Wednesday, November 21, 2012

(OT)日経平均と政権


野田首相が11月14日の国会党首討議に半ばやけっぱちのように見えて実はしっかり計算高い解散宣言、衆院選が師走の16日と決定してから、日経平均が気が違ったように連日上昇を続けています。1万の大台に乗るかどうか、といったアナリストの言も見かけますが、しかし

Everything in perspective.

選挙にあやかって、過去約10年の内閣の下で日本の株式市場がどのように推移していったのか、見てみることにしました。

2001年から2009年までは自民党政権、2009年9月に鳩山内閣が成立してからは民主党政権。日経平均のグラフを見る限り、自民党政権下で日経平均は大きく上下動してついに壊れ、民主党政権が何をしてももうあまり反応もしない、死に体のように見えます。あるいは、ようやく(20年かかって)下げ止まり、落ち着いてベースを作りだした、とも考えられる気もします。

自民党政権復活に期待する人たちは、小泉氏の下で起きた日経平均の倍増の再来を夢見ているのでしょう。再度の「安倍首相」が公共事業バブルを引き起こしてプリントごっこを日銀に強要し、株価が急騰することを夢見て。

(内閣の線引きはおおよそです。)


それにしても、不動産バブルの崩壊で引き起こされた市場の急落は、今更見てもすさまじいものですね。1989年の12月に最高値を付けてからその半値に落ちるまで、1年3ヶ月程。

私は個人的には野田さんが衆院解散、選挙を12月の忙しいさなかに、他の党がろくに準備も出来ないうちにやるだろうと思い、英語ブログにもそう書きましたが、その通りになりました。英語ブログでは、民主党が勝つんではないだろうかとも書きました。こっちはおそらく外れるでしょうが、市政を投げ出してあわてて全国体制に走り回る某市長の党、どこと連携していいのか右往左往する小党、カツカレー総裁の自民党、どれもこれも...。

野田さんに関しては、こんな記事もあります。「憲政史上最高の解散宣言 野田首相に見た本物の政治家の覚悟」(JBPress)

日本の「右傾」を嫌い恐れるツイッターを数多く拝見しますが、オバマ政権下で極度の「左傾」に邁進するアメリカに暮らしていると、右、左、どちらも国家権力の増強、国家とつるんだ企業、企業家の優遇、個人の権利と福利を押しつぶす、という点で見事に一致しています。同じ穴の狢で、出てくる穴が右と左に違っているだけ、ぐらいのものでしょうか。

Thursday, September 20, 2012

尖閣諸島騒動:中国政府関係者、中国が保有する日本国債を使って日本に圧力をかける可能性を示唆


東シナ海のちっぽけな不動産、尖閣諸島を巡る日中の対立がじわりじわりと悪化する中、英テレグラフ紙のアンブローズ・エバンズ=プリチャード氏によると、中国は2千3百億ドル相当(日本円で約18兆2千億円)保有する日本国債を使って、日本に経済的な圧力をかけるべき、と、中国政府関係者が公に提言したそうです。

この記事を引用した米国の金融情報サイト、ゼロヘッジの記事も読み合わせると、この「圧力」はつまり、日本国債をオープン市場で投げ売りして国債価格を下落(=利回り上昇、将来の金利もおそらく上昇)させ、投資家の更なる売りを誘発し、日本の国家財政、企業、大手金融機関の資産価値の悪化、バランスシートの悪化を引き起こし、日本政府に尖閣諸島についての譲歩を迫る、というシナリオかと思われます。

エバンズ=プリチャード氏の記事によると、そうすることによって中国自体が蒙る被害は容認できる範囲で、日本への輸出がなくなっても痛くも痒くもない、逆に日本は、中国市場へのアクセスがないと経済が立ち行かない、と、この政府関係者は考えているとのこと。

さて、寄付金まで募って尖閣諸島の購入に走った東京都の石原知事、国有化に走った野田首相、それと、日銀の白川総裁、覚悟はできてるんでしょうね?

まずは、2012年9月18日英テレグラフ紙のアンブローズ・エバンズ=プリチャードによる記事から、部分 (リンクは元の英語記事へ行きます):

中国、国債を使った日本への攻撃を示唆

中国政府の上級アドバイザーが日本の債券市場への攻撃を要求、日本政府の資金繰りの危機を引き起こして日本を屈服させ、日本政府の東シナ海尖閣/釣魚諸島の国有化の決定を翻させるのが狙い。

中国の商務部国際貿易研究院のJin Baisong氏は、中国は日本国債2千3百億ドルを保有する日本の最大の債権者である立場を十分に利用して、「最も有効な方法で日本に制裁措置を加え」、日本の膿み病んでいる財務危機を露にすべきだ、と述べた。

共産党機関紙である中国日報に掲載の記事で、Jin氏は、中国が世界貿易機関下の「国家安全例外条項」を発動して日本を罰するよう要求し、極東の2大国間の貿易戦争は双方にとって不利益である、という議論を退けた。

それとは別に、香港のエコノミック・ジャーナル誌の記事によると、中国政府はハイテク産業に必要なレア・アースメタルの日本への供給を停止する計画を練っている。

これらの警告は反日デモが中国全土85都市に広がり、日本企業が工場の操業を停止することを余儀なくされている最中に発せられた。

Jin氏は、中国は日本への「低付加価値」の輸出を犠牲にしてもさほどのダメージはないが、それと対照的に日本は自国経済を支え、「再興不可能な」衰退を食い止めるために中国市場に頼っている、と述べた。

「中国が、自分自身はあまり影響を蒙ることなく日本経済に重大な打撃を与えることが出来るのは明らかだ」、とJin氏は述べた。氏の発言が政治局の全面的な支持の元でなされたものなのか、また、保有する日本国債を売ることでダメージが出るものなのかどうかははっきりしない。日銀はこのような中国の動きに対して、国債を購入することで対処できるだろう。円安になることなら何でも歓迎だろうから。

(英語記事の全文はリンク先でどうぞ)


エバンズ=プリチャード氏はケインズ派の経済理論(政府主導の経済)を奉じていたかと思うとまた反対、を繰り返していますが(今は奉じている真っ最中)、中国が国債を投売りしても日銀が喜んで買う、と考えているようです。しかし、ケインズ派の絵に描いた餅をあざ笑う米国金融ブログ、ゼロヘッジは、異なった見方をしています。(以下、意訳。リンクは元の英語ポストへ。)

もしこの驚くべき提言が実行されると、巨額の債権を報復の武器に使った世界歴史上初の事例になるだけでなく、近代戦の進化過程における明確な相転移を示すものとなるだろう。つまり、あからさまな軍事対決から為替戦争、貿易戦争、そして遂に、利息の払えない、返済できない借金でも永久に繰り延べできる、という神話で成り立っている日本のあやうい財政を、それこそ数分のうちに完膚なきまでに破壊する「国債戦争」へ。

これ以上説明するまでもないが、中国が日本国債の投売りを始めるとすれば、長いこと予期されてきた日本の債券市場の崩壊につながるかもしれない。債権者が次々と市場に売りに出し、最良のケースで日銀が最後且つ唯一の買い手、最悪のケースでは、債権者は買い手のつかない市場に国債を売りに出すはめになる。

これは直ちに急激なインフレにつながる。日銀は何としてでも債券を購入して貨幣化せざるを得ず、最初は数千億ドル、そのうち二次市場を数兆ドルの規模で買い支える必要に迫られる。その結果、まったくの真空から作り出されたリザーブ(貨幣)は数兆ドル分に上るだろうが、日本のデフレがこれを止められるとは思えない。このリザーブが経済に流れ出し、最も危険な敵に経済戦争を仕掛けられて日本経済が今にも破壊されるのだ、と日本国民が気づいたらもうおしまいだ。

更に事態を複雑にしているのは、日本には報復のための有効な手段がないことだ。日本は中国の国債を保有していない。せいぜい日本に出来ることは、日本が貿易の相手として役に立たなくなったら中国経済にもダメージが出る、と脅すくらいだろう。


ゼロヘッジの結論は、

確実に言えることは、2週間前に尖閣諸島を「購入」した時、日本は喧嘩を売るのに悪い国を選んでしまった、ということだ。もし日本が、中国は内々で了解してくれる、と思っていたとしたら、大きな間違いだった、としか言いようがない。

日本のオプションは2つ。この2週間で起こったことをすべてないことにして、外交上の大恥をかいて尖閣諸島を元の状態に戻すか、このまま押し通してその結果を甘受するか。ただし、下のグラフのクエスチョンマークの付いている国(日本)にとっての結果は、悲劇的なまでに厳しいものとなるかもしれない。日本だけでなく、一蓮托生で同様に破産している「先進国」すべてにとって。


実際、日経などの記事を読むと、日本政府は「中国は内々で了解してくれるだろう」と正に思っていたようで、なんとも素人集団としか言いようがありません。

ゼロヘッジの言うグラフは、借金の総額と歳入の割合を国別に表示したものです。日本はダントツで一番左。


日銀、政府、国民待望のインフレが遂に起こるかどうか。起こるとしたら、3、4パーセントのかわいいインフレなどではなく、喫茶店で注文したコーヒーが来るまでに値段が倍になった、というような超インフレでしょうか。

英語ブログに同じ記事を出しましたが、英語読者の反応は

「やれるもんならやってみろ」
「日本と日本経済は違う。日本経済は滅んでも日本は滅びない」
「もう中国にはうんざりだ」

それぞれ、いろいろな不満が、特にリーマン危機の2008年以降、世界中に静かに積もり積もっているような気がします。思いがけない「事故」を起こさないよう、極力注意を払うのが責任ある政府というものでしょうが、そんな政府は「先進国」にはもう残っていないような、悪い気がします。

Friday, August 24, 2012

小さく散った金曜日デモ: 8月24日米大使館前抗議活動と東電前抗議活動


東京の官邸および官邸周辺で大掛かりに行われるようになったいわゆる「官邸デモ」が、警察の過剰警備(と言われている)、”シングル・イシュー”(Single issue)のマンネリ化、一部の主催者への反感などからどうやら下火になりつつある模様が窺えますが、岩上安身さんの毎週のIWJ中継を拝見する限り、個々の小さな抗議行動は全国に散ってスタートした感があります。

その一つ、おそらく最小の抗議人数ではないかと思われるのはこれ、東京の米国大使館前での抗議。以前に青森の弘前市内だったと思いますが、原発反対の街頭抗議が5,6人、というIWJ中継を見た覚えがありますが、8月24日の大使館前は3人。それが、抗議を続けるうちに6人に増加。人数で考えるとまったく大したことはないのでしょうが、パーセントで考えれば、100%の増加。

IWJ中継からのスクリーンショット:


抗議行動が小さく散ったことを後退と見る向きもあります。しかし、”シングル・イシュー”と銘打ってイベント化されたものに参加するのと、少数ながらもそこでいわば「体を張って」主張するのと、どちらが一人一人にとって「本物」か、と考えると、私個人は後者だと思います。その小さな抗議行動が政治を変えるか、システムを変えるか、という次元ではおそらく答はノーですが、個人の意識の変化、ということでは大きなイエスだ、と思うからです。

つまり、わずか数人であろうとも、数百、数千であろうとも、自分はこう思う、ということを公にしてもかまわない、誰が賛同しようとしまいと、自分はこう思うのだ、と表明することが、「変なこと」、「変な人のやること」ではなくなっている、ということです。

海外から見ると「だからどうした」のレベルなんだとは思いますが、日本のこれまで、福島原発事故以前の日本から考えると、まったく大した進歩だと思います。

こちらは東電前の抗議活動。やはり8月24日。双葉町の埼玉県避難所(廃校になった高校)で今も暮らす避難者の方々のビデオを街頭で流したそうです。こちらも少数。10数人、といったところでしょうか。「原発作業員を使い捨てにするな」という抗議プラカードも。ここのフォーカスは福島原発事故。主催者のサイトはこちら→http://toudenmaeaction.blogspot.jp/2012/08/824.html


このような小規模抗議がいつまで続けられるのかは分かりませんが、何より人々の意識が変わってきている、しかも、ネットのおかげでどんな小さな活動でもその倍、十倍、時には百倍する人々がその活動を見、主張を聞くことが出来るようになっている、という事実は大きいと思います。

Sunday, August 5, 2012

OT: 広島原爆投下67周年に、私の選んだ音楽


"Lux Aurumque (Light and Gold)" by Eric Whitacre


(私はこの曲を含む彼の作品群のプレミアで、合唱団で歌いました。この人はものすごく才能のある指揮者でもあります。)

Saturday, August 4, 2012

今年の福島のモモの安全確認はどのように行われているのか?


事故からもうすぐ17ヶ月。ここ3ヶ月ほど、特にこの1ヶ月は、関西電力の大飯原発の再稼動反対、再稼動してしまってからも、再稼動反対の「シングル・イシュー」とかいうことで(英語で表記すると”Single issue”)、東京の首相官邸近辺、関電の本社で毎金曜日に行われているデモに焦点、関心が集まっているように見受けられます。ここ数日のツイッターを駆け巡る「はやり(流行)」はこれに加えて「カリフォルニアの漁業禁止」(デマです)、「ロンドン五輪開会式で日本選手団が退場させられた」という「ニュース」。

そんな中でも、フォローさせていただいている方々から流れてくるツイートを見るたび、「シングル・イシュー」デモよりも、遠いカリフォルニアのマグロよりも、こっちに関心を持ち続けることの方が肝心なのではないか、と思うことの多いトピックが二つあります。一つは下火になったとはいえ、広域がれき処理、もう一つは、食品の放射能汚染。このポストでは、後者について今日目に留まったニュースをご紹介したいと思います。

なぜ目に留まったかといえば、ちょうど去年の8月、モモのシーズンに、福島県の中学生が修学旅行先の横浜で、モモを配って風評被害に抗議していたニュースを思い出したからです。

遠く(カリフォルニア)のマグロより近く(福島)のモモ、と言ってはなんですが、英語で言えば”First things first”、何はさておき日本の食品が第一、ということで、まずは2012年8月4日のNHKニュースから:

福島の桃 安全を確認して出荷

福島特産の桃の出荷が3日から本格的に始まり、ことしはすべての農家を対象に放射性物質の検査を行い、安全を確認したうえで出荷しています。

桃の生産量が全国の市町村で2番目に多い福島市にある選果場には、収穫されたばかりの桃が次々と運び込まれています。

担当者は桃を1つずつ手に取って、傷がないか確認したあと、専用の機械で糖度や熟し具合などを測って、丁寧に箱詰めしていきました。福島市の農協によりますと、主力品種の「あかつき」は、春先の天候不順で小ぶりになったものの味は濃く、甘みが強いということです。

また、ことしは放射性物質の測定器を46台用意して、すべての農家を対象に、桃を測定器にかけて放射性物質の有無を検査しています。

2日までに2000を超える検体を調べた結果、いずれも安全性に問題がないことが確認されたということです。

JA新ふくしまの斎藤隆営農部長は、「すべての農家のすべての品目を検査して、安全性が確認された桃だけが出荷されているので、安心して召し上がってください」と話していました。


すべての農家対象とは言っても全量検査であるはずもなく、検体が2000ということはサンプル調査なのでしょう。NHKニュースには「安全性に問題がない」とありますが、それは単に「セシウムがキロ100ベクレルを超えていない」という以外の意味はなく、実際にどのような数字が出ていたのか、全く分かりません。

そこで、直接の情報を探して福島県のサイトを検索したら、出ていました。ここです: 「ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報」

サイトの情報によると、

検査期間 2012年06月20日~2012年08月02日
現在までの検体数  5,354点
NaIシンチレーションサーベイメータによる、協議会による簡易検査で、検査の結果放射性セシウムが50ベクレル/kgを上回った場合は、福島県がゲルマニウム半導体検出器による検査を実施

福島県全域、全期間の検査結果:
セシウムキロ当たり25ベクレル以下: 5297点(99%)
25ベクレル~50ベクレル: 57点(1パーセント)
50ベクレル以上: なし



個別の市を見てみると、伊達市と桑折町で、25~50ベクレルが検出された割合が1パーセントを超えています。伊達市は3パーセント(1532点中39点)、桑折町は2パーセント(730点中12点)です。

