Saturday, September 17, 2011

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク:「朝日がん大賞に山下俊一氏を選んだ朝日新聞社に抗議します」

子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
代表世話人 中手聖一
世話人一同

 貴社の9月1日付けの新聞を見て、わたし達「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の一同、また、一緒になって、福島の子どもたちを守る市民運動に参加している関係者は愕然とし、同時に怒りを抑えることができませんでした。

 なぜ、山下俊一氏の行っている行為がこのような形で評価されるのか、理解に苦しみます。氏の発言が、子どもたちを守ろうとしている福島の親たちをどれだけ苦しめてきたのか、またこれからも福島医大の副学長として福島県民を苦しめるつもりなのか、貴社の選考の基準には入っていなかったのでしょうか。

山下俊一氏は、3月の下旬から福島県に入り、「年間100ミリシーベルトでも問題ない。妊婦でも子どもでも危険はない」という発言をくりかえしてきました。当時の同氏のこの発言は、福島市政だよりにも掲載され(別添1)、福島県内で「安全神話」を築き上げてきました。

同氏は医学系の雑誌には、低線量被ばくのリスクを指摘する記事を書きながらも、福島では逆に低線量被ばくのリスクをまったく否定する言動をとったのです。ご存知のように、低線量放射線の影響は「閾値なしの線形モデル」を採用し、線量に応じた影響が生じるというのが、国際的な常識となっており、保守的な ICRPもそれを認めています。

実際には、福島では、多くの地域では、本来であれば、一般人の出入りが禁じられる放射線管理区域以上の高い汚染が広がり、チェルノブイリ事故と比較しても安心・安全とはいえないレベルの状況が続いています。同氏の発言は、多くの方の避難を躊躇させ、また、福島に住み続けることについて安心感を得させ、家族不和まで生んでいるのです。さらに、「危険かもしれない」という市民が憂慮の声をあげられない空気をつくりだしました。

この世に家族ほど大切な単位があるでしょうか。子どもほど大切な存在があるでしょうか。それなのに、同氏がつくりだした「安全神話」により、家族を守れずに、私たちがどれほど苦しんだか、言葉には言い尽くせないほどです。わたし達福島県民は、それでもなんとか明るく前向きに生きようと日々戦っているのです。

私たちは、このように山下俊一氏が、県の放射線リスク・アドバイザー、県民健康管理調査委員会の座長にあることに強い危機感を覚え、同氏の罷免を求める署名運動を行い、6607筆の署名を得ました(別添2)。また、全国の署名運動では、1ミリシーベルト順守と避難・疎開と併せて同氏の罷免を求める要請項目を加えましたが、4万筆以上の署名が集まりました。

このような市民運動は一切報道せず、山下俊一氏のようない人を「がん大賞」を授与するとは、御社の新聞社としての良識が疑われます。

わたし達は山下氏への「がん大賞」授与の撤回を求めるとともに、貴社紙面において謝罪を掲載することを求めます。

あわせて、このような批判があったことを、きちんと報道していただくことを求めます。

以上
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(上の文の強調は私です。)

確か、山下俊一氏を選んだ理由の一つとして、福島県での活動を評価、というのがあったはずです。

日本対がん協会(垣添忠生会長)は、今年度の朝日がん大賞と対がん協会賞の受賞者を1日付で発表した。大賞には長崎大学大学院教授で、7月に福島県立医科大学副学長に就任した山下俊一さん(59)が選ばれた。チェルノブイリ原発事故後の子どもの甲状腺がんの診断、治療や福島第一原発事故による福島県民の健康調査や被曝(ひばく)医療への取り組みが評価された。朝日新聞9月1日

ということは、朝日新聞、日本対がん学会共に、山下氏が福島県でこれからも推進する活動を大いに期待し、支援する、ということでしょう。

3 comments:

  1. 私はこれで朝日新聞購読をやめました。

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  2. いつも有益な情報提供、ありがとうございます。ご存知かもしれませんが、山下俊一氏が福島県のホームページで以下のように以前の自分の発言に関してこっそりと責任逃れをし始めているというのを、一ヶ月程前にブログで取り上げている方がいらっしゃいます。ブログにはキャプチャ画面もありますが、私が確認したところ、現在でも福島県のホームページには同じ訂正とお詫びが掲載されています。私はこんないい加減な事がまかり通る世の中に怒り心頭です。この心ない学者の言う事を聞いていたら、将来犠牲になってしまう日本在住の人の数がどんどん増えていく可能性は大きいと思われます。なんとかして、できるだけたくさんの人に「山下俊一氏がいかにいい加減で信用できない学者だ」ということを分かっていただきたく、コメントさせていただきました。

    http://hibi-zakkan.sblo.jp/article/47405776.html

    「100マイクロシーベルト/毎時を超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は「10マイクロシーベルト/毎時をこさなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。

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  3. 山下教授が福島市で講演したのが3月21日。
    福島市の放射線量の最大値は
    当日 3/21 8.06μSv/h
    前日 3/20 10.1μSv/h
    http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/houshasen/fukushima/0320.html
    この状況下で子供を外で遊ばせろは無責任すぎる。

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