Tuesday, January 10, 2012

セシウムという物質はどのような物質なのか

セシウムという物質は、福島第1原発事故以来、放射性物質として放射能が注目されていますが、放射性でない、安定型のセシウムも天然に存在します。下にお出ししたのは、以前に院長先生ブログに出ていたビデオです。

セシウムの投入で、水の入った水槽が爆発します。


院長先生ブログからのビデオ解説:

・アルカリ金属には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム の6種類がある
・全て柔らかい金属で、ナイフで切ることができる。
・最初のカットは、リチウム。ナイフで切るとメタル色がみえる。空気と反応して徐々に黒くなる
・ナトリウムも切ることができるが、リチウムよりも早く黒くなる
・カリウムを切ると、すぐに変色してしまって、メタル色を見ることはできない。
・周期表の下になるに従って、空気との反応スピードが速くなる。
・最後の水槽への投入は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの順。最後水槽が爆発するのは、セシウムを投入したとき。


元素周期表の一番左の列にある物質(第一族元素)、

リチウム (Li)
ナトリウム (Na)
カリウム (K)
ルビジウム (Rb)
セシウム (Cs)
フランシウム (Fr)

はアルカリ金属。ウィキペディア解説より抜粋しますと、

アルカリ金属は、比較的融点も低く、比較的軟らかく軽い金属である。Li、Na、Kは比重が1以下で水に浮く。いずれも反応性は高く、周期表の周期が大きくなるほど、結晶エネルギー(解離エンタルピー)が低減するため、激しく反応する傾向が見られる。

いずれのアルカリ金属元素単体も水、あるいは空気中の酸素と反応する為に、それらを避けるためにミネラルオイルの中に保存される。オイルを拭って放置すると自然発火することもあるので取り扱いは考慮する必要がある(危険物3類)。

放射性であろうとなかろうと、このような物質が体内に取り込まれ、無事で済むとはとても思えません。

しかし、日本保健物理学会は「セシウムには化学毒性がありません」と言います。

このページにある千葉在住の40歳の女性の質問は、

セシウムは体内でカリウムと同位体で、その挙動は筋肉や臓器にいき100日程で排出するとの事ですが、心筋に重金属がたまり放射性物質を出す場合、どのような症状が起こりうるのか知りたいのです。下記PDFをご覧頂くと、これからの日常をグラフで表されていると思います。http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf
例え10Bq/1日でも、上記表ですと体内に1400Bqのセシウムを体内にずっと取り込み続ける様になる訳ですけれども、特に心筋は代謝しづらいのではないでしょうか。そしてそこで放射能を出し続ける訳ですが、その場合重金属としても放射性物質としても働く訳ですから、非常に毒性が高い物となるのではないでしょうか。どうか、ご見解をお聞かせ下さいませ。

それに対する日本保健物理学会の2011年12月1日付けの答は、

セシウムがカリウムと挙動が類似しているのは、同じアルカリ金属類に属する元素であるためです。

セシウムの化学的毒性はほとんどありませんし、純粋なセシウム137の10000 Bqの重量は、わずか0.003μg程度です。人体は数mgの放射性でない安定なセシウム133を保有しており(参考1)、この程度の量のセシウム量では “化学的毒性”は認められないと考えられます。

お示しいただいた、資料(ICRP Publication 111)の21ページのFig.2.2をご覧になっての質問かと存じます。継続的に摂取した場合は、排出の割合と摂取の割合により平衡になる量でほぼ一定となるため、ご覧になったグラフのように、10 Bq/dayの場合は、約1400Bq程度で一定となっています。

被ばく評価をする際は、各臓器・組織ごとに等価線量を評価いたしますが、ICRP等では、心筋と他の筋肉を別に評価するようには勧告しておりません

特に心筋で代謝しづらいのかどうかはわかりかねますが、1400 Bq程度のセシウム137が常時体内に存在していたとしても、既に人体に含まれている安定なセシウム量を考えると、人体への影響は無視できる程度と考えます。

(参考1)
John Emsley, “Nature’s Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements,” Oxford University Press(2011): 山崎 昶 訳, 『元素の百科事典』, 丸善(2003), pp.265-270

どうやら、心筋についてはICRPで別に評価するように勧告していないからしないし、分からない、でも量が少ないので人体への害はないだろう、という見解のようです。

国、学会、専門家総出で、影響は無い、との国民への説得は続きます。

4 comments:

  1. ちょこっと失礼します。
    賛成派の仰るとおり毒性はありません。塩化セシウムを多めに与えるとラットが死んだり、10mg/kgでちょっとラットの心臓が変性して不可逆なだけです。
    塩化セシウムのラットを用いる90日間反復経口投与毒性試験
    Ninety-day Repeat Dose Oral Toxicity Test of Cesium chloride in Rats
    http://dra4.nihs.go.jp/mhlw_data/home/paper/paper7647-17-8h.html
    検証した結果は、残念ながら確かに化学毒性を実行する量は、今回の飛散量ではありませんでした。
    「全身くまなく分布し、全く無害」がちょっと嘘だっただけのようです。
    今回の事故に関して言えば、確かに害はないけれど、動態は隠したいという意図が見え隠れしていますね。

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  2. どういった物を「毒」として捉えるかの違いでは無いでしょうか?
    危険と訴える人は、人体に悪影響が有る物を総称して「毒」と表現しているけど
    安全と言っている人は、青酸カリ等見たいに急性症状が出るものだけを「毒」と言っている。

    国が安全と言っているのだから、議員食堂等は全て福島の食材だけにして欲しいですね

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  3. その前の記事が、「日本国民はシステマティックに騙されている」 の言葉に象徴されていますね。
     日本政府は全くチェルノブイリから学んでいないし、
     できるだけ事故の規模を小さく見せて、
     国民を騙し、更なる被ばくによる被害を拡大しようとしています。
     アレクセイ・ヤブロコフ氏の報告
    http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/
    福島の子どもの心臓発作について クリス・バズビー博士

    バンダジェフスキー氏が、子どもの心臓にたまるセシウムについて警鐘
    http://p.tl/ENcb

    「原因不明」で急死する福島第一原発作業員、死者5人目?
    http://blog.livedoor.jp/cry995/archives/1426971.html
    急性心筋梗塞で死亡=9日倒れた作業員―福島第1原発
    http://p.tl/qFJs
    福島原発事故後の急増する突然死、急死、心不全、心筋梗塞、心疾患に関するツイートまとめ
    http://matome.naver.jp/odai/2131334318252184601

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  4. アルカリ金属=毒という考えに誘導してるような論調は気になりますね。ナトリウムにしてもカリウムにしても無ければ生命維持できないし、多ければそれでまた生命の維持ができません。一般に毒性の知られている金属で銅などもありますが、これも生命維持に必要な必須金属であり一定量を超えれば障害が発生します。酸素然り、二酸化炭素然り、何事も一面だけを捉えて必須元素であるにもかかわらず、毒だから危険とみなす風潮には危惧を抱きます。

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