シンチの計測で50ベクレルを超える検体がなかったため、ゲルマニウム半導体検出器の検査は行われていないものと思われます。

シンチでの測定時間がどれくらいだったのかについて、「検査方法」のリンクをクリックしてPDFファイルを見てみましたが、一切情報はありません。結構ちいさな容器に詰めての検査のようです。


私は結構この測定時間が気になります。というのも、つくば市による測定で、NaIシンチを使った市の測定の時間が短かったために基準超えを検出しきれていなかった、という情報があったからです。(茨城市民放射能測定プロジェクト; 自家用大麦)

とまれ、この自主検査のお墨付きですべて「安全」、出荷OKになって、全国に出荷されています。「福島の生産者が心を込めて育てた桃です」とのアピールは、去年と同じですね。

心を込めれば放射能が消えるのならどれほど良いことでしょう。

ちなみに、キロ当たり25ベクレルというのは、去年南カリフォルニア沖で捕獲されたクロマグロのキロ当たりセシウム量(10ベクレル)の2倍以上です。

”First things first”。

Thursday, July 19, 2012

オリンピックに行く飛行機、日本女子サッカーチームはエコノミークラス、男子チームは悠々ビジネスクラス(同じ飛行機です)


おっと...。英語ブログに出すつもりが日本語ブログに出してしまいました...。まあついでといっては何ですが、出しておきます。日本サッカー協会の、ワールドカップ勝者の日本女子サッカーチームに対する「褒賞」は、ロンドン行きの飛行機をエコノミークラスからエコノミー「プレミアム」に格上げしてやったこと。きっと、それでも大変なことだったのでしょう。何しろ、今までの慣例で、男子はビジネスクラス、女子はエコノミーでずっとやってきた、とのことですから。(皮肉)

日本は雨が降ろうと風が吹こうと原発が爆発しようとワールドカップで女子が優勝しようと、慣習を決して変えない、頑固な国だ、と言うことですね。去年原発事故がおきてからも、特に幼稚園・保育園、小学校、中学校の慣習-ルーチンはほとんど全く変わることがありませんでした。春のタケノコ掘り、田植え、茶摘、林間学校、秋の紅葉狩り、芋ほり、スキー教室。一般の大人の方々も、放射能が降ろうがなんだろうが、統一地方選挙、春の花見、地産地消と食べて復興応援。

女子サッカーチームがワールドカップで優勝しようが、それで年来の慣習を変えるわけにはいかない、例年通り。

ウォールストリートジャーナルの記事によると、さすがに日本女子チームのキャプテンの沢さんは、「ちょっと逆じゃないの?」と言っています。

同じ飛行機の前部キャビンのビジネスクラスには日本男子チームが座っていた、とのこと。男子チームの面々は、どう思っていたんでしょうか。私だったら居心地が大変に悪いでしょうね。

女子チームが金メダルを獲得したら帰りの便をビジネスクラスにアップグレードすることを考えてもいい、と理事長のお言葉(英文記事の最後にその部分を追加しました)。失礼の上塗りですね。メダルの可能性がない男子は、帰りの便ももちろんビジネスクラスです。

From Wall Street Journal (7/19/2012; emphasis is mine):

Sexist Soccer? Japan’s World Cup Women Fly Economy; Men Relax in Business

A whole nation celebrated when the Japanese women’s soccer squad won the World Cup last year. But hopes that the surprise victory would change attitudes toward women playing the beautiful game in Japan appear to have been premature.

World champions they may be, but when it comes to the pecking order against their male counterparts, Japan’s female football players are relegated to backseat status — literally.

The Japanese women, considered strong contenders for Olympic gold in London, had to squeeze into economy seats on a 12-hour flight to Europe this week, while members of the less successful men’s soccer team, enjoyed the plush amenities of business class further up the cabin.

It should have been the other way around,” team captain Homare Sawa, the belle of Japanese soccer, told reporters after arriving in Paris. “Even just in terms of age, we are senior,” joked FIFA’s women’s soccer player of the year.

The Japan Football Association lies behind the class separation. While the Japan Olympic Committee gives all Olympic-bound athletes economy class tickets, it is up to the respective associations of each sport to upgrade athletes’ seats as necessary, a JOC spokesman said.

Economy seats to Europe cost as much as ¥160,000 a pop, or about $2,000, but that is considerably less than the ¥400,000 or so a business class seat on a Japan Airlines flight from Tokyo to Paris cost as of Thursday.

To be fair, the Japanese women did get a bump of sorts. They were upgraded to economy premium, which offers 20% extra leg room.

The JFA was not immediately available for comment. But the association has previously said the ticket class distinction has been this way for a long time. The men have been flying business since the 1996 Summer Games in Atlanta, a couple of years after the men’s league went professional, while the women have remained in coach.

...

The president of the JFA said on Wednesday that for him to consider upgrading the women to business class on the return flight, the women would have to win gold. The men, who are not tipped for a medal, will be there regardless.

(Full article at the link)


Thursday, July 12, 2012

【記録】政府は2011年3月11日の地震・津波・原発事故発生後、何時から福島原発付近の放射線量を計測していたのか?


答は去年の6月3日、経済産業省・原子力安全保安院の出した資料に出ています。

2011年3月12日午前8時9分、場所は大熊町大字熊字錦台。線量は毎時0.05マイクロシーベルト。測っていたのは、福島県。

福島第1原発1号機建屋で水素爆発が起きたのは、3月12日午後3時36分です

福島県は昨年事故以来、「国からも東電からも、放射性物質の拡散について情報はなかった」と主張し、SPEEDIの情報がメールで届いていたのを消去していたことを認めたのは今年になってからでした。何の情報もないのに地震・津波の翌日の朝から放射能測定を始めていた、というのでしょうか。

この保安院の資料によると、2011日3月12日に1号機の爆発以前に放射能を計っていたのは福島県と自衛隊です。以下、計測場所と時間と線量を一部書き出してみます。何も情報がない割には、原発の北西方向をきちんと測っているような気がするんですが、どうなんでしょうか。

福島県計測分:
午前8時9分、大熊町大字熊字錦台、毎時0.05マイクロシーベルト
午前8時15分、大熊町大字子入野字向畑、毎時0.06マイクロシーベルト
午前8時18分、双葉町大字新山字広町、毎時0.05マイクロシーベルト
午前8時25分、富岡町大字本岡字新夜ノ森、毎時0.18マイクロシーベルト
午前8時39分、浪江町大字高瀬字西原、毎時0.04マイクロシーベルト
午前8時39分、大熊町夫沢長者原、毎時0.3マイクロシーベルト

午前8時50分、浪江町大字高瀬字西原、毎時8マイクロシーベルト
午前8時52分、浪江町大字高瀬字西原、毎時14マイクロシーベルト
午前8時57分、双葉町新山、毎時4.5マイクロシーベルト

午前9時1分、浪江町大字酒井字堂場、毎時15マイクロシーベルト

午前9時19分、大熊町大字熊字熊町、毎時0.18マイクロシーベルト
午前11時44分、大熊町大字熊字熊町、毎時0.05マイクロシーベルト
午前11時57分、双葉体育館、毎時3.92マイクロシーベルト

自衛隊計測分:
午前11時50分、大熊町役場、毎時0.05マイクロシーベルト
午後12時、スポーツセンター、毎時0.03マイクロシーベルト
(略)
午後12時30分、ヘルスケア双葉、毎時0.3マイクロシーベルト
午後12時40分、ヘルスケア双葉、毎時1.65マイクロシーベルト

福島県は3月12日午前8時25分、富岡町で0.18マイクロシーベルトを計測した時点で、既に原子力発電所から放射能が漏出していたことが分かったはずです。富岡町なので福島第1なのか第2なのかは分からなかったとしても、通常の放射線量の4倍の線量が観測された時点で、事故だと分かったはずです。午前8時39分には大熊町夫沢で0.3マイクロシーベルトと通常の10倍近い線量を観測し、8時50分には浪江町高瀬で毎時8マイクロ、通常の200倍の放射線量を観測、更に2分後には同じ場所で毎時14マイクロ。

この計測をしておいて、福島県はこのデータをどうしたのでしょうか。原発立地自治体はともかく、一番の高線量が観測された浪江町に対して、何らかの通知を行おうとは思わなかったのでしょうか。通知をするのは国の責任だ、とでも思っていたのでしょうか。

自衛隊が午後12時40分に高線量を計測していたヘルスケア双葉というのは、双葉厚生病院に付随した老人介護施設のように見受けられますが、自衛隊が計測していた時点では、双葉厚生病院から避難は完了しておらず、患者さん、お医者さん、看護婦さんがまだいらしたはずです。


更に、福島県が計測を始めたのが12日午前8時9分、とこの保安院の資料ではなっていますが、双葉厚生病院の院長先生のインタビューによると(詳しくは院長の独り言ブログをどうぞ)、12日の午前6時半には防護服に身を包んだ警察官が「病院に入ってきて、「逃げろ」と」言われた、とのことです。この警察官は、福島県警だろうと思われますが、そうなると福島県は更に早くから、放射能拡散の情報を持っていたことになります。

保安院の資料は3月13日から15日までのモニタリング計測の結果も、計測していた組織別に記載しています。それを見ると、13日には日本原子力開発機構が走行サーベイで浪江、南相馬まで線量を測定しており、数箇所でサーベイメーターが振り切れたと思われる値を記録しています(「30マイクロシーベルト」以上の表示)。13日にも福島県は線量を測定しており、やはり数箇所でサーベイメーターが振り切れています。15日には理化学研究所の走行サーベイが行われ、常磐道沿いの地点を広く計測しています。

この情報を公表しなかった県も、国も、政府機関もひどいものだとは思いますが、おそらく彼らは大層恐ろしかったのではないかと思います。通常の4倍、10倍、100倍、200倍といった放射線量を各地で計測し、しかもサーベイメーターが振り切れるような場所まで出てくる。歯の根が合わない恐ろしさだったような気がします。だから隠したか。ふくいちマスコットのダチョウのように、砂に頭をつっこんだのでしょう。

資料には、地図も出ています。手書きで測定場所を書き込んであります。それを見ると、3月12日の第一回目のモニタリングの時点で、既に北西の方向をきちんと測定しています。

1回目モニタリング地図(8時9分~9時19分)


2回目モニタリング地図(11時28分~12時41分)


ここで私が大いに疑問であり不満なのは、米国エネルギー省から無人航空機を使った放射線の実測資料を3月20日までに受け取っていてそれを公開しなかった、と言ってマスコミが政府を「攻撃」(するふり)をし、政府がこれに対して「謝罪」する、というお芝居です。保安院の資料を見る限り、米国の資料がなくとも日本政府は12日の朝から実際に地上で放射能を計測して、詳細な情報ではなかったにせよ、原発の北西方向が高線量になっていく様を把握していたのです。

この保安院の資料が公表されたのは去年の6月3日。同時に保安院は、3月12日の朝から午後にかけて大熊町、浪江町、南相馬市でテルル132を検出していたことを公表しました。私は英語ブログにそのニュースを出したのですが、日本でほとんど何の反響もないのに驚いた記憶があります。

もう事故はおきてしまったんだから、後になってこのようなことが分かろうが関係ない、と思われる方々もいらっしゃるかもしれませんが、事実をしっかり把握することは常に解決の第1歩だと思います。

Tuesday, July 3, 2012

英ガーディアン紙掲載の、日本のメディアによる6月29日~7月1日反大飯原発再稼動デモの写真


ツイッターで@quinoppieさんがガーディアン紙のデモ写真ページをリンクし、「なぜ海外メディアの写真はこんなに面白いのか。なぜ日本のメディアにのる写真は、そろいもそろってあんなに平板なのか」とツイートなさっていました。

そうだよなあ、と思い、リンクを辿ってガーディアンのサイトに行って写真を見はじめ、画面右下に出ている写真のクレジットを見たら、海外の通信社などに混じって朝日新聞、時事通信などの写真が入っていました。日本の新聞(紙、オンラインとも)には出ていたような覚えはありません。さもありなん、という写真ばかりだったような気がします。沢山の人が群れているところを写す、あるいは「警官の暴力」にカメラマンが群がる。

ところが、ガーディアン紙に出ている朝日、時事の写真は、個人を結構よく映し出しています。

なぜこれが日本の朝日、時事に載らないのでしょうか。

7月2日付けガーディアン紙オンラインより(クリックで大きくなります):

朝日:



時事:


私がガーディアンに出ている12枚のうちで気に入った(というか恐れをなした)のはこれ。AP通信の写真です。大飯原発の位置、再稼動デモの位置にご注目。万が一が起きたら、福島の時のように世界最大級のコンクリートクレーン(ドイツのPutzmeister)を陸路輸送する、なんてことは、そのトンネルがある限りちょっと無理でしょう。海路でしょうが、桟橋など、万が一の後無事だといいですね...。


Wednesday, June 27, 2012

またも伝言ゲーム?:「4号機タービン建屋南側の土壌改良作業写真」→「4号機原子炉建屋南西側の土壌はこれ以上建物の重量を支えられない証拠」


東電6月26日発表「写真でお示しする福島第一原子力発電所の現状」の中に、4号機南側の土壌改良作業の写真が2枚出ています。これが、「4号機建屋の土壌があまりにやわらかく建物の重量に耐えられないのだ」ということになって、英語サイトに載って広まっているようです。それが日本語で紹介され、4号機原子炉建屋が傾いている証拠だ、という印象になっています。

ああまたか。伝言ゲーム。

今回の伝言ゲームも過去のものと同じく、元ネタは日本(東電資料)、これを見て適当に判断して適当に訳した英語が出、それが広まり、その英語が日本に逆輸入されて日本語で紹介される、というパターンを踏襲しています。放っておこうとも思いましたが、特に4号機に関しては(証拠のあるなしにほとんどかかわらず)全世界で「懸念」がいろいろな形で表明されて広まっており、これ以上不必要な煽りはいらない、と思いなおしてポストを出すことにしました。

まず東電の6月26日の資料、「写真でお示しする福島第一原子力発電所の現状」から、⑥と番号の振られた土壌改良作業の写真(資料8ページ目):



これが英語サイトにでて、しかもそこには説明がついており、

『4号機建屋の南西側で土壌改良を行っている。これは使用済み燃料を取り出すための原子炉建屋のカバーの建設のためだと思われるが、地面がカバー構造物の重さにこれ以上耐えられないことを示している。』

ということになっています。

しかし、この写真をよく見ると、おなじみの4号機建屋の水色の壁はまったく見えません。南面、西面を問わず、これが原子炉建屋付近で撮影したものなら、建屋の壁がどこかに写っているはずです。実際、資料には4号機原子炉建屋の写真も入っていますが、土壌改良作業の写真とはどうみても同じ場所ではありません。下の写真は4号機原子炉建屋を南西側から撮影したものです。


そこで、資料をめくって見ると、2ページ目に撮影箇所が番号を振って明示されています。4号機周辺の写真撮影箇所は④、⑤、⑥.このうち④と⑤は原子炉建屋の南西コーナーと西側ですが、土壌改良の写真を撮影した箇所は⑥で、そこが原子炉建屋ではないことが分かります。


⑥は、4号機タービン建屋の南側です

この資料ならびに4号機以外の作業場を含む大判の写真は東電サイトでご覧になれます。

4号機原子炉建屋を覆うことになる鉄筋構造物は燃料取り出し用のクレーンの取り付けに耐えうる強度が必要となるため、1号機のように合成布のカバーをかけるだけの構造物とはわけが違います。土壌改良を行う場所には現在何も建造物が建っていません。そのようなところに原子炉建屋と同じ高さの鉄筋構造物(高さ地上53メートル)を建設するのに、地面の上にさっと建てられるわけもありません。基礎工事は原子炉建屋と同様とまでは行かなくても、入念に行うのが当たり前でしょう。

更に、4号機原子炉建屋前の地面についてですが、原子炉建屋は地下2階まであるのをお忘れなく。地面と同じレベルは建屋地上1階部分。この下に、2階分の鉄筋建造物が埋まっており、その下に更に基礎のコンクリートが8メートル近くあります。

そんな瑣末なことはどうでもいい、というコメントはよく英語ブログに寄せられます。どっちにしたって4号機は傾いている、東電は嘘をつくので信用できない、というのがほとんどワンパターンのコメントです。

