Friday, April 29, 2011

「政府の「もぐらたたき」的対策は法律違反、正義、人道に反する」小佐古敏荘内閣官房参与辞任、記者会見での声明全文

東京大学大学院教授(工学系研究科原子力専攻)小佐古敏荘氏が内閣官房参与を辞任、4月29日に衆院第1議員会館で記者会見を行いました。従って、取材したのは記者クラブのメンバーのみ。

折も折、大手メディアのサイトは英国王室の結婚式の報道に忙しく、連休初日と言うこともあって、軽い報道(朝日)か、無視(読売)。より詳しく小佐古氏の発言を出したのが毎日産経。朝日、毎日は、菅首相の「専門家の間の見解の相違から辞任された」という発言を引用しています。

ここで、面白いことに、NHKの科学文学部のブログが、記者会見の声明の全文を出しています。記者との質疑応答の部分はないものの、小佐古教授の考えがよく分かります。

これを読む限り、「見解の相違」などという生易しいものではない気がします。教授は、政府の場当たり的な対策が違法であり、正義にもとり、人道に反し、国際常識に外れる、と強く批判、特に、幼稚園保育所小中学校生徒の限界放射線量を年間20ミリシーベルトに引き上げたことについて、「容認すれば私の学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と絶句(毎日は恐らく記者会見の質問部分からの引用かと思われます)。こんな政府にこれ以上関わっていたくない、ということなのでしょう。毎日のサイトには、会見で涙ぐみ絶句する教授の写真が出ています。

肝心なところを赤字でマークしようと思いましたが、今後の要望として挙がっている事項1番以降、全部肝心なので、よおっくお読みください。その中でも特に目に付いたところだけ、赤字にしました。

肝心なときに(3月下旬)に役に立てなかったSPEEDIだけじゃなくて、WSPEEDIという、数千キロまでカバーして甲状腺等価線量、実効線量予測が出来るシステムがある、って、知ってました?私は初耳でした。また、教授は年間10ミリシーベルトの被曝量についても、「ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値」と言っています。

以下、NHK科学文学部4月29日付けブログポストおよび会見声明全文掲載:

東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応に当たるために、先月、内閣官房参与に任命された、原子力の専門家で東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏 が、記者会見し、「政府の対策は法にのっとっておらず、場当たり的だ」として、内閣官房参与を辞任することを明らかにしました。

記者会見で辞任の理由について説明した資料を全文掲載します。

*文中の下線は、原文のままです。

*もとの資料に誤字と思われる箇所が2か所あったので、小佐古氏に確認の上、訂正しました。(4月30日午前10時20分)

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平成23年4月29日

内閣官房参与の辞任にあたって
(辞意表明)

内閣官房参与

小佐古敏荘

 平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災 害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月 30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
 なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。

 私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行って いる活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の 足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。
 特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
 ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
 さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りました。

 この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境 影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言 チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は 現実の対策として実現されました。
 ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこ と」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものにつ いては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。


1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい

 この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ 思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定めら れており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。

しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。
 
  とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判 断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放 射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、 指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちん と活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。

  初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍 のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力 研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木 県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。

 また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断 と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で 国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本 部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、 そう答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40-50年前の考え方に基づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の 諮問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再 引き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線 審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメー ルで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判 断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。


2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい

 緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります

 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎 として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状 態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせ いぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月 間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放 射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け 入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この 数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。

また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団 が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽 視、IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る 必要があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強 く求めるものである。

以上

Christopher Busby氏インタビュー翻訳(中鬼さん)

先日ビデオを出したChristopher Busby氏のインタビューを翻訳なさった方がすでにいらっしゃることを、このブログの読者の方が教えてくださいました。ありがとうございます。

「中鬼と大鬼のふたりごと」ブログに出ています

私が見つけた訳文中の若干の誤認を最初にお知らせして、中鬼さんの全訳を出しておきます。(同じ番号を訳の中に入れました。)

1.「亀裂の問題」ではなく、Busby氏が言っているのは Fissioning、つまり核分裂の問題です。
2.100テラベクレルで正しい。
3.「ジルコロイド」ではなく、キセノンの同位体、と言っています。Xenonは、英語ではゼノン、と発音する人が多いのです。
4.「漏れている原子炉」ではなくて、これも ”fissioning reactor”、つまり、まだ核分裂を起こしている原子炉、ということです。

---------(以下、全文引用)---------------

チェルノブイリ原発災害25周年:クリス・バスビー教授インタビュー和訳

クリス・バスビー教授(Prof. Christopher Busby), Scientific Secretary of ECRR

司 会:今世紀最悪ものとなった福島の事故について、バスビー教授、お越し頂きありがとうございます。まず、あまり広くメディアで浸透していない議論なのです が、福島で起こった爆発の一つが実は水素爆発ではなく、原子炉の一つ(※3号機)での核反応が原因だったというのがあります。もしもそれが真実だったとし たら、まさか東電はそんな重大な事故を隠蔽したりはしませんよね?

バスビー教授:私は東電がそれを隠蔽するということはあり得ると思って います。原子力産業が二枚舌を使うことや隠蔽をすることは歴史的に常に続いていることです。いつでも彼らは情報を自分達の都合の良いように変えてしまいま す。私はおそらく核爆発があったと考えていますが、それは原子炉容器の方ではなく、使用済み燃料タンクでの爆発だと思います。プルトニウムやMOX燃料が 含まれているタンクですね。あのすごい煙を上げた爆発をビデオで見た人は、誰もがそれが水素爆発であるはずがないと思ったはずです。

司会:水素爆発ではなくて核爆発だったとしたら、それはどのような意味をもつのですか?

バ スビー教授:別に何か変わるわけではないですが、問題となるのは、爆発と同時に膨大な放射性燃料が蒸発して拡散していまったということです。だから、その 周りは非常に高い放射能濃度になっていることでしょう。あとはメルトダウンしてますね。そしてまだ亀裂の問題[1]がありますね。もしかしたら容器自体に裂け目 があるのかもしれません。一日に100テラベクレル(?)[2]の放射性物質が放出されているのです。これは本当に深刻な問題です。チェルノブイリも核爆発でし たが、数週間前にベルリンで発表されたことですが、測定された核種(isotope)のジルコロイド(?)[3]の値をみると、これが水素爆発ではなく核爆発 だったことが分かります。

司会:多くの人たちがチェルノブイリと福島第一は比較できないと言っています。その中であなたはずっと福島第一がチェルノブイリよりも悪い状況になると言っていました。現在でも同じ見解をお持ちですか?

バ スビー教授:はい、そうです。とても悪い状況になる可能性があると思っています。その理由は、チェルノブイリに比べて福島第一の現状は制御されていないの です。旧ソ連はできる限り素早い行動で制御することに努めました。日本は随分とリラックスした対応をしていると言わざるを得ません。まず避難勧告が緩い。 まだ多くの人たちが避難すべき場所に残っていますし、私の意見では最低でも60kmから70kmの範囲で避難勧告をだすべきだと思います。70km地点で 高濃度放射能を計測しているのです。その量はチェルノブイリの避難区域の数値より高いんです。東京やその南部の地域でも高い放射能が検出されていることか ら、チェルノブイリに比べてとても多くの人たちがリスクにさらされているのです。チェルノブイリの時は、風が北に向いたために首都のキエフに放射能の汚染 があまり広がりませんでした。要するに影響を受ける人の数が全然違うということです。ベルリン(の国際会議)で発表したECRRのリスクモデルを使った計 算方式によると、チェルノブイリ事故が原因で癌になった人の数は140万人でした。我々はほぼ同数の人たちが福島第一の件で癌を発病するであろうとみてい ます。

司会:幾つものメディアで『長期的な健康被害はまだ分からない、しかし一般的に人間へのリスクは低いとみられている。』『福島第一 での放射能汚染による健康被害は確認されていない。』というような事を聞きます。これはまだこうした判断をするには時期尚早ということなのか、それともあ なた自身が過剰に反応をしているのかなどと言いそうな人もいそうですよね。

バスビー教授:時期尚早というわけではありません。チェルノブ イリに関して言えば、疫学的に癌発病率の増加など様々な研究がなされています。歴史を無視する人たちがそれを繰り返してしまうのです。こういう話を軽視す るのは、ほとんどが原子力産業の人たちです。多額の利権が絡んでますから。

司会:日本政府は9ヶ月で事態を収拾できるとしていますよね。冷却をさせて放射能の漏出を止める。あなたはそれが可能だと思いますか?

バスビー教授:すみません。イアフォンに問題があるみたい。

司会:日本政府が特別なカバーをかけたり、冷却を成功させたり、放射能の漏出を止めるなどして9ヶ月で事態の収拾をはかるとしていますが、あなたはそれが現実的だと思いますか?

バスビー教授:たぶん無理でしょう。そのカバーをかけたとしても、地下から放射性物質は漏れて海水に流れでるし、漏れている原子炉[4]にコンクリートをかけても封じ込め(石棺)なんてできないんです。

司会:最後に、海水への漏出の事がでてきたのでそれについて。チェルノブイリは陸地にあって、福島第一は海に面している。これは汚染が日本を離れて広範囲に広がるという観点からどのような意味をもつのでしょう?

バ スビー教授:もうすでにアメリカでは放射性物質が検出されてますよ。ウランもプルトニウムもハワイやマリアナ諸島のエアーフィルターから数値がでていま す。さらに汚染された海水も海岸に届きますね。だからこれはとても深刻な問題だと言っているのです。しかし日本政府や原子力産業によって一連の事は軽視さ れています。とっても深刻なことなんですよ。この為に多くの人たちが病気にかかって亡くなってしまうのですから。

司会:バスビー教授、興味深いお話しをどうもありがとうございました。

<訳:中鬼>

Thursday, April 28, 2011

中部大学武田邦彦:「文科省が(規制値以下の)汚染された食材を給食に使わせるのは法律違反」

先日武田さんのブログに出てすぐ引っ込んだ、いわき市長あてのメッセージのポストの書きなおしが登場。

武田教授の4月29日のブログ (強調を入れたのは私です):

給食 法律上(規制値以下の)汚染された食材は使えない!



(この記事は、ある市の給食問題を取り上げたものを書き直したものです。書き直した理由は、私はこれまで、

「個人を批判せず、意見を批判する」

というのが信条で、今までも首相、東大総長など限られた人以外は、個人の批判を控えてきました。

しかし、このところ、市長などが市民に被ばくを強制する例が目立ち、つい具体的な市長の名前で批判をしました。

でも、やはり個人を批判すると論点が曖昧になりますので、書き直しました。内容はほぼ同じです.)

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食材が汚染し、子供が被ばくしています。

その中で、福島を中心として学校で「地産地消」の食材を使った給食を実施しているようです.

福島ばかりではなく、東京などでも「災害地の農産物を使おう」というキャンペーンなどがあり、給食に「規制値内の野菜」が「安全なもの」として使われて、お母さんを心配させています.

給食の問題は複雑で、これまでもいくつかの論争がありました。

それらは、いずれも学校というものが「集団の規律を教えるところ」なのか、「自由な個人を育てるところなのか」でした。

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給食は児童が一斉に食べますから、一人の児童が「わがまま」を言うと、給食自体が成り立たないという面があります。

一方では、憲法で「思想信条の自由」が認められていて、たとえば宗教上の理由で豚肉が食べられない児童に対して、どのように考えるかという問題があります。

このように給食の問題は、二つの見方がありますが、

「放射線で汚染されている食材を使った給食を児童に強制できるか?」

「市長、教育委員会、校長、給食担当専門家は、それを決める権限があるか?」

について考えてみたいと思います.

なお、「汚染されている野菜」とは、

「規制値内だが、普段に比べて汚染が見られる場合」

とします。つまり、規制値を超える野菜はもともと販売されていないと仮定します.

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従来からの給食問題の議論は、アレルギーの子供の場合と、給食費が払えない親の問題です.これを「行列のできる法律相談所(2006年)」から見てみましょう.

問題は「アレルギーのある子供は当然、弁当が許されるが、アレルギーのない児童の給食拒否、弁当持参を禁止する教師は違法なのか」という設問です.

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【橋下徹弁護士】

弁当禁止は違法ではない。義務教育というのは英数国理社の科目を教える場ではない。集団ルールを教えるのが義務教育で一番重要な事。アレルギーの場合は食べない自由は当然であり、弁当は許されるが、そうでない時に給食を食べない自由を許すと、授業を受けない自由や、体育の科目ごとに授業を受けない自由など、どんな自由でも許されるのかという事になる。自由、自由と言っていたら集団ルールを守れるような子供には成り立たないので、弁当は禁止するべき。

【北村晴夫弁護士】

弁当禁止は違法である。給食を強制するため弁当を禁止するのは違法! 学校給食の目的は、集団行動を教えるためではない。 子供の成長の為、栄養を補給させる為である。 経済的理由や母親が弁当を作る時間がない子供の為に支給している。 集団行動を教えるために「これを食べなさい」と強制するのは本末転倒であり、目的を取り違えている。 学校は「人はそれぞれ違うのだからいじめてはいけませんよ」と教えるべき。「イジメにあうから主義・主張と違うものを食べなさい」というのはおかしな話である。

【住田裕子弁護士】

弁当禁止は違法である。今の世の中の流れとしては「多様性」。

健康上や宗教上の理由、ライフスタイルの信念など、ある意味では正当な理由があってやりかたも相当である限り、弁当持参は認めるべき。

【丸山和也弁護士】

弁当禁止は違法である。教育というのはそれぞれの生徒の個性を引き出してそれを発展させていくことが目的であって、画一的な教育というのは、日本の場合、強すぎるので、そう言うところは自由にしていったほうがのびのびした人間に育つ。

学校が弁当を禁止するのが違法という弁護士が多いのが現状です.

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この議論で判るのは、

1. 法律違反をしてまで学校側が弁当を禁止できない(レベル1)、

2. 児童の健康に影響がある時は弁当を禁止できない(レベル2)、

3. 社会は多様化しているのだから、合理的な理由があれば弁当を禁止できない(レベル3)、

4. 給食は家庭の事情で弁当を持って来ることができない児童のための栄養補給であり、弁当禁止などはまったくできない(レベル4)、

という感覚の差があり、昔でも「レベル1合格」は当然で、今は「レベル3合格」ぐらいのところが社会通念だということも判ります.

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これから見ると、「地産地消」という意味で、福島県の小学校が「福島産」の食材を給食に使うときに、保護者がそれを拒否できるかと言う問題を考えてみたいと思います.

まず、文部省が所轄する法律「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」によると、

1. 放射線の被曝はできるだけ少なくすること、

2. 児童(一般人)の被ばく限界を、食品からの内部被ばくも含めて1年に1ミリシーベルト以内にすること、

としています。



また、左の図は文科省の通達ですが、文科省(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)は現在のホームページに法律の改正で被ばくをみだりに増やす行為に対する罰則規定を強化しています.

ここでは、「一般公衆の線量限度」を1年間1ミリシーベルトとし、かつ「放射性廃棄物」を排気するときの「クリアランスレベル」として、「1年間10マイクロシーベルト以下」としています.



つまり、「被ばくはいろいろなことが原因して起こるので、1つのことで規制するときには、規制値の100分の1」という通常、食品安全などに使われる考え方をそのまま踏襲しています.
(機会を見て「社会の安全を保証する100分の1のルール」についてお話しをします.)

だから、

1. 今、文科省が勝手に「1年1ミリシーベルト」を「1年20ミリシーベルト」にしているが、これは「有罪」で、1年以下の懲役刑になる、

2. 「この食材は大丈夫」というためには、1年間10マイクロシーベルト以下(規制値の100分の1)でなければならない、

と文科省自身がそのホームページで言っていることです.

