじめまして。
    ちょくちょく拝見させて頂いています。
    ”院長の独り言”サイトからこのサイトを知りました。
    信じられないほど深刻な内容がいつも提示されていて驚かされるばかりです。
    日本のテレビでの報道ではともすると原発事故は収束に向かっているがごとくのニュアンスです。
    ”燃料棒の破片が1マイルも飛散っている”というのは、私にとって、
    ”メルトダウンしている”というよりもはるかに、想像すらできなかった衝撃です。
    以前にアメリカのどなたかが、”日本に原発をさせるな”という趣旨の発言をされたというニュースがあったと思うのですが、
    もう日本には原発をコントロールする能力がないことが、この原発事故をもって証明されたのですから、
    その人のおっしゃるとおりなんとかアメリカが強制的に日本の原発をやめさせてほしいものです。

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  4. @Alai、原発内から10シーベルト毎時を超えるスポットが何箇所も発見され、東芝のサリー(汚染水処理装置)から3シーベルト毎時の汚泥。収束しているとはとても思えませんが、面白いのは日本のマスコミも少なくともネットではちゃんと情報は出すことは出していることです。

    燃料棒については、3月か4月にNYタイムズが、敷地内に飛び散った燃料棒破片は作業の邪魔になるので敷地内に埋めた、と書いています。

    原発をさせるな、で思い出しましたが、国民投票で原発の新規建設を凍結したイタリアの、市民のコメント:「日本人ですらうまく出来ないこと(福島事故のこと)がわれわれイタリア人に出来るはずがない」

    どうも日本政府は、たいしたことない、除染すれば済む話、健康被害はない、で押し通す様相ですね。

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  5. 燃やして良い基準が8000ベクレルではありません。博士の言っていることよりもっとひどいのですが、どんなに高レベルに汚染されているものでも、十分な能力を有する排ガス処理装置が設置されている施設ならば燃やしてよい、のです。埋め立ての基準が8000ベクレルまでなら通常の埋め立てをして良いの意味です。ですから、被災地では全てのガレキを燃やす準備を進めているのです。今手を打たなければ、被災地のみならず他の地域が高レベルに汚染されます。後は博士のおっしゃるとおりです。この悲惨な状況を博士に伝えたいですね・・・

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  6. 燃料棒をブルで埋めた記事はこれです。
    http://goo.gl/Sw9TG
    Broken pieces of fuel rods have been found outside of Reactor No. 2, and are now being covered with bulldozers, he said. The pieces may be from rods in the spent-fuel pools that were flung out by hydrogen explosions.

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  7. 貴重な情報を、本当に、いつも、ありがとうございます。
    日本国民は、本当の情報に、飢えていると思います。
    終戦特集のNHKで、B29が長崎にやってくるのを情報部は知っていたのに、空襲警報を鳴らすよう指示しなくて、
    避難すれば多くの人が助かったのに・・と放映されました。
    あれを知って多くの遺族が、悔しい思いになられたと思います。
    日本の国は、呪われていると思います。

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