私は、瑣末なことを適当に放棄、無視してきた結果が、日本の沿岸にぐるりと原子炉が54基も建設されてしまったことであり、いつの間にか国の借金が国内総生産の230パーセントという、返済ほとんど不能の金額に膨れ上がっていたことでもあると思っています。

東電はどこで作業を行っているのか、どのような構造物を作っていてどのようなスペックなのか、瑣末な、具体的な情報を積み重ねて把握することで、4号機が倒れたら世界が終焉する、というような漠然とした不安を解消できる方もいらっしゃるかと思います。漠然とした不安が具体的な危惧に変わるだけかもしれませんが、何がなんだか分からない不安に煽られるよりはましだと個人的には思います。

東電やもうすぐ東電を実質的に握る予定の政府が、福島第1原発の収束作業で何をどうやって行っているのか、ただでさえ情報は少ないのです。現段階では、福島第1原発の情報を出すのは残念ながら東電だけに限られています。「東電は嘘をつく」、という理由だけでその情報を誤解、曲解して結果的に誤報を流しても、得られるものがあるとは思えません。

Saturday, June 16, 2012

【記録】大飯原発再稼動:6月15日の官邸前1万1千人のデモは完全無視して、6月16日午前の小規模デモを懸命に報道する日本のマスコミ


報道記者としての「良心」などという古臭いものはとっくに消失しているのでしょう。

「官邸デモ みんなで無視すれば 恐くない」 字余り 記者クラブ

以下、記録。

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TBS

首相官邸前では関係閣僚会合の時間に合わせ、およそ400人が大飯原発の再稼働に反対するデモを行いました。

参加者らは「多少不便でも国民は危険な原発稼働より節電を選ぶ」と話し、安全性に疑問が残る再稼働は性急だと抗議しました。(16日11:14)

NHK

6月16日 11時37分

運転再開に反対 官邸前で抗議

福井県の西川知事と野田総理大臣や関係閣僚の会談が行われた総理大臣官邸前には、大飯原発の運転再開に反対する人たちがおよそ400人集まり、抗議活動を行いました。

官邸前には、会談が始まる前の午前9時ごろから「大飯原発の運転再開に反対」などと書かれたプラカードを持った人たちが主催者の発表でおよそ400人が集まりました。
参加した人たちは、「福島第一原発の事故の検証も終わっていないなかでの運転再開は断固許せない」とか「原発の安全性は確保されていない」などとシュプレヒコールをあげ、福井県の西川知事に運転再開に同意しないよう訴えていました。

日経新聞

首相官邸前で300人が大飯再稼働反対デモ

2012/6/16 12:01

大飯原発の再稼働に反対する市民団体らによるデモが16日午前、首相官邸前で開かれた。集まった約300人の参加者が再稼働を決めた政府、地元自治体に抗議した。

小雨が降る中、「大飯原発再稼働反対」「原発NO!再稼働NO!」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げた参加者は「首相は原発再開をやめろ」と官邸に向かって訴えた。

午前10時すぎには、デモを呼びかけた市民団体「再稼働反対! 全国アクション」のメンバーが、野田佳彦首相に対し再稼働反対を求める要望書を内閣府の職員に手渡した。

山梨県から来たという自営業の男性(47)は「事故があったにもかかわらず、また『原子力ムラ』の論理で再稼働が進められようとしている。許せない」と憤りをあらわにしていた。

毎日新聞

大飯原発:官邸前で再稼働反対の抗議集会

毎日新聞 2012年06月16日 12時01分(最終更新 06月16日 12時15分)

東京・永田町の首相官邸前では16日、市民団体「再稼働反対!全国アクション」が抗議集会を行った。メンバーは、大飯原発再稼働の撤回を求める野田佳彦首相宛ての要請書を政府に提出した。

雨が降りしきる中、午前9時ごろから再稼働に反対する市民約500人が集結。官邸に向かってのぼりや横断幕を掲げながら「再稼働は許されないぞ」「子供たちの命を守れ」などとシュプレヒコールを上げた。

マイクを握ったメンバーは「大飯原発は地震や津波の対策は何もできておらず、なぜ野田首相は安全だと言えるのか」などと批判。福島から駆けつけた被災者も「福島原発事故は収束しておらず、廃炉の見通しも立たない中、被ばく労働者が命を張って日本を守っている。国民を死地に追いやらないでほしい」と声をからした。【袴田貴行】

時事通信

官邸前で怒りのデモ=再稼働反対

東京・永田町の首相官邸前では、大飯原発の再稼働に反対する多数の市民がデモを行った。参加者らは「危険な原発もう動かすな」などと書かれた横断幕やプラカードを掲げながら、怒りの声を上げた=16日午前 【時事通信社】

(追加)朝日新聞

大飯原発再稼働にノー 市民グループ、官邸前で抗議

関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に反対する市民グループが16日午前、首相官邸前で抗議集会を開いた。

野田佳彦首相と、西川一誠・福井県知事の会談に合わせて開き、主催者側発表で約400人が参加。再稼働の中止を訴えるプラカードや横断幕を手に「安全性が十分でないのに再稼働させるのはおかしい」「電力不足を脅しに使っている」などと声を上げた。野田首相に再稼働しないよう求める要請書を内閣府の職員に手渡した後、周辺を練り歩いた。

(追加:海外ゲスト)ニューヨークタイムズ(該当部分)

On Saturday, thousands of protesters turned out in the rain in Tokyo and elsewhere with placards criticizing the prime minister’s assertion that the Ohi plant was safe.

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6月15日の1万人を超すデモを一面で報道したのは日本共産党紙の「赤旗」。海外のメディアでも15日のデモの報道はほとんど存在しませんが、ロイター通信が「日本政府、再稼動容認」を報じる記事の中で、1万人が官邸前で再稼動を抗議した、と明記しています。

Sunday, June 10, 2012

米国高校生1000人を被災地にボランティアとして招聘する国際交流基金(外務省管轄)の「キズナ(絆)強化プロジェクト」の目的: 「日本再生に関する外国の理解増進及び風評被害に対して効果的な情報発信」


英語ブログに来た読者情報は、アメリカ全国から高校生1000人が、福島県、宮城県、岩手県、茨城県に2週間滞在し、地元と交流を深め日本の復興の様子を体験する、という驚きのニュース。第1陣(3陣まであるのでおそらく300人程度か?)は6月10日の日曜日に既に現地入りしているはずです。

そこで、共同ニュースが4月に出していた広告記事のリンクを辿って国際交流基金の該当ページに行って見たところ、交流を深める方法がもう少し詳しく書いてありました。それはなんと、

清掃、植樹などのボランティア活動

選りに選って清掃と植樹??

福島、宮城、岩手、茨城といえば、地震・津波の被害も一番多く受けましたが、福島第1原発事故の影響も一番多く受けた県です。そこへ外国の高校生を6月7月だけで1000人も滞在させ、清掃、植樹のボランティアをやらせ、帰国した際には明るく楽しい日本の復興を発信して風評被害を打ち消してもらおう、という目論み。

万が一の責任は、誰が取るんでしょう。学校の先生は、親は、何を考えているんでしょう。

去年3月11日の地震・津波・原発事故の当日から病気の時以外は毎日欠かさず英語でブログを書き続けて情報を発信してきた結果がこれです。なんのインパクトもなし。まあ私一人で何が出来るわけではありませんが、やっぱり空しいですね。

以下、ページのコピーを後世の記録としておきます。(強調(太字+黄色マーカー)は私です。)

アメリカの高校生1000名が6・7月に東北被災地でボランティア活動
日本の被災地高校生・大学生ら1200名も米国へ
~「キズナ強化プロジェクト」米国部分実施~

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、東日本大震災復興支援事業の一環として行われる青少年交流事業「キズナ強化プロジェクト」に関し、日米の青少年交流事業を実施します。

今年6月・7月にかけて、合計1000名のアメリカ人高校生が全米各地から、2週間の日程で被災した4県(宮城県・岩手県・福島県・茨城県)を訪問し、ボ ランティア活動(清掃、植樹等)や市民との交流活動を通じて、復興の様子を体験する他、被災地の日本人高校生も1000名が渡米し、全米各地でホームステ イや交流活動に参加しながら、自身の出身地の復興状況について発信します。

また、被災地等の日本人大学生等200名が米国に6ヶ月間滞在し、英語研修と企業・団体でのインターンシップに参加し、復興状況を発信するとともに国際的な視野を育みます。

これらの日米青少年交流を通じ、日本再生に関する米国市民の理解増進や対外発信強化に貢献するとともに、被災地復興を担う次世代の人材、日米交流の担い手育成を図る事業です。

1. 日本高校生1000名の米国短期派遣(15日間)
全米各地の高校での交流やホームステイを通じて、被災地復興の現状等について発信し、
米国での理解を増進します。
★参加学校募集のご案内はこちらから

2. 日本大学生等200名の米国長期派遣(6ヵ月間)
英語研修と米国の企業・団体等のインターンシップを通じて、被災地復興の現状等について発信し、
被災地復興を担う国際的な視野を持った次世代の人材、日米交流の担い手を育成します。
<9月派遣開始予定>
★参加者募集のご案内はこちらから

3. 米国高校生1000名の短期招へい(14日間)
被災4県(宮城県・岩手県・福島県・茨城県)で復興状況を視察し、ボランティア活動等を行う他、
各地で交流活動を行います。
2012年6月10日(日)~6月23日(土)、7月1日(日)~7月14日(土)、7月8日(日)~21日(土) の3日程で
訪日予定。

【「キズナ強化プロジェクト」について】
東日本大震災の被災地復興支援事業として行われる、アジア・大洋州地域と北米地域との 青少年交流事業。「世界に開かれた復興」の促進を目的に、
約1年間の間に同地域の高校生・大学生を約1万人
(短期9,750名、長期250名)を日本に招き
、被災地の青少年1,300名(高校生・短期1,100名、大学生・大学院生・長期200名)を北米に派遣する事業です。
青少年交流を通じ、日本再生に関する外国の理解増進及び風評被害に対して効果的な情報発信を行い、東日本大震災の被災地復興に資するため、日本政府(外務省)により進められています。
この「キズナ強化プロジェクト」のうち、米国との青少年交流事業については、外務省からの拠出先である日米教育委員会(フルブライト・ジャパン)から受託し、国際交流基金日米センターが実施します。
【問い合わせ】
国際交流基金 日米センター(CGP)
担当:吉田、廣瀬
E-mail
TEL:03-5369-6072 FAX:03-5369-6042

今後1年で1万人。北米だけでなく、アジア太平洋地域、アセアン諸国からも招聘する予定のようです。

Saturday, June 9, 2012

福井新聞: 電力事業者による原発立地自治体への億単位の「匿名」巨額寄付、寄付金予算は料金原価に算入


日本国内最大の原発立地県である福井県の新聞、福井新聞のオンライン版には、県内の原発関連のニュースをまとめたコーナーがあります。そのなかに、「原発マネー40年」、という何とも生々しいタイトルがあったのでクリックしてみたところ、2010年のこんな記事がありました。

相次ぐ巨額寄付 匿名、チェック届かず (2010年5月28日午後0時44分)

敦賀港近くに建つ赤レンガ倉庫は、港町の歴史を象徴する明治期の建造物だ。敦賀市の所有となったのは2003年5月。日本原電が土地と建物を約4億円で地元の保有者から買い取り、そっくりそのまま市に寄付した。
 寄付により貴重な文化遺産は市民の財産になった。しかし、今大地晴美市議は「電力事業者から有形無形の寄付を受けることで、原発の存在に対して市民は何も言えなくなる」と複雑な思いだ。
 寄付をした原電は、出力が世界最大級の敦賀原発3、4号機の増設計画を進めてきた。02年12月、県と敦賀市が安全審査入りを事前了解し、04年3月には増設を了承。同7月から準備工事に入った。こうした動きと重なり合うかのように、敦賀市のほか周辺市町村に巨額の寄付が相次いだ。
   ■  ■  ■
 03年から05年にかけ、旧河野村へ12億円、旧越前町は8億円、旧三方町3億円、旧今庄町1億5千万円…。いずれも原電の寄付とみられるが、ほぼすべてが匿名扱いだ。敦賀市は05年に原電から20億円の寄付を受けた事実は明らかにしたが、ほかにもある億単位の寄付は未公表だ。
 関西電力からも02年度に美浜町へ10億円、05年度に旧大飯町へ9億円など、たびたび巨額の寄付が明らかになっている。同社は「地域との共生の観点から必要に応じて適切な協力を行っている」と一般論として寄付を認める一方、「相手方との関係や業務への影響を考慮し公表はできない」とする。
 自治体も電力事業者も互いに「相手の意向」を理由に詳細を明かさない寄付行為。一般の目の届かない“ブラックボックス”状態にある。
 県のエネルギー研究開発拠点化計画の骨子案作りを担当した堀照夫福井大副学長は「原発は地元に迷惑や不安を与えているのだからそれなりの見返りはあるべきだが、不透明なやり方は好ましくない。なぜ明確にできないのか」と疑問を投げかける。
   ■  ■  ■
 電力事業者からの寄付は古くから、さまざまな形で行われてきた。美浜1号機の建設当時を知るベテラン町議は「地元との合意として、いろんな名目の協力費があった」と明かす。
 行政側が強く“要請”した場合も少なくない。JR小浜線の電化や、北陸線の敦賀までの直流化事業では、県がそれぞれ民間に負担を求め、ともに関電、原電、北陸電力の3社が合計数十億円の寄付に応じた。
 また、関電の若狭たかはまエルどらんど(高浜町)、日本原子力研究開発機構のアクアトム(敦賀市)などのPR館のように、地元が望む施設を事業者が造る例もある。工費はそれぞれ数十億円。集客に加え、地元には建設自体による経済メリットがある。
 寄付は電力事業者にとって重荷となるが、「電力料金に跳ね返り、ツケを回されるのは消費者」との指摘もある。例えば関電は、寄付金に充てる予算を営業費用の「諸費」として支出。「公益事業者として経営活動に必要な費用であり、料金原価に算入している」と説明する。
 電気料金には電源三法交付金の原資となる電源開発促進税が上乗せされている。県が課税する核燃料税も、電力料金に転嫁されうる。寄付を含めれば、消費者にとっては二重取り、三重取りだ。


日本原電、関西電力、寄付を受ける自治体関係者の間では誰がいくら何のために「寄付」を出したか分かっているのに、それははっきりと公表しない。おそらく市民も、誰が金を要求したのか、誰が払ったのか、分かっているけれど言わない、聞かない、知らないことにする。強いて褒めるとすれば、「奥ゆかしい」とでも言うんでしょうか。

福井新聞の記事によると、大規模な公共事業にまつわる「寄付」は原子力に限らず昔からそのように扱われてきたようですが、特に原子力は東京大学の斑目春樹教授が数年前にいみじくも言ったとおり、「結局お金でしょ?」の世界であるようです。はっきり公表してしまったら、「結局お金」のために原発を誘致したことがあからさまになってしまうのでしょう。

というよりも、原子力を国策とし、官民一体となって貧しい地方自治体にお金をちらつかせて原発を誘致させ、立地自治体は矜持(プライド)を保つためにも「首都圏、関西圏の人々や産業の発展のための電力を供給しているんだ」、と思いそうも発言し、福井新聞が記事にしたような「匿名寄付」や巨額の交付金については語らない。

札ビラ切って推し進めるしかないような「国策」が、結局人々をゆがめ続けてきた40年だったような気がします。

Thursday, June 7, 2012

(ジョーク)大飯原発に副大臣常駐という案を突き詰めて考えたらしい英語読者のコメント


英語ブログに、週刊朝日6月15日号の記事『福島第一原発の幹部 「副大臣常駐案」に「バカなんじゃないか」』をざっと英訳して載せたところ、読者から次のような『最悪シナリオ』コメントが付きました。

結構良く見ているので思わず苦笑。悪い知らせを数時間経ってから知らせる、などというところまで織り込まれています。まあ最後は全員死亡なので笑ってもいられないんですが、エンターテイメントとしてお届けします。コメントを読んだ別の読者からは、「現実に近いんじゃないか」という評価が。

英語ブログも福島原発事故について1年3ヶ月近く書き続けていますが、読者の方々も長い人はそれとほぼ同じ期間、読み続けていただいています。日本の読者の方の中にも、最初は英語でしか書いていなかったブログを最初から読んでいた、とおっしゃっていた方もいらっしゃいました。

それでは以下、匿名読者の英語コメントの自由勝手私訳(読者の了解は取っています)、すべて虚構、フィクションであること、実在の人物の名前の連想は単なる偶然であることをお断りしておきます:

目に見えるようだ...