・・・・・・・・・

つまり、福島産、茨城産のように、現在は1年に10マイクロシーベルト以上の野菜や牛乳が多いので、その食材を給食に使用することは「文科省の法律違反、懲役になる」ことであり、議論の余地無く、学校は給食に「汚染されている可能性のある食材」は使えない事になります。

文科省も先生方も、文科省の法律を犯してまで、児童を被ばくさせようとしないでください。

(平成23年4月29日 午前10時 執筆)

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)放射性ヨウ素拡散予測4月28日~30日

風向きが幸いしてほとんどは太平洋側に流れるようですが、沿岸地域の方は引き続きご注意なさってください。30日には主に東北の内陸に向かっています。

日本時間にするには7時間足します。

Area A(紫色)は最大0.3マイクロシーベルト/時、Area B(青色)は最大3マイクロシーベルト/時となる可能性がある地域、Area C(水色)は30マイクロシーベルト/時、Area D(黄色)は300マイクロシーベルト/時、Area E(オレンジ色)は3000マイクロシーベルト/時、つまり、3ミリシーベルト/時で、福島第1原発の放射線量を示している、との説明です。

Wednesday, April 27, 2011

福島県郡山市立橘小学校放射線自主測定ネット公開取りやめ

(4月29日アップデート:放射能自主測定データ、橘小学校のホームページにPDFファイルで復活予定。4月28日付けポストより「校内で現在も測定しております放射線測定値は、今後は「学校便り」で保護者の皆様にお知らせいたします。また、地域の方々からのご要望もあり、ホームページにも同様のデータをPDFファイルで掲載することといたしました」とのことです。毎週月曜日、PDFファイルをアップするそうです。)

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ネットに出せるのは公的機関の測定したものに限る、ご存知でしたか?

4月26日付けの学校からのお知らせ:

『先日来、本校独自で実施した校舎内及び校庭等の放射線測定値をホームページに掲載してまいりましたが、インターネット等での測定値の発表は、文部科学省や 県など公的な機関が測定したものに限るとのことから、今週からホームページへの掲載は中断することとなりました。なお、学校独自の調査はこれまでどおり継 続し、数値の推移等については、学校便り等で保護者の皆様にお知らせしてまいりますので、ご理解いただきますようにお願いいたします。』

IWJ・USTREAM民主党川内・辻議員主催の原発勉強会中継、中部大学武田邦彦教授講演

あああチャンネルに行ったらちょうど終わったところだった!

武田さんがブログでお書きになっていることとほぼ同じようなことですが、聞いたほうが分かりがいい、という向きには良いのではと思います。

日本時間4月28日10時30分より開始された原発勉強会を取材したのは相変わらず岩上安身さんのIWJだけだったとのことです。

ちなみに、福島第1原発からの放射性物質の放出が一日154テラベクレルだった(24テラベクレルではなく)というとんでもないニュースがブレークしたのは、この勉強会でのことだったそうです。

第1部



第2部:

米英専門家:福島第1原発3号機の爆発は水素爆発ではなく使用済み燃料プールが臨界状態になって爆発した可能性

(Update2: Gundersen氏のビデオ、日本語に訳しました。こちらです。)

(Update:Busby氏のビデオ、日本語訳あります。中鬼さんがおやりになったものです。こちらでどうぞ。)


一人目:Christopher Busby氏(イギリス)の4月25日RT(Russia Today)インタビュー「3号機は使用済み燃料プールからの核爆発」:


二人目:Fairewinds AssociatesのArnie Gundersen氏(アメリカ)の4月26日ビデオ「3号機爆発は使用済み燃料プールが臨界状態になったためか?」:

Gundersen Postulates Unit 3 Explosion May Have Been Prompt Criticality in Fuel Pool from Fairewinds Associates on Vimeo.


爆発したのは3月14日の午前11時1分、無防備に近い自衛隊隊員が3号機給水支援のために3号機付近でトラックから降りようとしたちょうどそのとき。(毎日新聞参照。)

Gundersen氏のビデオには、1号機と3号機の爆発の際のビデオが並んで表示されます。

両方のビデオとも英語ですが、あとで抄訳をつけたいと思います。(どなたかやってくださっても大歓迎。コメント部分にお残し下さればチェックした後出します。)

Tuesday, April 26, 2011

いわき市 小中学校で”給食再開”

日テレNEWS24、4月25日(福島中央テレビ)

先月の震災で共同調理場の多くが被災し給食がストップしていたいわき市ですが、きょうから、小学校と中学校の給食を再開しました。
いわき市では、先月の震災と今月に入ってからの大きな余震の影響で、市内に8か所ある学校給食の共同調理場の建物が壊れるなどの被害が出ました。
一部の調理場では、建物の床に亀裂が入ったり、大きく沈み込むなどして、調理を再開出来る見通しが、立っていません。
このため、いわき市では、調理場が復旧するまで、調理場を使わずにすむ限定メニューで、きょうから、給食を再開しました。
市内の中央台北小学校でも、原発事故の影響で一緒に校舎に入っている久之浜第一小学校とともに、給食が配られました。
▽記者「震災から初めての給食、子どもたちに、いま給食が配られて久しぶりに教室の中には笑顔が広がっています」
▽給食「おあがり下さい」「いただきます!」
きょうの給食は、パンと牛乳だけで量もすぐに食べ終えてしまう程のものでしたが久しぶりの給食に子どもたちは嬉しそうでした。
▽男の子「久しぶりに食べたのですごくおいしく感じます」
▽女の子「給食の量は少ないんですけどでも、被災者のことを考えるとこれで充分だと思います」
▽男の子「給食は量は少ないけど、作ってくれる人に感謝します」
▽先生「子どもたち、給食をとても楽しみにしていたので。おいしいですか?」
▽子どもたち「はい、はい!おいしいです」
▽先生「とてもよかったと思います。はい」
なお、きょうの給食には、県内産ではなく、県外産の原乳を使った牛乳が提供されましたが、すでに出荷制限が解除されているため、いわき市では、あさってから県内産の原乳を使った牛乳に変えるということです。

[ 4/25 18:53 福島中央テレビ]
日本時間で今日(4月27日)の給食から福島産の牛乳です。

いわき市長の農産物安全宣言のビデオ、ここです。これを聞いて、安心した人っていたんだろうか。

中部大学武田教授4月26日ブログ「いわき市の市長さんへ、あなたは神ですか?」ご参照。その際、教授のやはり4月26日のブログのこんな言も頭の隅においてください:

ところで、時々、日本社会には「悪魔の言葉」が出てくるが、

「自分だけ生きようとは思わない」

という驚くべき言葉がはやっているらしい。そしてマスクをしたりして放射線に対して防御している人に、

「あいつは自分だけ生きようとしている」

と非難すると言う.

今の状態が「放射線が強く、生きるのが難しい」と思うなら、防御したり、避難したりするべきで、自分で危ないと思っているのに、子供を道連れにするというのはどういうことだろうか?

なぜ、放射線が強い地域でも防御しないのか、少し理解できたような気がするが、自爆するなら自分だけがして欲しい。

「あいつは自分だけ」というところが、残酷で感心しない言葉である.

福島から避難した日本人、東京から避難した外国人を裏切り者だとかあしざまに罵る日本在住の外国人のブログまであるくらいですから、教授のおっしゃる「悪魔の言葉」を生み出す日本社会は、ちゃんと国際化したんですねえ、そういう意味では。

東電の汚染マップ(サーベイマップ)、東電のサイトに出ています

ここです。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index3-j.html

2011年4月23日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【4月23日現在】
2011年4月17日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【4月17日現在】
2011年4月14日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【4月14日現在】
2011年4月12日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【4月12日現在】
2011年4月7日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【4月7日現在】
2011年3月31日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【3月31日現在】
2011年3月23日
福島第一原子力発電所サーベイマップ【3月23日現在】

Monday, April 25, 2011

放射能暫定値の決め方:野菜はなぜ2000ベクレル?

どこをどうやってたどり着いたのかまったく覚えていませんが、食品を購入する際に放射能濃度を考えざるを得なくなってしまった日本の皆様の理解の一助になるのでは、と思われる記事にぶち当たりましたので、リンクしておきます。

日本科学未来館、という、東京の豊洲にある科学博物館のサイトで、4月19日付けで出ていた記事です。これによると、放射性セシウム起源の年間放射線量を5ミリシーベルト以下、放射性ヨウ素起源の年間放射線量を2ミリシーベルト以下に抑えるように、放射能濃度規制値を決めた、ということです。

福島原発事故以前、食品に含まれる放射性物質による自然内部被曝は世界平均で自然被曝放射線量の約15パーセントです。(放射線科学センター資料参考。)日本でも同じ割合だとすると、1.4ミリシーベルトの年間自然被曝量の15%、0.21シーベルトが食品から自然に摂取される放射線量ということになります。

福島原発事故という緊急時にあたって、この食品由来の内部被曝部分をセシウム、ヨウ素足して7ミリシーベルト以下に抑えよう、と理解しますがそうなんでしょうか?

この7ミリシーベルトがやはり全体の被曝線量の15パーセントだとすると、全体の年間被曝量は47ミリシーベルトになります。そういえば、年間の被曝許容量を緊急時なので大幅に引き上げようという話が続いていますね。IAEAのお勧めは確か50~100ミリシーベルト。計算上は合いますね。

となると、暫定値をそのように設定した、ということで、年間被曝許容量を実は既に上げているのだ、ということが言えるのでしょうか?(未来館の人にメールで聞いてみます。)

(以下、記事全掲。強調は私が加えました。)


【放射性物質】「暫定規制値」の決め方~野菜はなぜ2000ベクレル?~

福島第一原子力発電所の事故後、放射性物質が飛散し、実際に野菜や水道水から放射性ヨウ素や放射性セシウムが検出される事態となりました。放射性物 質は、普段から身の回りに存在していて珍しいものではありませんが、通常よりも量が多くなると健康への影響が心配されます。影響が生じない食品放射能レベ ルについては、ICRP(国際防護委員会)から1992年に食品に関する指針が示されていましたが、日本国内の基準として定まったものは2011年3月時 点では存在していませんでした

そこで震災後に、内閣府から食品ごとの暫定(ざんてい)規制値が発表されました。この暫定規制値では、放 射性ヨウ素がもつ放射能について、飲料水1kgあたり300 Bq(ベクレル)、野菜類では1 kgあたり2000 Bqまでという具合に、食品の種類に応じて重量当たりの放射能の上限が与えられています(下記リンク参照)。ではこの暫定規制値は、どのように決められた のでしょうか。
厚生労働省「魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定基準値の取扱いについて」

放射性セシウムの暫定規制値
現 在、原子力発電所からいろいろな放射性物質が出ていますが、特に放射性ヨウ素、放射性セシウムが問題となっています。放射性物質は種類ごとに身体への影響 が違うため、摂取上限値は各々の物質ごとに決められます。放射性セシウムは、体に取り込まれると全身に分布します。食品安全委員会はICRPの指針にもと づき、放射性セシウム起源の放射線量(実効線量)を、1年間で5 mSv(ミリシーベルト)以下としました。

暫定規制値は、この放射能濃 度の上限値を、さらに日本人の平均的な食事パターンに当てはめて、食品ごとにそれぞれの上限値を算出したものです。放射性セシウムでは、「飲料水」「牛 乳・乳製品」「野菜類」「穀類」「肉・卵・魚・その他」の5つのグループに分けて考えます。1年間に受ける放射線量の上限を食品グループごとに1 mSvずつとし、1年間での食品摂取による被ばく量がこの値を超えないように各グループでの放射能濃度の上限を決定しています。

さらに、 年齢グループごとの各食品グループの摂取量の違い(表の「年間摂取量」参照)や、身体への影響(式の「実効線量係数」参照)を加味する必要があります。こ れらの条件を考慮し、下の式で、それぞれの年齢グループについて放射能濃度を算出。そのうち最も低い濃度をさらに下回る値を暫定規制値としています。つま り乳児から大人まで、十分安全を確保した値となっているのです。

放射性ヨウ素の暫定規制値
一 方、ヨウ素は身体の中でも特に甲状腺に取り込まれるという性質をもつため、放射性ヨウ素起源の放射線量(実効線量)の上限は、1年間で2 mSvと定められていますこれを人が摂取する「飲料水」「牛乳・乳製品」「野菜類」の3グループに対し、2 mSvの9分の2ずつ、各々およそ0.4 mSvとして算出しています。放射性ヨウ素は半減期が8日と短いため、「穀類」「肉・卵・魚・その他」の食品カテゴリーに属するものを消費者が口にする時 点では放射性ヨウ素はほとんど含まれないものとして、これらからの放射性ヨウ素の取り込みは考慮されていないのです。

さて、2011年4 月4日、ほぼ存在しないとして暫定規制値を定めていなかった「魚類」(コウナゴ)から、放射性ヨウ素が相当量検出されました。そこで、新たに魚介類の暫定 規制値が加えられました(下表)。野菜を摂取した場合を転用して差し支えないと考えられ、魚介類の暫定規制値は野菜類と同じ2000 Bq/kgです

以上、暫定規制値の決め方をみてきましたが、国の安全衛生委員会では、今回の発表は緊急の対応であり、今後継続して食品健康影響評価を行なう必要があるとしています。長期的な遺伝毒性やがんへの影響も視野に入れて検討していく必要があります。

20110419_01_01.GIF

20110419_01_02.GIF

(科学コミュニケーター 竹下陽子)
協力:日本放射線影響学会

京都大学小出裕章:福島第1原発、がれきの墓場が出来る、地下水は止められない、「水棺」は疑問

大阪毎日放送、京大小出裕章さんインタビュー(4月25日)。

”「水棺」:意図的にやっているわけではない。ただ水が圧力容器から漏れていて、格納容器に溜まっているだけ。今の状態はまったく意味がない。燃料が水没するレベルまで水が上がれば何がしかの意味があるかもしれないが。

”何千トンもの水を格納容器に入れなくてはいけないが、格納容器はそんな想定も、設計もしていない。格納容器にはすでに何かしらの損傷があるわけで、水を入れていけば損傷が更に広がる恐れがある。「水棺」などは寧ろやらないほうがいいと思う。世界で成功したところなどはない。”




福島原発事故対策統合本部の初の統合記者会見午後5時より

私は寝ますが(こっちは真夜中、明日録画で見よう)、皆さんはしっかりご覧ください。

既存の政府が認めた記者クラブに属している記者のみ、フリーの記者は審査の後認めるかもしれない、などと政府が言ったのに怒ったネットの住人が、電話、メール、Twitterで執拗に抗議したかいがあったようで、フリーの記者の方々もちゃんと会見場に入れるようになったようです。質問の挙手を指してもらえるかは別問題。

統合本部の事務局長は他ならぬ細野「メルトダウンを積極的に発表する気分になれなかった」豪志首相補佐官。

ちなみに、現在までは、この統合本部の会合の際の議事録は作ってもいないので残しようもなかったんだそうです。(枝野官房長官の言。報道した日経新聞から、記事はすでに消えています。ブログでコピーしていた方々のお一人がここ。)

岩上安身
【IWJ・Ust中継】 本日17:00~会見統合後初の、福島原発故対策統合本部会見があります。Ch1でUst中継します。ぜひご覧ください。Ch1 →

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)放射性ヨウ素拡散予測4月25日~27日

25日は太平洋に吹き流れてくれるようですが、26、27日は南風で東北、北海道のほぼ全域に掛かります。お出かけの際、戸外のお仕事の際、ご留意ください。茨城、千葉はめずらしくほとんど安全。(と言ってもいままで降った分がありますが。)

まったくいつまで出続けるのでしょうか。一日で154テラベクレル(154兆ベクレル)の放射性物質が出ているそうですから、それで1ヶ月続いただけで「レベル5」の事故ですよ、まったく。

日本時間にするには7時間足します。

Area A(紫色)は最大0.3マイクロシーベルト/時、Area B(青色)は最大3マイクロシーベルト/時となる可能性がある地域、Area C(水色)は30マイクロシーベルト/時、Area D(黄色)は300マイクロシーベルト/時、Area E(オレンジ色)は3000マイクロシーベルト/時、つまり、3ミリシーベルト/時で、福島第1原発の放射線量を示している、との説明です。

Sunday, April 24, 2011

NHKワールド英語版が作った「風評」:「300ミリシーベルトのがれきが近くの山の中腹に」

東電が福島第1原発の作業員に配っている「汚染マップ」のニュースで、NHKワールド(英語版)が結構とんでもない翻訳ミスをしています。(多分。)

TEPCO discloses radiation map”というタイトルの記事の中ごろに、

Radiation levels around the Number 3 reactor building, which was damaged by a powerful hydrogen explosion, are higher than in other locations, and 300 millisieverts per hour of radiation was detected in debris on a nearby mountainside.

