Friday, January 27, 2012

【記録】2011年3月25日付けニューヨークタイムズ紙: 「3号機の原子炉容器には縦に大きな亀裂が入っている」「3号機作業員は放射線やけど」「放射能拡散パターンが普通ではない」

1号機、3号機が派手に爆発し、4号機がろくに報道されないうちにぼろぼろの姿になったものの、なぜか日本が「もう大丈夫だ、別になんてことはない」という雰囲気だった去年3月の下旬。海外では、これはとんでもない事故だ、という認識で、日本のメディアには出てこないニュースを出していました。それを取り上げて、日本政府、マスコミは、扇情的な記事で風評を煽る、けしからん報道だ、と抗議していました。

そのあまりのギャップに、このブログで福島原発事故記事を書き始めたのですが、当時は日本政府の言っていることと違うことを書くと必ず口汚くののしってくる方々が沸いて出ました。馬鹿らしくてやめようと思いましたが、今になればああいう手合いを「工作員」さんとお呼びするんですね。英語ブログにも、下手な、英会話学校の先生のような英語で、同様の方々が沸いて出ました。

それはともかく、そんな時期の3月25日、米ニューヨークタイムズ紙に福島第1原発事故の記事が出ました。その中に、匿名の原子力業界関係者の言として、

「3号機原子炉容器(圧力容器)には大きな亀裂が入っている」

という記載があったのです。その記事は数日後改訂され、その記載部分がごっそり落ちていました。ところが、ニューヨークタイムズの元の記事を転載していたニュースサイトから当該部分全文をコピーすることが出来、英語ブログで4月2日付けで記事にしました。

キャッシュには、該当部分は今でもちゃんと出ています。

日本語ブログでも書いた気になっていたのですが、書いてませんでしたね。今更ですが、その部分を訳してお出ししておきます。今改めてこの部分を読んだら、この匿名関係者は3号機圧力容器の亀裂の他にもとんでもないことを言っています。まずお読みください。

ニューヨークタイムズ紙2011年3月25日付け記事、”Japan Encourages a Wider Evacuation From Reactor Area”より、記事から消えた3号機の言及部分(英語ブログに保存):

Concerns about Reactor No. 3 have surfaced before. Japanese officials said nine days ago that the reactor vessel may have been damaged.

3号機に関する懸念は以前にもあった。日本政府は9日前、原子炉容器が損傷を受けたかもしれない、と発表した。

A senior nuclear executive who insisted on anonymity but has broad contacts in Japan said that there was a long vertical crack running down the side of the reactor vessel itself. The crack runs down below the water level in the reactor and has been leaking fluids and gases, he said.

ある原子力産業関連の役員は日本に広くコンタクトがあるが、匿名を条件に次のように語った。3号機の原子炉容器自体に、側面に長い、縦方向の亀裂が入っている。亀裂は原子炉の水位よりも下まではいっており、そこから液体とガスが漏洩している。

The severity of the radiation burns to the injured workers is consistent with contamination by water that had been in contact with damaged fuel rods, the executive said.

この役員によると、怪我をした作業員の放射線やけどのひどさは、損傷した燃料棒に接触していた水の汚染と合致するものだ、ということだ。

"There is a definite, definite crack in the vessel -- it's up and down and it's large," he said. "The problem with cracks is they do not get smaller."

「確かに、はっきりとした亀裂が入っている。上から下まで、大きな亀裂だ」、と彼は言う。「亀裂が問題なのは、いったん入ったら小さくなることはない、ということだ」

The contamination of the water in the basement of the turbine building where the workers were injured -- a separate building adjacent to the one that houses the reactor -- poses a real challenge for efforts to bring crucial cooling pumps and other equipment back online.

作業員が負傷したタービン建屋-原子炉建屋に隣接した別の建屋-の地下に溜まっている水の汚染は、冷却ポンプなどの機器を復旧する作業に大変な妨げとなる。

"They can't even figure out how to get that out, it's so hot" in terms of radioactivity, he said. A big worry about reactor No. 3 is the mox fuel. The nuclear industry has no experience with mox leaks, and it is possible that unusual patterns in the dispersal of radioactivity from the plant partly result from the mox, he said.

「水をどうやって排出するかすら見当がつかないのだ。水の放射能が余りに高い」。3号機の心配はMOX燃料だ。原子力業界はMOX燃料のリークに対処した経験がなく、原発からの放射能拡散のパターンが普通でない(異常)なのはMOX燃料のせいもあるのかもしれない、と彼は言う。

3号機圧力容器に亀裂が入っている、という情報だけでなく、

  • 3号機タービン建屋の地下水で被曝した作業員はかなりひどい放射線やけどを負っていた

  • 原発からの放射能拡散のパターンが普通でない(異常な)のはMOX燃料のせいかもしれない

  • (つまり、原発からの放射能拡散パターンは普通じゃなかった)

という、本当だったら日本には未だ出てきてない情報があるではありませんか。訳すために真面目に読んで、今になって気が付きました。

また、読んでいて思い出しましたが、当時は確かに東電も政府も、原子炉冷却ポンプなどは復旧できるようなことを言っていました。ポンプをどこかに特注している、というような話も出ていました。実際は復旧もへったくれも無かったわけですが。

もっとも、ニューヨークタイムズ紙が誤情報を訂正しただけ、という可能性ももちろんあります。ただし、ニューヨークタイムズ紙のような大手新聞では通常、誤情報の訂正は必ずそのように断って訂正が入ります。

福島第1原発事故の真相は未だ闇の中。これを闇のままにすると、国は国として二度と回復しない気がします。

1 comment:

  1. >日本政府、マスコミは、扇情的な記事で風評を煽る、けしからん報道だ、と抗議していました。
    >日本政府の言っていることと違うことを書くと必ず口汚くののしってくる方々が沸いて出ました。

    昔は「大本営発表」で誤魔化せた筈なのに今はネットで【真実】を暴かれる。
    だから「検閲」を始めるとは・・・
    東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への対応に関する情報提供
    http://www.telesa.or.jp/taisaku/
    管理人様
    嘘情報で溢れる日本に少しでも長く「事実や真実」を届けて下さい。
    よろしくお願いします。
    (笑一笑)

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