原子炉爆発
副大臣が政府に電話する。

副大臣: 「あああああ!原発が爆発しているー!こりゃだめだ!」
政府: 「へえ?確かですか?」
副大臣: 「確かもへったくれもあるか!俺はその真ん前にいるんだ!」
政府: 「でも副大臣、あなたは原子力の専門家じゃないですよね?」
副大臣: 「ああああ!放射能が!もうだめだ!」
政府: 「副大臣、明らかにストレス症状です。落ち着いて、大きく息を吸って、一番大事なのは笑顔を絶やさないことです。」
副大臣、死亡。
政府、電話を切る。

政務官: 「大臣、大飯原発に常駐なさっている副大臣からの緊急電話がありました。3,4時間前ですが。」
細○大臣: 「そんなくだらんことで邪魔するな!がれき焼却が待っているんだ!」
藤○官房長官: 「ひょっとして、事態が本当に緊迫しているとしたら?」
仙○氏: 「だったらどうだってんだ?全国緊急避難発令か?冗談じゃない。」
枝○大臣: 「そんなことをしたら責任を取らなきゃなりませんよ。そんなことで大臣の席をふいにしてもいいんですか?」
藤○官房長官: 「枝○さんのおっしゃるとおりですね。こっちも生活がかかってますからね。女房が新しいネックレスを欲しがってるんですよ。いま大臣を首になったら女房に殺される。」
枝○大臣: 「だったら黙ってるんですね。話が漏れたらえらいことになる。」
仙○氏: 「我々の専門家を呼んで、念のために声明を出させろ。広汎のパニックはごめんだからな。」
政務官: 「申し上げます。デタラメ-元へ、マダ○メ先生を捕まえようとしたのですが、電話回線は話し中か、誰も出ません。」
細○大臣: 「とにかく掛け続けろ、この阿呆。大臣の席が懸かっているんだぞ!」

その間にも人々は死にはじめ、政府が何とかしてくれるのを待っている...

政務官: 「大臣、国民は原発の爆発を心配している、との情報がたった今入りました。」
細○大臣: 「また風評被害だよまったく!俺が声明を出す!誰かにこの責任を取ってもらうからな。」
枝○大臣: 「野○さんを辞任させましょう。いつもの謝罪で。そうすれば国民も納得して、我々もポストをキープできる。代わりを見つければいいだけの話ですよ。」
野○首相: 「そんなことさせんぞ!私は日本国首相だぞ!選挙で選ばれたんだぞ!」

野○首相、結局カメラの前で深くお辞儀をして辞任に追い込まれる。その見返りに大金をもらい、大企業に即天下り。
それからまもなく、細○大臣の声明が出る。

細○大臣: 「国民の皆さん、ご安心ください、大丈夫です。原子力が少しでも危険であるなら、使ったりしません。すべては安全基準値以下です(と言っても、基準値を緩め続けてますが)。云々。」

細○大臣、人々が避難しようと必死になっている様子に気づく。
細○大臣: 「皆さん、風評被害のために日本経済がひどいことになっています!東北の被災者のことを誰も考えないんですか?そんなに薄情なんですか!」
細○大臣、持ってきた手芸品を勢いよくカメラの前に出す。
細○大臣: 「皆さん、この手芸品が、避難するような卑怯者によって作られたと、思いますか?!」

突然、かんかんに怒った石○都知事がスタジオに乱入。

石○知事: 「避難だと?てめーら、日本人じゃねえ!日本を中国か韓国に売り渡そうってんだろ、ええ?!」
石○知事: 「これもアニメや漫画のせいだ。我々の誇り高い国を台無しにした!やり直しボタンなんぞ現実にはないんだぞおい!」
石○知事: 「東京でオリンピックやれば万事OKだ!お前らは天罰でも喰らえ!」
石○知事: 「... ... ...」

致死量の放射能が届き、全員死亡。終。


オリジナル英語コメントは英語のポストでお読みください。

Saturday, May 26, 2012

福島4号機の使用済み燃料プールはどこにあるのか


5月26日、東電は第3回目の報道陣ツアーを福島第1原発で行いました。その目的らしきもの、明言されたわけではありませんが、わざわざ細野大臣を呼んで、内閣記者4名と共に4号機のオペフロ(5階)まで上がらせた、ということは、世界のインターネットでこの数ヶ月盛んに拡散されている、「4号機建屋は傾いている」「使用済み燃料プールは傾いていて、ひびが入って水が漏れている」「燃料プールが倒壊すれば世界的な大惨事になる」、などの情報を否定することが一つにはあったように思います。

そのためでしょう、前日の5月25付けで、東電は「福島第一原子力発電所4号機原子炉建屋の健全性確認のための点検結果について」(PDF)というまとめを出しました。

英語ブログに資料を出しましたが、予想通り、反応は、「東電は嘘つきだから信用できない。」

そればかりか、英語圏のブログの一つには、東電の出した資料を曲解し、資料に改ざんを加えてそれが「東電が4号機が傾いていることを認め、燃料プールが危ないことを認めた証拠だ」、というようなことが書かれているのを発見しました(読者情報)。このブログが大手のサイトにリンクされ、拡散された模様。

そのブログが使ったのは、東電資料のこのページです:


まず、左側のポンチ絵。見れば分かるように、傾きがない場合には定点が垂直線上に乗り、傾いている場合には水平差がでる、という説明をするための絵です。これが、このブログにかかると、”Tepco Finds Reactor 4 Building Leaning”、「東電は4号機建屋が傾いているのを発見した」という但し書き付きで(赤色の楕円で囲った部分)、4号機が傾いている証拠として挙げられています。


更に、このブログに「東電の出した報道資料の4号機写真」という但し書きつきで出ているこの写真:


大きな赤い矢印で、使用済み燃料プールの位置を指摘しています。いかにも使用済み燃料プールは、海側から南面の壁にあいている穴の方向、壁のパネルが落ちている(落とされている)西側方向に、南面の壁に沿って存在しているかのような矢印の描き方です。

写真の詳細を見ると東電が今回出した資料の写真と同一ではなく(上下左右の端が東電資料より表示部分が大きい)、以前に4号機の写真として出ていたものに矢印を書き足した、という感じです。定点と線は以前の写真にもついていたのかどうか、調べ切れていませんが、垂直方向の傾きを測定するため以外にこのような点と線を描くとは思えず、また垂直方向を実際に測定したのが今回が初めてだったことを考えると、恐らくついていなかったのではないかと思います。

しかし、東電の資料を見れば分かるとおり、赤い矢印をつけたのはこのブログであって、東電ではありません。使用済み燃料プールはそんな位置にはないのです。

東電資料の16ページ目のこの図をご覧ください。


プールは、南面の穴の向かって右側なのです。

朝日新聞が出したヘリからの航空写真(5月26日撮影)。使用済み燃料プールは、白いカバーが四角く掛かっている場所です:


もっとも、使用済み燃料プールの位置を実際の位置ではない場所に置いたのはテレビ朝日も同じ。4号機は危ない、という今年の3月の初めの番組からのスクリーンショット:


前述のブログと同様に、使用済み燃料プールが南面の壁に沿って、建屋の幅に存在しているようなグラフィックスになっています。位置の確認をしたのかしなかったのかは存じませんが、この番組が全世界に広まって、大変だ、南面の外壁が落ちたら燃料プールの水が干上がるんだ!ということになりました。プールの壁が外壁ではないことは、東電の平面図からも明らかです。

『東電は嘘をつく』、だから嘘には嘘で対抗する、とでも言うのでしょうか。そのように対抗した結果真実が出てくるとはこのような事例を見る限り私にはとても思えませんが、福島原発事故以来世の中はどうも劇的に変化したようですので、結局、何でもありだ、ということなのでしょうか。

Friday, May 18, 2012

OT: 日経平均株価、2007年10月の半分、下落度はスペインの株式市場並み

米国株式市場のもっとも最近の最高値は2007年10月~11月でした。米国ナスダックでは、グーグルがあともう数ドルで750ドルになる直前まで行って、そのあと突然グーグルだけでなく、大手のテクノロジー各社の株価の変動がものすごく激しくなり、急降下を開始。翌2008年は続落で始まり、3月には米国のベアースターンズが倒産直前まで行ってJPモルガンチェースに売却され、4月、5月となんとか市場は持ち直したものの、ちょうど米国民主党の党大会でオバマ候補が正式に大統領候補に決定された頃からまたも続落が始まり、大騒ぎの夏を経てAIGの実質国営化、リーマン証券の破産の9月、10月以降の金融市場崩壊が全世界的に不況を引き起こし...。

とまあ、前置きが長くなりましたが、それから4年半、世界の主要株式市場はどう推移したのか、Stockcharts.comというサイトでグラフを作ってみました。と言うのも、ギリシアの債務危機、ユーロ危機をきっかけに、また2008年秋のような大暴落が起きるかもしれない、というアナリストがちらほらいるのです。


これを見ると、日経平均(ピンク)は、2007年10月のレベルの半分近く。スペインのIBEXと大差ない、さえないパフォーマンス。ダウ平均、S&P、ドイツのDAX、イギリスのFTSEは、2007年10月レベルから10パーセントから20パーセントのマイナス。唯一このレベルより高いのはナスダック。ネットフリックス(NFLX)、アップル(APPL)などの超ハイ・ベータ(市場の指数が1上がると1以上上がる株)の株が牽引となりました。

日経平均の近来の最高値は2007年の7月の18238、それから比べると、下落率は52パーセント。

ものすごいのはやはりギリシアの株式市場(紫)。2007年10月からの下落率は何と90パーセント。株式市場のみならず、ギリシャの債券市場も、額面1ユーロの債券が20セント以下で取引され、これ以上いくらなんでも下がらないだろう、という見込みで債券に買いを入れたヘッジファンドが更に2割だか3割損をした、というとんでもないことになっています。

日本はこの1年、福島原発事故に明け暮れました。こんな事故が起こると、世界の株式市場、債券市場、通貨市場などの金融市場など、生きていくうえで取るに足らない瑣末な事象のように思えます。ただ、これで世界の金融市場が再び大混乱に陥ると、日本円は再び高騰し、日本の「復興」の目論みは吹っ飛びかねないかも知れません。視界の隅に、金融市場の動きも見ておいてください。

Tuesday, May 15, 2012

キロ当たりベクレルから平方メートル当たりベクレルへの変換計算

ツイッターでフォローさせていただいている方から以前教えていただいたリンクですが、日本保健物理学会の「専門家が答える暮らしの放射線Q&A」というページがあります。その中のQ&Aの一つに、「Bq/kgからBq/m2への変換方法について」というのがあります。

チェルノブイリの区分と比較したいので、どのように変換がなされるのか、教えて欲しい、という質問に対して、計算の仕方を答で解説しています。

福島第1原発事故から14ヶ月以上経った今でも、「なんとなく聞いたことがあるけれど詳しく見たことがないので今ひとつ分からない」ことの一つがこの変換の計算ではないでしょうか。特に最近、放射性セシウムが濃縮したような場所から取った少量(時には10グラムにも満たない量)のサンプルを自動的に65倍、あるいは150倍してチェルノブイリの汚染と比較しているような事例もちらほら見ましたので、ここはまじめに算数をやってみよう、というわけです。

文部科学省による土壌検査は表面から5センチの深さまで取ります。その結果のBq/kgを平方メートルに変換したい場合、65倍という数字を使っているようです。一方、農林水産省による土壌検査は、農地はその深さぐらいまで耕すため、という理由で、表面から15センチの深さまで取ります。その測定結果を平方メートルに変換するときは、150倍、との記載をウェブなどで見かけます。5センチの3倍の15センチなので倍数も65倍の3倍で195倍ではないかと単純に思いますが、さて計算は。

まず、日本保健物理学会のページの情報から、文部科学省の「65倍」を検算してみましょう。

日本保健物理学会「専門家が答える暮らしの放射線Q&A」より、「Bq/kgからBq/m2への変換方法について」(計算部分抜粋):

土壌の密度を1.3 g/cm3と仮定し、土壌採取の深さを5 cmとした場合の換算方法を以下にお示しいたします。

土壌1kgに相当する体積は、体積(cm3)=1(kg)/1.3(g/ cm3)から、約769cm3と求めることができます。今回は、土壌採取の深さが5 cmですので、その面積は、体積を深さで除することにより、面積(cm2)=約769(cm3)/深さ5(cm)=約154 cm3 と求めることができます。よって、Bq/kgに相当する面積はBq/154cm2となり、これを単位面積あたりに直すと約65 Bq/m2となります。


誤植(面積(cm2)=約769(cm3)/深さ5(cm)=約154 cm3 ではなく、154 cm2)を直して整理すると、

計算の大筋としては、比重を使って1キロ当たりに相当する体積を求め、次にその体積(縦x横x高さあるいは深さ)を深さで割って、面積(縦x横)を出す。
土壌の密度 1.3 g/cm3
体積(cm3)=1(kg)/1.3(g/cm3)=約769cm3 (分かりやすく書くと、体積(cm3)=1000(g)/1.3(g/cm3)=769cm3
面積(cm2)=体積(cm3)/深さ=769/5=154cm2
Bq/kgに相当する面積=Bq/154cm2
1平方メートル当たりにすると、1m2=10000cm2なので、倍数を x とすると
Bq/154cm2=x Bq/10000cm2
x=10000/154=64.9≒65

出来た、65倍!

変数(これが変化することによって答が変わってくる数値)は、土壌の密度と深さ、ということが分かります。

同様に、農水省の土壌15センチを取る場合の倍数は、土壌の密度が同じとして、

土壌の密度 1.3 g/cm3
体積(cm3)=1(kg)/1.3(g/cm3)=約769cm3 (分かりやすく書くと、体積(cm3)=1000(g)/1.3(g/cm3)=769cm3
面積(cm2)=体積(cm3)/深さ=769/15=51cm2
Bq/kgに相当する面積=Bq/51cm2
1平方メートル当たりにすると、1m2=10000cm2なので、倍数を x とすると
Bq/51cm2=x Bq/10000cm2
x=10000/51≒196

196倍、という答が出ました。

では、同じ計算方式を使って(というより、同じ計算方法が使えると仮定して、ですが)、道路の表面、あるいは吹き溜まりなどの浅い部分から取ったサンプルの倍数はどれくらいのものが適当なのか、やってみます。仮定として、

土壌の密度は南相馬の「黒い物質」の例(100ml容器に詰めて45グラム、つまり比重は0.45g/cm3)を使って、表面1センチを採取することにし、これをBq/m2に変換するための倍数を求めます。

体積(cm3)=1000(g)/0.45(g/cm3)=2222cm3
面積(cm2)=体積(cm3)/深さ=2222/1=2222cm2
Bq/kgに相当する面積=Bq/2222cm2 倍数を x とすると
Bq/2222cm2=x Bq/10000cm2
x=10000/2222≒4.5

答は4.5倍

表面1ミリのサンプル採取が可能だとすると、

体積(cm3)=1000(g)/0.45(g/cm3)=2222cm3
面積(cm2)=体積(cm3)/深さ=2222/0.1=22220cm2
Bq/kgに相当する面積=Bq/22220cm2 倍数を x とすると
Bq/22220cm2=x Bq/10000cm2
x=10000/22220≒0.45

答は0.45倍。キロ当たりのベクレルが仮に100万ベクレルだとすると、それを敢えて平方メートル当たりに直す場合は45万ベクレルになる、という計算です。

ということで、結論としては放射能が濃縮するような場所から表層の浅い部分だけ取った場合、表層から5センチまで、あるいは15センチまで取ったサンプルと同様の倍率でキロから平方メートルあたりのベクレル数を単純に換算できるわけではなく、そもそも濃縮された、面積の狭い場所から取ったサンプルのキロ当たり濃度をを平方メートルあたりの濃度に変換する意味があるのかどうか、よくわからない、というところに私は落ち着きました。

それでも、東北、関東の広い範囲から発見されている「黒い物質」が高い放射能であることには変わりはなく、自治体がなぜこれを取り除く努力すらしないのか、私には理解できません。

(H/T @Kontan_Bigcat)