これを日本語に訳すと、

激しい水素爆発で損傷した3号機の原子炉建屋周辺の放射線量はほかよりも放射線量が高く、1時間当たり300ミリシーベルトの放射線量が近くの山の中腹の瓦礫から検出された

ニュースを読んだアナウンサーの人も、まったく疑う様子もなく堂々とニュースを読んでいます。翻訳ミスでないとしたら、これは重大な事実を東電も政府も隠蔽していて、NHKワールドがすっぱ抜いたことになります。

このNHKワールドのニュースを見て、3号機が爆発したときに実は高放射能の破片が近くの山まで飛んでいて、それを今になって報道しているのだ、と理解した海外のサイトが、ニュースをリンクしています。私も、そんなニュースサイトのひとつでこのニュースを知りました。

ところが日本語版のNHKニュースを見ると、

激しい水素爆発があった3号機の原子炉建屋周辺は、ほかよりも全般に放射線量が高く、山側のがれきからは1時間当たり300ミリシーベルトの高い放射線量が検出されています。

つまり、建屋の、山に面した側(西側)から見つかったがれき、と言っているだけなのです。海側、海に面した側(東)というのもあるわけで、NHKワールドで英語翻訳をなさった方は未だに福島第1原発の敷地のレイアウトをご存じないか、翻訳された原稿を見るエディターの方もご存じないか(それとも本当のスクープなのか)。

まあ、翻訳者が日本語があまり分からなかった、という可能性もあります。また、日本語があまり分からないエディターが英語だけ見て英語を直してしまった、という可能性もあります。

根拠のない記事、誇張記事を書く、といって外国のメディアを攻撃している日本政府の半公式な放送局であるNHKが、図らずも根拠のない「風評」記事、ニュースを全世界に発信してしまったわけです。なんとも、おかしく、情けない話です。

NHKワールドにはメールを出しておきましたが、返答は今のところなし。未だにニュースも元のままです。まあ返事が来て早くて1週間、その頃にはもしかして近くの山の中腹から300ミリシーベルトの瓦礫が出ているのかもしれませんね。ははは。

クロル38が出ていないから再臨界はしていないのか?

先日20日、東電が汚染水の核種分析を「やり直した」結果を発表し、クロル38は実は出ていなかった、ということになりました。それを受けて、読売新聞が京大の小出さんを名指しにこそしなかったものの、「燃料の再臨界が起こった根拠と指摘する専門家もいたが、再臨界を示す他の放射性物質は見つかっていなかった」ということで落ち着いたようです。

クロル38が出ていない、とした主たる根拠は、もしクロル38が出ていたら一緒に出ているはずのナトリウム24が検出されていないようなので、クロル38が「生成されたとは考えにくく、他の核種の散乱線などの影響でわずかに検出限界を超えたものと推測している」という、東電の結論です。

その結論はさておくとして、クロル38さえなければ再臨界はしていないのでしょうか?

臨界(再臨界)という状態は、ウランの核分裂が起きている、という状態で、ウランが核分裂するときに発生している核分裂生成物が出ていれば再臨界の可能性を疑って見るのは当然です。

それはどんな核分裂生成物かって?ほかならぬヨウ素131です。半減期が8日と短いヨウ素131は、スクラムで原子炉が停止してそのあと核分裂がちゃんと停止したのなら、スクラムが掛かった3月11日以降、空気からも、水からも、どんどん減少していってしかるべき物質ですが、相変わらず高いレベルで検出されています。

京大の小出さんが再臨界を疑ったのも、ひとつはクロル38の「検出」(間違いということになりましたが)、もうひとつはヨウ素131(半減期が8日、とおっしゃっているので、ヨウ素134ではなくヨウ素131のことと思われます)が減っていない、ということにありました。(4月5日ラジオ出演の書き起こしご参照)

また、小出さんだけでなく、アメリカの専門家も、部分的な再臨界が起こってはまた止み、ということを繰り返している可能性を言っています。

ついでに、東電の結論ですが、逆にもいえるんですね、これは。そういうへそ曲がりは私だけかと思ったら、ちゃんと他にもへそ曲がりの方がいらして、同じことを言っています。つまり、

クロル38が検出されているのに「Na-24が生成されなかったとは考えにくく、他の核種の散乱線などの影響でわずかに検出限界を下回ったものと推測している」

Saturday, April 23, 2011

東京大学森敏:「雨樋(あまどい)のむき出しの排水溝周辺の放射能値が高すぎる」

このブログでも以前ストロンチウム90に関連してご紹介した、東大農学部名誉教授森敏さんのブログより全文掲載。関東以北の方々、特にご注意。

教授の4月22日付けブログ

「雨樋(あまどい)のむき出しの排水溝周辺の放射能値が高すぎる」:読者からの貴重な警鐘です


以下の読者からの生の声をそのまま紹介する。これは測定事実である。

「苦労して線量計が自費で手に入ったので、私のいるところは東電福島原発から30キロ圏外なのですが、危機を感じて、自分で周辺を測定して回っています。空間放射線量を測定し回った結果、

ツルツルのブロック<コンクリート=アスファルト<むき出しの地面<植物の生えているところ

が高いのですが、実はそれ以上に危ないポイントが、

雨樋から垂れてくるむき出しの排水口近くや水の溜まる所

なんです。特に雨樋の排水口の下が地面や植物が生えているところは、めちゃくちゃ線量が高くなっています。30 μSv/hを越す線量率です。このような地面は10 cm程度掘っても10 μSv/hをくだらないのです。

理由として考えられるのは、屋根の面積だと思われます。近隣の地面では3-4 μSv/h程度なのですが、同じような面積のものが屋根を伝い、雨樋で濃縮され、一点に降り注ぐので局所的に高線量になっています。たった、10-20cm離れるだけで値が変わります。

少なくとも何も知らないで近寄ると危険だと思います。雨樋の下は危ない場合もあることを皆さまに知らせてもらえませんでしょうか?

ちなみに、雨樋の出口の下が排水溝になっていればこの限りではないのですが、そのまま垂れ流しっぽくなっている箇所で、且つ地面や植物が生えていると高線量が予想されます。」

震災、原発事故のドサクサ紛れのリニア新幹線計画

amanakuni.net、4月23日エントリーより。

震災や原発事故のどさくさに紛れて、リニア新幹線の計画が進行しよう としています。大量の電気を喰い、強力な電磁波を及ぼすリニア中央新幹線は原発とリンクしたものです。国土交通省は一昨日中央新幹線小委員会の最終答申を出し,昨日、最終答申に対するパブリックコメントの募集を 始めました。 その締め切りは5月5日(必着)です。この計画は南アルプスの地下をほぼ直線上に通すもので,大規模な自然破壊や周辺の電磁波問題が危惧され、電力消費は 新幹線の3~40倍と言われ、そのために原発が必要だという言われ方をしています。また原発と同じく大規模開発が利権の温床になることからほんとうに必要 なのかと言われつづけてきましたが、原発とまったく同様に、いま国はどさくさにまぎれて進めようとしています。国土交通省の委員会・最終答申とパブリック コメント募集要項がここから見られます。できれば個人名でコメントを送ることと、この情報の拡散が呼びかけられています。

電力もさることながら、南アルプスの地下を通すだあ??原発事故だけでもうたくさんです。これ以上の自己破壊は止めてください。

産業が空洞化したアメリカでは、ウォール・ストリートの巨大銀行、投資銀行が本来の金融市場の機能には何の関係もない、ただ自分達のために商売を作り出すだけの目的で、政府、連邦準備銀行のサポートの元でサブプライムローンを取りまとめた債券を作って全世界にばら撒きました。その債券の価値が暴落したことがきっかけとなって、結果、2008年9月から11月の全世界的株価大暴落、それに誘発された形で全世界的経済後退を引き起こしました。その尻拭いをさせられたのは銀行ではなく、アメリカ国民。それも、政府に脅かされて(銀行が倒産するととんでもないことになる、と脅されました)銀行を救済するための巨額な金を、新たなる国家の借金と言う形で供出させられました。

この中央新幹線とやらも同じ類と見ました。なにもこんなルートで鉄道を通す経済的理由など、ないはずです。(ルートに当たる地域の利権を経済と呼ぶならまあ経済なのでしょうが。)アメリカほど産業がまだ空洞化していない日本で、企業(原発作るのと同じ重電メーカー、ゼネコンですね)に商売をつくりだしてやるには、政府がらみの大規模プロジェクトが一番。それが住民にとって必要か、なんてことは最初から度外視できるのが、政府がらみの大規模プロジェクトの強みです。それを海外にインフラビジネスとして売り込む。まるで原発と同じパターン。もし大事故になったら?尻拭いは政府、で、政府も金があるわけではないので、究極の尻拭いは国民です。

アメリカのサブプライムローンを基にした債券は幸いなことに紙切れ(デジタル版ですが)、株価が下がり、経済が停滞し、住宅の価格が激落し、人々は破産し家を失い会社は倒産しドルが下がりましたが、放射能も電磁波も出ませんでした。当たり前ですが。

海外の日本のイメージは、自然を大切にする、自然と共存する国、でした。まあ、勝手にそんなイメージを持つほうがおかしい、と言われればそれまでですが、南アルプスをぶち抜いて電磁波新幹線を通す、となったら、日本人はこれは民族的にどこかおかしいんじゃないか、と思う人たちが増えると思います。どう思われようと気にしない、と言われれば、またそれまでですが。

Friday, April 22, 2011

地方自治体はいったいどの高さで放射線を測定しているのか

実際に電話を掛けて聞いた人がいるようです。

色々なサイトで転載されて、私が読んだのは 『ジャーナリスト 木下黄太のブログ  「福島第一原発を考えます」』のメッセージ欄です。

ガイガーもってないもんで、何かのお役に立てればと
各県のモニタリングポストの地上からの高さを電話で聞いてみました
なんぞのご参考に。。。

※各県のご担当課の方々どうもありがとうございます
 もしかすると県民に有益な情報だと思いますので。。。


県     区・市町村     MP地上からの高さ
=================================
茨城県 北茨城・高萩・大子 約1.3m(可搬型)
     その他         約2.7m 
栃木県 宇都宮           20m
     その他         ビル屋上
群馬県 前橋            20m
埼玉県 さいたま          18m
千葉県 市原          約6~7m
東京都 新宿             18m
神奈川 横浜             23m
==================================
人間が歩くレベルで測っているのは茨城県のみ。

年間自然放射線量2.4ミリシーベルトの欺瞞

何時の頃からか、多分福島第1原発から「低濃度」汚染水(ちっとも低濃度じゃなかったんですが)を排出しだした頃から、年間自然放射線量が「2.4ミリシーベルト」と報道されるのがもっぱらとなっているようです。汚染水垂れ流しを発表した東電、また、枝野官房長官の言にも、「汚染された魚、海草を1年間食べ続けても600マイクロシーベルト、年間自然放射線量の4分の1にしかならない」、つまり、年間自然放射線量は2.4ミリシーベルトということになります。

ちょっと待て。確か日本の年間自然放射線量はもっと低かったはず。でも、現在、テレビ、新聞のニュースでは年間2.4シーベルトを普通でも浴びる、と当たり前のように言っています。

ところが、よくよく見ると、これは「世界平均」なのです。

そこで、日本の年間自然放射線量を探してネットをさまよったところ、中部大学武田先生の言で1.5ミリシーベルト、更に検索で、茨城県つくば市の放射線科学センターにたどり着きました。

結論から言うと、日本平均年間自然放射線量は1.4ミリシーベルト

センターの出している、「暮らしの中の放射線」41ページには、こうあります:

「自然放射線の量

「人間が一年間に被ばくする自然放射の量はどのくらいでしょうか。1988年国連科学委員会の報告では全世界で人類が平均的に被ばくしている自然放射線は下の図のように推定されています。全世界平均では年間2.4ミリシーベルトですが、日本における値は1.4ミリシーベルト(1988年10月推定値)となっています。」

日本の年間自然放射線量は1.4ミリシーベルト、世界平均のわずか58パーセントの放射線量なのです。センターによると、

「大地からのガンマ線が高いところとして、外国ではインドのケララ地方やブラジルの一部が知られています。この地域では年間数十ミリシーベルト程度と、なんと日本の数十倍もの値が報告されています。」

日本がこのような地域を含む世界各国の値と合算されて平均値にすると、世界平均で年間2.4ミリシーベルトとなる、というわけです。

日本平均の1.4ミリシーベルトという値は、宇宙線を含む外部被曝と食物、空気などから体内摂取する内部被曝の両方を含みます。内部被曝が全体の3分の2、外部被曝が3分の1という内訳のようです。放射能(ラドンなど)を吸い込むことによる内部被曝が全体の5割強を占めています。

世界平均ではなくて日本平均でみると、600マイクロシーベルト相当の放射線を福島第1原発で汚染された魚、海草で取り込んだとすると、年間自然放射線量の4分の1、25パーセントではなく、43パーセントです。

ところが、この1.4ミリシーベルトですら、東北、関東の地域にとっては多分高すぎるのです。センターによると:

「自然放射線の量は地域によってどのくらい差があるのでしょう。日本各地の宇宙線と大地からの放射線の量を下の図で見てみましょう。これには、ラドンなどの内部被ばくは含まれていません。関西や中国地方は放射性同位元素を多く含む花崗岩地帯が多いので大地からのガンマ線の量が多く、逆に、関東平野は火山灰地のためガンマ線の量は少なくなって
います。」

あああまったく。どうせここまでやるんだったらラドンも含めてよ!0.99ミリシーベルト以下、と言うのも、どれくらい以下なのか、分からないじゃないですか、まったく。

そこで、もう一箇所チェック。各都道府県別の自然外部被曝の数字を見つけて、それを3倍して全体の数字を比べて見ようという試みですが、果たして。

「文部科学省/放射線計測協会が簡易放射線測定装置「はかるくん」を貸し出して全国の自然放射線の計測を行い都道府県別の平均値が公表されている」、というリンクは日本地質学会からです。

放射線計測協会「はかるくん」の測定結果は、

福島県を見ると、0.037マイクロシーベルト/時です。一年で、0.037x24x365で、324.12マイクロシーベルトになります。これを自然外部被曝として、全体の年間自然放射線量はこれの3倍とすると、972.36マイクロシーベルト、または0.972ミリシーベルトとなります。

高いのは岐阜県、0.055マイクロシーベルト/時。同じように年間自然外部被曝量を計算すると、0.055x24x365で、481.8マイクロシーベルト、これを3倍して、1.45ミリシーベルト。

