Sunday, April 10, 2011

京都大学原子炉実験所小出裕章ライブインタビュー4月10日

岩上安身さんの7チャンネルでライブインタビュー。

「循環して冷却できるシステムを早く作り出すべきだが、圧力容器がすでに破損しているので、水が循環できない」

「これしかないだろうと思っている方法は、圧力容器と格納容器を一体として考えること。格納容器・サプレッションプールに流れてきた水をまた圧力容器にもどす、そのループの間に熱交換器を入れて、何とか水を冷やす。」

「ただし、大変な被爆環境になる。あと何週間、何ヶ月かかるかわからないが、これが唯一の方法だ」

「配管を知らないので、果たしてそのようなことができるのかはわからない」

「被爆をしないで働くことは、現在すでに不可能。鉛のスーツを着てもさしたる効果がない」

「原子炉建屋に入るのは大変な被爆環境」

「格納容器にも穴が開いているが、ある程度の漏れは仕方がない。1号機の格納容器は2号機よりはまだまし」

「めちゃくちゃに濃度の高い汚染水はもちろんこのまま出せない。出さないですむような算段」

「タンカーで柏崎刈羽に運ぶことを提案した」

「何百種類もの放射性核種のうちヨウ素とセシウムが多く出ているのは揮発性が高いため。数パーセントが出ている。最悪のシナリオは水蒸気爆発で、格納容器、圧力容器ともに破損する、そうするとヨウ素、セシウムが数10パーセントといった単位で出てしまう」

「ストロンチウム、プルトニウムは揮発性が少ない。現在は微小量しか出ていないが、水素爆発してしまうと、それが数パーセントから10パーセント程度出てしまう可能性」

「爆発が抑えられても、揮発性の放射性核種が数10パーセント、何年もかかって出かねない。チェルノブイリではセシウムが30パーセント、ヨウ素50,60パーセント出た」

「福島原発の方々が、多分一番自分のプラントのことをよく知っている。大変だろうが、できるだけがんばってほしい」

「政治には何の期待も持っていないので、政治家の人たちと話をしたいとはまったく思わない。現場の人と話し合えるのなら喜んでいく」

再臨界の可能性について、再臨界とは一体なんなのか

「地震が起こるとウランの核分裂をまず止めなくてはならない。制御棒は多分作動したと思う。が、崩壊熱のためにこういう事態になっている。止めたはずのウランの核分裂がまた始まってしまうと、また熱が発生してしまう、それを再臨界という」

「最近になって、東電が公表しているデータを見る限り、再臨界が起こっているとしか思えない、と考えるようになった。」

「クロル38はクロル37に中性子がくっついてできる。3月の末でまだクロル38が検出されている、そうなると中性子はどこから来ているのか」

「超ウラン元素の中のキューリウム242、244は自発核分裂で中性子を出す。しかし、東電の発表したクロル38の量はすごく多い。それを見ると、自発核分裂からの中性子では追いつかない。再臨界(つまりウランの核分裂再開)としか考えられない」

「再臨界が起こったからといって、おしまい、というわけではない。原子炉の中にあったウランの核分裂が止まったはずが、70%燃料損傷、被覆管がなくなってしまっている。中のウランのペレットが崩れて、大きな塊になってしまうと、また臨界がおきてしまう。熱が出る。そうすると、いったん臨界は収まる。またしばらくするとまた臨界がおきる」

「再臨界自体が水蒸気爆発を誘発するものではない。燃料ペレットの溶け方がまだ少ない」

プルトニウムの検出はウランのペレットが溶けた証拠ではないのか

「2800度にならないとウランは溶けない。東電はそれを認めたくない。一部のペレットが溶けていることは確かだが、原子炉内の100トンのウラニウム(1号機は数十トン)全体は溶けていないとおもう。溶けてしまうと、溶けて圧力容器の下に落下(メルトダウン)したときに、たまっていた水に反応して水素爆発が起きる。その外側の格納容器は圧力容器より薄い」

「プルトニウムは、ウランが溶けない限り出てこない。ヨウ素、セシウムと違って揮発性ではないので」

「再臨界というのはウランの核分裂、核分裂から発生するのは熱と、核分裂生成核種。熱を取れなければ、メルトダウンになる」

最悪(メルトダウン、水素爆発、その連鎖)が起こってしまったらそのあとはどうなるのか

「チェルノブイリは4号機だけ、100万キロワット。福島は1号機から4号機まで合わせると300万キロワット。どこかひとつが最悪事態になると、それでもう作業はできないので、連鎖は避けられない。悪いことに、使用済み核燃料プールもそうなると手当てできなくなる。チェルノブイリの6倍7倍、10倍の放射能が出かねない」

日本に人が住めなくなる?

「チェルノブイリは発電所200キロ、300キロが強制疎開になってしまった。そうこうするうちにソ連がつぶれてしまった。700キロの風下まで、日本だったら放射線管理区域にしなければいけないレベルになっていた。これが日本で起きてしまうと、関西だって危ない」

「私はホウ素を入れている限り再臨界はおきないはずだ、と思っていた。東電はホウ素を原子炉に入れなくなったんではないか、と疑っている。海水の中の塩が煮詰まっていて、塩の塊が析出している状態だと思う。それが水の循環を邪魔しているのかもしれない。ホウ素も大量に入れるとそれが析出してしまうので入れたくなかったのかもしれない」

「いまホウ素を入れても、届くかどうか」

宮城の余震と日本の原発の危険度

「原子力発電所は機械である。機械は壊れる。機械を動かしているのは人間である。人間は間違える。事故は必ずおきる、と思わなくてはならない。発電所の全所停電は決して起こらない、という、想定不適当事故として扱ってきたが、ちゃんと起きた。どこであれ、原発では必ず事故が起きるんだ、と思っていなくてはならない」

「もんじゅはプルトニウムを作るための特殊な原子炉。もんじゅの特殊性はナトリウム。水という一番すばらしい冷却材を使えず、ナトリウムを冷却材で使わなくてはならない。ナトリウムは水に触れると爆発、空気に触れると火事になる。これ(もんじゅ)がこわれると、何にもできない。水もかけられない」

「六ヶ所村には3000トンの使用済み燃料、ひとつの原子炉が一年に出す使用済み燃料は30トン。六ヶ所村はひとつの原子炉100年分の使用済み燃料が保存してある」

原発がなければ電力需要をまかないきれない、といううそ

「火力発電所の出力はわずか全稼動時の48パーセント。火力と水力で需要は実はしっかりまかなえてしまう。」

「原子力はいったん動かすと止められない。揚水発電を加えると、原子力は非常に高価で、無駄。蒸気機関の宿命として、33%の熱効率しかない。火力発電所の熱効率は50%まであがっている」

「これだけ原発ができたのは日本の政府と電力会社が、とにかく原子力をやりたかったから」

「ここまできて、なお原子力をやめられない、という日本の方は、理解できない。需要が足りようが足りなかろうが、原子力をやめるべき(実際は足りる)」

「原発をベースにした電気料金が高くなってしまったので、アルミ精錬がつぶれてしまった。現在生き延びている唯一1つの精錬会社は、自社の水力発電を持っている」

「原子力はあらゆることを考えても最悪の選択だ、と思う」

「破局を避けるには福島原発の方々にがんばっていただくしかない。大変に苦しい選択だが、それ以外にない」

約1時間15分のインタビューでした。最大で5200人以上の方が、見てらっしゃったようです。スクリーンキャプチャーしたチャートは明日出します。(すいませんこっちは真夜中なもんで…。)

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