東京電力が福島第1原発の「事故時運転操作手順書」のほとんどを真っ黒に塗りつぶし、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会(川内博史委員長)に提出していたことが7日、分かった。
同委員会が「事故原因の徹底的検証に必要」と提出を要求していた。東電は、知的財産や核物質防護上の問題があるとして第三者に公開しないように求めていたが、川内委員長は「中身がないので隠す意味がない。(東電は)求めたものを誠実に出してこなかった」として公開した。
手順書は12ページ。9ページ分は全て塗りつぶされ、読み取れるのは全部足しても十数行。
東電はなんとけしからんやつだ、と非難する前に、こちらもお読みください。経済産業省から東電への、9月6日付け「要請」です。東電は規制省庁である経済産業省・保安院の指示を極めて忠実に守ったまでのことでしょう。
深野経済産業省・保安院長から東電の西沢代表取締役社長あての「要請」の本文は以下の通り:
平成23年9月2日、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員長 川内 博史から経済産業大臣 海江田 万里に対し、「書類提出要求について」(平成23年9月2日付け衆科委177閉第1号)をもって、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故原因の検証に必要な資料を、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会理事会へ提出するよう要求がありました。
つきましては、貴社に対し、同要求に基づき、当該資料を原子力安全・保安院に対して本日中に提出することを要請します。
なお、当該資料の提出に当たっては、核物質防護上の観点について十分に考慮されたい。
「核物質防護」とは一体なんのこと?といぶかしく思われる方のために、日本原子力研究開発機構からの説明もご紹介:
核物質防護(Physical Protection;PP)
核物質防護とは、核物質を盗もうとする者や、原子力施設を破壊しようとする者から核物質や施設を守ることです。核物質防護は盗んだ核物質を原料にして核兵器が作られるのではないかというシナリオを想定しているため核不拡散を確保するための手段の一つと言われています。施設内の核物質あるいは輸送中の核物質が盗まれるケースは日本では一度も発生していませんが、世界的に見た場合、いくつかの事件が発生しています。最近の例では、ドイツやチェコで発覚した密輸核物質の例が有ります。
核物質を盗み出す行為は、2つ想定され、外部から侵入して盗む場合と、内部の者が外に持ち出す場合とが考えられますが、いずれの場合も内部状況の詳細を把握していないと成功しないと考えられています。
わが国の場合、十分な防護措置がなされているため、欧米で発覚したと同様の事件がわが国において発生する可能性は極めて低いと考えられています。
記事のアップありがとうございます。
ReplyDeleteいうこととやることがこれだけ違うんですねえ。
知る範囲で二人のジャーナリストがふくいち現場へ潜入取材しその模様をウェブ上で配信しています。
こんなセキュリティの甘さでは仮に不心得者が被曝覚悟で潜入、さらに被害を拡大すると行ったことも可能ですよね。そんな状態なのに「核防護」もなにもあったものじゃありません。それに、ふくいちは廃炉になるのですし、こんな老原子炉の知的財産など保護が必要なのでしょうか、疑問です。
広島、長崎の原爆投下後の被害を調べさせず隠蔽したのと同じことなのでしょう。爆弾の原料(放射性物質)はアメリカの国家機密で、その機密事項を体内に取り込んだ被害者は守秘義務がある、というような。
ReplyDeleteまた、福島の原子炉を作った会社(GE、日立、東芝)はすべて現在でも世界中に原子炉を売り込んでいるわけで、福島の原子炉の不具合がばれてしまうような資料は出したくない、というのが本音かと思います。