更に、日本地質学会の計算した日本の自然放射線量(地上1メートルとあるので、自然外部被曝分の放射線量だと思われます)は「はかるくん」の実測より更にばらつきは大きく、少ないところで0.00581マイクログレイ時(マイクロシーベルトと同等、との但し書き)、これは年間相当でわずか50.9マイクログレイ(マイクロシーベルト)の自然外部被曝量。多いところは0.127マイクログレイ時、年間相当で1.113ミリグレイ(ミリシーベルト)の自然外部被曝。つまり、外部被曝だけでも日本の中で20倍以上も差が出るのです。

全体の年間自然放射線量をここでも単純に自然外部被曝量の3倍とすると、少ないところで年間152.7マイクロシーベルトまたは0.153ミリシーベルト、多いところで3.339ミリシーベルトとなります。

概して東日本、東北は低めの値、関西四国九州は高めの値です。

これをひとくくりにして、日本の平均自然放射線量はは1.4ミリシーベルトとしているわけです。

ただでさえはるかに日本より高い世界の平均年間自然放射線量を基にして、現在の日本での許容量を推し量ろうとするのは、多分間違いでしょう。日本の自然放射線量はもともと世界平均の6割以下、日本の中でも地域差が激しいのです。

放射線を浴びると放射線への耐性が付く(Hormesis、ホルミシス効果)という考えを提唱する研究者もいますが、多くの研究者に指示されている学説とは言い難いようです。

まあ、こんな「学説」もあるようですから、ホルミシス効果もあるに違いありません。(皮肉です、念のため。)

「放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。(長崎大学大学院医歯薬学科薬学総合研究科長山下俊一、福島市2011年3月21日14時- 山下俊一氏・高村昇氏「放射線と私たちの健康との関係」講演会)」

警戒区域:政府の命令にどこまで従う義務があったのか

毎日新聞は実際に福島の現地に入って取材しているようですね。

その中の記事のひとつ、その最後に、こんな言葉がありました。

一方、第1原発の3キロ圏内は一時帰宅の対象外に。双葉町長塚から米沢市に避難している東電協力会社員、渡部恵丞(けいすけ)さん(32)は「一時帰宅で きたら衣類や日用品、3人の子供のアルバムを持ってきたかったが……。こんなことなら自己責任で戻って回収しておけばよかった」と肩を落とした。

その通り。本当にお気の毒です。

メルトダウンだと知っていながら「発表する気分になれなかった」から発表しなかった政府、放射線モニターの電源が入って再び測定できるようになったのが4月2日だった東電、いつまでたってもヨウ素131が出続けている福島第1原発。

政府も東電も、状況がろくに分かっていない状態だったにも関わらず、政府は住民に避難勧告。その一方で、政府の学者を福島に送り込んで、30キロ以遠はまったく安全です、とプロパガンダを広める。チェルノブイリにはほど遠い、と言い続けた挙句、レベル7事故に格上げする。格上げにしたことで、原発関連の対応が変わるのか、というジャーナリストの質問には、「変わらない」と余裕の笑みを見せた(西山審議官)その後で、警戒区域の設定、子供に年20ミリシーベルトの累積放射線量を許す。

これをまともに信頼できる人は、よっぽどのナイーブな人か、政府関係者でしょう。

このブログのサブタイトルに、「政府をあてにするな」と書きましたが、「政府を信用するな」、「政府はまず疑え」、「リーダーシップを他人に求めるな」などに差し替えたい気分です。

特に最後。毎日新聞の記事で、自己責任で戻ればよかった、と後悔する、渡部さんなら分かると思います。渡部さんがリーダーなんです。

OT:興国2年の大地震と平成23年の大地震

私は高橋克彦さんの初期の伝奇小説のファンなのですが、「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」といういわゆる偽書が良く出てきます。その中に、興国二年(西暦1341年)、青森の十三湊を襲った地震・大津波を記載した部分、ということで、高橋さんが小説(「竜の柩」)の中に引用している記述があります。今回の地震、津波のニュースを見聞きして以来、ずっとこの部分が頭にあります。あまりに今回の地震とそっくりなので。

(「竜の柩」ノンノベル版、30ページより)

大地震起り、近寄り大水わき上がり、田畑の各処、邸内はもとより、家の床下よりも噴き上がりぬ。また、墓地よりも湧上れるに、白骨一面にいでなむ処あり。道行く人々、田畑に労せる人々、ただ、唖然とて、地に座すのみなり。地揺れおさまりげ暫し、崩れし家をかたづくるの間、海鳴り聞えむや、数丈の大津波、一挙に十三湊より逆流なして見ゆ。一刻の大惨事と相成れり。安東船、諸国の通商船数百艘、木の葉の如く、怒涛に砕け、十三湊の蔵邸人家、ことごとく大津波に崩れ、福島城の牧に遊ぶる駒も、襲ふる怒涛に、千数百頭浪死す。各邑々の死者十万人、引く潮に流れ行く崩家材流木、海にいでては、渡島(北海道)にぞ陸続きたる如く見ゆ。さながらの地獄絵図なり。かしこに遺る人の骸に、鴉ぞ唖々として群がり、肉をつばむさまぞ、天なる怒りか、地なる憤怒か、水なるの報復か、ただ、神仏を念ずる身なり...

高橋克彦さんの小説では興国2年、となっていますが、原文の「東日流外三郡誌」では興国元年となっているようです。でっち上げ(偽書)というにはあまりにリアルな描写です。

平成23年の大地震の場合、北海道に陸続する流木ではなくてハワイに届こうかという流木ですが、まるで興国年間の大地震さながら。


写真は4月8日の英デイリーメール紙からです。なお、この太平洋横断中の「崩家材流木」、タイヤ、プラスチックのおもちゃなどの漂流予測の記事については、英語版のブログをご覧ください。

Wednesday, April 20, 2011

The Norwegian Institute for Air Research (NILU) キセノン133拡散予測

オーストリア気象研(ZAMG)のキセノン133(Xe-133)拡散予測マップがいつの間にか通常のヨウ素131の日本近辺拡散予測に代わっていましたね。失礼いたしました。

ノルウェーのThe Norwegian Institute for Air Research (NILU)が出しているキセノン133拡散予測マップをお出しします。日本近辺だけでなく、福島第1原発が世界中の問題であることが感じられると思います。4月20日から25日までの予測です。ジェット気流に乗ってどこまでも、というところですね。

サイトに行くと、ヨウ素131(I-131)、セシウム137(Ce-137)の拡散予測、更に地域別の予測も見ることが出来ます。

CNN:ゴーストタウン化した双葉町のビデオ

福島第1原発の水素爆発で住民が緊急避難して以来無人のままの双葉町の取材をしたジャーナリストをインタビューした、アメリカCNNニュースの4月12日付けビデオ

Youtubeチャンネルから消えた、といういわくありらしいですが、誰が消させたのか不明。日本政府だ!と言う人もいます。単に著作権を持っているCNNがYoutubeに出した映像を取り下げさせたのかも知れません。元のYoutubeは見ようがないので、判断が付きかねます。アップしたユーザーが取り下げた、というメッセージが出ます。

避難所に暮らす双葉町の方の、これは帰れない、という言葉。それと、町の通りを横断する、「原子力明るい未来のエネルギー」(しっかり五・七・五ですね)の看板が白々しいです。



CNNから直接ビデオのコードを取りましたのでまず消えないと思いますが、万一消えてしまったら、これを試して見てください。http://www.youtube.com/watch?v=zEQAZqL7rmw

中部大学武田邦彦:大人は子供たちを被ばくさせたがっている

としか思えない、と武田さんはおっしゃっているようです。「自爆主義」とも。こうなると、テロリストの範疇ですね。

茨城の方の母乳からヨウ素131が検出されたそうですが、一番守られるべき子供に真っ先に20ミリシーベルトの年間被曝許容量をあてはめて学校に通わせる日本の政府が、私には理解不能です。それを諾々と許す人たちも、理解不能。国が基準を決めたからそれに従う、という福島のお役所の人たちも、理解不能。

武田教授の4月20日のブログです:

●「雄々しく放射線に立ち向かう」というのが立派なことだろうか?

 なにか戦前を思わせる.放射線が人体に害があるというのは国民的コンセンサスなのに、なぜ急変して「我が身を放射線に曝すのが格好いい」となり、「ついでに子供も被ばくさせてしまえ」という自爆主義は許されるのだろうか?

●60の爺さんが「大丈夫」とパフォーマンスをして、その野菜を子供が食べるというのはどういう意味があるのだろうか?

現在のように全体的に汚染されているときには、思い切って汚染地域の農作物は捨てるのが正しい。無理して放射性物質を含む野菜を食べなくても良いのに、なぜ出荷するのだろうか?

●なぜ、給食に地産地消を強調するのだろうか?

子供は給食を拒否できない.拒否できないものに放射性物質を使うのは許されない.食を供給する人は「上司」の命令を聞いてはいけない.単純に子供の健康だけを考えることができる。栄養士は「専門職」である。上司はいない。栄養士の人、立ち上がってください!

●福島が汚染されたのは福島の人の責任だろうか?

福島の人は「福島が汚染された」と言われるのをいやがる。でも、福島を汚したのは福島人ではないのに、なぜいやがるのだろうか?
福島市を汚したのは国と東電なのに.

●東電のミスを福島の子供に転嫁するのは正しいのだろうか?

福島県は福島の子供を避難させない。これは「東電のミスを福島の子供の被ばくで贖う」ということだ。福島の親がそれで良いというなら仕方が無いが、放射線は子供や若い女性に厳しい。私は可哀想に思う.

●被ばくしている児童生徒を疎開させるのは面倒なのだろうか?

文科省は子供に20ミリという高い放射線をあびさせている。疎開させれば無事なのに、なぜ子供達を被ばくさせたいのだろうか?まるで戦時中の竹槍精神を思い起こす.先生方、立ち上がってください!

●東電のミスで汚染された食材を消費者に転嫁するのが魂のある農業だろうか?

農家こそ、「消費者が安心して食べることができる食」を提供してきたのではないか。今後も農薬が付いていても「基準以下」なら出荷するのか? 無農薬とか言っていたあれは何だったのか? 
農家の方、立ち上がってください!

●なぜ、福島の大人は子供を被ばくさせたいのか?

なぜ、福島の大人は子供を疎開させないで被ばくさせたいのだろうか? なぜ、安全委員会でも10ミリまでと言っているのを20ミリも被ばくさせるのだろうか? 保護者とはそんなに子供に権利があるのだろうか?

●放射線に高いところの人はなぜ、避難しないのだろうか?

放射線の障害は20年かかる遅発性が多い.一生に一度しかないのだから数ヶ月でも避難すれば良いのに。

● なぜ、突然、放射線が安全になったのだろうか?

今までの放射線の法規制、専門家の意見はいったい何だったのか? 「ちょっとでも危険な放射線」と言っていた専門家は、なにが変わって「いくらでも良い放射線」に豹変したのだろうか?

(平成23年4月20日 午後8時 執筆)

福島第1原発:アメリカ政府が80キロ圏を自国民の避難域にした理由

アメリカのエネルギー省が福島第1原発周辺地域で事故後1年間に受ける放射能被曝量の予想図を4月18日発表しました。

3枚目のスライドが予想地図です。これを見ると、30キロ以遠、80キロまでの広い地域で年間100ミリレム、つまり1ミリシーベルトの累積被曝線量が予想されています。2000ミリレム、つまり20ミリシーベルトを超える地域は、原発から北西方向に50キロ前後の地域まで広がっています。

予想図の元になったデータは、4月17日までに集積した計334時間の飛行観測、米エネルギー省、米防衛省および日本当局の約15万件の計測、504件の大気サンプルをアメリカで分析した結果、とのことです。(スライド2枚目)

室内にいる時間を考慮した被曝量ではない、また、原発周辺数百キロ四方で水、土壌の監視および必要に応じた介入が不可欠だ、とも言っています。

もっとも、室内でも換気がなされていれば外の放射線量とそれほど違うわけではない、とおっしゃる専門家の方もいらっしゃいますので、室内にいれば半分、あるいはそれ以下になる、とは限らないようです。

また、この予測は外部被曝および空気中の放射性物質を吸い込むことによって起こる内部被曝をカバーしていますが、食品、水などから摂取する放射性物質による内部被曝、および通常の状態(福島第1事故がない状態)での年間平均放射線量、医療目的の放射線などは含まれていないことをお忘れなく。

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)キセノン133ガス拡散予測4月19日-21日

いつもと違って、ZAMGは北半球へのキセノン133(Xenon-133)の拡散予測のアニメーションを出しています。

キセノン133は核分裂によって発生する放射性希ガスで、半減期は約5.2日。外部被爆を起こします。ほとんどの場所で紫か青ですので、いわゆる「人体にほとんど影響のない超微量で」云々とされるレベルなのですが、そうは言っても福島第1原発の事故がなければこのようなガスは発生せず北半球を回りもしないわけです。

私が驚いたのは、非常に広範囲に広がっていること。

ZAMGの拡散予測だと、日本はキセノン133の雲に隠れてまったく見えず、またシベリア、中国東北部に大きな雲がかかり、アメリカの西海岸ばかりかアラスカ、アメリカ西北部、東海岸まで、定常的な雲が走っています。(道理で体調が優れなかったわけだ...。)大西洋を越えて、アイスランドに掛かったくらいで消えています。フィリピン、インド洋にまでちらりと雲が出ています。

(ちなみに、ノルウェーの、The Norwegian Institute for Air Researchによるキセノン133拡散予測はなおひどいように見えます。)

最初の爆発からもう1ヶ月以上で読者の皆様の異常感覚も麻痺してきたのではないかと思いますが、ヨウ素131、セシウム137、キセノン133などは、核分裂の結果出現する核種です。特に、ヨウ素131、キセノン133は半減期が短いにもかかわらずずっと出続けているということは、福島第1原発の原子炉のどれかで核分裂が続いていて(再臨界)、その結果生じる放射性物質が外に漏れ続けている、という可能性がある、ということです。

東電が工程表を出したからといって原発事故が収束しているわけでもなんでもありませんが、まあ日本のメディアの報道を見る限り、収束どころかもう解決しているような錯覚を受けますね。

Tuesday, April 19, 2011

中部大学武田邦彦:野菜を流水でよく洗ってから放射能を測れ、という政府の通達

消費者が買わないのは当たり前。

もし武田さんの言うことが本当なら、政府、自治体が出してくる放射能測定値などはまるで信用できないことになりますね。少なくとも農作物については。

魚は洗っても無駄でしょうからとりあえずは信用できるかもしれませんが、ヨウ素、セシウム以外の核種を検査していないのが気になります。

武田教授4月19日のブログより抜粋:

原発 緊急情報(56) これから:「安全宣言」という風評


農業の方には悪いけれど、子供に野菜や牛乳を飲ませる親の立場で考えると次のようになります.

1) 政府は事故後、野菜の放射線を測る方法を急に変更し、「測定する野菜は、箱から取り出して、測定する野菜だけ流水で良く洗ってから測ること」という通達を出した。
この通達で野菜は全ての信頼を失った。
【理由】出荷時はまだ収穫直後なので、付着している放射性物質は容易にとれる.だから、産地で良く洗ったら放射性物質がとれる野菜でも、消費者が買うときにはこびり付いていたり、しみこんだりしているので取れない。
だから、今、表示されている野菜や農作物の放射線の値は、まったく信用できない.

2) 福島原発に近いところの人が、東京に来て「こんなに新鮮ですよ」といって野菜などを売っている.
これも信頼を失わせる行動である.
【理由】放射性物質がついた野菜も新鮮だ。「新鮮だから安心」というのは、放射性物質が付着している場合はもっとも危険な判断である.水俣病の時に、「水銀を含んでいる魚が新鮮だった」というのが悲劇を呼んだ.