Friday, May 11, 2012

【記録】放射線影響研究所論文 『原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950-2003、がんおよび非がん疾患の概要』-被曝リスクに閾(しきい)値はなかった

米国放射線影響学会の公式月刊学術誌 Radiation Research誌に今年の3月に掲載された放射線影響研究所の研究員による英語論文の日本語要旨が、放射線影響研究所のサイトに出ています。

今までも、閾(しきい)値はない、という仮定で放射線防護は国際的になされてきましたが、特に原子力推進の立場の研究者、専門家は現在でも、「安全に偏りすぎている、実際は閾値はあり、それ以下では有意な差は認められない」という立場を崩していません。研究者、専門家によって、その閾値は20ミリシーベルトであったり、山下教授のように100ミリシーベルトであったり、200ミリシーベルトであったり、高いところではオクスフォードのウェード・アリソン教授の年間1シーベルトでも安全、というのもあります。

しかし、今回の報告論文で、よりによって悪名高きABCCの後身である放射線影響研究所が、「総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0-0.20 Gy であった」、と発表、つまり、閾値なし、ということが仮定ではなく疫学上証明されたことになります。リスクが有意(statistically significant、統計上有意ということ)となる最低線量域はゼロから0.20グレイ、シーベルトにすると、ゼロから200ミリシーベルト、ということになります。

放射線影響研究所論文日本語要旨

Radiation Research* 掲載論文
「原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950-2003、がんおよび非がん疾患の概要」

【今回の調査で明らかになったこと】

1950 年に追跡を開始した寿命調査(LSS)集団を2003 年まで追跡して、死亡および死因に対する原爆放射線の影響を、DS02 線量体系を用いて明らかにした。総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0-0.20 Gy であった。30 歳で1 Gy被曝して70 歳になった時の総固形がん死亡リスクは、被曝していない場合に比べて42%増加し、また、被爆時年齢が10 歳若くなると29%増加した。がんの部位別には胃、肺、肝、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、卵巣で有意なリスクの増加が見られたが、直腸、膵、子宮、前立腺、腎(実質)では有意なリスク増加は見られなかった。がん以外の疾患では、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患でのリスクが増加したが、放射線との因果関係については更なる検討を要する

【解説】

1) 本報告は、2003 年のLSS 第13 報より追跡期間が6 年間延長された。DS02 に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。解析対象としたのは、寿命調査集団約12 万人のうち直接被爆者で個人線量の推定されている86,611 人である。追跡期間中に50,620 人(58%)が死亡し、そのうち総固形がん死亡は10,929 人であった。

2) 30 歳被曝70 歳時の過剰相対リスクは0.42/Gy(95%信頼区間: 0.32, 0.53)、過剰絶対リスクは1 万人年当たり26.4 人/Gy であった。
*過剰相対リスクとは、相対リスク(被曝していない場合に比べて、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す)から1 を差し引いた数値に等しく、被曝による相対的なリスクの増加分を表す。
*過剰絶対リスクとは、ここでは、被曝した場合の死亡率から被曝していない場合の死亡率を差し引いた数値で、被曝による絶対的なリスクの増加分を表す。

3) 放射線被曝に関連して増加したと思われるがんは、2 Gy 以上の被曝では総固形がん死亡の約半数以上、0.5-1 Gy では約1/4、0.1-0.2 Gy では約1/20 と推定された。

4) 過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。これは、0.5 Gy 付近のリスク推定値が直線モデルより低いためであった。

放射線影響研究所は、広島・長崎の原爆被爆者を60 年以上にわたり調査してきた。その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている。

Radiation Research 誌は、米国放射線影響学会の公式月刊学術誌であり、物理学、化学、生物学、および医学の領域における放射線影響および関連する課題の原著および総説を掲載している。(2010 年のインパクト・ファクター: 2.578 )


なお、この件については中部大学の武田教授がブログポストを書かれています。

私のブログにも時折コメントをくださるめぐさんは厚労省に電話をしたそうで、その顛末をブログポストに書かれています。電話部分の追記を転載:

(追記5月1日20時)厚労省に電話した。「放影研は厚労省と外務省所管だが、今回の報告で低線量被ばくでも被ばく量に応じた発がんリスクなどの健康被害が生じたと疫学的に証明された、と理解している。これまで国はICRP準拠で「疫学的証明はないものの放射線防護上はあるものと仮定して防護基準を定めている」と理解していた。今回の報告はこれまでの国の立場を覆すものだが、厚労省として報道発表の予定はあるか。事実関係の理解としては今申し上げた内容で正しいか」聞いた。
担当官は「事実の認識としてそれでよい。放影研が発表しているので厚労省としては発表の予定はない」との回答であった。


さすが日本政府というか。

Thursday, May 10, 2012

河北新報: 追い込まれた命-福島第1原発事故(中)(下)

先日の(上)に続き、河北新報は更に2つのご家族の体験を記事にしています。以下、リンクと抜粋。

2012年5月10日記事: 酪農の道断たれ無念

牛舎の壁のベニヤ板は普段、飼育作業の備忘録代わりに使っていた。チョークで牛の状態や出産予定日を書き留める。
昨年6月10日。板は遺書になった。
「姉ちゃんには長い間おせわになりました 私の現界をこしました 6/10 pm1.30 大工さんに保険金で支払って下さい」
姉(59)へのお礼で始まる。限界の「限」の字を誤って書いたのに気付き、その上に線をぐしゃぐしゃと書いている。自分を捨て石にして得る生命保険金で工賃の未払いを帳消しにしようとしている。
「原発さえなければと思います 残った酪農家は原発にまけないで頑張って下さい 先立つ不幸を 仕事をする気力をなくしました」
一番後の文は線で四角く囲まれている。精根尽き果てた心情を強調したかったのだろうか。
「ごめんなさい なにもできない父親でした 仏様の両親にももうしわけございません」
遺書は妻子と亡き親へのおわびで結んでいる。
この遺書を書いたのは、相馬市玉野の酪農家の男性。堆肥小屋で首をつった。54歳だった。

50頭の乳牛を飼っていた。福島第1原発事故直後の昨年3月20日、福島県内の牛の乳から基準値を超す放射性セシウムが出て、全域で原乳が出荷停止になった。
牛は健康を保つために毎日搾乳しなければならない。出荷の見込みのない乳を搾り、捨てた。牧場そばの小川は白く染まった。
そのころ、相馬市の避難所に身を寄せていた姉を訪ねている。
「牛乳は捨てるしかないが、餌は与えなければならない。牛が一度痩せたら元に戻すのに5年も10年もかかる。そうなったら殺すのと同然だ」
そう言い残して牧場に戻った。それが姉との最後の対面だった。
飼育費は月約100万円。手元の金は底を突いた。

8月、県内の酪農家が賠償の対象になることが決まった。男性が亡くなって2カ月がたっていた。

2012年5月11日記事: 夫、日に日に気力喪失

昨年7月23日。福島県浪江町の無職男性=当時(67)=が同県飯舘村の真野ダムの橋から身を投げた。
福島第1原発事故で浪江町が避難区域に指定され、3カ月前から二本松市のアパートに避難していた。
夫は車で出た。日が落ちても戻らず、警察に届けた。遺体は翌朝に見つかった。橋の30メートル下の草地に横たわっていた。
そばにあった車のガソリンは底を突いていた。満タンだったはずだ。二本松市からダムまで直線で約40キロ。空になるには近すぎる。
「夫は死に場所を探してさまよったと思う」

元原発労働者。2010年まで福島第2原発で働いた。言葉には出さなかったが、原発の安全神話が崩れたことにショックを受けたようだった。

二本松市には夫妻と夫の母(89)、次男の4人で越した。母は認知症だった。徘徊(はいかい)を繰り返し、警察に2度保護された。夫はそのたびに振り回された。
「いつになったら帰れるんだか」
将来をはかなむ言葉を口にするようになった。
「なるようにしかならないよ」
「んだなぁ」
相づちを打ってもどこか上の空だった。
夫は体調を崩し、眠りが浅くなった。食が細り、好物の白身魚も残した。口数も減った。7月に入ると日課の散歩もしなくなり、一日中家の中で横になっていた。

遺体は南相馬市の葬儀場で密葬した。写真は自宅にしかなく、運転免許証の写真を引き伸ばして遺影にした。祭壇には夫が一時帰宅で取ってきた釣りざおをまつった。
12月、東京電力に夫の死亡補償を請求した。所定の書類に「原発事故のせいで命を落とした」と書いた。東電から連絡が来たのは2カ月後。自殺の経緯を教えてほしいと言われた。それ以降、連絡は途絶えている。
「ここまで人を苦しめておきながら誠意がない。こっちが勝手に死んだみたいな扱いだ」
人ごとのような対応に怒りが収まらない。


国の高級官僚と同じ言葉遣いをする東電の新しい社長さんの下での特別ビジネス計画の柱の一つが、親身親切な賠償対応だそうです。

Tuesday, May 8, 2012

河北新報:「追い込まれた命-福島第1原発事故(上)明るかった妻の絶望」

昨年7月、一時帰宅のご自宅でそのまま帰らぬ方となられた福島県川俣町山木屋の渡辺はま子さんのご遺族への取材が、2012年5月9日付けの河北新報で記事になっていました。以下、部分抜粋:

追い込まれた命-福島第1原発事故(上)明るかった妻の絶望

福島第1原発事故で自殺者を生んだ東京電力の責任が初めて法廷で問われる。避難生活の果てに命を絶った福島県川俣町山木屋の渡辺はま子さん=当時(58)=の夫幹夫さん(61)ら遺族が東電を相手に訴訟を起こす。原発事故で自殺したのははま子さんだけではない。複数の人が暮らしを破壊されて絶望し、人生に終止符を打った。それぞれの遺族が語る故人の無念からは原発事故の理不尽さが浮かび上がる。

昨年7月1日早朝。幹夫さんは、はま子さんと一時帰宅し、1人で草刈りをしていた。山木屋地区は原発から約40キロ北西で計画的避難区域に指定されている。
丈の長い草の向こうで火柱が上がった。「古い布団でも燃やしているのかな」と気に留めなかった。
作業を終え、自宅に戻った。妻が見当たらない。嫌な予感がした。
はま子さんは自宅近くのごみ焼き場に倒れていた。衣服は焼け焦げ、煙がゆらめいている。火はまだくすぶっていた。ガソリンの臭いが鼻につく。そばに携行缶とライターが転がっていた。自宅から持ち出したようだ。
幹夫さんは言葉を失った。変わり果てた姿。119番して救急車を呼んだ。息絶えていたのは分かっていたが、そうしないと気が済まなかった。

原発事故で避難し、福島市の親戚宅、福島県磐梯町の体育館を転々とした。福島市のアパートに落ち着いたのは事故3カ月後の昨年6月だった。
息子たちは仕事の都合で離れ、アパートでは幹夫さんと2人で生活した。隣人に気を使い、声を潜めて話した。食欲が落ちて体重が5キロ減り、睡眠障害にも陥った。
「家のローンがあと7年残っている」「子どもと離れて暮らさなければならず、近所との付き合いもなくなった」。繰り返し不安を口にし、ふさぎ込むようになった。このとき既にうつ病を発症していた可能性があるという。
はま子さんは野菜作りが好きだった。家庭菜園で実ったキュウリやナスが毎日食卓に並んだ。旅行に行っても野菜の状態を気に掛け、「早く家に帰ろう」と言っていた。

よくしゃべり、よく笑う。裏表のない性格で人の悪口が嫌い。社交的と評判で自殺とは無縁と思っていた。そんな妻が自ら命を絶った。

(記事全文はリンク先でどうぞ)


川俣町は飯舘村の西に位置し、山木屋地区(501世帯1,246人)は、昨年4月になってから国が計画避難区域に指定して住民に避難を指示、住民は自己責任で避難先を探し、町を出ることを余儀なくされました。現在、山木屋地区を居住制限、避難指示解除準備の2区域に再編する国の案は、具体性が無いとして川俣町長は受け入れていません(河北新報記事参照)。

上記記事によると、訴訟を起こす相手は東電とのこと。国に対して訴訟を起こしてあっさり勝つ見込みは過去数十年の前例を見てもほぼ皆無なので、東電に対する訴訟に留まるのは仕方がないとは思いますが、原発事故を起こした原発運転者の東電と共に、「国策」として原発を推し進め、原発運転者を規制、指導する立場であり事故後の対策の責任者である国こそ、訴訟を起こされてしかるべきだと思うのです。

計画避難区域に指定しただけで将来の展望も何も住民に示さず、福島県以外にはあたかも被害が無かったかのような頬かむりを政府がしていた時期に、渡辺さんご夫婦は一時帰宅なさっていました。現在に至っても将来の展望など何も無く、ただ漠然とした将来の帰還の可能性をちらつかせる程度の「策」しかどうもなさそうな政府。

この記事を読んでよりによって思い出したのは、被曝一回に100ミリシーベルトまでOK、年間被曝限度量は現行の1ミリシーベルトの1000倍の1シーベルトでOK、但し生涯の累積被曝限度量は5シーベルト、とするオクスフォード大学のウェード・アリソン教授。私は個人的には教授の論拠(がん治療で使う放射線の方が強い、など)にも、教授の出す数字にも、まったく賛同できません。ただ、なぜ思い出したかと言うと、教授のこの言です:

避難すること(および放射線による健康被害のリスクがあると住民に知らせること)のほうが、放射線自体よりはるかに大きな害を住民の健康に及ぼす


教授の言うように、避難した事自体、あるいは放射線による健康被害のリスクを知らせたこと自体(実際ろくに知らせていないようですが)が大きな害を及ぼした、とは思いません。しかし、何の将来の目処もなしにただ住んでいた場所から人々を避難と称して追いたて、放射線による健康被害のリスク(というのは嫌いなカタカナですが、英語の理解からすると、「健康被害が出るかもしれないという可能性」ということ)を十分に知らせた上で住民が納得して避難、あるいは留まる選択を取らせなかった国の無策が、放射線自体よりもはるかに大きな害を住民の健康に及ぼしているのではないか、とは思います。

政府は、どういう理由、根拠でいつまで避難が必要なのかも明確に示さず、避難先の手当てすらせず、これから避難して出てきた家がどうなるのかも説明できず、放射線被曝の健康への被害の可能性についての説明も、「直ちに影響はない」と繰り返す他はろくに出来ず、除染すらろくに出来ず、挙句の果ては今年の3月、「原発事故ではだれも個人的に責任のある者はいない」、と首相が外国人記者団に明言する始末。

結局国は、「リスク・コミュニケーション」というやつができていなかった、ということになるのでしょうが、第一この言葉がわけの分からんカタカナ日本語で留まっていること自体、起こりうる被害の可能性についての情報伝達は出来ていないということの証拠でしょうか。

Monday, April 30, 2012

ブログ読者の挑戦: クラウド・ファンディングで高線量地域からめざせ避難

私の英語ブログの読者には日本在住の外国人が結構多い、と以前にも書きましたが、その中の一人、千葉県印西市に住んでいる読者は、東葛地域のすぐ東側にある高線量の市から避難するために、面白い方法を考え出しました。

 クラウド・ファンディング(Crowd funding)を使うのです。

これは、彼と彼の家族が避難できるように、その費用の寄付を募るためのページ。なぜ寄付が必要なのかを記し、目標額と期限を設定。このサイトでは、目標額に達しなくても、期限内に集まったお金を受け取れることになっています。ページのセットアップ費用は無料。お金の受け取りはペイパル(Paypal)を通じて行われるため、ペイパルの手数料が数パーセントかかりますが、手数料は寄付金から引かれますので、受け取り側が追加で払う必要はありません。

このサイトは、特に健康に関する寄付の募集(病気の治療費など)などが多いようです。印西市の読者はお子さんが3人、そのうち、一番小さい生後10ヶ月の赤ちゃんが川崎病と診断され、これ以上日本にいられない、と判断したそうです。(ちなみに、印西市の数々の除染風景を送ってくれたのは、この方です。まだご覧になっていない方は、ポストはこれこれです。)



ブログ読者のこのページ、ポストを書いている間に寄付総額が2900ドルから3100ドルに増加していました。 クラウド・ファンディングのサイトは他にも数多くあり、サイトによっては目標額に達しなければお金は受け取れないところもあります。誰でも、世界のどこからでも、寄付することが出来ます。

 福島県をはじめ、東北、関東の高線量地域から避難したくても出来ない、という人たちの理由の一つとしてほとんどの場合挙げられるのは、「先立つ金が無い」ことです。避難の費用もさることながら、仕事、家のローンなど、金の心配を合算するとどうしても払えないので半ば仕方が無い、としてそのまま暮らす選択をする家族も多いようにお見受けします。

 が、ネットの進化はクラウド・ファンディングのようなプラットフォームを可能にしています。お子様のため、ご自身の健康のため、本当は避難したい、とお思いの方々、資金を調達する方法はあるんです。

(私もブログを続けていく資金をこれで調達するかなあ...)

