ただし、これは「ガラスバッジ」。放射線の量が計測でき、放射線量の高いところでは警告音を発することの出来る「線量計」ではありません。悲しいことに、NHKのニュースでは、お母さんの一人は福島県が配布するのは後者だと思っていらっしゃるようです。
NHKオンラインの6月24日付けニュースです。
原発事故による子どもへの放射線の影響を防ごうと、福島県は、県内の0歳児から中学校までの子どもおよそ28万人を対象に線量計を配布することを決めました。
福島県は23日、原発事故による子どもへの放射線の影響を防ぐため、「子どもを守る緊急プロジェク ト」という取り組みを始める方針を決めました。この中で、県内の0歳児から中学校までの園児や児童・生徒などおよそ28万人を対象に、積算線量計を配布す るとしています。また、校庭などの表面の土の入れ替えや、校舎にエアコンなどの空調設備を設置する市町村への助成なども盛り込まれています。子どもへの線量計の配布は、福島県内ではすでに福島市や伊達市、それに川俣町が、小中学校や幼稚園などに通う子どもに配布したり、配布を決めたりしていますが、県では こうした市町村については必要な経費を助成することにしています。福島県の方針について、線量計の配布が行われていない郡山市の小学生の女の子の母親は、 「線量計は欲しいと思っていましたが、高くて買えなかったので、とてもありがたいです」と話していました。
このお母さんには残念ですが、この「線量計」は外界の放射線を測ってくれるものではありません。福島市、伊達市、川俣町が園児、生徒に着用させるものと同じものだとしたら(多分同じでしょう、ニュースをみると)、これは「線量計」ではなく、「ガラスバッジ」と呼ばれるものです。本来、放射線管理区域で働く人々のためのものです。
日本では千代田テクノルという、東京文京区に本社を持つ会社が製造しています。こういうものです。川俣町で配られたのを見ると、GI型のバッジのようです。
多分お母さんが高くて買えなかったのは、放射線の高いところに行くと警告音を発し、実際に何マイクロシーベルトか計測できる、このような線量計でしょう。確かに数万円から、10万円を超えるものもあります。
ガラスバッジはせいぜい一つ3000円程度、見てもそこに数字が表示されるわけではなく、放射線の高いところに行っても警告音ひとつ鳴るわけではなく、ただ積算外部被曝量を記録するためのものです。一定期間後(通常は1ヶ月)回収され、製造会社がデータを取り出し報告書を作り、報告書をお客様、この場合は福島県に提出する。県や自治体がそれを学校に通達するのかどうか、学校がそれを保護者に伝えるのかどうか、NHKからの短いニュースでは分かりません。
このバッジをつけて放射線の影響をどう防げるのか、NHKに聞いて見たいものです。これは、被曝量を記録するものです。被曝を防ぐものではありません。
お母さん、ありがたがる必要はどこにもありません。
もうひとりのお母さんは、「そんなもの配ってもらうよりも放射能そのものをどうにかしてもらったほうが。」
その通り。ただし、国や県、東電がどうにかできるとも思われませんが。記録だけはとっておこう、というわけでしょうか。
この福島児童への線量計、否、グラスバッジについては、「院長」先生も既にブログでお書きになっています。
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