3) 自治体が野菜などの一部の農産物の放射線量を「良く洗って」から測り、「安全宣言」を出している.安全宣言を出した自治体の農作物は信頼できない。

4) 心ある農家から私のところにメールをいただく.そのメールには「これまで消費者に安心して食べてもらうために全力を注いできた。その信頼を失いたくないが、自分の畑でとれた野菜が安心なものか、どうしたら判るだろうか?」と悩んでおられる.

消費者も生産者も真剣です。

「流水でよく洗ってから測定しろ」という通達を出す政府が「風評」を作り出しています.これまで普通に出荷している状態のまま、しっかりと測定し、「規制値以下」ではなく「規制値の100分の1以下」の野菜だけを出荷すれば、風評は起こりません.

今、政府やメディアが言っている「風評」とは、「汚染されていない野菜が拒否される」という本来の風評ではなく、「汚染されている野菜を、いい加減な測定で売ろうとすると消費者が買わない」ということですから、風評ではなく、至極、当たり前のことです。

それに足し算の問題があります。

周囲が汚染されていないときには、一つの食材だけに注目すれば良いのですが、現在のような状態ではできるだけ放射性物質を含まない農産物を流通させる必要があります(すでに書きました)。

Monday, April 18, 2011

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)放射性ヨウ素拡散予測4月19日-21日

21日に南風に乗って東北に行きそうです。あと、シベリアの内陸を大きな塊(濃度は低いようですが)が地球の自転と反対方向にゆっくり移動してますね。

福島第1原発からの放射能は南半球にも達したようです。4週間は赤道の北にとどまっていたがオーストラリア、パプアニューギニア、フィージーで放射能が検出されだしたそうです。(詳しくはこちらでどうぞ。)

日本時間にするには7時間足します。

Area A(紫色)は最大0.3マイクロシーベルト/時、Area B(青色)は最大3マイクロシーベルト/時となる可能性がある地域、Area C(水色)は30マイクロシーベルト/時、Area D(黄色)は300マイクロシーベルト/時、Area E(オレンジ色)は3000マイクロシーベルト/時、つまり、3ミリシーベルト/時で、福島第1原発の放射線量を示している、との説明です。

全国の食品の放射能調査データ

acmj.jp” という優れものサイトからの情報です。

農林水産省の発表する食品中の放射性物質の調査結果の全データを食品別に見ることが出来ます。

リンクはここ---->> http://atmc.jp/food/

お買い物のご参考になさってください。一品一品は暫定基準値を下回っていても、合計すると結構な値になる場合もあります。本来なら殆ど検出されないものであることをお忘れなく。また、関東以北は福島第1原発のレベル7事故以来、いまだに揮発性の高い放射性ヨウ素、セシウムが飛来し続けているため、空気中からの摂取もごく微量ではありましょうが続いていることも、気に留めておいてください。

福島第1原発は、収束からは程遠いことをお忘れなく。東電の出した工程表には、作業別の具体的なスケジュール、作業を行う人員、予算の設定などは一切ありません。放射能が高すぎて作業できない場合はどうするのか、といったプランもありません。

大きな地震、津波を想定外として原発を運転してきたのと同じく、放射能が高すぎる、実は4号機の原子炉建屋に水が5メートルの深さで溜まっていた、などという瑣末なことは想定外なのでしょう。

Sunday, April 17, 2011

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)放射性ヨウ素拡散予測4月17日-19日

結構西に行くようですね。中国、九州、北海道はほぼかからないで済むようです。

日本時間にするには7時間足します。

Area A(紫色)は最大0.3マイクロシーベルト/時、Area B(青色)は最大3マイクロシーベルト/時となる可能性がある地域、Area C(水色)は30マイクロシーベルト/時、Area D(黄色)は300マイクロシーベルト/時、Area E(オレンジ色)は3000マイクロシーベルト/時、つまり、3ミリシーベルト/時で、福島第1原発の放射線量を示している、との説明です。

Saturday, April 16, 2011

福島第1原発最新(4月15日)無人機撮影ビデオ

英語版のブログに出しておきましたので、ご覧ください。

4号機の使用済みプールからは水蒸気が上がっています。

これを見て読売新聞が「もしかして水素爆発が4号機で起きていたのか」と寝ぼけた記事を出しています。

東電の、「3月15日午前6時頃、大きな音が発生し、原子炉建屋5階屋根付近に損傷を確認」というプレス・リリースの言葉は3月15日から今まで変わっていませんが、「屋根付近に損傷」というのは、ビデオを見る限り世紀の”Understatement”でしょうね。

建屋の5階以上の壁、屋根が吹き飛んで中の設備機器が爆発を受けたような有様になったのを「屋根付近の損傷」というなら、まあ福島第1原発の放射能拡散と汚染はせいぜい「ご不便とご迷惑」なのも肯けます。

3号機は2箇所から水蒸気が上がっているようです。

1号機は屋根がすっぽり落ちて、その下がどうなってるのか、見えません。(これでどうやってどこから使用済み燃料プールに水を入れているんだろう?)

菅政権、旧ソ連邦を彷彿とさせるような「東北に食糧基地構想」


旧ソビエト連邦並みの計画都市、計画農地、計画漁村。その目的は東北を「食糧供給基地」とすること。

東北の皆さん、政府、官僚、いわゆる有識者、いわゆる専門家(多分農業したことも、漁業したことも無い人たち)、地方自治体の長、地方自治体の職員に、任せていいんですか?「しょうがない」で終わるんですか?

東北は関東以南以西への「食糧供給基地」でも「電力供給基地」でもなく、人々が何百年も、何千年も住んで暮らしてきた共同体のあるところ、日本の他の地域となんら変わりはありません。何百年も農地として大切に手入れされ、耕作されてきた土地を、沿岸から遠くにある、という理由で宅地化、市街地化するなど、ソ連も真っ青の無知暴挙。

いったい住民を何だと思っているのか。このような計画都市、計画農地、計画漁港に住んで働く、「食糧供給基地」の従業員、という位置づけなんですかね。

(儲かるのはゼネコンとそれにくっつく政治家、政府自治体官僚ですね。)

朝日新聞4月17日記事

東北に食糧基地構想 農地・漁港集約、政権が法案提出へ

 菅政権は東日本大震災で津波被害を受けた各地の農地を集約して大規模化を進める一方、壊滅した小さな漁港も拠点ごとに集約するための法案を今国会に提出する方針を固めた。東北地方を新たな「食糧供給基地」と位置づけ、攻めの復興策を目指す。

 津波被害では太平洋沿岸の農地が流され、岩手、宮城、福島など6県で耕地面積の2.6%、2万3600ヘクタールが被害を受けた。

 菅政権は、東北復興には主要産業の農業の再生が不可欠と判断。流された市街地や住宅地の跡地も含め大規模農地を造成し、農業専用地域として指定する。そのため「新たな食料供給基地建設のための特別措置法案」を提出。同時に沿岸から遠くにある農地を市街地や住宅地に転用しやすくし、防災上の効果も狙う。

 法案では地元自治体の意向を踏まえ「復興再生計画」を作り、「漁業」「都市」「農林業」などの地域を再設定。規制も緩和し、農業生産法人などの新規参入を促す。政権はあわせて新たな市街地の区域を決めたり、住民にそこに移ってもらったりする手続きを定めた法案も検討中で、一本化する可能性もある。

 市街地や農地は都市計画法や農業振興法で区分されてきたが、農地転用で農地の中に住宅地や店舗が建設されて虫食い状態となり効率化を妨げてきた。法案の成立で農業のあり方が大きく変わる可能性がある。

 岩手、宮城、福島3県にある263漁港の大半も壊滅的被害を受けた。小さな海辺の集落ごとに漁港が建設され、維持費用がかさむ問題が指摘されてきたため漁港ごとに沿岸、沖合、遠洋といった役割を振り分けて集約。加工施設や市場も併設し、漁獲から加工まで一体でできるようにする。

 ただ、住民の集団移住を伴うことも想定され、地元との合意形成は簡単ではない。福島第一原発事故で放射能汚染が懸念される地域の土地利用策は別に検討される方向だ。(関根慎一)

計画停電は原子力保安院のブラックメールだったのか?

3月からずっと出し損ねていたポストですが、東電の計画停電とやらがどうやら終息するようなので、まあいい折り合いかなと思って今更ですが出します。ウオールストリートジャーナル紙のNorihiko Shirouzuさんの、3月24日付け記事です:

原発推進の動きに後退みられず=保安院の西山審議官

【東京】経済産業省傘下の原子力安全・保安院の西山英彦審議官(54)は23日、インタビューで、過去25年で最悪の原発危機にもかかわらず、原発推進の動きは後退していないと語った。原子力の代わりは「停電」だという

 西山審議官は、「これから先、それに代わるものが簡単に見つかるとは思えないという状況にある」と述べ、「(今の需要を満たすという点からしても、環境対策にしても、)どうしても今、原子力がなければやっていけない」と説明した。原発は日本の発電の約30%を担っており、政府は2020年までにこれを 40%にする目標を掲げている。

 同審議官は、原子力への依存拡大について業界への反発は強まりそうだと述べた。大気中の放射性物質濃度が上がった、また、東京の水道水から放射性物質が検出されたとの報道があっただけになおさらだ。

 西山審議官は、大幅な原子力抑制は大規模な停電を意味すると警告。しかし、「そうは言っても電気のない生活も考えられない」とした上で、「現実的に、いかにこういう非常事態にも対応できるものを作っていくか、ということでいくしかないと思う」との考えを示した。日本、および日本の原発業界は、そうした事象に対するバックアップ電源や冷却システムの耐性を強める必要があるという。

 審議官の見解は、官僚制度のトップに立つ役人の立場を反映するものだ。経済産業省は、原子力業界の規制と推進の両方を担っている。

 同省は、海外で原子炉建設の契約獲得を狙う国内電力会社を支援している。背景には、原子力や高速鉄道など日本の「インフラ技術」を海外で積極的に売り込む、より広範な戦略がある。

 西山審議官は、経済産業省が原子力安全・保安院の領域に干渉することはない、と述べた。日本は内閣府に原子力安全委員会という第2の機関を設置することで、原子力安全・保安院の独立性を確かにしているという。

 その上で、「保安院と東京電力が癒着していたから今回の事態が起きてしまったということではまったくない」と発言。今の原子力安全委員会と原子力安全・保安院のダブルチェック体制はベストだと思われる形だ、と述べた。

 東電は今週、福島第1原発の電力回復に関して進捗状況を報告している。ただ、西山審議官は「今のところまだ何合目とか最終段階とは言いにくい状況にある」と語った。

 実際、インタビューを終えた審議官は、同原発3号機で煙が上がったことを告げられた。

最終段階もへったくれもないんです。細野首相補佐官のBS朝日テレビ出演でも明らかになったように、西山審議官がこんなことを言っていた時点で実は政府も東電も、何がどうなっているんだかぜんぜん分かっていなかった、データもろくになかった、炉心溶融だと分かっていたが、それを発表する気になれなかった、というのが実情。

政府が考えるのは政府(政治家、役人)の保身、安全であって、彼らが「国民の安全」云々と言うときは自分たちも一応国民の一人として考えるので辛うじて嘘ではない、といった程度に聞いておいたほうが身のためです。

ちなみに、京大の小出裕章さんは、原子力が3割というのは火力発電の稼働率を極力抑えているからで、火力発電の稼働率が7割になるだけで原子力は殆ど電力としては要らなくなる、といっています。(また後ほどポストに出します。)原発がそんなに安全で、どうしても電力として必要だと言うなら、東京のような大都市の近くに作れ、とも言ってましたね。

Friday, April 15, 2011

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)放射性ヨウ素拡散予測4月15日-17日

16日に北海道のほぼ全部にかかる予測。中には黄色の帯も見えます。福島第1原発事故発生から1ヶ月以上が過ぎてなお、半減期の短い(8日)ヨウ素131がまだこれだけ出ていることを、お忘れなく。ニュース、テレビなどを見ていると、震災・津波復興の話がほとんどのようですが、残念ながらヨウ素、セシウムは出続けています。福島第1原発敷地内でも、一旦収まるかに見えた空気中のヨウ素、セシウムの値が上がっています。

どういうわけか17日の予測がまったくありませんが、あとで修正があったらまたリンクしなおします。

日本時間にするには7時間足します。

Area A(紫色)は最大0.3マイクロシーベルト/時、Area B(青色)は最大3マイクロシーベルト/時となる可能性がある地域、Area C(水色)は30マイクロシーベルト/時、Area D(黄色)は300マイクロシーベルト/時、Area E(オレンジ色)は3000マイクロシーベルト/時、つまり、3ミリシーベルト/時で、福島第1原発の放射線量を示している、との説明です。

Thursday, April 14, 2011

Amazonの「ほしい物リスト」を使った被災地へのデリバリーシステム

目指せ、政府をあてにしない復興。こんな試みが大成功しているようです。インターネットのおかげで、報道も既存の新聞やテレビの報道をあてにしなくても済むようになりました。

やじうまWatch4月11日ポスト

Amazonの「ほしい物リスト」を使った被災地へのデリバリーシステムが話題に

 この週末、都知事選とともに話題になっていたのが、Amazonのほしい物リストを使った被災地へのデリバリーシステム。避難所が Amazonでアカウントを取得してほしい物リストを作って公開し、それを見た全国の人がギフトとして購入することでAmazonに現地配送してもらうと いう仕組みだ。既存のシステムを組み合わせただけのものだが、Twitter上で発案されたこのアイデアがAmazonの中の人に届き、実際に「陸前高田 市消防団高田分団のほしい物リスト」が作られるまでわずか半日あまりの出来事。義援金が被災地に届いていないことが繰り返し報じられた後だけにネットユー ザーの反応は早く、日用品から大工道具、電動自転車、空気清浄機に至るまで、リストに掲載されたさまざまなアイテムに支援が殺到、あっという間にリストが 空になっていた。本当に必要な物をすばやく届けるということにおいて、画期的なシステムと言えそうだ。実際にどんな物がギフトで送られたかは、以下リスト を「購入済み」で検索すると見ることができる。

◇陸前高田市消防団高田分団: ほしい物リスト(Amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/2Q7C4QYL9PP4B/ref=cm_pdp_wish_all_itms
◇ツイッター x アマゾンで…(hamsterrific!)
http://d.hatena.ne.jp/mikayoshida/20110409


地図上に必要物資・支援要求を書き込めるサイトに地元の現役高校生が参加

 上記のAmazonデリバリーシステムとともに注目を集めているのが、地図上に必要物資・支援要求を書き込むことができるマップサイト 「311help.com」。支援者は「米」などの物資名で検索すれば米を必要としている地域がすばやくわかるという仕組みで、サイト自体はしばらく前か ら立ち上がっていたのだが、この活動に賛同した東北学院高校の学生有志がみずから聞き取りを行って情報を追加し始めたことが報じられ、あらためて注目が集 まった格好だ。その精力的な活動に、ネット上では「これは良いですね! 拡散します」「これが上手く利用されてほしいな」「ウェブってすばらしい!」と いった声が上がっていた。運営者である株式会社42の田原大生氏のTwitterでは、いまも多方面とのやりとりが行われている様子が読める。

◇必要物資・支援要求マップ 311help.com
http://311help.com/
◇必要物資・支援要求マップ 311help.comを作成しました(42 Blog)
http://blog.4-two.com/2011/03/311helpcom.html
◇東北学院メッセンジャー
http://tg-messenger.on.coocan.jp/
◇42 田原大生氏のアカウント(Twitter)
http://twitter.com/4_two


(h/t ろく)

Wednesday, April 13, 2011

京都大学小出裕章氏4月12日インタビュー:「レベル7は一日目から」

4月12日大阪MBS毎日放送ラジオのインタビューです。



書き起こしはこちら。 (最後3分の1は書き起こしがまだありませんが、私の聞き書きでよかったら最後のセクションに出しましたので、どうぞ。)

ポイントいくつか:

水野)今日は、今回の原発事故が国際評価尺度において、最も深刻なレベルの7に相当するというふうに発表されたのですが、これについてはどういうご意見ですか?