Thursday, April 26, 2012

今年のお茶は「安全」なのか?

答は、「わかりません」。というのも、検査方法が変わってしまったので、比べようがないのです。

まず、新しい検査の方式を、埼玉県の狭山茶を例に取って見てみましょう。読売新聞2012年4月25日の記事によると、3段階にわたって詳細に検査する、とのこと:

栽培段階: 摘み取った生葉の検査。100ベクレルを超えれば加工段階には回さない。

加工段階: 全荒茶工場で1検体以上を抽出し、湯で煎じて飲用状態にして検査。抽出液が10ベクレルを超えれば工場がある市町村全体が出荷制限。

流通・販売段階: スーパーなどで抜き打ち検査、加工段階同様の抽出液の検査で10ベクレルを超えれば回収を求める。

注意してお読みください。つまり、去年の検査とは違って、お茶の葉自体を測るのは栽培段階の生葉のみ。後段階では、荒茶、製茶となった乾燥状態の葉を検査していた去年とは違い、お茶を淹れた抽出液のセシウム含有量を測るのです

数々の疑問が沸いてきます。

1. 生葉が荒茶、製茶になると、セシウムはどれだけ濃縮されるのか?

2. 荒茶、製茶自体に入っているセシウムと、抽出液に入っているセシウムの割合は?

埼玉県の狭山茶の昨年の検査は製茶のみでした。そこで、不ぞろいではあるものの、生葉、荒茶、製茶、抽出液すべての検査を去年行っていた、静岡県の例で考えて見ることにします。

まず、生葉が乾燥されて荒茶、製茶になると、セシウムはどれだけ濃縮されるのか。

二番茶の放射能測定結果(6月10日~7月8日公表)に、生葉と荒茶の両方のデータが出ています。それを見ると、かなりばらつきがありますが、最低と最高を除外しても、生葉→荒茶でセシウムは2倍強から7倍強に濃縮されています。

狭山茶のセシウム濃縮の比率が静岡茶と同様だと仮定すると、生葉の段階でキロ100ベクレルあれば、それが荒茶、製茶になった時点でキロ200ベクレルから700ベクレルの放射性セシウムを含んでいる可能性があることになります。

次に、検査数は少ないのですが、製茶のベクレル数とその製茶を淹れた抽出液のベクレル数が出ている「自主検査に基づく追加調査(6月14日~16日公表、6月28日~29日公表、8月5日公表)」を見てみます。製茶の形態で、すべて今年3月までの暫定基準値キロ500ベクレルを超えていたお茶です:

製茶  飲用茶 (飲用茶/製茶)

614   5.8 (0.94%)

602   7.8 (1.30%)

604   7.8 (1.29%)

581   7.6 (1.31%)

654   7.3 (1.12%)

つまり、製茶の段階で旧暫定基準のキロ500ベクレルを超えるものでも、お茶として液体になると新基準キロ10ベクレルをらくらくクリアするのです。飲用茶/製茶の比率を見ると、製茶に含まれるセシウムのうち約1パーセントが湯に移行するようですので、飲用茶(抽出液)からキロ10ベクレル出たとすると製茶(おそらく荒茶も)にはキロ1000ベクレル以上入っている可能性があるわけです。生葉で100ベクレルははねる、と埼玉県は言っているので、荒茶、製茶の状態で1000ベクレルを超えるお茶はでないことと思いますが、1番茶と2番茶では濃縮度が違うのかも知れず、また、埼玉と静岡の土地の違いで濃縮度が違うのかも知れず、実際お茶になった時点でテストしないと分からないのですが、今年はテスト方式が異なる。

お茶に関しては、どうやら静岡知事の去年の言い分がそっくり通ったようですね。新基準と新基準のテスト方法は、お茶に関しては実質的基準緩和となりました。

お茶は淹れて飲むのだからかまわないじゃないか、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。個人的には、キロ10ベクレルの抽出液が出るお茶の茶がら(99%のセシウムが残っている)を家庭ごみに捨てていいものか、迷うでしょう。また、淹れたからといってお茶の葉が完全に抽出液に入っていないか、といえばそんなことはなく、私が愛飲する粉茶は湯飲み茶碗の底に緑の粉茶が汚泥のように溜まります。また、日本製の茶の粉末エキスは健康サプリメントにも使われています。

新基準、新テスト方法をこれ幸いと、静岡、埼玉などは今年の検査では抽出液のベクレル数しか出すつもりは無いようです。もし自治体が「風評被害」とやらを防ぎたいのなら、消費者が昨年のデータと比較が出来るよう、荒茶、製茶のベクレル数も出すべきだと思います。静岡のように、知事が安全宣言を出して安全イベントをやった後で民間の業者の検査で暫定基準値超えが見つかるような失態は、昨年だけで十分ではないんでしょうか?

ウクライナの首相、チェルノブイリ周辺地域の「活性化」を計画

日本のニュースは「チェルノブイリの周辺地域の半分は永久に立ち入り禁止」という部分に着目しましたが、ロシアのニュースは「その他の半分」に注目して記事を書いています。 RIA Novostiの2012年4月23日付けの英語記事です:

ウクライナは現在、チェルノブイリ原発周辺の汚染地域を美化する政府のプログラムを拡大する方向で進めている、とミコラ・アザロフ首相は月曜日に発表した。

専門家によるとチェルノブイリ周辺の強制避難区域の放射線レベルは近年大幅に低下している、とアザロフ首相は述べ、避難区域外でもキエフ地方の居住地域で放射線レベルの高い場所は無い、と付け加えた。

「これらの放棄された家々、町、住宅地などを活性化して、『第二の生』を与える十分な理由があります。新たな仕事場となり、政府の新たな財源になります」とアザロフ首相は言う。

3月下旬、ウクライナのビクトル・ヤヌコヴィチ大統領は、4月26日、チェルノブイリ事故26周年記念の日に、チェルノブイリ原発で新しい石棺の建設を開始する、と発表した。

チェルノブイリの石棺建設の費用は9億3500万ユーロ(米12億ドル[日本円で約970億円])、大半の資金は昨年の世界各国政府からの寄付でまかなわれた。ウクライナの寄与分は全体のわずか6パーセントだ。

封じ込めるための施設は鉄製で高さ105メートル、長さ260メートル。これで原子炉を覆う。2015年までには完成する予定である、とウクライナ政府は以前に発表した。

破壊されたチェルノブイリの原子炉は1986年の事故から数ヵ月後にコンクリ製の建物で覆われたが、以来建物は劣化しており、放射能が漏れ出す恐れがある。

政府の新たな財源。どこの国でも金儲けを優先ですね。国が率先しておこなうところも、最近では全世界の傾向として著しい。

というわけで、チェルノブイリ周辺で永久立ち入り禁止にならない残りの1000平方キロは、「活性化」されるのです。日本政府と違って、一応公式には26年待っただけ上等でしょうか。何しろ日本は1年で住民を避難地域に帰還させる、という離れ業をやってますからね。

ああ、ということは、26年経って避難地域の「活性化」を図るウクライナ以上に日本の国の財政が逼迫している、ということなんでしょうか?(と、わざとらしく聞いてみる。)

ツイッターでリンクを出しましたが、去年、チェルノブイリ事故から25年経った去年制作された映画を出しておきます。ベルギーの Alain de Halleux というディレクターが作ったものだそうです。英語ですが、ナレーションは割と聞きやすいブリティッシュ英語なのでトライしてみてください。(と言いつつ、私もまだ全部見ていませんが。)チェルノブイリ周辺の荒涼とした風景、原発で今も作業をする人々の、何かロボットのような動き。

このウクライナの首相が「活性化」されたチェルノブイリ周辺の町に住むわけもなし。

Friday, April 20, 2012

今日の発見: 福島第1原発3号機の格納容器の機器ハッチシールドプラグはわずかに開いていた

もともとの事実、報道から次第にかけ離れて、遂には大本の情報とは似ても似つかぬものになる「伝言ゲーム」の例を2つポストに出しましたが(ここここ)、今日はドイツのドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)までこの「伝言ゲーム」に参加していることに失望しました。(「ミスキャンパスを農水省が「食べて応援学生大使」にした」、という今年2月の脱力記事が、ドイチェ・ヴェレでは「農水省の後援で、福島の食べ物だけを食べた一番かわいい学生を選ぶコンテストがあった」に化けたと思われます。)最近この類が特に海外で余りに多く、いったいこれは何なんだろうかと思っています。(まあ、いい加減な英語記事を出す日本の新聞が一番悪いんですが。)

そんなときに私が気晴らしに逃げる場所は、日本、世界の多くの人々が「うそつきだ」、とそしる東京電力のサイト。特に気に入っているのは、写真・動画集のページです。最近このページは改良され、日にち別、テーマ別、号機別のメニューまで出来ています。

最近では、3号機使用済み燃料プールのビデオ、4号機使用済み燃料プールのビデオを興味深く見ていました。特に3号機は、あれは「核爆発だ」とか「即発臨界だ」というのが海外の専門家を含めた一種の定説になっていましたので、燃料集合体のハンドルが見えたときには、おや、と思いました。もっともプールの一部だけしかカメラは撮影できませんでしたので、そのほかの部分で専門家の方々がおっしゃるように「核爆発」、「即発臨界」が起きていた可能性もあるのでしょう。

今日は2号機のトーラス室のビデオが出ていました。2号機からはざるのように放射能が漏れている、と言うガンダーセン氏の言も聞いていたので(4月17日ラジオインタビュー)、どんなざるかと思ったら、目に見える部分ではほとんど損傷が見当りませんでした。

一見にしかずです。たとえ東電の資料であっても。(何しろ東電しか資料を出してこないし出せないからですが。)

それよりいっそう興味深かったのは、最新の資料として東電のページに上がっている、3号機の格納容器機器ハッチ調査の資料

あまり注目が集まらなかったようですが、東電は去年の11月、3号機の原子炉建屋にパックボットを入れて、格納容器機器ハッチ前の溝の調査をしていました。パックボットに溝を撮影させ、溝に溜まった水をウェスでふき取らせていました。溝の線量は最高で毎時1.32シーベルト出ていました。(詳細は去年の11月16日のポストをご参照。)

つまり、汚染水が漏れていたのです

このときはハッチが開いているかどうかの言及はありませんでしたが、私はハッチから水蒸気が漏れているのだと思いました。

それ以降、この件については続報が無く、いぶかしんでいたところ、4月19日に東電は自社社員2名を3号機の建屋に入れ、格納容器機器ハッチのシールドプラグ隙間からカメラを差し入れて内部の床を撮影したのです。

姑息なことに、隙間の写真は去年の11月、パックボットが取ったもの。この写真は11月の時点では未公開です。(こういうことをやるから東電は信用を落とすんですが...)

やはり隙間が開いていたのです

去年の3月11日に地震が起きたとき、3号機は通常運転中でした。地震でスクラムがかかり、原子炉は停止しましたが、運転中の原子炉の格納容器のハッチのプラグが開いていたはずもありません。ということは、3号機の建屋が爆発したときの衝撃なのでしょうか?

ということは、あの爆発は「燃料プールの核爆発」ではなく、格納容器(ドライウェル)自体から、Ex-Vesselの爆発だったのでしょうか?

2012年4月19日の東電のプレス発表から(強調は私):

[目的]原子炉へ注入した冷却水が、原子炉建屋まで漏えいしている状況であり、原子炉建屋1階北東の原子炉格納容器機器ハッチからの漏えい状況を確認する。

[内容]
過去の映像より、機器ハッチ前のシールドプラグと原子炉建屋の間に隙間があることを確認
・シールドプラグと原子炉建屋の隙間からイメージスコープを挿入し、機器ハッチフランジの漏えい状況を確認。

[作業実績]
・作業時間:平成24年4月19日13:27 ~ 13:48(原子炉建屋に入域時間は約4分)
・作業員:当社社員2名(被ばく量最大:8.01mSv 計画:15mSv)

[原子炉格納容器機器ハッチの状況]
・原子炉格納容器機器ハッチフランジ部近傍の状況は確認でき、水が漏えいしていると思われる床面を確認
・今回の調査結果については、今後、詳細に確認。



隙間:



乾燥床面:



水の漏洩と推定される床面:

原子炉建屋に4分で8ミリの被曝。単純に被曝量が付近の空間線量と一致していると考えても、毎時120ミリシーベルト。その約2倍の15ミリを計画していたと言うことは、やはり去年の11月の時点でパックボットが計測していた毎時200ミリシーベルト以上の線量を予想していたのでしょう。

Saturday, April 14, 2012

(伝言ゲーム・パート2)新聞記事見出し比べ: 福島3号機使用済み燃料プールでクレーン発見(日本語新聞)→福島3号機のMOX燃料が入っている使用済み燃料プールに機械が落ち、プールが損傷した(英字新聞)

4月11日の「伝言ゲーム」ポストで、毎日新聞の日本語版→英語版→海外のブログと記事が書かれる過程で、「首都圏住民の避難を余儀なくされるという想定の最悪シナリオ」が「政府は現在首都圏全住民の強制避難計画の詳細を策定中」に化けた事例を書きました。

今回は内容ではなく、記事の見出し。またも出所は日本の新聞。

東電が4月13日に出した福島第1原発3号機使用済み燃料プールの内部の写真についての記事です。

まず、数社から拾った日本語記事の見出し。

朝日: 使用済み燃料プール内の画像公開 福島第一3号機
読売: 福島第一3号機、燃料交換機がプール内に落下
共同: プールでクレーン発見 3号機、爆発で落下か

これが英語になると、
朝日: New photos show damaged fuel storage pool at Fukushima plant (新しい写真で、福島原発の燃料貯蔵プールの損傷が明らかに)
読売: (存在せず)
共同: TEPCO finds 35-ton machine fallen in Fukushima No. 3 spent fuel pool (東電、福島3号機の使用済み燃料プールに35トンの機械が落下しているのを発見)
ジャパンタイムズ: Machine fell into MOX spent-fuel pool: Tepco (東電発表: MOX使用済み燃料プールに機械が落下した)

共同通信は日本語から英語になった時点でクレーンの重量の情報が付け加えられ、爆発で落下したのかという推測が消えていますが、特に問題はありません。日本語も英語も、機械(クレーン)が落下しているのを発見した、と正確に描写しています。

結構問題なのは朝日。日本語から英語になった時点で、日本語で単に「使用済み燃料プール」というだけだったのが、「損傷を受けた燃料貯蔵プール」、という風になっています。おそらく、記事の書き手は ”Damage in the fuel storage pool”、つまり、プールの中に破損したものが入っている、という認識だったのではと好意的に解釈していますが、朝日の英語記事の見出しを日本語の忖度ができない外国人が読むと、「プール自体が損傷を受けている」、と理解します。実際にプールが損傷しているかどうかは別にして、記事の中身は日本語も英語も同じで、プールの中にがれきが散乱しており、35トンの燃料交換機の一部が見つかった、というもの。プール自体の損傷についてはどこにも記載されていません。

しかし、英語の見出しをこのようにしたおかげで、見出しだけを見てすべてを判断する傾向がより強いアメリカ人などは、「3号機プールはやはり壊れているんだ」と考え、そのように記事にします。折も折、日本でもフォローする人々の多いガンダーセン氏が「3号機も危ない」とラジオ番組で発言したばかり。この朝日の英語記事の見出しを引用して、3号機の使用済み燃料プールは壊れていた、という印象を与える記事を出している英語サイトもあり、ブログ読者があわててリンクを送ってきました。(この英語サイトでは見出しに更に拡大解釈が付いて、「広範の損傷を受けたプール」ということになっていました。)

