Wednesday, June 1, 2011

朝日新聞:厚労省部会プルトニウム排出する薬剤承認へ 

ということは、プルトニウム(とその他の超ウラン元素)が原発から離れたところにまで飛散して、体内被爆の恐れがある、ということを国が暗に認めているような気がするんですが?(福島第1原発労働者の方たちのためにだけ新薬を早急に承認するような良心的な政府とも思えないのですが。)

朝日新聞6月2日付けの記事です:

 体に入った放射性物質を排出させる薬剤2品が、7月にも医薬品として承認される見通しになった。1日開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会で、意見がまとまった。

 2剤は「ジトリペンタートカル」(販売名)と「アエントリペンタート」(同)。どちらも主に点滴薬として使われ、日本メジフィジックス社(東京都)が輸入販売する。

 厚労省によると、原発事故などで放射性物質を大量に吸い込んだり、傷口から入り込んだりしてしまった時に使われる。プルトニウムなどを尿から体外に出す効果が認められているという。2010年10月時点で、米独仏の3カ国で承認されている。

 放射性物質の除去剤で国内で承認されているのは放射性セシウム用の「ラディオガルダーゼ」がある。

そこで、この2つの薬を調べてみました。(英語ブログの読者からすぐに情報が寄せられました。)化学名は多分

  • Ca-DTPA (Trisodium calcium diethylenetriaminepentaacetate)
  • Zn-DTPA (Trisodium zinc diethylenetriaminepentaacetate)

と言い("diethylene"ではなくて"ethylene"かもしれません)、もともと水銀、鉛などの金属を体内から除去するキレーション療法に使われているもので、プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどの超ウラン元素の除去にも使われている点滴薬です。超ウラン元素とは、ウラン(原子番号92)より大きな原子番号を持つ元素で、天然には存在せず、存在するものは全て放射性元素です。

ところが、この2薬の問題点2つ。

まず1つ目。繰り返しの使用、あるいは長期にわたる使用での副作用が強い。副作用として上げられているのは、軽症なところでは寒気、筋肉痛、更に腎臓へのダメージなど。長期にわたる使用では、亜鉛が必要以上に体から排出されてしまい、そのために亜鉛欠乏症の諸症状が現れる。(参考:http://www.pharmacorama.com/Rubriques/Output/Complexants_chelateursa3_1.php フランス語ですが、DPTAと同種のEDTAの解説です。)

2つ目。プルトニウムなど超ウラン元素を体内に摂取してしまってからすぐキレーション治療を行わないと、効果はほとんどない。(参考:英語です。http://hps.org/publicinformation/ate/q4952.html

プルトニウム、アメリシウム、キュリウムなどは、アメリカまで飛散しているにもかかわらず、日本政府は原発から離れたところには出ていない、と言い続けてきました。

いまさらのようにこの薬を承認しても、残念ながら多分時すでに遅し。

3 comments:

  1. これまた貴重な資料をありがとうございます。
    少しでも多くの方に報道では出てこない様々な情報を知ってもらうため
    これからも私のブログでご紹介させてくださいね。

    それにしても今更遅いとは・・・涙

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  2. やはり...
    この点滴薬の記事を読んでから副作用とか効き目とか疑問に思ってました。調べてくださってありがとうございます。
    でも一体どこの国から輸入するのでしょう?
    これから世界中の製薬会社が日本の被爆者を人体実験に使おうと乗り出してくるでしょうね。

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  3. 製造しているのは、Heyl(ハイル)というドイツの会社です。副作用はもちろん人によるのでしょうが、私の身近な人間でこれを金属除去のキレーション治療で経験した人がいます。2週間、絶不調で寝ていましたね。

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