小出)あまりにもバカバカしいのでコメントもしたくありません。

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平野)先生、あのう安全委員会が昨日ですね、発生当初から数時間、1時間当たり最大1万テラベクレルの放射性物質を放出したということを昨日ようやく言ったんですけど、1万テラベクテルという単位がなかなか理解できにくいんです。

水)テラって

平)猛烈な単位を想像するんですけど、これはどうみたらいいんでしょう?

小)テラっていうのは、10の12乗ということです。5万[テラ]ベクレルを超えるような放出を超えるとレベル7だといのが国際事故評価尺度です。ですから1日目にもうそれにごく近いものを放出してしまったと言っているのですね

水)1日でじゃあ、レベル7に近い状態っていうのはわかってたんですね。

小)そうです

水)それをレベル4と言ったというのは、えー。

平)これは、逆算してそういう判断したっていうのは、逆算っていうのは何を逆算するんですか?

小) 周辺のモニタリングポストのデータであるとか、あるいは、今かなり周辺の土地の汚染の評価も進んできたわけで、きっとそういうものを逆算するというのは出 来ると思います。えーそして、原子炉格納容器の中の放射線のレベルというものもはかっているわけで、どれだけのものが炉心から格納容器に中にでてきたかと いうことも当初から知っていたと思います。特にモニタリングポストのデータなんかはもちろん当初から知っていたはずですし、かなり早くから彼らは気がつい ていたと私は思います。

水)はー、わからなかったという可能性はあまりないですか?

小)たぶんないと思います。

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水)それからですね、チェルノブイリでは数百万人の方が被爆したという情報もあるようなのですが、あのうチェルノブイリとは違うんだという思いをですね私なんかは信じたいわけですね。

小)私も信じたい。

水)そりゃそうですよね。小出先生は当初から一番ご自分自信身の見方が間違っているということを信じたいとおっしゃっていたのですから、そうだと思うんですが、ただチェルノブイリのような形で多くの人が被曝をするというおそれは、感じた上で政策を打つべきですか?

小) もちろんです。もうすでに避難が遅れた人達はですね、相当な被曝をしている訳ですし、今現在も汚染地帯に残っている人たちもいるわけでどんどん被曝が蓄積 していってるわけですね。チェルノブイリで今水野さん何百万人かが被爆したと言っているのは、今現在福島で進行しているような被爆をしてい るような人達のことを指している。

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(書き起こしの無い最後の3分の1の聞き書き-言葉どおりではありません、あしからず)

どうすれば政治を動かせるのか?

小)私にはわかりません。

万が一を考えた想定で全体を動かす、ということを考える必要があるのでは?

小)防災として適用をするのなら、そうするべき。しかし、今回はとてつもないことになっているので、その地域に住んでいる人たちにとっては長い歴史、生活の崩壊を意味する。どうしたらいいのか、途方に暮れてしまう。こんなことにならないことをずっと願ってきたのだが、もう手遅れ。何とか少しでもいい方向を探らなければいけない。

安定化に向かっている、との管総理のコメントについて (小出、苦笑)

小)もちろんそう願っている。もっと悪くなるとは断言できない。だれもがそうだと思う。戦いは何ヶ月にもわたる。事態がいいほうに向かっているなどと今の状態で言うなど、どういう神経なのか、私にはわからない。

強い地震が起きる中、原子炉の情報でどうしても知りたいデータは?

小)知りたいデータはいくつもある。原子炉内の中性子のデータ、格納容器内の放射線量が3倍に跳ね上がってからデータが無くなった。2号機のサプレッションチェンバーの破損状況を判断できるデータ、あるのだろうが出てこない。

外付け冷却システムは進行?

小)ひとつの案として出ているようだ。

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小出さんは、計画避難区域の人たちの負う長い歴史、生活を思って途方に暮れていらっしゃいます。レベル7をしらっと発表してさっさとトマト食べパフォーマンスに走ったどこぞの官房長官に聞かせてやりたい。

Tuesday, April 12, 2011

中部大学武田邦彦教授:低線量率は安全なのか、安全でないのか?

武田教授の4月11日のブログポストです。教授は以前にも、線量率は確率の問題だ、と言っています。

長期にわたる低放射能が安全なのか、そうでないのか、実際そんなことを研究できた事例が無いにもかかわらず、ひたすら安全だと言うのは学者の言論の自由ではありましょうが、その先生の個人的ご意見として聞いておくほうが安全だと思います。

原発 緊急情報(52) 低線量率の危険性(どうして違うのか?)


原発が少し落ちついてきて、政府の方も原発近くの待避範囲を「半径20キロ圏内」のようにあまり意味のない範囲ではなく、風向きも考慮して具体的なことを決め始めました。

しかし、先日、年間1ミリ(シーベルト)の限度を20ミリに緩めていますので、やや警戒が必要です。

ところで今回は、そのような状態でもあり、「低い線量」を浴びた時の健康に対する問題点を少し整理してみたいと思います

というのは、「低い線量はとても怖い」という先生と「低い線量など問題がない」という専門家がおられ、これでは、どっちが本当かと迷うのは当然だからです。

そして東京や、さらに関西の方にお住まいの人は大量の放射線を浴びるわけではなく低い放射線の被曝なので、この問題を一度考えておく必要があると思います。

・・・・・・・・・

読者の方から「低い放射線は問題では無い」と言っておられる数名の先生方を紹介していただきましたので、その先生方のビデオや書かれたものを見てみました。

二つのグループに分かれます.

一つは、「本当の意味で低い放射線は全く問題がない」と考えておられる研究者の方.もう一つは「1万人に50人ぐらいのガン患者はでるが、それは問題では無い」と評価している先生です。

1万人に50人ぐらいのガンは仕方が無いというのはその人の感覚ですから、データそのものの違いではありません。わたくしは、1万人に50人の患者さんといいますと、日本人1億人ではガンの発生が50万人になるので、交通事故死の100倍になり、これでは危険という感覚です。

ICRPも1億人に5000人を基準にしていますので、わたくしもそれを使っています(1年1ミリ)。

・・・・・・・・・

一方、もともと低い放射線はまったく問題がないという考えの方がおられ、その論拠を整理してみます。

1) 世界で日本よりもずっと自然放射線の高い地域があり、そこはガンの発生量も低い、

2) 今までの広島、長崎やチェルノブイリ原発事故の被曝は、被曝線量が高く、今回のような場合と比較できない。

確かにその通りです。これもほぼ同意できます。

世界には日本に比べて非常に放射線の強い地域があり、そこで住んでいる人が特別にガンが多いということはありません。地域によってはむしろ日本よりガンが少ないところがあります。

また、広島・長崎やチェルノブイリで障害が観測されている人は、かなり激しい被爆をされた場合です。

これもその先生が言っておられることが、わたくしの考えと特に違うことはありません。

私は次のように考えています(データは同じ)。

自然放射線の強いところにガンが多いというわけではありませんが、ただ、自然放射線が強いところは、日本のように平均寿命が長いというわけでもありません。

日本でもかつてはガンが少なかったのですが、平均寿命が延びるにつれてガンが増えてきたという事情があります。従って、自然放射線が強いところはガンが少ないというだけでは、低い放射線が安全だということは言えません。

また、人間には「人種」があり、南の方に住んでおられる人は肌が黒いのですが、これは紫外線が強いので、紫外線によって皮膚ガンにならないように皮膚が黒くなっているのです(メラニン色素の沈着で紫外線を防御。おそらくその他の修復力も高い。)

このように人間はその環境にあった体になりますので、基本的には放射線が強い地域にお住みの人は、放射線に対して体が防御する力も強いということが言えます。

だから、日本人が赤道直下に住む時には、若干注意が必要ということになります。

・・・・・・

また広島・長崎やチェルノブイリとの比較ですが、広島・長崎の時代は戦争でしたので、人の命に対する考え方は今と随分違っていました。

現在のデータでは、原爆が投下された後に広島・長崎に立ち入って放射線で障害を受けた人が10万人程度おられるというデータもあります。

また、戦争の後、広島・長崎に入ってデータを採ったのはアメリカでした。それもあって、なかなか真実が求められないという事情もあります。

チェルノブイリでは、何しろ言論統制をしていたソ連時代のことで、はっきりとしたデータはありません。

これについては、二つの見解があり、一つは予想外に被爆の影響が少なかったという整理と、時間がたつにつれて被爆の影響が出てきたというデータがあります。

いずれにしても、学問の前に思想的な差があって、現在のところどちらが学問的に正しいかわからないというべきでしょう。

・・・・・・・・・

また、低い放射線は大丈夫だと言っておられる先生がたのお話しにやや問題点もあります。

その一つが、ICRPやヨーロッパの研究者が言っていること・・・低い放射線量でも集団で被爆すればかなりのガンが出る・・・というデータについて具体的に反論されてないことです。

(もしビデオをみる機会があれば、「普通のデータ」がなぜ否定されるのかを言っておられるかどうかに注意してください)

ICRPも荒唐無稽なデータを使ったり、思想的な背景があるわけではありません。低い放射線の場合は、Aさんが被爆したからといって必ずしもAさんに障害が出るというわけではなく、1000人の人が被曝すると5人ぐらいにガンが発生するということを言っています.

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参考までにICRPが「標準データ」として使っている「低い放射線での10万人あたりの過剰死亡率」の表を示しておきます.データそのものよりも、このように公開されているデータのどこが間違っているのかをお話しするべきと思います.

・・・・・・

長くなりましたが、低い放射線と体の関係は原理的に次のように考えられます。

放射線はわたくしたちの体の中を通過していきます。細胞の中に放射線が通過したからといって、その細胞の中にある遺伝子が必ず傷つくということはありません。

ただ何回か通過していると、そのうちに遺伝子が損傷する場合があるのです(学問的には短波長でエネルギーの高い電磁波が、高分子(DNA)の一部を励起させて、そこが切断されたり反応したりする。確率的に起きる)。

また人間には回復力がありますから、遺伝子が損傷したからと言って直ちにガンになるのではなく、それを直してくれるのも確かです。

でも、1000人ぐらいのグループに繰り返し放射線があたりますと、そのうちどこかの細胞にガンができて、それが量的にも時間的にも回復できないという状態が生じると考えられているのです。

その点から言って、「低い放射線は人体に影響がない」というのは、集団の人の場合、断言できないと考えられます

今回の場合、私たちの知見はわずかで、しかも「もし障害がでたら1万円払えば元に戻る」というものではなく、その人の一生に影響がありますので、やはり今までのデータを尊重するのが良いと思っています。

福島県6箇所の土壌、雑草からストロンチウム検出

もう3週間以上前にサンプリングして測定した(いつ測定したのかは不明)ことを、いまさら発表。

このブログではすでに、ストロンチウムの危険性についてポストを出しています。

読売新聞4月13日午前2時6分記事:

 文部科学省は12日、福島県飯舘村、浪江町など6市町村の土壌、雑草から微量の放射性ストロンチウムが検出されたと発表した。

 カルシウムに化学的な性質が似ているストロンチウム90は骨などにたまりやすく、長期の内部被曝(ひばく)の危険があるが、今回検出された量はいずれも微量で、人体への影響はないという。ストロンチウムが見つかったのは、福島第一原発事故後、初めて。

 このうち最も数値が高かったのが飯舘村で、ストロンチウム90が、土1キロ・グラムあたり32ベクレル検出された。

そして、これが文部科学省の発表。



Monday, April 11, 2011

4月12日午前11時20分保安院原子力安全委員会「レベル7」会見聞き書き

目と耳についたところだけ、さっとメモです。保安院の西山審議官が途中結構いらついてました。

面白かったポイントいくつか:

  • 保安院と安全委員会では放出した放射性物質の算定法が異なる。それで、37万テラベクレル(安全委員会)と63万テラベクレル(保安院)という、かなりかけ離れた総放出量になっている。どちらにしてもレベル7には違いない。

  • 3月23日の時点で安全委員会がすでに数万から十数万テラベクレルと言う数字を出していたのにレベル7にしなかった理由:データポイントが少なかったから

  • レベル7になったからといって、対応(福島第1原発作業、避難区域など)には影響はない。

  • INESの基準は大気中の放射性物質のみ。海洋汚染は入っていない

  • チェルノブイリとはまったく違う状況だから、安心するように(とは言っていないけれど、暗示してます。聞き書きで強調しておきましたから、お読みください。)

これはやっぱりロシアの専門家が言うとおり、新しい基準が必要です。レベル7で止まるとは思えない。23日で3万から11万テラベクレルだったのが、4月5日になってみたら実は37万から63万テラベクレルだと言う。この調子で行ったら、今月末には軽く100万テラベクレル超えてるんじゃないでしょうか。

まあ、西山審議官も、安全委員会の広瀬さんも、別になにも心配してないようでしたよ。

ひとつ、日本の記者会見を見ていて違和感を感じるのは、記者の方々の年齢がものすごく低い(ようにみえる)こと。いわゆるベテラン記者(西山、広瀬氏と同年代かその上)は、日本では記者会見などには出ないものなんですか?何か、子供が親に質問しているようで、親はまともに答える気にはなってないような気がします。子供も親に遠慮して、質問に答えがちゃんと返ってこなくても追求しないし。

(福島、宮城の農村、漁村のおじさん、おばさんと対決させたいなあ。西山審議官や広瀬参与を叱り飛ばせる年代の。)

聞き書きメモ:

原子力安全委員会の広瀬さん(声がくぐもっているので大変に聞き取りにくいです)

  • ヨウ素131、セシウム137の総放出量の推定、積算値

  • 現段階で正確に推定することは困難だが、事故の全容を把握するために行ってきた日本原子力開発機構の協力を得て進めてきた推定の現状。

  • 環境モニタリングからの空間線量率から、風向、風速のデータを踏まえてSPEEDIから逆算した。

  • 3月11日から4月5日まで、放出量の総量として、ヨウ素131:1.5x10^17(10の17乗)ベクレル、セシウム137:1.2x10^16ベクレル

  • これは大気中に放出されたもののみ、またヨウ素、セシウムのみ。希ガス、その他の核種は入っていない。

  • 3月15、16日で立ち上がって出ている。

西山審議官

INESの尺度適用について

3月18日以降に得られたデータを基に、レベル7と暫定評価した。ただし、放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故の1割程度。(誰が信用するかいな。)

3月18日の段階で私のほうから暫定的評価、レベル5と、お知らせしていた。今般、原子力安全保安院では、原子力安全基盤機構の原子炉の状態の解析結果等から放出量を計算したところ、INES評価のレベル7に相当する値であると考える。

レベル7:ヨウ素131に換算して、数万テラベクレル10^16を超える値。

過去にはチェルノブイリの原発事故がレベル7だが、相当異なるところがあると思っている。
  • 放射性物質の放出量のレベルがチェルノブイリの1割程度

  • チェルノブイリは急性大量被爆で29人死んだが、福島ではそのような事態は発生していない。

  • 100ミリシーベルト異常の被爆をした人が21人いるが、線量の管理のルールにのっとって作業をしている。

  • 原子炉そのものが爆発したチェルノブイリ、福島は水素の爆発で屋根のあたりが吹き飛ばされている、という状況、原子炉そのものは多少の漏れはあるが原型をとどめた働きをしている。チェルノブイリとはまったく違う。

  • チェルノブイリでは放射能汚染のために事故後に立ち入ることができず、放棄せざるを得なかったが、福島では作業を行なえる環境である。

今後について

あくまで暫定値である。現段階での結果。

なるべく放射性物質の放出はなるべく少なく抑えようと思っているが、ある程度継続して出ている状態。各号機別の放出量も把握できていない。今後も情報を収集して評価行きたい。


最終評価

再発防止対策が確立してから、東大の学者(関村直人)が委員長をやっているINES評価委員会で検討する。

なぜ今の発表になったのか?