今回の伝言ゲームの最悪の結末はジャパンタイムズ。ジャパンタイムズの見出しは、3号機使用済み燃料プールに重機が落ちた、とあたかも落ちたのが最近のような印象を与えるに留まらず、3号機使用済み燃料プールにはMOX燃料が入っているかのような書き方になっています。共同ニュースの記事を引いている、ということになっていますが、共同ニュース英語版で現在検索できた限りの記事はジャパンタイムズの記事とは見出しも内容も異なります。

このジャパンタイムズの見出しが、多くの海外の読者が福島事故の情報を求めて訪れるENENEWSに出、それを見た読者が私のブログに、「これは大変だ!」とリンクを送って来ました。ジャパンタイムズを参考にする読者は朝日、読売、毎日、共同などの英語版の記事も参考にしますので、読者の頭の中では今回は朝日とジャパンタイムズの見出しを組み合わせ、その結果「MOX燃料が入っているプールに機械が落ちて、プールが壊れている!」という話が出来上がりました。

MOX燃料についてはまったくの「風評」、プールが壊れているかどうかについては現在のところ不明だが、見た限りでは見当たらなかった、というところが妥当だと思うのですが、もう既に外国人読者の頭の中では4号機に続いてMOX燃料の入った3号機の使用済み燃料プールも今にも壊れる、あるいはもう壊れている、というイメージが出来つつあります。

日本のメディアが外国メディアに対して「風評を煽る」、とはよく言えたものだなあ、と感心しています。

東電の出した3号機燃料プール水面、水中の写真をまだご覧になっていない方、こちらです

Wednesday, April 11, 2012

福島第一原発事故「伝言ゲーム」: 日本政府の「最悪シナリオ」には、首都圏住民が避難を迫られる状況が記されていた(毎日)→日本政府は首都圏3千9百万人の住人の強制避難の詳細計画を作成中(海外ブログ)

原発事故の発生から13ヶ月、事故に関して世の中を駆け回っている情報の質は向上しているとはいえないように思います。

これは最近の小さな事例。英語ブログの読者が「大変だ、これは本当か?」と送って来たリンクをざっと辿った結果です。

発端は2012年4月2日付けの毎日新聞コラム「風知草: 宙に浮く燃料プール」。そこにこのような記載があります。

「福島原発事故独立検証委員会」(いわゆる民間事故調)報告書は、原発事故の「並行連鎖型危機」の中でも4号機プールが「もっとも『弱い環』であることを 露呈させた」と書く。政府がまとめた最悪シナリオ(同報告書に収録)も4号機プール崩壊を予測。さらに各号機の使用済み燃料も崩壊し、首都圏住民も避難を迫られるというのが最悪シナリオだ。

これが毎日新聞の英語版、毎日デイリー(毎日サイトでは既にリンクが無いので、ここから取りました)になると、

A report released in February by the Independent Investigation Commission on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident stated that the storage pool of the plant’s No. 4 reactor has clearly been shown to be “the weakest link” in the parallel, chain-reaction crises of the nuclear disaster. The worse-case scenario drawn up by the government includes not only the collapse of the No. 4 reactor pool, but the disintegration of spent fuel rods from all the plant’s other reactors. If this were to happen, residents in the Tokyo metropolitan area would be forced to evacuate.

毎日で日本語記事を英語記事にした際に、ちょっと見では気が付かないかもしれないミスがあります。さあどこでしょう?

それは最後の文章。それまでは日本語を忠実に訳していますが、最後になって文章を独立させてしまった。これがミスです。毎日デイリーの英語記事の文章、最後の2文を反訳してみます:

政府による最悪シナリオでは4号機の燃料プールの崩壊が想定されているだけではなく、原発内の他の原子炉すべての使用済み燃料が崩壊することが想定されている。もしそのようなことが起これば、首都圏の住人は避難を余儀なくされる。

元の日本語毎日記事では、「首都圏住民も避難を迫られる」のは政府(実際は原子力委員会)が想定した最悪シナリオの一部として記載していますが、英語部分ではこの部分を最悪シナリオの言及を省いた文章にしたため、これが政府のシナリオの中の想定ではなく、この文章を書いたコラムニストの見解である、という捕らえ方が可能になる書き方です。

実際、毎日デイリーで英語記事を読んだ読者はそう思ったようです。また、毎日の英語に頼った海外のサイトもそのように解釈し、記事に仕立てました。上記のMainichi Dailyの記事コピーをとったサイトでは、”It’s Not Over: Government Plans for the Worst: Forced Evacuation of Tokyo (事故はまだ終わっていない: 日本政府の最悪の事態に備えた計画: 東京の強制避難)”というタイトルの記事で、

Even more alarming is that the U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC) and other agencies have warned that the nuclear storage pools (the containment units that are being used to cool the nuclear fuel) have been damaged and may collapse under their own weight.

さらに恐ろしいのは、米国原子力規制委員会などの省庁が核貯蔵プール(核燃料を冷却するために使用される、格納ユニット)複数が損傷しており、自重で崩壊するかもしれない、と警告していることである。

Such an event would cause widespread nuclear fallout throughout the region and force the government to evacuate the nearly 10 million residents of Tokyo and surrounding areas, a scenario which government emergency planners are now taking into serious consideration.

このような事態が起きると広範囲に放射能が広がり、日本政府は1千万人の東京都民および周辺地域の住民を避難させざるを得ない。そのようなシナリオを日本政府の緊急災害対策担当者は真剣に検討を始めている。

使っている用語を見る限りこれを書いた人は原発のことをあまり知らない人だろうと思われますが、このサイトの残りの記事を読むと、日本政府が検討している、という話の根拠は毎日デイリーの記事のみ。悪いことには、このような海外メディア(特にブログ)は、「最悪シナリオ」を管政権が「存在しないこと」にして握りつぶしていたことをおそらく知らないため、「最悪シナリオ」を政府が持っているということは政府はそれに基づいて計画を立てているのだ、と短絡的に思い込み、このような記事を書きそれが全世界に広がる、という事態になっています。(知っていて書かなかった可能性ももちろんあります。)

このサイトを更に引用しているのがこのサイト。タイトルは更にエスカレートして、”Fukushima Forcing Tokyo To Evacuate! (福島事故で東京は強制避難に!)”、内容も更にエスカレートして、

If the storage pool were to fracture, the nuclear fuel would immediately heat up and explode. Radioactive fallout would be dispersed over a wide and uncontainable area. At this time now, the Japanese government are creating blueprints for forcibly removing 39 million people from the Tokyo metro-area.

貯蔵プールにひびが入れば、核燃料は直ちに加熱して爆発する。放射能が広い地域に拡散し、拡散を抑えることは出来ない。現在、日本政府は、首都圏の3千9百万人の住民を強制的に避難させるための詳細な計画を作成中である。

(ちなみにこのサイトは上記の記載の直前に、「日本では放射能の不安を口にする人々を精神病院に監禁している」という出典不明の文章があります。)

というわけで、元は単に

民間事故調の報告書にも掲載されていた日本政府の「最悪シナリオ」には、首都圏住民が避難を迫られる状況が記されていた

というだけの話が、

日本政府は首都圏3千9百万人の住人の強制避難の詳細計画を作成中

に化けました。

これが日本に逆輸入される日も近いでしょう。(既にされていますかね。)海外のネットメディア、メッセージボードなどでは、この話で持ちきりのところもあります。大変だ、日本脱出だ!というわけです。折も折、福島4号機が倒れるとか、4号機使用済み燃料プールにひびが入れば地球は終わりだ、というような発言が国内外で再び相次いでいる昨今、このようなブログ、ウェブサイトの「妄想」はそのまま信用されているようです。

実際に、英語ブログでこの妄想を指摘したところ、「でもありうる話だ、何しろ4号機が倒れそうなんだから」という答。それと、二言目には「日本政府、東電、マスコミの言うことは信用できない」。そんな計画など、立てたくても立てようがないだろう、という真っ当な意見はわずか1名。

こと福島原発事故、放射能汚染についての報道でマスメディアを信用しない傾向は日本も外国も同じようになってきましたが、かといって独立メディアやネットメディアが信用できるわけでもありません。マスメディアとひっくくられる中に入るニューヨークタイムズ紙などでも、日本在住の記者が取材に基づいて書いた丁寧な記事が出ます。ただ、そのような優秀な記事でもまずニューヨークタイムズに出た、と言うだけで疑いの目で見られ、扇情的なことも書いていないので「信用されない」というおかしなことになっています。

結局、読み手が賢くなって情報を精査できるようになるしかないのですが、そこまでする時間がまずないのでしょう。事故から1年以上経って、そこまでする気力もなくなってきているように思えます。特にこの1、2ヶ月で、このような「伝言ゲーム」がずいぶん増えているような気がします。そして、そのゲームの一番最後の方に登場する、大本の情報からかけ離れた言葉が独り歩きしています。

皮肉なことに、発端を作った毎日新聞はオンラインのサイトを再構成し、英語版と日本語版のサイトを合体させ、「英語を学ぶ日本人の読者もターゲット」にする、とのこと。まあ、この例で見た限りは、毎日の記事で英語を勉強したらちょっとずれるかな、と思います。

Saturday, April 7, 2012

米ブルームバーグニュース:今までに日本が行った食品放射能検査の件数は、去年ベラルーシが行った件数の1%

2012年3月18日付けの米ブルームバーグニュースは、農林中金総合研究所の理事研究員、石田信隆氏の言を引用して、このように述べています:

Inadequate testing by the government of rice, milk and fish from the region has prompted consumers to leave them on supermarket shelves and instead select produce from other regions or from overseas. Checks conducted nationwide so far are only 1 percent of what Belarus checked in the past year, a quarter century after the Chernobyl disaster, according to Nobutaka Ishida, a researcher at Norinchukin Research Institute.

政府による検査が不十分なため、消費者は[福島産の]コメ、牛乳、魚がスーパーに並んでいても買わず、他の地域産、あるいは外国産の物を選んでいる。これまでに全国で行われた検査の点数は、チェルノブイリ事故から4半世紀[25年]経った昨年、ベラルーシが行った検査の点数のわずか1パーセントに過ぎない、と農林中金総合研究所の研究員、石田信隆氏は言う。

更に、東京のJSC Corp商品取引アナリストのシゲモト・タカシ氏の言を引き、

“Consumer worries may deal a severe blow to farming in the region for the next five years or more,” said Takaki Shigemoto, commodity analyst at research company JSC Corp., in Tokyo. “The number of farmers will decline and agricultural production will decrease, leading to further increase in Japan’s farm imports.”

「消費者の不安は、今後5年あるいは更に長い間、福島の農業に大きな痛手を与えるかもしれない」、と言うのは、東京のJSC Corpの商品取引アナリスト、シゲモト・タカシ氏である。「農業従事者の数が減り、農業生産が落ち、日本の農作物輸入が増加する。」

福島第1原発事故自体の初動対応からケチがついた日本政府は、昨年4月以降放射能汚染の実態が明らかになってからも対策は後手にまわり、消費者とすれば自衛するしかありません。

農林中金の石田氏が言うとおり、日本の食品放射能検査の件数が昨年のベラルーシのわずか1%だったとすれば、それで安心する消費者がいるのが不思議なくらいですね。

ベラルーシの検査件数については既にご存知の方も多いと思いますが、金融機関のアナリストの発言の中での言及だったのが興味深い。福島および日本の農業のあまり芳しくない将来展望に、彼らはどのような投資機会を見出しているのか、知りたいものです。

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追加情報(4月9日):

「めぐ」さんのブログで、更に詳しい考察があります。人口比で考えると、日本はベラルーシの1330分の1の検査数の可能性:

http://ameblo.jp/megumi-jk/entry-11217848493.html

Tuesday, April 3, 2012

「東電、福島の木くず拒否」の読売新聞報道日本語版に欠けていた情報

読売新聞オンラインに2012年4月3日付けで、「東電、福島の木くず拒否…積み上がり発火恐れも」という記事が出ていました。

同じトピックで英文記事が存在し、英語版の読売新聞であるYomiuri Dailyに4月4日付け記事として出ています。記事の3分の2ほどは、文章の順序が日本語と多少違うものの内容は同じものをカバーしています。ところが、英文記事の後半の3分の1に、日本語の記事にまったく存在しない内容が出ています。

福島第1原発事故から13ヶ月になろうとしている現在でも、事故当初の1、2ヶ月と同じように、英語と日本語で同じ新聞社でも出す情報が違う、ということをまだやっているのか、それとも読売新聞の紙面では英文記事と同じ内容が出ていたのか、不明です。

まず日本語記事

東京電力福島第一原発事故の影響でがれき処理が問題になる中、製材で発生する木くずでも、受け入れを巡り業者が苦境に立たされている。

 一部で高い濃度の放射性セシウムが検出されたこともあって、行き場を失った木くずは福島、栃木両県で計約2万5000トンに上る。業者は東電の火力発電所で燃料として使ってほしいと要請したが、東電は拒否。林野庁などは「風評被害をあおりかねない行為」として、近く東電に受け入れを要請する。

 「このままでは工場の操業がストップしてしまう。廃業に追い込まれる業者も出るだろう」。福島県内の製材業者など約200社で作る県木材協同組合連合会(福島市)の幹部は頭を抱える。

 悩みの種は、木を切り出し、製材する過程で剥がす樹皮。通常は、堆肥や家畜の寝床用に1トン1000円前後で引き取られる。

 だが、原発事故後の昨年8月、林野庁の調査で一部の樹皮から1キロ・グラム当たり最大約2700ベクレルの放射性セシウムを検出。その後は同200~300ベクレル程度に下がり、国の定める堆肥の基準(同400ベクレル)より低くなったが、それでも、毎月4000トン発生する樹皮のうち、引き取ってもらえるのは4分の1程度だ。

 連合会によると、現時点で計2万トンが業者の敷地内などに仮置きされている。圧縮しても高さ4~5メートルほどに積み上がり、発酵して発火する恐れもあるという。同様の問題は隣接する栃木県にも及び、3月時点で十数業者の抱える計約5000トンが処理できない状態だ。


そして、英文記事にだけ存在する箇所:

まず、「県木材協同組合連合会(福島市)の幹部」の方のお名前: ムナカタ・ヨシアキさん

そして、

The association came up with the idea of using the wood chips as fuel to generate thermal power. Chugoku Electric Power Co. began power generation by burning coal and wood biomass such as bark simultaneously in 2005. Since then, other utilities have followed suit and TEPCO had also planned to start from this fiscal year.

[県木材協同組合]連合会は木くずを火力発電の燃料として使うアイデアを思いついた。中国電力は2005年、石炭と木の皮などの木質バイオマスを同時に燃焼して発電を開始した。以来、他の電力会社も同調し、東電も本年度から同様に発電を開始する計画だった。

The association said it asked TEPCO to take the wood chips on four occasions between October and February, but the requests were declined.

連合会によると、昨年の10月から今年の2月にかけて4回、東電に木くずを受け入れるように要請したが、そのつど拒否された

TEPCO initially told the association that using the wood chips to generate thermal power is technically difficult. But the utility later changed its rationale, saying such a measure is difficult to be taken at the moment because burying ash that contains radioactive cesium requires consent from local residents.

東電の連合会に対する当初の説明は、木くずを火力発電に使うのは技術的に難しい、というものだった。しかし、その後、放射性セシウムを含む灰を埋め立てるのには地元住民の同意が必要であるため、そのようなことを行うのは現在は難しい、という理由に変わっている

According to the Forestry Agency, the density of radioactive cesium in ash from burned bark is about 30 times higher than that of bark before incineration. But the radiation level for the bark ash is expected to be less than 8,000 becquerels per kilo-gram--an allowable level for landfill.

林野庁によると、樹皮を燃やした灰に含まれる放射性セシウムの濃度は、燃焼前の樹皮に含まれる濃度の約30倍になる。しかし、樹皮を燃やした灰の放射能レベルは、処分場に埋め立てが可能なキロ当たり8000ベクレル以下になるものと予想される。

Officials of the Forestry Agency and the Natural Resources and Energy Agency view TEPCO's refusal as an act that goes against the purpose of the special law requiring the utility to cooperate in antiradiation measures. The agencies therefore plan to ask TEPCO to take in the bark, the sources said.

