Monday, September 26, 2011

福島原発事故前の水田土壌、畑作土壌中のセシウム137の量はキロ当たり10ベクレル以下

福島県の新米で500ベクレル/キロの放射性セシウムを検出したものが出てしまいましたが、そこの水田は3000ベクレル/キロの放射性セシウム汚染だったとニュースで出ました。

この3000ベクレルが高いのか低いのか、判断の一助にと思い、福島第1原発事故以前の水田の放射性セシウムの含有量の統計を探しました。下にお出したグラフは、独立行政法人農業環境技術研究所の「農業環境中に存在する放射性核種の一般公開システム」のページを利用したもので、サイトではストロンチウム90とセシウム137の含有量を、コメ、小麦、土壌について、データの多いものは日本海側と太平洋側に分けて、少ないものは全国の平均として、1959年から2006年までのデータを検索しグラフ化することが出来ます。

(農業環境技術研究所のほかにも、食品、土壌、水などの放射線計測の過去のデータが検索できるサイトがありますが、この研究所は”Motoyuki"さんのツイートで知りました。ありがとうございます。)

これを見ると、原爆実験の影響をより受けたのは日本海側(風向きのせいでしょう)、それでも1967年の65ベクレル/キロ(土壌に含まれる全セシウム137)が最高で、2000年代に入ってからは10ベクレル/キロを切っています。


畑作土壌中のセシウムは更に低く、最高値でも35ベクレル/キロをやや超えたくらい、2000年以降は10ベクレル/キロ以下で移行していました。

3000ベクレルの土壌セシウム汚染、実際は半分を占めるセシウム134の放射能はより強いために、現時点ではそのまま比べられませんが、それでも過去最高値65ベクレルの46倍、2000年以降の10ベクレルと比べると300倍の汚染ということになります。

福島原発事故の結果出た放射能よりも世界の各地で核実験をやっていた時のほうがよほど放射能があった、とおっしゃる専門家、評論家の方がいらっしゃるようですが、ぜひこのグラフを見ていただきたいものです。核実験の時代には確かに全世界にはよほど放射能が散らばったでしょうが、それと日本で起こった原発事故で炉心溶融・貫通した原子炉3基から出て日本に降った放射能を比べてもあまり意味がないような気がします。日本にどれだけ放射能が降って汚染されたか、ということに限ると、核実験時と福島事故後は全く比べ物になりません。

福島事故後の福島県、宮城県、新潟県を初めとした東北関東中部の県の土壌から検出された放射性セシウムを同じ表に入れようと思ったら、Y軸を対数にしないととても収まりません。ためしにお絵かきプログラムでY軸を対数にして、今回の事故での土壌汚染がひどい場所の数字(数千~数十万ベクレル/キロ)の範囲を緑の楕円で示してみました。水田というわけではなく、土壌一般です。(Y軸の目盛りは10の3乗以降は付け足したものですので厳密に正確なわけではありません。また、楕円の形に意味はありません。適当にご覧ください。)

100ベクレル/キロを超える汚染は1967年以来例のない汚染、ということになりますか。

1 comment:

  1. 福島第1原発事近辺の土壌が激しく汚染されていて、今後長い間作付が不可能なことは確かだと思います。
    しかし、農業環境技術研究所のデータで注目すべきは、日本で収穫された米や麦が過去どれほど汚染されていたかということです。1960~1970年代にコメや農作物を食べて育った世代にガンの発生率が高いというデータはありません。今一番心配なのは、どんな微量の放射能も許すまじという、放射能潔癖症が日本に蔓延し、被災地復興の妨げになっていることです。

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