SPEEDIのデータが相当程度になったので発表できるようになった。

レベル7になったことで違うことは?
現状の評価に過ぎないので、行動の変更を迫るようなものではない。

耐震設計審査指針でなぜ津波の影響を軽視したのか?
広瀬:今後、今回の事故を受けてどのように新しい指針等、取り組んでいくのか、事故の全容を検証して取り組むことになると思う。まずは事故の安定が先。

西山:津波については、これから評価する矢先だった。この1月の経験をよくかみ締めて、取りまとめたい。
(どっちもぜんぜん答えになっていない。記者の追求質問はいっさいなし。)
規制と推進を同一の官庁で行うことはどう考えるか?
これからの評価については、ノーコメント。
(ニコニコ動画)チェルノブイリと違って、福島は今でも現在進行形の暫定評価、先ほどの説明(チェルノブイリの1割)は矛盾している、と指摘して、質問

レベル5の暫定評価から7に飛ぶまで、レベル6の段階があったのではないか?

(答えてくれる人をぐるっと見回してから)西山:いずれにしても、データのはっきりしない部分には責任をもてない、ということでやってきた。今回、はっきりしたデータが出たので、レベル7とした。(西山氏、いらついている。)

作業が遅すぎる。福島県民、国民、国際社会に対してどう答える?
データの制約があるので、正確なデータ発信ができない。
計画的避難区域とはパッケージか?
長期的には別なもの。更なる見直しは現段階ではない。
(東京新聞)3月23日に3万から11万テラレベルの放射性物質の放出を計算したときに、レベル7にできなかったのか?
広瀬:データの確実性が上がったので(データサンプルが3から33に)、今公表した。
防災の観点からすれば大きな数字から想定していくのが必要ではないか?
西山:モニタリングデータは公表している。INESの評価にかかわらず、手は打ってきている。(西山氏、さらにいらつく。)
(朝日新聞)海水汚染はどのように盛り込まれるのか?
INESの評価は大気のみ。
3月15日に大きく出た後は止まったのか、継続して出てるのか?

3月15日午前6時の2号機サプレッションチェンバーの破損で、総放出量の相当部分が出た。現在も続いているが、以前と比べると少なくなっている

レベル7は全ての原子炉か?
1、2、3号機の全体の評価である。(4号機は入っていない???)

広瀬:安全委員会は外の放出データから放出元を逆算、保安院は、原子炉等の事故のシーケンスを追って、原子炉がシャットダウンした3月11日時点にあった総量からどれくらい出て行ったのか、ということで、放射性核種の崩壊は考慮されていない。

西山:炉心の損傷の程度までは考慮していない。

OT: 2歳男児、のどにパン詰め込まれ意識不明 母親を傷害容疑で逮捕 警視庁

(OT: Other Topic) 地震にも、津波にも、原発事故にも、放射能汚染にも、何にも影響されない日本人もいるわけで、そんな人が起こしたこんな傷害事件に比べたら、義援金箱盗難事件などかわいいものです。

産経新聞4月12日記事:

長男(2)ののどにパンを詰め込み、意識不明の状態にさせたなどとして、警視庁捜査1課は傷害と暴行の疑いで、東京都町田市成瀬台の主婦、名取理枝容疑者(28)を逮捕した。長男の体にはあざがあり、同課は名取容疑者が日常的に虐待していた疑いがあるとみて調べている。

 同課によると、名取容疑者は容疑を否認し、「あざは転んでぶつけたんじゃないか。パンはおなかが減ったというので食べさせたが、トイレに行っている間にのどに詰まらせた」と供述。周囲に対し、「男の子が嫌いだった」と話していたという。

  逮捕容疑は1月中旬、川崎市麻生区の友人方のマンションで長男がはしゃいでいたことに腹を立て、顔を殴打したうえ、今月7日午後には自宅で、長男の口にパ ンを押し込んでのどを詰まらせ、低酸素脳症の傷害を負わせたとしている。男児は意識不明のままで、植物状態になる恐れがあるという。

4月12日午前11時20分保安院原子力安全委員会会見ビデオ:「レベル7」

さて、このエリート官僚たちが、今になって福島第1原発は実はチェルノブイリと同じ、レベル7に相当する大事故だったのです、と、1号機の爆発からちょうど1ヶ月経ってから国民に告げたていたらくを、マスコミの情報加工なしに、直接ご覧ください。

岩上安身さんのライブビデオアーカイブからです。


いわゆる「御用学者」、「御用ジャーナリスト」の方々は、これをどうスピンしているんでしょうか。あとで調べてみよう。

福島第1原発事故はチェルノブイリと同じ「レベル7」

NHKニュース4月12日 4時12分):

東京電力の福島第一原子力発電所で相次いで起きている事故について、経済産業省の原子力安全・保安院は、広 い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な基準に基づく事故の評価を、最悪の「レベル7」に引き上げること を決めました。「レベル7」は、旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価になります。原子力安全・保安院は、12日、原子力安全委員会ととも に記者会見し、評価の内容を公表することにしています。

原子力施設で起きた事故は、原子力安全・保安院が、国際的な評価基準のINES=国際原子力事象評 価尺度に基づいて、その深刻さを、レベル0から7までの8段階で評価することになっています。原子力安全・保安院は、福島第一原発で相次いで起きている事 故について、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、INESに基づく評価を、最悪のレベル7に引き上げること を決めました。原子力安全・保安院は、福島第一原発の1号機から3号機について、先月18日、32年前にアメリカで起きたスリーマイル島原発での事故と同 じレベル5になると暫定的に評価していました。レベル7は、25年前の1986年に旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価になります。レベ ルが引き上げられる背景には、福島第一原発でこれまでに放出された放射性物質の量が、レベル7の基準に至ったためとみられますが、放射性のヨウ素131 を、数十から数百京(けい)ベクレル放出したというチェルノブイリ原発事故に比べ、福島第一原発の放出量は少ないとされています。原子力安全・保安院は、 12日、原子力安全委員会とともに記者会見し、評価の内容を公表することにしています。

いままで「チェルノブイリだなんて嘘、暴言」と言ってきた専門家はさてどう出るか。「風評被害」とやらも結局「風評」でも何でもなかったんでは?

そう言えば、ロシアの専門家で、福島は多分レベル7でも間に合わない、新しい基準が必要になる、と言っている人がいたと記憶していますが、記事が見つかったらリンクします。

福島第1原発に行ってきた作業員のポスト

低学歴妻帯曾孫会社勤務という彼は、来週また行くんだそうです。

http://twuruttwuru.2chblog.jp/archives/1848846.html

Sunday, April 10, 2011

4月11日保安院記者会見を見ていて驚いたこと2つ

ひとつめ、朝日新聞の方が、考えてみれば当たり前、の質問をしてくれました。

「1号機にはまだ窒素を注入している、それは水素爆発を防ぐためだ、という。そして、今後2号機、3号機にも同じ処置をする予定だと聞く。そんな中で、避難地域の人たちを一時帰宅させて大丈夫なのか?」

西山審議官の答えは、各方面といろいろ協議した上で決まることなので云々、と官僚らしいごまかしをしていましたが、表情、答えのタイミングから推し量ると、

「え...。考えても見ませんでした」

というのが正直なお答えのようでした。会見後泡を食って枝野官房長官にでも電話したんでしょうか?

もうひとつ。具体的にどのポンプのことかは忘れましたが、誰かが、何かのポンプ(海水の汚水を戻す?ポンプ?)の質問をして、それをつなげているパイプは「漏れないんですか?」と尋ねました。

西山審議官は他の保安院の人にさっさとマイクを渡しました。渡された人はまあ審議官と同年代でしょうか。その人の答えは、

「漏れないことになっていますから」

ちょっと待った。原発も安全で事故がないことになっていたんでしょう...??地震もマグニチュード8以上は起きないし、津波も7メートル以上来ないことになっていたんでしょう?

残念なことに、せっかくのネット中継が機器の故障か何かで途中で落ちてしまいましたが、それでさえ、見ていた視聴者の間では、「なんかおかしい、何かとてつもなく悪いことがおきるんじゃないか」などのTweetが出ていました。

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)ヨウ素131拡散予測4月10日-12日

関東、東北南部にじっくり居座った後、12日はほぼ太平洋へ流れています。

グリーンピース会見ライブ

http://www.ustream.tv/channel/videonews-com-live

福島第1原発:アメリカ原子力規制委員会のレポート、あります

ニューヨークタイムズ紙が4月5日に記事にした元ネタは、リークされたアメリカ原子力規制委員会の福島第1原発の3月26日時点の状況の把握ととるべき処置の提案を記した報告書でした。

マスメディアの言うことは日米を問わず信用できないと思われる方、Cryptome.orgのサイトに、このリークされた報告書そのものが載っています。(英語)

これです。 daiichi-assess.pdf

フリージャーナリストの皆さん、(御用学者でない)原子力、原発の専門家の皆さん、ごらんになってみてください。ニューヨークタイムズが見落としたものがさて、あるかないか。

いま読みはじめたところですが(第1号機)、目に留まったのは、

「1号機の真水注入にはホウ素を入れていない」

「真水に比べて塩水からはより水素ガスが出やすい」

京都大学原子炉実験所小出裕章ライブインタビュー4月10日

岩上安身さんの7チャンネルでライブインタビュー。

「循環して冷却できるシステムを早く作り出すべきだが、圧力容器がすでに破損しているので、水が循環できない」

「これしかないだろうと思っている方法は、圧力容器と格納容器を一体として考えること。格納容器・サプレッションプールに流れてきた水をまた圧力容器にもどす、そのループの間に熱交換器を入れて、何とか水を冷やす。」

「ただし、大変な被爆環境になる。あと何週間、何ヶ月かかるかわからないが、これが唯一の方法だ」

「配管を知らないので、果たしてそのようなことができるのかはわからない」

「被爆をしないで働くことは、現在すでに不可能。鉛のスーツを着てもさしたる効果がない」

「原子炉建屋に入るのは大変な被爆環境」

「格納容器にも穴が開いているが、ある程度の漏れは仕方がない。1号機の格納容器は2号機よりはまだまし」

「めちゃくちゃに濃度の高い汚染水はもちろんこのまま出せない。出さないですむような算段」

「タンカーで柏崎刈羽に運ぶことを提案した」

「何百種類もの放射性核種のうちヨウ素とセシウムが多く出ているのは揮発性が高いため。数パーセントが出ている。最悪のシナリオは水蒸気爆発で、格納容器、圧力容器ともに破損する、そうするとヨウ素、セシウムが数10パーセントといった単位で出てしまう」

「ストロンチウム、プルトニウムは揮発性が少ない。現在は微小量しか出ていないが、水素爆発してしまうと、それが数パーセントから10パーセント程度出てしまう可能性」

「爆発が抑えられても、揮発性の放射性核種が数10パーセント、何年もかかって出かねない。チェルノブイリではセシウムが30パーセント、ヨウ素50,60パーセント出た」

「福島原発の方々が、多分一番自分のプラントのことをよく知っている。大変だろうが、できるだけがんばってほしい」

「政治には何の期待も持っていないので、政治家の人たちと話をしたいとはまったく思わない。現場の人と話し合えるのなら喜んでいく」

再臨界の可能性について、再臨界とは一体なんなのか

「地震が起こるとウランの核分裂をまず止めなくてはならない。制御棒は多分作動したと思う。が、崩壊熱のためにこういう事態になっている。止めたはずのウランの核分裂がまた始まってしまうと、また熱が発生してしまう、それを再臨界という」

「最近になって、東電が公表しているデータを見る限り、再臨界が起こっているとしか思えない、と考えるようになった。」

「クロル38はクロル37に中性子がくっついてできる。3月の末でまだクロル38が検出されている、そうなると中性子はどこから来ているのか」

「超ウラン元素の中のキューリウム242、244は自発核分裂で中性子を出す。しかし、東電の発表したクロル38の量はすごく多い。それを見ると、自発核分裂からの中性子では追いつかない。再臨界(つまりウランの核分裂再開)としか考えられない」

「再臨界が起こったからといって、おしまい、というわけではない。原子炉の中にあったウランの核分裂が止まったはずが、70%燃料損傷、被覆管がなくなってしまっている。中のウランのペレットが崩れて、大きな塊になってしまうと、また臨界がおきてしまう。熱が出る。そうすると、いったん臨界は収まる。またしばらくするとまた臨界がおきる」

「再臨界自体が水蒸気爆発を誘発するものではない。燃料ペレットの溶け方がまだ少ない」

プルトニウムの検出はウランのペレットが溶けた証拠ではないのか

「2800度にならないとウランは溶けない。東電はそれを認めたくない。一部のペレットが溶けていることは確かだが、原子炉内の100トンのウラニウム(1号機は数十トン)全体は溶けていないとおもう。溶けてしまうと、溶けて圧力容器の下に落下(メルトダウン)したときに、たまっていた水に反応して水素爆発が起きる。その外側の格納容器は圧力容器より薄い」

「プルトニウムは、ウランが溶けない限り出てこない。ヨウ素、セシウムと違って揮発性ではないので」

「再臨界というのはウランの核分裂、核分裂から発生するのは熱と、核分裂生成核種。熱を取れなければ、メルトダウンになる」

最悪(メルトダウン、水素爆発、その連鎖)が起こってしまったらそのあとはどうなるのか

「チェルノブイリは4号機だけ、100万キロワット。福島は1号機から4号機まで合わせると300万キロワット。どこかひとつが最悪事態になると、それでもう作業はできないので、連鎖は避けられない。悪いことに、使用済み核燃料プールもそうなると手当てできなくなる。チェルノブイリの6倍7倍、10倍の放射能が出かねない」

日本に人が住めなくなる?