林野庁と資源エネルギー庁は、東電の拒絶を、東電が除染対策[だと思う]に協力することを求めた特別措置法の目的に反する行為だと見ている。関係者によると、両庁は東電に木くずを受け入れるよう要請する予定とのことである。

Meanwhile, a TEPCO spokesperson said the refusal is due to concern over a stable power supply.

一方、東電のスポークスマンは、木くずの拒否は安定電力供給についての懸念によるものだ、としている。

"If we don't have clear prospects for disposal of the [bark] ash, that would affect operations of our power stations," the spokesperson said.

樹皮からの灰の処分についてはっきりした目処が立たないと、発電所の運転に支障が出るからです。」

樹皮を燃やすとセシウム濃度が30倍になる、と日本語の記事に書けないのでしょうか?

読売の記事によると樹皮のセシウム量は一時より下がって「300ベクレル」ですが、これが灰になって濃度が30倍になるとすると、キロ当たり9000ベクレルとなり、環境省が勝手に全国基準にしてしまった通常埋め立て基準8000ベクレルを軽く超えます。

(ちょっと待った。下がって、と言うけれど、セシウム137の半減期は30年、1年で2700ベクレルのものが300ベクレルに下がるわけが無い。つまり、取ってくる場所が違っているだけでしょう。)

今年の3月27日に林野庁が発表した木質ペレットの燃焼試験結果では、広葉樹樹皮から作ったペレットのセシウム濃縮は20倍以下になっていますが、検体はわずか2検体。(ちなみに、他の木質ペレットの濃縮度は100倍から200倍、最高は243倍です。)読売が根拠とした林野庁の資料は、ざっと見た限りなのでまだ見つけていません。(ご存知の方お知らせください。)

ちなみに、林野庁のウェブサイトには、(樹皮の付いた)薪を燃やすとセシウム濃度が182倍になる、と書いてあります。林野庁では、8000ベクレルを超えないために、薪の放射性セシウム濃度をキロ当たり40ベクレル、としています。この濃縮度を福島の木くずに当てはめると、300ベクレルの182倍で5万4600ベクレルとなり、埋め立て不可能の濃度になります。今年の2月、福島産の薪を使っていた沖縄の飲食店で、使用後の灰からキロ当たり4万ベクレル近いセシウムが出ています。

また、放射性セシウムを含む灰を埋め立てるには地元の住民の同意が必要、と言うのも、書けないのでしょうか?英文の当該段落では、埋め立てるベクレル数は明示していません。

さて、この件では、東電がんばれ。木くずを引き受けるだけならともかく、火力発電所で焼却させられたら、付近の住民は堪ったものではありません。

とりあえず福島第1原発の敷地に仮置きするくらいは出来そうですが。

また、ツイートで出しましたが、読売英語記事を読んだ英語ブログ読者から、

細野が東京都知事を連れて、メガホンを持って東電本社に行き、「(木くずを)焼却して福島の復興を助けましょう!」と叫ぶパフォーマンスが見られるかね、まあ無理だろうが

とのコメント。(見たい。)

Sunday, April 1, 2012

「福島第1原発事故で、2号機原子炉から大量の放射性物質が大気中に放出されるシナリオ」 - 圧力抑制室と格納容器の損傷

という論文が、Journal of Nuclear Science and Technology Volume 49, Issue 4, 2012 (日本原子力学会の公式雑誌)に掲載されています。論文を書いたのは社会技術システム安全研究所田辺文也氏。去年の8月に、3号機は2度炉心溶融を起こし、その2度目が3月21日ごろで、圧力容器から格納容器に燃料が落ち、そのために大量の放射能が拡散されて東北関東の広い地域で放射線量が跳ね上がった、という仮説を出された方です。

また、11月19日には、2号機の圧力抑制室は3月11日の地震で損傷を受けたか劣化した可能性が高い、という解析を発表されています。今回の論文は、この11月の解析の論文のようです。

論文概要を見ると、それに加え、3月15日の早朝に、溶融炉心からの高熱のために格納容器も損傷している可能性を挙げています。

Taylor & Francis Online掲載の論文概要の私訳:

福島第1原発事故で、2号機原子炉から大量の放射性物質が大気中に放出されるシナリオ

田辺文也

概要

炉心溶融事故について、計測されたデータの解析と計算結果の検討に基づき、2号機から大量の放射性物質が放出されるシナリオを考察する。格納容器圧力抑制室(S/C)は、2011年3月11日の巨大地震による地震荷重のみによって、あるいは地震による劣化と逃がし安全弁からの蒸気流入による動的荷重によって、3月12日の正午までには損傷していた可能性がある。逃がし安全弁(SRV)2つを3月14日21時18分に開放したことによって大量の放射性物質が圧力抑制室の損傷部分から放出された可能性があり、21時37分、原発正門付近での空間線量が毎時3.13のマイナス3乗シーベルト[3.13ミリシーベルト]を記録している。格納容器ドライウェル(D/W)は3月15日6時25分に、圧力容器から格納容器ドライウェルの床上に落ちた溶融燃料から来る高温のためにケーブル貫通部のシールが損傷し、格納容器が損傷した可能性がある。格納容器損傷部分から大量の放射性物質が拡散された可能性があり、3月15日の午前9時には空間線量が最高毎時1.193のマイナス2乗シーベルト[11.93ミリシーベルト]に達した。

A scenario of large amount of radioactive materials discharge to the air from the Unit 2 reactor in the Fukushima Daiichi NPP accident

Fumiya Tanabe

Abstract:

Based on an analysis of the measured data with review of calculated results on the core melt accident, a scenario is investigated for large amount of radioactive materials discharge to the air from the Unit 2 reactor. The containment pressure suppression chamber (S/C) should have failed until the noon on 12 March 2011 only by seismic load due to the huge earthquake on 11 March or by combination of seismic deterioration and dynamic load due to steam flowing-in through safety relief valve. Opening of the two safety relief valves (SRVs) at 14 March 21:18 should have resulted in discharge of large amount of radioactive materials through the S/C breach with the measured air dose rate peak value of 3.130E-3Sv/h at 21:37 near the main gate of the site. The containment drywell (D/W) should have failed at 15 March 06:25, at the cable penetration seal due to high temperature caused by the fuel materials heating up on the floor of the D/W, which had flowed out from the reactor pressure vessel. Then large amount of radioactive materials should have been discharged through the D/W breach with the measured air dose rate peak value of 1.193E-2Sv/h at 15 March 9:00.

(H/T 名古屋大遠藤知弘さん@hyd3nekosuki)

Thursday, March 29, 2012

(こんなんで大丈夫?)千葉県印西市の除染風景パート2

タケノコから4月1日から施行の新しい安全基準を超えるキロ当たり180ベクレルのセシウムが検出された千葉県印西市。

印西市在住のブログ読者から寄せられた、印西市の小学校の「除染」風景を3月18日のポストでご紹介しましたが、更に追加で写真をお届けします。

市内の公園の風景。どこもこんなもの、とのコメント。これは、高線量の砂場の砂を入れ替え、その砂を公園内に埋めるために掘った穴から出た土だ、と言うことです。(どうやって砂を埋めたのか、3月18日の学校校庭の除染の写真を見る限り、あまり安心できなそうですが。)

中学校の校庭。幅跳びに使う砂場。シートをかぶせ、シートの飛散防止に古タイヤを置いています。

雨どいの下。毎時4.37マイクロシーベルト。除染後でも2.5マイクロだそうです。

印西市がとりわけ「適当」にやっているわけではないと思います。東北、関東の市町村は多かれ少なかれ、この程度の「除染」なのではと推測します。(それでも、やるだけまし。東京都などは、周辺の放射線量と毎時1マイクロ以上の差が出なければ何もしない、と公言しています。)

(H/T reader Chibaguy)

Monday, March 26, 2012

がれき広域処理に反対する、ささやかな声 (ゲストポスト)

このブログで今年の1月にご紹介した、ネクタリーナさん(「原発事故、放射能汚染を親しい人と語れない」)のお友達が書かれたものです。東京から山口に避難なさって健康を取り戻したものの、山口県防府市ががれきを受け入れる意向、と知って、以下に掲載する文とほぼ同文の手紙を山口県知事宛に送ったそうです。

ネクタリーナさんと似た素直な文章で、ご自分の体験から書かれています。

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私は昨年3月11日には東京で会社員として勤務していました。
福島原発爆発で放出された大量の放射性物質は風にのって東京にもプルームとしてやってきて、3月15日と21日の雨で降り注ぎ、東京を汚染しました。

放射性物質が含まれた雨に濡れると被曝することを知らなかった私は、仕事の帰りにその雨に濡れてしまいました。右手を怪我していたのに雨に濡れたのは本当に運が悪かったと思います。

クレーターのように皮膚に穴があき、ぼこっと血が噴き出るなど、かつて経験したことのない症状がすぐにでました。そしてその後、下痢がとまらない、倦怠感、頭痛、熱が下がらない、帯状疱疹、リンパの腫れ、紫斑がでる、小さな疱疹が繰り返しできるなどの症状に悩まされました。

11月に心臓が急に痛みはじめた時は、もうこのままでは死んでしまうと避難を決意しました。

日本のどこなら安全だろうと避難先を探した時に、幼い頃住んだことがある瀬戸内海沿いなら地震も津波も少ないし、福島原発からは950kmと離れているし、海の汚染も太平洋側よりはずっと少ないだろうと思いました。

何より東京ではもう水源地が汚染されたために水道水も汚染されていて、炊事はミネラルウォーターを使いましたが、お風呂や洗濯、掃除すべてが汚染された水道水を使うしかなく、もうこの状態では東京で生活していくのは無理でした。

また汚染が少ないであろう西の食材を買いたくても、産地偽装が横行していて、不安は尽きませんでした。

だから安心できる空気や水、食材を求めて山口県に避難することを決意しました。

昨年12月に仕事を辞めて山口県に避難してきた時は、心からほっとしました。
安心して呼吸できる空気、安心して使える水道、新鮮な地元産の野菜が手に入る喜び。綺麗な海や川、優しい山口県の人たちの人情に触れて嬉しくて涙しました。

洗濯ものを外に干せる喜び、マスクなしでも外を歩ける感激、体調もこちらに来てからだいぶ回復しました。
仕事をやめて、生活基盤は失ったけれどもとにかく生きていれば、道が開ける。そのことがとても嬉しかったです。

まだ関東に残っている友人たちに、山口産のお野菜を送り、「新鮮でとても美味しい」と喜ばれています。
みんな「山口県は素晴らしいところだね。山口県に移住したい」と言ってくれています。

しかし先日、防府市が瓦礫を受け入れる意向だと新聞で知りました。
その時もうこれ以上どこに逃げればいいのか、途方に暮れて悲しい気持ちでいっぱいになりました。

この山口県の素晴らしい自然は宝物です。これを汚染させることがないよう、心からお願いいたします。
これからも綺麗な海や空、空気、食べ物を守ってください。

そして私と同じように体調不良に苦しんでいる東日本の人々が安心して移住して来られる山口県でいてください。
今関東にいる多くの友人は避難したいけれども瓦礫受け入れの動向を確かめてからと、じっとことの顛末を注目しています。

是非そういう人たちを受け入れられるよう、「瓦礫は受け入れない」と宣言していただきたいです。

どうかよろしくお願いいたします。

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放射能に対する感受性はそれこそ個人個人によって大きく違います。ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告ですらそのことを明言しており、「平均的個人」を対象とする対策にはあまり意味がない、としています。

アメリカ、ヨーロッパ在住の読者は英語ブログの方に、去年の事故の最初の頃から、「放射線の影響としか思えない健康被害が自分に出ている」というコメントを寄せてきています。最近ではそれに皮肉を利かせて、「山下教授の言うように笑っていないせいだろう」と言い、その裏に「日本人はいったい何やってるんだ?」という気持ちが怒りに変わってきつつあるのが分かります。政治家、官僚のことではありません。一般の日本市民は何やってるんだ、と言うのです。

彼らは日本が放射能に汚染された地震・津波がれきを日本中で焼却するという恐ろしい事態に対して遠方から何をすることも出来ず、何もしていない(ように海外からは見える)一般の日本人が理解不能な不可思議なものに見えるのです。危険が迫ると頭を砂に突っ込むダチョウのように、放射能汚染を見たくない、知りたくないのは日本人の勝手だが、世界にこれ以上汚染を撒き散らすのはやめてくれ、と彼らは言います。

このネクタリーナさんのお友達の文章を英語ブログでも出してみようかと思います。ちゃんと声を上げている日本人もいる証拠に。

Saturday, March 24, 2012

大学研究者2人の好対照な放射能講座

京都大学の小出裕章さんは昨年の事故後早いうちから全国で最初は反原発(「脱原発」)を主にした集会、講演会などを開催していらっしゃいました。その後、放射能汚染について語りだされ、一つ信じたら全部信じなければいけない、と思い込む傾向のある日本人の間で、小出さんの放射能に汚染されたがれき、農作物などについてのお考えを巡って意見が割れました。

それはともかく、USTREAMに小出さんの2012年3月24日の飯能市での講演会のビデオが上がっています。全部で2時間近いビデオですが、1時間過ぎに群馬大早川さんの放射線マップが出てきます。小出さんはそれを使って、集まった飯能の人々に、浜岡が事故っても、柏崎・刈羽が事故っても、飯能はやられる、もうどこにも逃げるところがないんです、と非常にシニカルな口調でおっしゃっています。(1時間9分後)



Video streaming by Ustream

早川さんの地図を使っていながらまるでご自分の地図のような説明をされたのも驚きましたが、あの地図は去年の3月の天気と風向きに拠ったもので非常に個別的なものです。それを適当に回転させて、ほらそれでも飯能市は放射線管理区域ですよ、は違うんではないでしょうか。

更に、「どこにも逃げようがない。日本というこんな狭い国で、危ないからと言って過疎地に押し付けてきたわけですが、事故がおきてしまえばもう後は運だのみ、風がどっちから吹いてくるか、どこももう逃げるところがない、という状態に、既にこの日本と言う国はなってしまったのです」

「どこにも逃げるところがない」というおっしゃりようは、「どうせ汚染されていない食物はどこにもないのだから、みんなで食べて農家を応援しよう」と大差ない言い様です。実際には、福島の浜通り、中通りより東京、神奈川の方が汚染は少なく、関西以西は格段に少ないかほとんど汚染がない。関西以西の原発でも事故が起きる可能性があるのだから逃げるところがない、原発を許してきた一人一人が責任を取れ、というご趣旨だとは思いますが、この内容と伝達方法からは、では具体的にどうするのがいいのか、という個人の行動指針は生まれて来難いのではないでしょうか。

「暗きより 暗き道にぞ入りぬべき」 とでも言うような、ドツボの暗い心境に陥らせてくれる講演でした。このような情報伝達で得られるものは一体なんでしょうか?どこにも逃げるところがない、どこも汚染されている、だから原発を止めろ?

「遥かに照らせ山の端の月」 の部分はないかなあと探して見つけたのが、小出さんに放射線マップを無断使用された群馬大学の早川由紀夫さんの「明るく楽しい放射能リスク学習会」。ビデオは、2012年1月29日に逗子市で行われた学習会のビデオパート2です。

「明るく楽しい」と銘打ってあるものの、話自体はシビアなものです。それでも私が思わず爆笑してしまったのは、早川さんが学習会に保護者と参加している小さな子供たちの注意をひきつけるべく、ご機嫌を取っている様子でした。

注意散漫になってきた幼児に、「ああ、お名前はー?ああそう2歳?」 青プリンマークを指して、「これが変わるから、見ててねー」 「おそうじ、手伝ってねー」 「きれいにすれば住めます。食べ物には気をつけてください」 (子供が、「ばななー」) 「ああバナナは南の国から来たから大丈夫ね」

早川さんも、「どこも汚染されてしまった、食べ物も汚染されてしまった」と小出さんと同じことを言っています。それでも笑えるのは、小さな子供が好き勝手を言っても大丈夫なリラックスした雰囲気であることもさることながら、それではどうしたらいいのか、が個人のレベルで具体的に見えてくるからではないか、と思います。



Video streaming by Ustream

(追記3月25日: それにしても、事が放射能に汚染された災害がれきの話になると、早川さんが「広げろ、燃やせ」になるのには閉口。がれきの拒否は東北の人への差別だ、とどこぞで聞いたせりふ(がれきを米、農作物に置き換えて見ましょう)が飛び出すのには更に閉口。)