「チェルノブイリは発電所200キロ、300キロが強制疎開になってしまった。そうこうするうちにソ連がつぶれてしまった。700キロの風下まで、日本だったら放射線管理区域にしなければいけないレベルになっていた。これが日本で起きてしまうと、関西だって危ない」

「私はホウ素を入れている限り再臨界はおきないはずだ、と思っていた。東電はホウ素を原子炉に入れなくなったんではないか、と疑っている。海水の中の塩が煮詰まっていて、塩の塊が析出している状態だと思う。それが水の循環を邪魔しているのかもしれない。ホウ素も大量に入れるとそれが析出してしまうので入れたくなかったのかもしれない」

「いまホウ素を入れても、届くかどうか」

宮城の余震と日本の原発の危険度

「原子力発電所は機械である。機械は壊れる。機械を動かしているのは人間である。人間は間違える。事故は必ずおきる、と思わなくてはならない。発電所の全所停電は決して起こらない、という、想定不適当事故として扱ってきたが、ちゃんと起きた。どこであれ、原発では必ず事故が起きるんだ、と思っていなくてはならない」

「もんじゅはプルトニウムを作るための特殊な原子炉。もんじゅの特殊性はナトリウム。水という一番すばらしい冷却材を使えず、ナトリウムを冷却材で使わなくてはならない。ナトリウムは水に触れると爆発、空気に触れると火事になる。これ(もんじゅ)がこわれると、何にもできない。水もかけられない」

「六ヶ所村には3000トンの使用済み燃料、ひとつの原子炉が一年に出す使用済み燃料は30トン。六ヶ所村はひとつの原子炉100年分の使用済み燃料が保存してある」

原発がなければ電力需要をまかないきれない、といううそ

「火力発電所の出力はわずか全稼動時の48パーセント。火力と水力で需要は実はしっかりまかなえてしまう。」

「原子力はいったん動かすと止められない。揚水発電を加えると、原子力は非常に高価で、無駄。蒸気機関の宿命として、33%の熱効率しかない。火力発電所の熱効率は50%まであがっている」

「これだけ原発ができたのは日本の政府と電力会社が、とにかく原子力をやりたかったから」

「ここまできて、なお原子力をやめられない、という日本の方は、理解できない。需要が足りようが足りなかろうが、原子力をやめるべき(実際は足りる)」

「原発をベースにした電気料金が高くなってしまったので、アルミ精錬がつぶれてしまった。現在生き延びている唯一1つの精錬会社は、自社の水力発電を持っている」

「原子力はあらゆることを考えても最悪の選択だ、と思う」

「破局を避けるには福島原発の方々にがんばっていただくしかない。大変に苦しい選択だが、それ以外にない」

約1時間15分のインタビューでした。最大で5200人以上の方が、見てらっしゃったようです。スクリーンキャプチャーしたチャートは明日出します。(すいませんこっちは真夜中なもんで…。)

Saturday, April 9, 2011

中部大学武田邦彦教授: 原発 母の役割

中部大学武田邦彦さんの4月10日のブログ全文です。あくまで武田さん個人のご見解ですが、詳しい放射能データが必ずしも出ていない状態で、さあ安全だから食べろ、といわれても、そうですか、とは簡単に肯けない方々に、ご参考まで。

(安全性を信じたい方は、長崎大学の山下俊一さんなど、いかがでしょうか。)
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原発  母の役割


母ができることは限られている.

原発を運転できる訳でもなく、風向きを変えることもできない。

でも、母は全ての危険を「最小」にすることはできる。

時に、子を危険にさらすこともある。たとえ危険があっても子の希望を叶えてあげたいと思うのも母である.

そんなとき、子を送り出した母は無事に帰ってくるまでただ神に祈る.

時に、隕石が落ちてくることもある。母は子を胸に抱いて運命を共にするが、必ず隕石に背を向ける。それで子は母の愛を感じながら満足して身を委ねる.

母ができることは限られている.でも、子にとって母ができることは無限であり、その中で安心して生を送るのだ。

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できることと、できないことがあるが、子を守ることはできる。

1)  母は「管理区域」の放射線を越える場所から、子を連れて避難する。
放射線の強さは最近1週間の平均が、1時間0.6マイクロシーベルトである。
子の受ける放射線を自らはかれる場合はその値を、測れない場合はその地域の発表値を使う.
1時間0.6マイクロを越える場合、場所によっては1年間1ミリシーベルトを越えることもあるが、それぐらいは母の配慮で減らすことができる。
移動は連休明けまでを一つの目安にして、そこでもう一度考える.
(さまざまな理由で移動できない母は次へ進む。1時間0.11マイクロを越え0.6マイクロまでの場所の母も同じ。1時間に0.11マイクロ以下の母は「食材以外」は普段通りで良い。)

2)  食材を選ぶ。
(政府が「明日の風向き」を発表せず、メディアが「風評」という用語を使い、スーパーが「基準以下の汚染の野菜」に「シーベルト表示」(汚染度)をしない間」は次の行動をとる。)
イ。放射性ヨウ素が基準以下の野菜が、放射線量を表示せずにスーパーで売られる危険性が高い。
ロ。産地は偽装されることが多い。
ハ。もし産地が判れば、茨城北部産、福島県東部、宮城県南部産の食材は買わない。もし「南部」「東部」が判らなければ茨城産、福島産、宮城産の食材は買わない。野菜、鶏卵、肉の全ては同じである.
二。外国産、北海道産の食材を求める(残念ながら、現在では国産より外国産が信頼できる。
(スーパーが放射線量を表示するようになったら)
「福島東部産の野菜は安心です」などと言っていたスーパーなら疑い、「消費者に放射性物質を含んでいるものは、基準値以下でも売りません」と断言していたスーパーはやや信頼する.
(国が「明日の放射性物質飛散予想」を出すようになったら)
表示を信じて、放射性物質が表示され、かつそれがゼロの物だけ買う。
また、合理的な理由で、3月11日以前に収穫されたもの、外国産、新潟、長野、静岡以南で生産されたもの、日本海の魚ということがわかるものは購入する。

3) 空気
マスクをできるだけさせる。この時期になると屋内屋外はあまり差がない。
あえて窓を開けない(黄砂が来たときと同じ防御をする)。
外出すると放射性物質(黄砂)が服についているので、自分を含めて家族の外出着はできるだけ拭いて、玄関など普段、あまりいないところにかけておく.

4) 水
福島県東部、茨城県南部以外の人は、「飲み水だけペットボトル」の状態にする。福島県東部、茨城県南部の人は「計算値(後述)」を用いる.
水道局の発表を自ら、もしくは口コミで知っておく(私はやや水は楽観している。心配な人は水道局の値を調べて、「子供の総合的な被爆地」を計算する)。
風呂、歯磨き、洗顔、お米とぎ、調理、掃除などは福島県東部、茨城県北部以外は大丈夫.
天気予報に注意し、子供にかならず傘を持たせ、危ないときにはビニールのカッパを使う.家に帰ったらすぐ脱がせて洗う。

5) 家の中
床を綺麗に拭き掃除する(放射性物質は床に付着する)・・・この時期はかなり大切!!。
壁も時々、拭き掃除する(壁にも少し着く)。
子供が手にするおもちゃ、道具などを拭いておく.
子供の服は外出から帰ったときに、ごく簡単にティッシュで拭く(黄砂を落とす感じ。屋外で)。
洗濯物は1時間に0.6マイクロシーベルト以下の地域は屋外、それを越えている地域は屋内とする。

6) 運動
運動は危険であるが、子にとっては人生そのものでもある。だから、「危険を冒して送り出す」ことになる。
1時間に1マイクロシーベルトを越える地域では、合宿などあらゆる手段をとってもらうように頼む.
それ以外の地域でも、できるだけ先生、コーチに御願いして、屋外の練習の時間を短くしてもらう.

7) 学校
給食の「被曝量」の表示を求める.その時に「基準値以下」を「ゼロ」にしないように求める。
学校に、「放射線の測定の高さ」、「内部被曝(校庭のホコリなど)」、給食、水道などの全活動を含んだ「児童生徒の被曝量」を表示するように強く求める.
教育委員会、校長は信頼できないことが多い.教師と連帯する.

まだ、あるのですが、書く時間がなくなりましたので、また、追記します.

とりあえずのおおよその生活の指針になればと思います.また時期は「今から連休明けまで」と「連休明けから」を区別してください。

ご苦労と思いますが、もうしばらく(福島原発から放射性物質がでている、政府がまだ隠している、スーパーが汚染された食材を売ろうとしている、海流の動きが不明である)、頑張ってください。

放射性物質は「半減期」がありますから、必ず近いうちに「安心できる放射線量」になりますから、最初だけ頑張ってください。

また1号機も含めて福島原発の状態は、危険が生じたら、その都度ブログに書きます.

(平成23年4月10日 午前9時 執筆)

オーストリア気象地球力学中央研究所(ZAMG)ヨウ素131拡散予測4月9日-11日

一時期に比べて、拡散の帯がだいぶ小さくなったようです。それでも、福島第1原発近辺から関東には、まだしつこくかかっています。中部以西はまず安全のようです

動燃の宣伝ビデオ:頼れる仲間プルト君——プルトニウム物語

ジャーナリストの上杉隆さんのサイトに出ていたリンクからのビデオです。1993年、動力炉・核燃料開発事業団が、プルトニウムの安全性をアピールするために作った宣伝ビデオです。

「ぼくについての誤解は猛毒でがんになるということです。ぼくは長い間α線を出し続けます。でも、このα線は紙一枚でもさえぎることができる放射線です。飲み込まれて胃や腸に入った場合でも、ほとんどが排泄されて身体の外に出てしまいます。プルトニウムが原因でがんになったことは一件もありません。プルトニウムが人体に影響を与えることは考えられません」

上杉さんいわく

「このテレビやアニメをみて「では、是非とも食べていただきたい」と思ったのは筆者だけではあるまい。」

動燃は2005年に独立行政法人日本原子力研究開発機構に再編されましたが、政府外郭団体に変わりはありません。

Wikiによると、ナトリウム子ちゃんという、ナトリウム冷却炉(もんじゅ)のマスコットがいたようです。

中部大学武田邦彦教授:ニュースの深層 2011.4.8『これからの福島第一原発と放射能汚染』

必見。

第1部

「耐震度は電力会社が選ぶ」
「原発が一般家庭と同じように停電してしまう、というのは普通の人は考えないが、まさにそれが起こった」
「行政は、法律で決められたとおりになっていれば責任がない」
「行政(設計)も、建設、重電(施工)も、東電(運営)も、ひょっとすると誰も責任がないかもしれない。法律上の規定にのっとって福島を設計し、施工し、運営したわけだから。」



第2部

「水素が漏れて爆発して建屋が壊れてくれたおかげで、格納容器が爆発しなくて済んだ」
「不幸中の幸い」
「大爆発になることは多分ない。20分の1ぐらいの確率。あとはだらだら放射能が減っていくだろう」
「人類の歴史で例のない、長期間にわたる汚染になってしまった」
「赤ちゃん、幼児が危ない。成人男性の三倍ほど感度が高い」
「福島市、いわき市までの範囲、起こってしまった現実を直視する必要」
「やや東京は安全」
「放射線と、放射性物質はちがうんだよ、ということを理解した上で、対策をとらなくては」
「SPEEDIのデータはかなりきびしかった。基準に照らすとまずい、というデータがでた。そのあと発表しなくなった」
「庶民が出来ることは、出来るだけ避けて、データ出せ、と要求するしかない」
「放射能汚染の野菜の摂取、できるだけ減らしておくほうがいい」
「レントゲンと比べるのはどういうものか。積算値で考えると、月に数十回レントゲンを撮っていることになる」

「これは戦争の疎開。爆撃機が来ている。爆撃機は放射性物質」



第3部

「放射線量は確率でやっている。例えば1ミリシーベルトで100人に1人がんになるとすると、20ミリシーベルトでは100人に20人ががんになる。」
「情報は出来るだけ細かに、個人個人が判断できるように出すべき」
「1ミリシーベルトで線を引くしかない。それを超えたら、じゃあ個人個人としてどうするか」
「多分連休明けぐらいには原子炉は安定する。それから4ヶ月ぐらいは放射能が出続ける。次に15年から20年、じっと置いとくしかない。それから恒久的な方法を講じることが出来る。25年経ったチェルノブイリは今でもきれいになどなっていない。そのままおいておくしかない」

「原発は原爆の500倍、2000倍のウランを持っている。原発を運転すると言うことは、絶対に今回のようなことが起こってはいけない、と言うのが最初からの前提で、起こると土地も失うし海も失う、ということは、厳しいが現実だから仕方がない。ヨウ素が8日、セシウムとストロンチウムが出てきてこれが30年、という物理的な量は、変わらない」

「原発が爆発すると30年はだめだ、ということを私たちはよくわかっていなければならない」
「被爆量は自分で計算できる」

「魚や野菜の汚染の基準値がなかったのは、汚染を仮定してはいけなかったから」

Friday, April 8, 2011

屋内退避域外5000マイクロ・シーベルト、13日間積算、文科省調査

こんな記事が、読売のサイトに埋まっていました。ホームページから、「医療と介護」のタブをクリックしないと、この記事があったセクションには行きません。毎日読売新聞のサイトは見ていますが、ホームページに載ったのを見た記憶はありません。私はたまたま福島浪江町のニュースをグーグルで検索したために行き当たりました。

このほかにも、メーンのホームページには載せていない、福島原発関係、放射能汚染関係のニュースが埋まっています。これはかなり卑怯な報道ですね。

読売新聞「医療と介護」セクション4月7日付け記事

屋内退避域外5000マイクロ・シーベルト 13日間積算、文科省調査

 東京電力福島第一原子力発電所から20~60キロ圏内で文部科学省が行っている積算の放射線量調査で、屋内退避区域外3か所で4月5日までの13日間分の放射線量積算が5000マイクロ・シーベルトを超えたことが分かった。

 ずっと屋外に立ち続けたと仮定した場合、年間に自然界や医療行為以外で人が浴びてよいとされる許容量1000マイクロ・シーベルトの5倍以上の放射線を浴びる計算となる。最大積算値は、浪江町赤宇木の北西約30キロ地点で、1万1630マイクロ・シーベルトとなった。

つまり11.63ミリシーベルト、わずか13日間で年間許容量の11倍を超えています。しかも、それ以前の更に放射能がおそらく高かった時のデータは含まれていませんから(文部科学省のSPEEDIは観測装置が作動しなかったので最初の一週間以上使えなかったのです)、それを足したら軽く3年分ぐらいの放射線を、浪江町の人たちは福島第1原発事故以来浴びているのかもしれません。

第1号機建屋が爆発したのが3月12日、3号機建屋が爆発したのが3月14日、4号機の建屋で「大きな爆発音とともに火災」がおきたのが3月15日、2号機の圧力抑制室が破損したのが3月15日。放射能が大量に拡散していた時期に、SPEEDIは計れなかったわけです。

記事には地図がでていて、高積算値だった場所と積算値が記載してあります。

福島第1原発:カリフォルニアのオーガニック(有機)牛乳からセシウム検出

乳牛の食べていた有機栽培の草に、福島第1原発からはるばる海を越えジェット気流に乗ってカリフォルニアまでやってきた放射性物質、セシウム134、セシウム137が付着し、乳牛のミルクに入り、ベイエリア(サンフランシスコの北、対岸からサンノゼの南までの地域)でオーガニック牛乳として販売された牛乳に入りました。

カリフォルニア大学バークレー校の原子力工学科が発表しました。ごく微量ですが、天然に存在する量ではありません。リンク先の注に、サンフランシスコからワシントンDCの往復の飛行機に乗ったときと同じ放射線量を浴びるには、この牛乳を12000ガロン、26000ガロンと飲まなくては同じにならない、と書いてありますが、だから安全、ということにはなりません。

本来ならば、このセシウムの量はほとんど検出不可能なのです。

バークレー原子力工学科の報告は、セシウムのほかにもヨウ素131、ヨウ素132、テルル132を計測しています。初めて放射性物質を検出しだしたのは、3月18日に出荷された牛乳、ちょうど福島第1原発の放射性物質がアメリカの西海岸に到着したころです。

さて、これは日本の先生方が安全だから飲めと強要できる代物じゃないですねえ。国も違うし。管政権が、風評だといってねじ込める代物でもなさそうです。

アメリカの酪農農家、オーガニック牛乳の販売者、消費者、東電と日本政府に訴訟を起こしたら、これは復興費がいくらあっても、年金からいくら金をまわしても、足りないでしょうね。カリフォルニアは世界有数の野菜、果物の産地でもあります。カリフォルニアの水道からも、原発事故から1週間たったころから放射性ヨウ素、セシウムが微量ですが恒常的に発見されています。

万が一アメリカから訴訟を起こされたら、日本政府が取れる手段はただ一つ、日銀が保有するアメリカの政府債券を全部売ってしまうぞ、とアメリカ政府を脅かして、訴訟を取り下げさせるくらいでしょう。

(ちなみに日銀が保有するアメリカ政府債券は、70兆円程度にはなるはずです。復興費に年金の金を掠め取るよりいいんじゃないかと思いますが?)